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  • 小さな町の小さなバー。
    そう大きくない店内、バーテンダーが一人のこの店にはカウンター席しかない。
    一見、どこにでもありそうな小さなバーだ。特別珍しい酒を置いているわけでもない。
    他の店と違う所をあえて挙げるとしたら、
    この店、なにかを必要としている者しか辿り着けない不思議な店だった。
    そう、その客がたとえ人でなかったとしても…。
    「いらっしゃい」
    磨いていたグラスから顔を上げた。

    店に入ってきた客は慣れた様子でカウンターに着き、頬に垂れている髪を耳にかけた。
    深緑の髪色に 沈みかけの夕陽のような瞳。
    いつもつかみどころのない笑みを浮かべている。

    「珍しいな、ミモレット」

    シェリーグラスを彼女の前に置き、ティオペペを注ぐ。彼女の最初の飲み物はいつも決まっている。

    「久しぶり、ヴァシュロン。なんだかあなたとお酒が飲みたくなったのよ」

    酒の注がれたシェリーグラスをひょいと持ち上げると、香りを楽しんでからこくっと一口 唇を湿らせた。

    「ったく、しょがねーな…今日は店じまいっすか」
    「そうなさい、そうなさい♪」

    がしがしと頭をわざとらしくかき、
    カウンターでにまにま笑うミモレットを横目にクローズの看板を表に出しに行く。
    夜はまだ始まったばかりだ。
    つばさ Link Message Mute
    2014/12/20 2:56:14

    定例会議

    ツイッターのタグで、嫌いなもの一発で当てたら小説を献上ってのをやってみたところ、
    見事に当てられてしまったのでショートショートを献上w
    ミモレットとヴァシュロンのお話です。 #創作 #魔女 ##僕と村の魔女

    more...
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