★これまでのストーリー★
ナパットとエイデンは、ベドファイ、メルベルによる熱センサー探索を交わすべく、共にベットに入り獣人の特徴である耳と尻尾をエイデンの体で隠すことを考え付く。男性との触れ合いを経験したことのないナパットは、ベットに入った直後こそ緊張からパニックとなってしまうも、優しいエイデンの気遣いにより次第に落ち着きを取り戻していく。話していくうちに互いの趣味、人生観が似通っていることに親近感を抱きあう二人、、、そんな状況の中、室外の廊下から聞こえてくるメルベルたちの足音、はたしてナパットとエイデンは無事この局面を乗り切る事が出来るのであろうか?
★イラストの説明★
この章はかなり長くお話をつなぐ挿絵が無かったので、今回特別に上記のイラストをギャレリアのために描きたしました。かなりパパッと描いたイラストのでテキトー感満載なのですが、後半における大事な別れのシーンとなりまますので、その部分を是非お楽しみください。
★第5話 「運命に導かれて、、、」完結編 ダイジェスト版+小説文章の抜粋
メルベルたち武装警備員達の捜索をやり過ごそうとするエイデンは、ナパットに対してある断りをする。 「ナパット、、、体を前後に揺らすけど大丈夫?」 彼の言葉に”この場においてそんな気遣いはいらない”と話すナパット、、、メルベルたちが装着する、熱センサーに捉えられても不自然さが出ないように、それらしくベットの上で行為を模倣する事にする。
ドアのすぐ傍でメルベル達の気配がする中、激しく愛し合う男女を演じるナパットとエイデン、、、”ま、、まずいなぁ、、、なんだかあたし変な気分になってきちゃった、、、” 出来る限り気持ちを和らげようと努力するナパット、、、そんな最中彼と目線が合う彼女は不思議な体験をすることになる。
ナパットの心の中にエイデンの過去が次々と映し出され、その時の彼の感情までもが再生されていく、、、”あたしの中にエイデン記憶がダウンロードされている!”
驚きを隠せない彼女は更なる驚くべき現象を体感する、それは自身の心がまるで”デフラグ”(整えられていく)されていくような感覚、、、その意識の中で傷を負った左肩が、治って行くような印象を感じていた。
外ではメルベルたちの声が漏れ聞こえる、、、「この階も違う、、、もう一つ上に進むぞ」廊下を足早に戻り上層階に向かう集団、それと共にエイデンはナパットから体を放す。「よかった、、、全く気づいていないようだな」そう話しナパットに目を戻すエイデン、、、そこには顔を右手で覆い泣き出しそうになるナパットの姿があった。
行為の模倣が激しかったのかと感じるエイデンに対し、ナパットは違うとの心境語る。 「違うのぉ、、、悲しいわけじゃなくて、その、、、なんかよくわかんない事が心の中で起こって、、、あたしの方こそごめん、、、泣き虫じゃないんだけど、、、今はダメみたい」 ナパットは説明出来ない、エイデンとの不思議な心のリンクに驚くと共に、彼の感情が流れ込んだことから心をかき乱されていたのであった。
エイデンは彼女が可哀想になり、たまらずその体を手繰り寄せ強く抱きしめてあげる。しばらく泣くのを堪えていたナパットだったが、ついに我慢しきれずエイデンの腕の中で小さくすすり泣く、、、エイデンはそんな彼女の頭を優しく撫で、幾度も”良くがんばった”と励ましてあげる。ナパットはエイデンの優しさに心を落ち着けると、気持ちに余裕が生まれたのか出合ったとき同様彼の匂いを吸い込んでいく、、、
”彼の匂い、、、夢の少年に良く似たこの匂い、、、とっても不思議な気持ちにさせてくれる” 心の奥底に眠るおぼろげな記憶が、エイデンの匂いと共にほんの少し蘇る、、、。 ジワッとした言葉にできない感情が、彼女の心に広がった次の習慣ナパットの尻尾が逆立ち始める。
「シッポがぁ、、、シッポがぁ、、、破裂しそぉなのぉ~!」
ナパットの言葉に驚き、エイデンは彼女の尻尾を確認してみる、、、そうするとシーツのワキからシッポが飛び出し、ピクピクと小刻みに震え尾先の毛が逆立ち始める。
「ナパットまずい、、、早く引っこめて!」 その時テーブルに置かれた携帯スピーカーから、1階にいるベドファイの声が発せられる。 「メルベル!間違いないサーモで獣人の特徴を捉えた、、、6階の一番奥に奴らはいる。今すぐ向かうんだ!!」 7階奥にいたメルベル達は、全速力で元来た廊下を戻っていく。
エイデンはベットから飛び起き、素早くジーンズを着用するとライフル片手にドアに向かう、、、それに倣うナパットはベットのシーツを体に巻き、自身の愛用拳銃を手にすると机を引きずりエイデンの元まで駆け寄っていく、、、「ナパは窓ガラスから階下に逃げるんだ、、、ここは俺が防ぐ」 エイデンの鋭い指示にナパットは強く反論する。 「嫌よ、、、あたしのせいで見つかったのに、立場逆ならエイデンはその指示に従う?」 反対するエイデンに聞く耳を持たないナパット、、、そんな彼女にエイデンは共に敵を迎え撃とうと心に決める。
メルベルたちの接近を彼女の耳が捉えた直後鳴り響く銃声、、、その音はエイデン達の物でもメルベル達の物でもなかった。
ナパットとエイデンのいる部屋のワキに設置された非常階段から、6,7人の荒くれ男が廊下向こうのメルベル達目がけ激しい銃撃を開始していく。「あいつらは地元のマフィアだ、、、おそらく一階の様子を知って復習しにやってきたんだろう」 命知らずの攻撃を見せるマフィアの勢いは相当な物であり、6階の踊場にいたメルベル達をあっと言う間に上層階に追いやる。
ここでタイミングよく警察のサイレンの音まで聞こえてくる。慌てて窓際まで近寄るナパットとエイデン、、、窓の外には警察車両が10台以上見え、その中にはスワットの装甲車まで確認できる、、、一階入り口付近を目掛け警官とスワットが急行し、外で銃撃を行っているマフィアとの間で戦闘が開始された。
一階のベドファイと武装警備員は、フォースフィールドのバリアで身を守り、なんとか裏口のマフィアを倒す事に成功する、、、「メルベル、、、今すぐ撤退しろ。マフィアだけじゃない警察のスワットも到着している」 銃撃戦を続けるメルベルの無線に、ベドファイの緊迫した声が届く、、、
、、、「こっちは10分もあれば雑魚を倒して、半獣女たちを始末する事が出来る、、、作戦を続行する」メルベルの強引な言葉に、ベドファイが語気を強め今一度指示を繰り返す。「友人として頼んでる訳じゃない、上官の命令として言っている、、、二度も言わせるな!」ベドファイの迫力ある口調に舌打ちするメルベルは、武装警備員に撤退の指示を出す、、、7階から階下に煙幕と催涙弾をありったけ投げつけると、屋上の逃走経路に向け急いで向かう。
「ガーナー、、、乗ってきたバンを爆破し、お前と警備員も現場から即座に離脱しろ」ベドファイの指示に対し素早く従うガーナー、2台の大型バンが大きな爆発音を上げ炎上、、、その爆風の隙をついたガーナーたちは町の裏路地に姿を消す、、、ベドファイもホテル裏口より武装警備員と共に、現場を足早に離れていった。
「ナパット、、、今のうちに逃げるんだ!」 外ではマフィアの男たちとスワットによる戦いに移行し始める、、、混乱した現場は逃げ出すのに絶好のタイミングだと言えた。
エイデンが外の様子を伺っている間に、ナパットはズボンとパーカーを着用し、下着は荷物と共にバックの中に詰め込む。ナパットの準備が整うとエイデンは、ナパットの傍らまで近づき彼女に話しかける。 「危険は去った、俺の役目はここまで、、、お別れだ」 エイデンの言葉に一瞬たじろぐナパット、、、一緒に逃げる物と考えていた彼女は、即座に彼の言葉を理解する事ができない。急ぐエイデンはナパットに背を向け地面に膝をつく、、、「話のつじつまを合わせるため、俺の頭部を殴って気絶させてくれ」 その指示に対し、ナパットは今だ迷いの渦中にある、、、「残る、、、の?」 彼女の言葉にエイデンは、判断を促すかのような言葉を告げる。
「俺には俺の目的、、、君には君の目的がある。スワットがマフィアを制圧し現場を封鎖するまで10分ぐらいしかない、、、さぁ急ぐんだ」 エイデンの諭すような言葉に、ナパットは瞬時に冷静さを取り戻していく、、、破壊工作員であった自分の立場を思い起こした彼女は心の中で呟いた。 ”そうだよ、、、あたしと彼との関係はここまで、、、彼のためにもそれが一番” ナパットは手にする拳銃を彼の後頭部に振り下ろした。
エイデンの後頭部を強かに殴りつけるナパット、、、 ナパットは急いで靴を履き、周りをチェックすると、入り口ドアに手を掛け廊下に出ようとする、、、だがどういう訳か、ナパットはその動きを止めてしまった。何を思ったか半分程ドアを開いたままそれ以上動こうとはしない、、、彼女は床で倒れているエイデンを振り返り無言で見つめる。
しばらくして彼女はドアを静かに閉めると、ベットに歩みよりクッションとシーツを手にする、、、エイデンのそばまでやってくると、そのワキにペタッと座り込み、彼の頭にクッションを置き体にシーツをかけてあげた。
ジッとエイデンの顔を見つめるナパット、、、数分ののち、彼女は気を失う彼に独り言を話し始めた。 「可愛い寝顔してるね、、、やっぱ30代には見えないなぁ、、、」 ナパットはそう呟くと彼の鼻を指でつまんでみる。
「楽しかった、、、うん、、、凄い状況でいろいろびっくりしたけど、やっぱり楽しかったよ、、、」 ナパットは彼の傍から離れがたいとの想いを感じ始めていた。
訳も分らずひたすら彼の顔を見つめるナパット、彼女自身一刻も早くこの場から逃れなければならないことは十分承知している、、、それでも割り切る事のできない寂しさのような物が、彼女の心を縛り付けていたのだ。
ナパットは自身の迷いを打ち消すかのように、大きな深呼吸を行うと目を閉じ明るい声で話す。 「あたしってば何やってんだか、、、ワケわから~~~ん!孤独すぎて情緒不安定になったのかもぉ!」 スクッと立ち上がり再び部屋を出て行こうとする彼女、、、今一度振り返って床で気を失うエイデンに話しかける。 「人間、、、もし再開することがあったらその時また話そう、、、」 寂しげな言葉を残しナパットは部屋を出て行く、、、彼女の走っていく足音が廊下の壁に反響し、幾重にも重なり合っていた。
★以下小説全文を掲載★
壮絶な銃撃戦の現場となった”ホテルプッシーキャット”、、、しばらくし弾薬が尽きたマフィアが、警官に投降し戦闘は終結、、、上層階に上がってくる警官隊によりエイデンは発見され、タンカで運び出されていく、、、。
救急車両に乗せられる彼の姿を、1キロほど離れたビル屋上のナパットが見つめ、その様子を確かめていた。彼女は携帯食料を食べながら、双眼鏡で目にした状況を呟く、、、「間違いなく無事だね、、、それにしても不思議な人間だったなぁ~。あの奇妙な心のリンクは何だったんだろう?」 自身の左肩を見つめるナパット、傷は明かに痛みが少なく通常ではありえない回復ぶりを見せていた。彼女は傷を見ながら、今日起きた出来事を思い出し少しだけ感傷的な気分となる。
「、、、感情に振り回されちゃダメ、任務優先!、、、きっともう会わない人なんだから忘れなきゃね」 軽薄に話す彼女は携帯食料を食べ終わると、ズボンのポケットからエイデンにもらった痛み止めを取り出し、宙に放り投げパクンと口でキャッチする。
薬を取り出す際、何だかズボンのポケットに違和感を感じた彼女は、内部に直されたその紙らしき物を取り出してみる、、、ズボンのポケットに入っていたのはFBIの名刺であり、エイデン個人の携帯番号と、メールアドレスが記載された物であった。名刺を手にしたまま黙って見つめるナパット、、、注目する彼女は、そのまま名刺を大事そうに胸に押し付け、静かな声で呟く。 「これって連絡とってもいいって事だよね、、、」 次の瞬間喜びを爆発させた彼女が大声を出す!
「繋がってる、またあの人に会える!!」
手足を伸ばした彼女は、空に浮かぶ月に名刺を翳すと、満面の笑顔を浮かべ声を弾ませた。「ニャハハ~~~友達ゲットしちゃいましたよぉ!、、、やば~~~い、超やばぁ~~~い!!」しばらくの間彼女は有頂天ではしゃぎ続ける、、、はしゃぎ過ぎたナパットは、危うくビルから落ちてしまいそうになる。 「危ない、、、危ない、、、また馬鹿なことするとこだったよ」 体勢を整え冷静さを取り戻す彼女、、、そうするとある事柄が心によぎる。
”でも何時あたしのポケットに入れたんだろう? ” 直後赤面する彼女は思う、、、” まさか出て行く間際!?、、、彼、もしかして気絶してなかった、、、” そう考えると顔から火が出てしまいそうなほど恥ずかしくなるナパット、、、頭を抱える彼女は意味無くジタバタと暴れ混乱した胸中を表現する。 「たぶん違う、、、!きっと傷を治療してる時に入れたんだよ」 ナパットは短絡的にそう考え、今は湧き上がる思いのまま楽しい気分を満喫しようと考えを切り替える。
「今日はたくさんの出来事があった、、、大好きなケイトに再開したし、エイデンにも出会った」 拳を握る彼女は血気盛んに続けていく、、、「しっかりテークの奴らやっつけて、この世界も二人の事もバッチリ助けなきゃね!!」 明るく声を弾ませるナパット、、、彼女はこの世界で1人きりじゃないと思えるだけで、気持ちがスッと軽くなるのを感じ始めていた。
息を大きく吸い込むナパットは、湧き上がる感情のまま月夜にむけ一声嘶く、、、!「ウルルニャ~~~ン!」澄み渡る夜空に木霊するナパットの可愛らしい声、、、これから始まるテークオーバーとの戦いを前に彼女は、また新たな決意をその心に宿していくのであった。
★あとがき、、、★
第5話「運命に導かれて、、、」本編はこれにて終了ですが、第5話には「遺伝子」なる短編のエピローグが付属されています。これはエイデンとナパットの血液を採取し、研究所に戻ったベドファイのお話ですね。今後につながる大事なストーリーですので、近々こちらでも公開させていただきます。
もしよかっらそちらもご覧くださいね(*^▽^*)
★パンドゥラ スピンオフ ”ショートテール(仮)”の制作を進めています★
一部の方々はご存知かと思いますが、僕の運営していたブログに悪質な書き込みがたくさん行われるようになりましたので、現在別のブログを開設している最中なのですね。
次回は嫌な人たちにあまり知られたくないとの思惑から、ファン様で直の連絡を取っていない皆様には新しいブログのお知らせを行う事が出来ない状況であります(;^ω^)ほぼいちからのサイト運営となってしまうのですね。いろいろ考えた末、途中から元祖パンドゥラを載せるより、短編スピンオフ作品を掲載して初めてパンドゥラを知る皆様も楽しめる作風にしようと考えました。
そのための短編スピンオフが”ショートテール”となります。
★ストーリー★
お話は元祖パンドゥラの1年前のお話し、、、ナパちゃんがまだ獣人の世界にいる時の軍務時代にさかのぼります。彼女は猫まんま遊撃隊(ナパ命名)の隊長として破壊工作員をやっていたのですが、初めて自分の部隊に隊員を募る事に、、、。実はこのショートテール(仮)なる作品、ナパちゃんは準主役になるのですね。
こちらはパパッと書いた登場人物設定表!ナパちゃんの隣にいる獣人ポジットが本作の主人公(^^♪
ポジットは獣人族の中でも、とっても地位の低い補給部隊に所属する人物、、、不真面目であり運もツキからもまったく見放された人生を送る二等兵。そんなポジットとナパットはひょんなことから出会う事となるのですが、、、はてさてその出会いとはいったいどんなものなのか?
本作スピンオフは全4章からなるショートストーリー、、、現在ラストまで大まかに描き終えたところ、、、すべて完成してから新ブログにて公開しようと思います。もしよかっら楽しみにして頂けると大変うれしく思います。
※(新ブログはこちらでも公表いたします)
★人間居留地で人間に扮しているナパちゃん★
ナパちゃんは獣人族唯一の獣人と人間のハーフ、、、獣人に友達がいない彼女はしばしば人間居留地に遊びに来ることがあるのですが、そこでポジットと対面します。
その出会いの場面、、、実は最悪な状況で出くわす羽目に。不真面目なポジットと彼女の絡みは既にたくさんのファン様より期待されている部分("´∀`)bグッ!しっかり面白い作品にしていきたいと思っています。
★ヤンキーポジット★
同族の獣人からも嫌われているポジット、、、ポジット自身はそんな獣人社会も、獣人が保護している人間社会にも背を向けている存在。素行の悪い彼が同じく嫌われ者であるナパットと出会って、どのように変化していくのか?その部分こそ本作の見どころの一つですね。