~08年アカ鷲と市鷲市ログ白昼堂々、キスをしよう<アカ鷲>それはとある昼間の一幕
『う、あ・・・・っ』
もっと早くに気づくべきだった!!
それは麻雀でもこの小僧に、
いやでも思い知らされている事だ
だが
この厳重に警備してるわしの屋敷に忍び込むなんて、どうやったら出来るものなのか!?
書斎の外でわしが所用をまで警備をしているであろう、吉岡たちは夢にも思ってないだろう
そして何故お前はわしの居場所がいつも分かるんだ!
赤木しげる!!!
「ん・・ふっ!う、ぁ・・・・」
何を企んで居るのか
昼間だというのにこの莫迦はしつこく口づけてくる
認めたくないが赤木しげるのこの手の行動から、今現在抜け出せた試しは一度きりしかない
昔軍事学校で鍛えた腕があるというのに、忌々しい老いがそれを遮っている!!!
おのれ!これだから若い奴らは嫌いなんだ!!
そしていい加減にわしの咥内ないでやらしく舌を動かすのを止めんか!!
莫迦者・・・ッッ!!!
「うっ・・ン・・・・はっあ!」
「・・・随分大人しくなったな、鷲巣」
そうして悪鬼は笑った
やっと解放されたかと思えば、酸素を殺される程に奪われわしはよろめく
皮肉にもその酸素を奪った張本人に体を預ける羽目となった
息を整えたいのに揃わぬもどかしさが余計に苦しい
苦しさをぶつける為に、奴の青いシャツを思い切り指をかけて掴んでやった
そうしてる間、勝手に赤木の手がわしの髪に差し込こまれる
「可愛いもんだな」
「っ・・!く、来るたび来る度わしをコケにするなッ!!」
顔を上げるとそこにはまだ悪魔の企み笑いが張り付いている
「あんまり騒ぐとまたよろけるぞ」
「年寄り扱いするなッッ!!」
そして、その言葉を利用して鷲巣様がしげるに食べられてしまったワケで。
080511
(title/吐 瀉 物)
サディストの恍惚<アカ鷲>
この舌の根はいつだって
鋭利な言葉しか奏でない
言い方を変えるなら
素直じゃないと言えるだろうが、生憎俺は丁寧な言い方は好きじゃない
はっきり言えば、反抗期の爺を相手に回りくどいことをするから
そいつを慕う部下たちは、いつもあんな風に殴られるのだろう
青痣を作ることは別に恐れることじゃない
奴にとって恐いのは、自分の反抗因子が許可無く
或いは全てを平然として近づいてくることなんだ
自分の心の領域に踏み込まれるとコイツはとても弱るのだ
「気は済んだか?鷲巣」
序列を守っていたはずの本は所々抜けていて、俺の足元に幾つかあった
ご自慢の杖すら、今や俺の後ろで大人しくしている
当然ながら投げられた物は一つも俺に当たらなかった
こんなにも広い書斎が今は鷲巣にとって狭く映っているだろう
顔にそれらが物語られていた
「お、お前をこの屋敷に呼んだ覚えは無いッッ!!」
「呼ばれなくても来たかったら来るさ」
「こ、のォ・・・身勝手にも程があるぞ貴様ぁッ!!!!」
老体は早くも息が上がっている
当然だ。これだけ喚くのは野鳥だって無理だろう
何をそんなに危惧したいんだか俺には分からない
といっても、軍人であった点からすると声が出てれば落ち着くのか
最後のよりどころが声ってことか
そうか
だからコイツの防衛本能を俺は黙らせたいと思うのか
なら拠り所すら無くしてやるよ。
ふいに口の隅がつり上がると、
その防衛本能も極限に達してきたらしい
近づいてくれば尚の事酷くなるもんだ
「さっさと帰らんか・・・このっ!!!」
「鷲巣、知っているか?」
本当に恐怖した人間は、押し黙るものなんだ
そうして部屋の閑静が再び訪れる
老体の言葉は全部この鋭利な舌で切って飲み干し、
言葉を無くした奴は最後の砦すら崩された
20080605
*鷲巣様を崩壊させるの大好きしげる。
籠での愛憎劇
今日は人生最悪の日に違いあるまい
閉じこめられた
窓も出口も一切ないこの部屋にな
皮肉な事にこの部屋を発案し作らせたのは他でもないわし自身であり、
こんな事態に陥るなどと予想外だった
桐によってモルタルを板挟みしたこの特殊なドアはびくともせん
おまけに、
「ふざけるのも大概にせい!アカギ!!さっさとここから出さんかッッ」
「態度ってものがあるだろ?鷲巣」
またあの人の皮を被った悪の根源だ
こやつが悪自体じゃなければ何と一体いう?!
いっそ悪と呼ぶのすら生ぬるい!
現にこの部屋の鍵を奪って閉じ込めたのは他ならぬ奴じゃ!
恐らく今、このドアの前に立ってわしを嘲笑ってるに決まってる!!!
腸がいつもに増して煮えくり返りそうだ!
「人を散々愚弄しおってそれかっ!!この人でなしめがッ!!!」
「そうか。じゃ、せいぜい声張り上げてればいい」
頼りの白服たちが来る事を願って、な
最後に喉でククっと悪魔の笑みが聞こえてきた
わしはそれに愕然とする
何故ならこの部屋を奴らが知ってるはずないのだ
設計にミスがあり、だからわしは奴らには教えたこともなく、見せたこともましてや無い
地下の隠し部屋からの声は地上に届く訳ないのは明白だ
そして奴はわしへもっとも最悪にして最低の事をする
「じゃ、俺はここを出よう」
そうして石の階段を淡々と上がり行く男が
耳をあてがっていた先から聞こえる
最後に名を出せる最大音量で、蔑みと共に発してやった
「あらら・・・」
耳に煩く残った断末魔から数時間
俺は戻って部屋を開けてみたんだが疲れた子供のように鷲巣は眠っていた
余程あのあとも馬鹿みたいに弱くなった手で叩き続けていたのだろう、小指の側面に血がにじみ始め凝固していた
よくもそこまで頑張るものだ
いくらお前が呼んでも
来るのは俺しかいないのにな
「代償は手当てにしてやる」
退屈だったから、閉じ込めてみた
それだけだ
俺が思うよりもずっとこれは娯楽になっていて良かった
その意図をこうして寝顔に無意味に告げてやる
いい加減、こいつのお付き共が必死に捜索してるのには俺もいい迷惑だ
『薬箱、か・・・・一体どこにあるんだか』
一寸先の面倒と一緒に小さく軽いその体を抱える
すり寄ってくるだけならなんとも大人しく楽なものだと考え
冷えた階段をゆっくりと上がって行った
20080609
*ロックの日に因んで。
神秘の獣が夢を見て
微睡みから目覚めればそこは一面の白い世界で
そこにはわしと見たこともない美しい獣だけが居た
昔見たホワイトタイガーにもシベリア狼にも似ていたが、それよりも牙は長く獰猛そうに見えた
蒼く深い色の目はまるで宝石のように存在が煌びやかで
銀糸を纏う姿に酷く心奪われた
存在が神秘に違いないとわしは確信する
そうして歩み寄って行くが、獣は唸る様子もなく尚且つ、わしの事をじっと見て反らそうとしない
そんな所が益々気に入り少しだけ足を早めた
獣の背に触れる
なんと手触りのよい事だろう!!
思わずすり寄って、ここ最近味わえない優越感と至福を感じた
獣は不思議そうにこちらを見つめている
「ああ・・すまん。お前がつい美しくてな」
言葉など分かる訳ないのに掛けてみたが、どうやらそうでも無かったらしい
気を良くしたのか獣自身が頭を擦り付けて撫でろと言わんばかりの態度を示して来た
「ん?なんじゃ・・・お前、わしが好きか?」
そう聞いたが獣は答えず、すり寄ってくるのみ
目に広がる光景に心が和むのが分かり、
その場に片足をついて獣の目線に合わせれば案の定、顔を舐めてきた
「こら、そんなに舐めるな。わしは食い物じゃないぞ」
今度は真意を汲み取ったのか大人しく止め、またこちらにじっと目を向けてくる
勿論その目に向き合い、その額を撫でてやった
「お前のような獣を今まで知らんかったとは・・・わしは勿体無い事をしたものだ」
ふとまた睡魔がうつらうつらとやって来たようだ
体を柔らかな獣の腹に預ければ流石に利口なだけあって理解したらしく、同じ様に寝る体勢を見せた
「本当に利口な奴だの・・・」
未だにその毛並みを撫でながらも、意識は確実に眠りへと誘われている
気づけば視界の横でわしと一緒にその眠りに行こうとしているのか
獣も宝石を閉じてすっかり大人しくなっていた
「なんじゃ、人より先にずるい奴だ・・・」
そう言いながらゆっくりと瞼を閉ざし、意識を手放した
次に目覚めたのは部屋の一室でだった
そこにはもうあの獣は居ない
何とも残念に思えた
変わりに窓の縁にはあの獣に程遠く従順さ無い獣のような男が座り、一人寝ていた。
『こいつは獣というよりはケダモノと言った方が良いに決まっとる』
そんな皮肉を思いながら、ケダモノが目覚めない事を願い部屋を後にする
が、
鍵が掛かってるという事態に
どこまでも悪の塊でしかこやつは無いと思う
待て
部屋の鍵はいつわしから盗った?
20080613
*構想元→ハ/ツ/コ/イ/娼/女
たまにはこんな事も<アカ鷲>
アカギの奴が相当酔って人の屋敷にやって来た
「この酔っ払いがぁっ!そんな状態で此処へやって来るなっっ!!」
「俺は酔ってないぞ、鷲巣」
じゃあこのあからさまに漂ってくる安い酒の匂いはなんだ
それにだ、常に素面な貴様がこうベタベタしながらわしを抱えるのは有り得ない事じゃないか
しかも本はそのまま読んでろじゃろと?
貴様が邪魔くさくてそれどころじゃないわっっ!!!
大体酔うならもっと顔にはっきりと出さんかっっ!!
「!こらっ、人の髪にすり寄るなっっ!!こンの莫迦がっ!!!」
「風呂にはもう入ったのか」
「今何時だと思っとる?!そんなの済ませてあるに決まってるじゃないかっっ!!」
やはり今のアカギは通常じゃあない
只でさえも非常識な奴なのにこれ以上非常識なろうと勝手だが、わしに構ってくるのは迷惑だっっ!!!
腰をよじって、奴の手腕から逃げようと試みるが
とんだ馬鹿力で押さえつけられているらしい
腰に痛みをもたらしかけて仕方なく諦め、奴の手を叩く事にした
「さっさと離せっ!そして帰れっ!!」
「いやだ。帰らせたいなら自力で追い出してみろ」
「キィィイッッ!!!貴様が酔って言う尚更と質が悪いわっっ!!!!」
ガキらしい事を言う奴に違和感があれど内容は最悪だとしか言えん!!
叩くのだけじゃ飽き足りなく足も弁慶の泣き所を狙うようにして動かしてやった
「暴れるな。誰も取って喰おうなんてしてないだろ?」
「煩いっ!酔っ払いに絡まれるのはまっぴら御免だっっ!!」
「意識はある。酔ってない」
「戯けめっ!酔っ払いは皆そう言う!!!」
会話に終わりが見えない上に、いたちごっこさせられてるのに苛立つ
せめて杖を身近に置いとけば良かったと後悔した
そうすればこんなアカギなんぞ一発叩いて伸してやったものを!!!
そう思ってると、いきなり更に深く腰を引き寄せられて今度はなんだと言いたくなった
「~っ!!アカギッッ!貴様いい加減にっ、」
「鷲巣、好きだ」
「・・・はぁ?」
「すきだ」
思わず手足の動きが止まる
酔っ払ってる奴というのは大概何を言い出すかし出すか分からないが、
麻雀でも日常においても予測不可能な奴がし出すことは余計解らん
そう、今コイツは猛烈に酔っとる
それは解ってる
解ってるが、
顔にその事を出してないせいでなんだか妙な雰囲気になってるのは確かだ
これは顔を合わせるべきではなかったんじゃないのか?
「止せ。酔っ払い」
「すきだ」
「・・・・・・・・・」
「なぁ、鷲巣」
顔が赤いぜ?と、
奴が言う前に顔を逸らしてやった
なんでわしがこんな目に遭わなければならんっっ!!?
こんな奴に好きだのなんだの言われたぐらいで照れねばならんのだっっ!!
「き、貴様それ以上何か言うとっっ、」
「好きだ」
「うあぁッ!?莫迦っ!!言うのを止めんかっっ!!!」
耳元で囁くように言ってくるのに耐えきれなくなって奴の口を手で塞ぐが、あっけなく取り下げられた上に腰と纏めて動けなくさせられてしまう
「俺を好きだって言ったら離してやる」
「なんだと・・・っっ!!」
「言えないならこのままだ」
ぞっとするような声でまた耳元に言ってくる
そのせいで鳥肌が駆け巡った
念の為、横目で奴をそっと確認してみれば・・・
麻雀勝負で見た時のような、あれくらい真剣な面で人をじっと見つめていた
酔っ払ってるくせに!!
そんな真面目ったらしい面をしてわしを見るなっ!!!
そんな事言えと言われるくらいならいつもの様に捻くった嫌がらせを受けてた方がまだいい!
いいに決まってるっっ!!!
くそ・・・っ!!
なんで、わしがこんなっっ!!!!
「・・・くっ!」
「それが言えないなら別の選択肢もある」
「ほぅ・・・どんな選択肢だ?」
「 【 ※ 全 面 発 禁 用 語 の 選 択 説 明 中 ※ 】 」
「絶ッッッ対やらんっ!!!!そんな外道と変態がやるような事なんか死んでもするかッッ!!!」
なんて事言い出すんだっ!!!
誰がそんな屈辱的な事を好き好んでやるっ?!!!
そんな事するぐらいなら貴様にす・・・きだとかなんだとか言ってやろうじゃないか!!!
ああこれもかなり屈辱的には変わりないに違いないがな!
「なぁ」
「分かったから貴様はもう黙れ!」
「・・・・・」
絶対にもうこんな事言ってやるものか
そう誓って深呼吸を一つしてから口を開く
「す・・・・・・・・・き、だっ。ほれ!言ったからさっさと離」
振り返ってみると奴は瞼を閉じきっていた
次の瞬間には規則正しい寝息が聞こえてくる始末
わしが怒号したのは言うまでも無い
「おい、奴に酒を盛りたくった奴を探し出して2000cc採血して来いっっ!!」
『『遠回しに殺して来いと?!!(ざわ・・・っ)』』
吉岡、鈴木は朝から狼狽える羽目となった。
20080627
*全てにおいてギャグのつもりです。^^
因みに飲みに連れて行った犯人はやっさんとなんごーさん。そして偶然居合わせて焚き付けたのは市川さんだと思います。
一つだけのルート<アカ鷲>
嫌がりはするが、泣きはしない
さて
どうしたらコイツは泣くのだろう?
粗方の鷲巣が激昂するようなことはして来たが
この老体は絶対に泣きはしない
その強情さを俺は気に入っていたりするが、
強情も度を過ぎれば思い通りに行かないようで詰まらない
きっとこんな事を言ったら、あのプライドの高さだ
また怒り出すには違いないだろう
でも俺はそんなの求めてやしない
「・・・・」
最近はこうして書斎に居ても黙っていれば文句を言わなくなった
少し前までは文句をゴチャゴチャと言っていたあの鷲巣が、だ
老いても人の進歩というのは在るらしい
書斎でコイツが何をしてるのかといえば、優雅に洋書を見ているらしく
深い緑色の装丁された本、その背表紙には英字が書かれていた
流石に本を読んでいる時は大人しい
だが時折コチラの様子が気になるのかチラチラ見てくるのは黙認してた
一体何がしたいんだか
そして俺はわざとタイミングを合わせて、目線をぶつけると
鷲巣は酷く驚いてうろたえた
「な!な・・・っ!!!」
「鷲巣。言いたい事があるなら俺はいつでも聞くぞ??」
上質の椅子から向き合う
机の向こうで慌てるその姿が楽しくて仕方ない
まるで俺が取って喰ってしまおうかとしているとでも考えているのか
今はまだ、そんなつもりは無いけどな
「お、お前気づいておってやったなっっ!!今のはッ!!」
「何がだ??」
「とぼけるなっ!!」
「・・俺は認めてもいいが、それは同時にお前も認めざる終えなくなるけどいいのか??」
俺を盗み見ていたなんて、認められるワケが無い
やはり予想通りで、その事に気づいた鷲巣は唇を噛み締めて言葉を言おうとしなくなる
悔しさで身体も若干震えていた
本当にコイツは強情と言う名の強がりだと思う
さっさと弱さを握り潰させないのも俺としては愉しい限りだけど、
もうそれだけじゃ詰まらない
「く・・・っ!」
「まぁ・・お前を手っ取り早く泣かす方法は、知ってるんだけどな・・・」
「??な、なんの話じゃ・・それは???」
お前は自分の身を案じていればそれでいい
そう言って突き放すとまたお得意の喚きたてが始まった
こいつを泣かすのは手立ては、今のところ一つしかないのが丁度いいのかもしれない
目の前の自覚の無い老体には大人しくしてもらう為に席を立つとしようか
そうしてたった一つの手立てが今から始まる
20080613
*私はしげるをなんだと(ry
お前なんか大嫌い!<アカ鷲>X
「あ゛っ!ば・・っ、し、仕事をさせろっっ!!」
「したけりゃやればイイ。俺もしたいことはする」
今
もしこの姿を、部屋へ来た配下の見世物にされようものなら屈辱的で仕方ない
わしは机に顔を突っ伏し、指先には力が篭った
無制限に積もる書類は期限一ヶ月前に処理する
それがわしのやり方で、日付ごとに区分けしてあるそれらを見ている時に
赤木しげるはやってきた
だから言ったのだ
「今日は貴様に構ってやる暇なんぞ無いからな」、と
そう言ってから奴が取った行動は、人が少し席を立ったのを見計らってそこに座る事だった
当然わしは憤慨したが、奴は涼しい顔で一言も言ってこない
それに尚更腹が立ったたち意地になった
奴の座ってる上から座って仕事を続けてやろうと考えが至る
どうせ、その内足が痺れて退くだろうと内心笑ってたやってたのに
『なのに何故こうなる・・ッッ!!?』
突っ伏したのも束の間、身体を起こされる
自分の肌と異なるその手が服の下から這っては意図的に触ってくる
耳の軟骨を弱く噛まれたかと思えば、舌がしつこく舐めてくる
既に体の内部には奴のいきり立った物を宛がわれて、わしは苦しくなっていた
「っあ、う・・っ!ぅ、はっ・・ン・・・っ」
「仕事はしないのか?鷲巣」
そう言って来る耳元の声が本当に悪魔のようだ
そして背筋の耐え切れないざわめきが悪化する要因に違いない
情けない事に目尻には涙が溜まってきてしまう
息が荒くなるのも止められない
「う、る・・さ、あっ!んァ・・・っっ!!」
「クク・・俺に構ってる暇なかったんじゃないのか?」
すごく構って欲しそうなのにな、アンタ
憎らしく告げられて認めたくない羞恥が燃えて、
受け入れている部位が奴を勝手に締め付けてしまう
顔の熱さがじわりと広がっていくようで
瞬間、それを見計らったようにして
腰を押さえつけられ、意識をそちらに流された
「ぃ!ア!!ひ・・っ、ばっ、かぁ・・・!!!」
「ホントのことを、言ったまでだ」
「き、さま、なんかぁ・・・き、らぃ・・だっっ・・あ!!」
容赦なく身体を貫かれる中で、唯一の皮肉を言ってやる
人の身体を労わらんかとか
全部お前の思い通りに動きはしないんだとか
そんな沢山の意味合いを込めて言ってやった
本当に、わしは、お前が大嫌いなんだ
「ああ。知ってる」
聞こえた声は笑みを含んだ言い様だったが、それは確認できず
奴は人の涙を舐め取って行った
腰を固定する手を剥がそうとそれまで抵抗していた手は、もう限界で
机へとまた突っ伏す羽目になる
「なぁ、声抑えないと部下たちに聞こえるぜ?」
「ふっ、う・・はっ・・・・ンっ、お・・いっ」
「なんだ」
それはお前が動くのを大人しくすればいい、と
そう言ってしまえば良かったが
この状況でその言葉が自分を追い込むような気がして思い留まる
悩んだ末に、わしは言葉を選んだ
「・・・向き、を・・変えろっっ」
「向き?」
「貴様が口で塞いどけっ!!この体勢では苦しいだろうがっっ!!!」
言いたくなかったが、そう言わざる終えない
大体こうなったのは全てお前のせいなんだから責任を取らんか!!
わしにこう言う権利は絶対ある!
人がそうこう考えている内に、入り込んでいる熱量がズルズルと
出て行く寸前まで引き抜かれ身震いした
「ン!!う・・・ァ!」
「なぁ、言い忘れてたが・・俺もアンタの事嫌いだぜ?」
「ふっ、はっ・・ぅ、そ、そんなの・・知っとる・・・っ!」
「じゃ、さっさとその煩い口塞ぐとしよう・・・」
そうして互いに向き合った形になって、奴の首に腕を回した
この時になって気づいたんだが
明らかにさっきまでの質量が内部で増してる事を言おうとしたが
もうその声すら奴の口の中へと呑まれてしまった
その後、鷲巣が寝室で寝そべっている傍ら
アカギが書類へ判子を押してる姿を鈴木と他数名が目撃している
明日は台風どころじゃない!何かが起きるッ・・・!と、危惧した者も少なくない
(CV:古●徹)
20080718
*なんかイチャイチャになりました。
感じまくる鷲巣様とか、お互い嫌いとか言う二人が書きたくて。
殺意的恋模様<アカ鷲>@
今なら確実だ
簡単なことだ
コイツは抵抗しない
死にたがりは抵抗をしない
自分が死ぬのをそれまでと思っているからだ
だから、今
こうしてわしがその青白い首を絞めても何も言わない訳だ
人に圧し掛かられ尚、平然とわしを見ている
お前はいつだってわしに畏怖しない
怯えない
だから
気に食わない
「・・・」
「・・どうした?」
首を絞める位、簡単だろ?
そう言葉が続いてきた
窓の外で木々が揺らめくのが床に反映されて分かる
でもそのざわめきは一切わしの耳には届かない
今はこの男を殺したいその衝動だけに全神経を費やしていたから
指の力がまだ弱いのは知っていた
知っていながら、未だ強めることが出来なかった
「――・・・何もしないなら俺はしたいようにする」
ただ殺されるのも、つまらないだろ
言い切って少し崩された表情は、よく見せる悪意的な笑みで
大人しくしていた片腕がわしの頭を無理に引き寄せてきた
一気に近づく顔にどう反応していいか分からず固まっていると、
更にもう一度頭を引き寄せられた
唇は完全に塞がれる
「っっ・・・!」
何を考えているかなんて理解しようとするだけ無駄だ
それを分かってるから
指の力が一つ
また一つと強まり、その喉仏を潰そうとする
だが指の力に比例するが如く奴が人の口内を荒らすのは酷くなる一方で
舌の動きが人を篭絡させようとする度
緩まない腕の力に殺意の火力が酷くなる
殺す・・・っ
死んでしまえ・・・っっ
「ン・・っ!ふ、ぅ・・・っ」
指に力を込めたいのに意識をそこへ集中させないとばかりの口付けは、不必要な音をつけ始める
苦しさの限界まで追い詰められると、その一瞬にひと息を吸えた
正確には吸わされたような気がした
認めたくないがそんな風に感じ取ったのは事実で、
その証拠にまた逃がそうとせず口付けが続行される
『まずい、』
それは本能的に察しがついた
離れたいと思った身体はすぐさま喉元から手を離し、後退しようとする
ところがそれを見計らったように頭を三度目の圧力が襲う
更に今まで互いの綯い交ぜになった温い唾液が、一気にわしの口の中へと流れ込んだ
「?!ンんーーっっ!!!ん、ぅ、けほっっ!!う、はっ・・ぅ、あ」
「・・殺すつもりが、殺されかけそうだな。鷲巣」
後退し、後頭部を押さえつける手から放たれた時にはもう飲まされた後だ
口元から流れ落ちる残骸を拭っている間に、アカギは上半身を起こしてしまっていた
お陰で胡坐を掻いている奴の上にわしが跨っているという奇妙な体勢で、更に降りかかってくる人を莫迦にするような言葉に
わしはいい加減怒鳴りたくなった
「く・・っ!!殺されてもいいなら大人しくしとかんかっっ!」
「残念だが、俺はただ殺されてやるとは一言も言ってない」
「しかもわしにあんなもの飲ませおってっっ!!!」
「我慢が出来なかったのはお前だ」
ああ言えばこういうの典型的な輩だコイツは!!と、心底思う
やはり気に食わない
認められない
わしに畏怖しない人間など居てはならない
だから殺したい
そうすればわしはこの生涯初めて手にする事が出来るものがあると、信じて疑わないのだ
その念を込めて睨んでやるが、受け流す風涼しく
奴は顔色一つも変える事はない
するといつの間にか人を抱えるように、あの圧力を掛けてきた腕が人の身体を囲っている事に気づく
「殺しに来たんだ。殺される覚悟もあるんだろ?」
さっきと同じだ。死なない程度にしてやる
わしの喉元に手も掛けず、まるで人を死に至らしめる囁きにわしは畏怖してならない
分かってはいるのに冷たくそれは背を撫ぜる
離れたくとも今しがたの出来事でどうやってこの囲いから出られようか
殺したい
でも、生きていたい
それを知ってて奴は言ってるに違いなかった
20080807
*生きたがりと死にたがり。
殺されそうなのにキスとか好きです。^^
嗚呼、無常。僕は貴方に横恋慕。<赤鷲前提吉→鷲>※『たまには~』の続き
酔ったアカギの目は未だに覚めず、
鷲巣様の機嫌は宜しくなかった
私は鷲巣様とアカギの間に何がその晩あったかは知らない
だが、零れ落ちてる話を拾い集めるとどうも相当酔ってこの屋敷に辿り着き
それで鷲巣様の機嫌が良くないというのなら、酔ったアカギに絡まれたと考えるのが普通だろう
あの鬼神染みた麻雀をする男が酔って潰れて此処へ来るとは想像も出来ないが。
でも鷲巣様が言うのだ
酔って来たのは間違いないのだろう
こんな事になるのなら、私が屋敷の入り口を警備担当ならば良かったとも思った
そうすれば追い返していただろう
「奴は起きたか?」
「いえ、それがまだ目覚めて無いようで・・・」
「・・これ以上起きない時は叩き起こして構わん」
仕事を粗方終えた頃、一時間前に出したティーカップの紅茶は綺麗になくなっていた
トレーに乗せて片づけをしてる最中に出てきた言葉に
執務中もアカギが気がかりだったのだろうかと思う
出すぎた事だろうとは知ってても、言葉は直ぐに出てきた
「鷲巣様、」
椅子の上で伸びをし終え、再び先程のように座した時
こちらにその目が向く
「なんだ?」
「アカギと何かありましたか・・・??」
杖で殴られる事を承知の上で直球に聞いてみたところ、
反応は予想外にそうじゃなく。
ピクリと眉が不機嫌そうに動き、目は俯き加減と
いつもの鷲巣様らしくない機嫌の変化だった
「・・・どうしてそう思う?」
ああ。やっぱり、
この方がこの方らしくない様子は
アカギと接してから見えるものだと思う
鷲巣様は特に動揺した感じもなく、私の言葉を受け止めているようだ
ならばこちらも聞きたい事を聞いてしまうまでだ
「失礼ながら、いつもとご様子が大分違っていましたので」
「そうか・・態度に出てたか」
「はい」
俯き加減の目線が横に逸れる
何かを考えるように鷲巣様はひと時沈黙をし、
私はその口から再び言葉が出るのを待つ
出ない時は、私がまた聞くまでの事
そう思っていたところに沈黙は破られた
「酔った勢いとは言え、柄にも無い事をアイツがわしに言ってきただけだ。それだけだ」
それが忌々しくわしについて回ってるから悪い
言葉を言い切り、ため息が後付をされて終わる
聞いてしまいたかった
何を言ったのかと、
どうしてそこまで食いつくと言われても聞いてしまいたかった
だがまるでそれを拒まれるように「さっさとその一式を下げて来い」と告げられ
それ以上の詮索は出来なくなってしまう
何を奴は言ったのだろう?
もしも自分にもその言葉が言えたのなら、
貴方は今のようにそのことだけを考えてくれるだろうか?
知りたい
でも、それ以上はこの状況下で望めなくて
「分かりました」
言葉は選らばず
トレーを持ち、その場からすみやかに立ち去る
カップの中に在るティースプーンがカチャカチャと音を立てた
そうしてドアまであと数歩という所で、後ろから名前が聞こえてくる
「吉岡」
静かに振り返れば、依然と本調子の無い表情が目に映る
いや、違う
そうじゃない
あの顔は
「・・はい」
「今・・言ったことは無かったことにしとけ」
認めたくないのでしょう
その言葉がそんな風に受け止められてしまう
私だって貴方が奴の事を考えてるとは認めたくないんです
申し訳ありません。鷲巣様。
口先ばかりで、
「鷲巣様がそうおっしゃるのでしたら」
嗚呼、無常。
僕は貴方に横恋慕。
扉の向こうへと出た時、
廊下へ出た時の広さと暗がりが心地よく映る
20080728
*吉岡にはかなり申し訳ない。orz
(title/吐 瀉 物)
籠の外でも愛憎劇<アカ鷲>※『籠での~』続編
薄暗く、薄暗いその空間の奥で
がしゃん・・・と金属の閉ざされる音が
静かに
静かに、響いた
「はっ!!今度は貴様が閉じ込められる番じゃな!アカギ!!!」
そう、随分前に屈辱的に閉じ込められた地下の部屋
外部との一切接続されぬその部屋に閉じ込められてしまえば
例え赤木しげると言えど脱出は不可能に等しい
今回ばかりは奴の負け
まんまと部屋に入ったお前が悪いのだアカギ!!
わしがあの時、どれほど屈辱的で耐え難い仕打ちを受けたか
身を持って体感するがいい!!!
「ふーん・・・楽しそうだな、鷲巣」
「当たり前だ!!貴様がこれからみっともなくわしに命乞いするのかと思うと楽しくて仕方ないわい!」
唯一残された無縁の空間から抜けるその方法
その入り口の鍵を支配しているのは言うまでも無く外部にいるわしただ一人だ
出たければ命乞いをする
それは今決めた事じゃなく、その部屋にアカギが入ってから用意されていたシナリオなのだ
わしを閉じ込めた時にお前もそう思っていたのだろう?!
そんな考えを簡単に許して堪るかっっ
ああ思い出して苛々するわっ!!!
「・・一つ聞くけど、」
「あ゛ー!!?何だっっ!!」
「それはお前はこの屋敷の中に俺を置くって事だな?」
何を今更聞く?
不信感はわずかばかり感じたが、あまりにも質問に足らぬような事を言うものだ
この扉の向こうに立っているだろうその姿を思い描いて睨みつけた
「それがどうした!!!?」
「つまりお前はやっぱり俺に怯えてるってことだな」
「・・ふん、ほざけ。そんな安い挑発にわしは乗ってやらんぞ」
どうせここからお前は出たい一心なのは明白であり、
だから下らぬ挑発をわしにしかけるのだ
違うか!!?
大体わしが貴様に怯えるなんてことはだな、
「俺は別に出ようなんて思わない」
「・・・はぁあ!!?」
「そう思う前にきっとお前は俺を出しに来る」
何故なら、自分の真下に得体の知れない者が居るっていうのに耐えられなくなるからな
付け加えられた言葉はしばらく経ってからわしの耳に届いた
なんだ、この、傲慢なガキは
自分にわしが耐え切れなくなるだと・・・!!?
ふざけるな!!それではまるでわしが本当に臆病者ではないかっっ!!!?
奥歯を噛み締める動機には十分成り得た
「冗談じゃないわっっ!!お前なんか怖がるわしじゃない!!!」
「なら、鷲巣。言い切れるか?」
「なんじゃ!!?」
「俺が、ここから、絶対的に出られないと」
区切られた言葉は「よく考えろ」とでも言わんばかりの意味を唱える
腹立たしいことこの上ない
しかし、だ
こいつのこの言い方に、勝負中の表情が過ぎる
勝負中のコイツの表情こそが得体の知れない気迫がある
「それに・・・」
たっぷり間を空かせてから何をまた言い出すのか
苛立ちが一層強まった
扉を殴りつけてさっさと言えといってしまいたい位だった
「お前は俺が不用意に消えると調子が出ないらしいからな・・」
・・・
あ゛ぁ?
コイツ、今
なん・・・・?????
怒鳴ろうとしていたわしの姿勢が一気に崩れる
崩れるというより、力が抜けたの方が正しいじゃろ
というか何を莫迦な話を・・、
「吉岡さんに言われたよ。俺が行き先も言わず姿消すとお前、大分らしくなく元気ないって」
「な・・ななななな、な・・・・っっ!!!!?」
「だから行き先言ってから出てってくれって言われたけど・・鷲巣、実際どうなんだ?」
それが嫌で俺をここに置きたいのか?
嫌でも分かる!!!
今自分の顔が情けない程に火達磨の如く、熱を帯びてる事!
それと奴は今絶っっっっ対この扉の向こうで笑ってる!!
この二つだ!!!!!
寂しくない!断じて寂しがってなんかいるもんか!!!!
このわしが!!
しかもなんでこんな悪魔のような男を閉じ込めてこの屋敷なんぞに置きたい!!!?
もう扉を開けることに迷いは無かった
勢い良く錠に鍵を挿して投げ捨てた
その勢いのまま扉を開けばやはり直ぐ傍に立っていたのはわしの勘違いなどではなかった!
ええぇぇえい!人の事を見下すように見るのはやめろっっ!!!
「クク・・どうした?えらい慌ててるな」
「わ、わしは貴様なんかにこの屋敷にいて欲しくなんかないわいっ!!」
「そう。で、結局さっきの質問はどうなってるんだ?」
「それは吉岡の見間違いだ!!わしは寂しがってなんかいな・・・っっ」
この時、だ
扉の向こうにあった赤木しげるのあの笑みが現実となった瞬間
体毛が逆立ったような感覚を覚えた
本能的に「危険」が分かる
「なぁ?俺は『元気がないのか』って聞いただけだ。鷲巣、『寂しい』っていうのはどこから出てきた言葉だ・・・??」
そういえばわしが此処に閉じ込められた際、
どんな叫びも地上に聞こえなかった事をこの時ほど後悔した時は無い・・・
「給料40%カットじゃっっ!!!あと2ヶ月はわしの警備から外すっっ!!!」
この件の後、しばらく鷲巣様は吉岡に口を聞いてくれず
吉岡といえば鈴木に2ヶ月間、居酒屋通って慰めて貰ってたそうです
それからアカギが嫌がらせのように行き先を伝えてから鷲巣邸を出てく姿があるというのは、定かではない
20080825
*とりあえずパッと浮かんだ内容がコレでした。
地下室で何があったかはご自由に☆
そして嫁ぎ文でした!!!^^
言わないふたり<アカ鷲>
最近、どうも自分の様子が変なのだ
屋敷に不法侵入するアカギに対しての憤慨はいつもとさして変わらない
誰がこの敷地に足を運んで良いと許可した、と
一言上げれば憎らしい返答がその口から返ってくる訳だ
分かっていても許し難く勘にも障る他ならない
そうして人の言う事を無視し、奴は部屋へ入ってくるのだ
ここまでわしには何ら変化は無い
だが、
「鷲巣、」
気安く呼ばれる名前に慣れるつもりは無い
奴の声が低く響きを持って聞こえて来るのも変わらない
ただ、
目を合わせると大概の雰囲気で察しがつくようになってしまっただけで・・・
読んでいた本から目を離し、声する方を向いてやれば不必要なまでにアカギは近づいていた
「・・・本を読ませろ。お前なんぞに構いたくない」
「すぐに済ませて、また熟読してればいい」
「・・・」
本来、ここで黙ったりなどしてはいけないのだ
なのに口は閉口する
断ればいいものを
そうしないのは、
「・・大人しくていいな」
人の髪に一度触れ、耳元でそれは音を立てる
アカギがわしが黙ったことを勝手に黙認したとでも思ったのだろう
屈み込み、その顔がゆっくりとわしに近づいて来る
最近、どうも自分の様子が変なのだ・・・
煙草臭いのを好んだことなど一度も無い
それでも、
この口付けられる行為が堪らなくわしを捕らえて離さない
当然わしに口付けるなんて事をしてくるのはコイツだけ
つまりアカギとのこの行為が、と
限定されてしまうワケだ
「・・・っ」
本の上で強く手に力を込めた
当然じゃろ・・・
これは本来、屈辱的なことなのだから
自分の様子を悟られまいと必死なのだ
「そんなに力要ることじゃあないだろ・・?鷲巣」
「さ・・さっさとするならしろっ!顔だけ近づいて鬱陶しいッ」
「そう?俺はいい眺めだけど、」
その赤く熟れた表情とか
最後に付け加えられた一言に抗議を口したかったが、その前に塞がれる
不意打ちもいいタイミングでされて頭の中が混乱する
違う!こんな気持ちでこうしたかったんじゃない!
気持ちよく落ち着いてするつもりだったのにっっ
「ぅ・・・は、っ」
本が膝から滑り落ち、ドサリと音が聞こえたがそんなの今はどうでもいい
頭の一部がじんと熱を持つ
身震いが微かにしてしまう
髪を遊ぶ指の気配に一々身体が反応して強張ってしまった
交じる舌が忙しない
この感覚が、嫌いではない
それでも苦しくなるのは嫌いじゃ
気持ちよくしたいのだ
この口付けを
そう思いながら奴の服に手をかけようと僅かに動いた時だった
「?!ンっ・・・ふ、ぁ・・はッ」
「・・・本に集中したかったんだろ?」
好きなだけ本が読めるな
そう言って突き放すように口付けてくるのを止め、奴の顔に張り付いてたのは悪どい笑みだった
行き場の無い手をぎゅと握りしめる
最悪だ!!!!
「わざとじゃろ今のは!!」
「何の話だ?」
「とぼけるなッッ!!」
人がせっかく・・・・ッッ!
「気持ちよさそうな顔してたけど・・本を見てたかったんだろう」
そう言いながら人の髪に触れること三度目。
わしは顔に血が集まるのを感じ取った
奴の目がこちらを見つめて動こうとしない
「き、貴様の思い違いだ!そんなのっっ!!」
「じゃあ・・もう一度したいって俺が言ったらお前はどうするんだ?」
鷲巣、
鼻先を突き合わせるようにして、付け加え人の名前を奴は呼んだ
・・・馬鹿者
そうやって真っ直ぐ人を見てくるな
悪魔のような事しかどうせ考えてなくて、そうやって言ってる癖に
なんでこんな奴とのこんな事が、と
考えたら最早キリがない!!
そんなの
「お前の、好きにすればいいじゃろ・・っ」
こう言ってやった後、伏せていた目をチラリとと上げると
滅多に変化しないアカギの表情が驚いたように目を丸くしてるのが見えた
つられてわしも驚きそうになったが、すぐに元に戻り
『キスがもっとしたいって、素直に言うと思ったのに』
などと涼しい顔で抜かすものだから暫く素手で叩いてやった
やはりこんな奴とする口付けなんてろくでも無いことばかりだ!!!
『でもまぁ・・今のは今のでいいけど』
鷲巣の知らないところでアカギは大分機嫌が良く・・。
勿論、彼はこのあと鷲巣の言葉を鵜呑みして好き放題するのでした。
20080911
*キスが好きな鷲巣のお話でした。
このサイトの赤鷲キス率は異常。^^
そして嫁ぎ文!
花は愛される1~3
連れられてきたのは見知らぬ場所
やたら木々が多いには田舎だからに違いあるまい
「仕事が片付いたなら連れて行きたいところがある」
ことの数十分前のアカギの言葉がコレだった
残念なことに最後の書類に印鑑を押したのもこの時だった
当然わしは何処へ連れて行くつもりじゃ。と、聞いたが奴はそれを明かさなかった
断りも出来たのだが、既に車がいつでも出れるような状態になっていたのは予想外の出来事だ
はっきりせん事は嫌いだというのに。
代わりと言ってはおかしいかも知れぬが鈴木には行き先を話していたらしく、
アカギとわしを乗せて運転する奴の方向は淀みなく進んでいて
それは迷ったわけでもなく行くべき方向を知っていたからなのだろう
車内で疑わしげに様子を窺って居たのが知れたのか、
わしと目も合わさずにアカギは「着けば分かるさ・・」と一言呟いた
不安要素はあちらこちらにこの時もまだ存在していた
屋敷からも市街からもそれほど遠くへは出ていないというのに、見える景色の移ろいは驚くほどあった
なんじゃこの田舎臭い道は
家どころか本当に木々ばかりじゃないか
何故こんなところにこのわしが・・・!
「ここでいいよ、鈴木さん」
「・・・分かった」
そうして車が静かに止まる
やはり着いた場所も先程の車窓から見た景色と大差などなかった
「鷲巣、降りるぞ。少しだけ歩く」
「あ゛ぁ!?此処が目的地じゃないのかっ・・・!?」
「まさか・・・。道が細いから車じゃ入れねぇんだよ」
とりあえず降りろよ。
いつも通りにわしに対しての口の聞き方無礼極まりなく指示などする
おのれ人を誰だと思ってっ・・・!!!と、そう喉まで来た言葉は
「降りれないのか?」と言われた上に差し出された手に消される
それも奴は明らかに楽しげに笑ってるときて、顔に一瞬にして火がついた
「ふざけるなっ!!一人で降りれるわっっ!!!」
嫌味も込めて反対側のドアから勢いよく出て、勢いよく閉めてやった
「それだけ元気なら歩いても平気そうだな」そう言って笑う様は悪魔以外のなんだと言うんじゃ!!
睨んで罵ってやろうとした時に今度は鈴木だ
アカギに向かって「此処で待っていればいいのか?」と、聞いてくる始末だ
短く返事を返すとそれを鈴木が了承したらしくアカギはわしの方へと来る
「行くぞ」
今度は手を差し出すことも無く奴は進んで行く