また独りに……義勇視点
最近、善逸が学園に来ない。
善逸の義兄も来ていない。
多分、義兄に何かある。
それにしても、今日は一段と暑いな。
善逸「あ、義勇さ、ん」
義勇「……善逸?」
そこにいるのは善逸。
久しぶりだな。
でも、今日はこんなにも暑いというのに、長袖のパーカーを着ている。
……何故だ?
顔には絆創膏、首には包帯。
何かあったんじゃ……
義勇「ぜんい___」
(ドサッ)
……?
………善逸……?
熱中症か?たしかに、あのパーカー着てれば、こうなるよな。
少し善逸のパーカーの袖をまくる。
義勇「……!?」
腕には数え切れないほどの傷があった。
タバコの跡や痣、どこかしら一つは骨折しているだろう……
俺はそれを見て一気に寒気がした。
暑いはずなのに、季節が一瞬で変わったような気がした。
……また俺は、善逸を守れなかったのか……?
……胡蝶に相談だ。
俺はすぐ様胡蝶の所へと走った。
ーーー
視点切り替え→善逸視点
ん、ん〜……
はっ!?
あれ、俺、何して……
炭治郎、伊之助「「善逸!!」」
善逸「炭治郎……?伊之助……?」
伊之助「よかった…死ぬかと思ったじゃねーかよ!お前!」
炭治郎「まだ傷が完治してないから無理に動くんじゃないぞ?」
二人とも安心していた。
音がそう言ってる。
そっか……俺、学園で倒れてたんだ……
何だろ、前にもこんなことあった気が……
___何人かで、俺を囲って……
___鬼に傷をつけられて………
____鬼?
炭治郎「善逸?」
善逸「あ、いや、何でもない。ちょっとぼーっとしちゃって……」
ガラリと個室のドアが開く。
炭治郎が名前を呼んでなかったら、俺はだれか気づかなかった。
炭治郎「冨岡先生!!」
義勇「……善逸……」
善逸「あ、れ?ぎ、義勇さん……」
(ピチッ)
額に何かを当てられた。
……デコピン……?
少し痛いけど、手加減してくれてる感じがする。
ハッと気付くと隣に義勇さんがいた。
義勇「……馬鹿」
善逸「えっ……?」
義勇「何で言わなかった。言わなかったお陰でまた善逸を失うとこだったぞ」
善逸「……あ、の、ごめんなさい……」
義勇「また善逸がいなくなったら……また俺は……」
ギュッと俺の手首を掴み、義勇さんは自分の近くに俺の手を持っていった。
義勇「……独りに、なるとこだった……」
今にも泣き出しそうな声。
頬に涙が流れていたのは、見なかったことにした。