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    第一章:英雄の復活① イグナイト編竜剣士ラスターPについての妄想を綴った小説です。
    次回、竜剣士物語②マジェスペクター編。
    ++++++++++
    ☆遊戯王OCGモンスターのカードストーリー及び世界観に関する二次創作です。
     ※遊戯王カードの対戦描写はありません
    ☆第零章「英雄の命日」に組み込んだ二次創作設定を一部流用しているため、第零章を飛ばして当作品から読み始めると一部理解不能な描写に出くわすおそれがあります。
    ☆登場人物が試練に立ち向かい成長する物語であるため、劇中で登場人物が不幸な目に遭いますが、原作(遊戯王OCG)やそのキャラクターに対する誹謗中傷の意図は微塵もありません。「一言一句ハッピーな展開の物語」や逆に「憂さ晴らしもしくは作者・読者の欲望を満たすため思う存分登場人物へ暴力を振るう・思いつく限りの絶望を味わわせ救いのないバッドエンドを導く物語」、「現代日本から転移・転生したオタクが俺TUEEE無双して原作アニメ・マンガキャラにざまあする物語」をお求めの方は開く作品を間違えていますのでブラウザバックをお願いいたします。
    ☆原作(遊戯王OCG)の「竜魔王」及び「アモルファージ」カードにおいて、公式に遺伝子組み換え及び感染に関連する特殊能力が登場するため、原作に倣い遺伝子組み換え及び感染に関連する特殊能力の描写があります。
    ☆竜剣士、竜魔王、イグナイト、アモルファージ及び一部のジェムナイトモンスターに関する独自の解釈を含みます。
    ☆読者が前述のテーマのカードを知っている前提で書いているため、登場人物の外見に関する描写は一部省略されています。
    ++++++++++
     ジェムナイト・ファントムルーツのカードイラストが竜剣士ラスターPと似ていることから竜剣士=ジェムナイト・クリスタの生まれ変わり説を前提として話が進みます※当作品中ではデュエルターミナル世界から転生したジェムナイト・クリスタがジェムナイト・ファントムルーツの姿または竜剣士に憑依した状態で登場します。
     加えて、竜剣士と竜魔王のOCG上でのシナジーから両者は実は敵対していないものとして作劇しています。
     なお、竜剣士マスターPのフレーバーテキストから、竜剣士は記憶喪失後に自らの種族を人間と誤認している描写があります。
     以上を踏まえて当作品をお楽しみください。
    Language: Japanese version only (there is no English version).
    **Do NOT translate my novels. **
    **Do NOT execute machine translations on my novels. Machine translations such as Google, DeepL, etc. are NOT wise enough to translate my Japanese sentences into western languages. **
    「おい、……! 大変だ、人が倒れてる!」
    「これは、竜の……? だとしたら。」
    「ああ、間違いねえ。こいつも……の餌食になっちまったんだ。」
     何やら周囲が騒がしい。目を開けようにも、やたらと瞼が重い。閉ざされた視界が瞼から透ける血潮の赤に色づいていることから、辛うじて明るい場所にいることはわかる。それにどこからか青臭い匂いがして、人が往来する度くしゃくしゃと音が聞こえる。そうこうしているうちに、指一本すらまともに動かせぬほど衰弱したらしいわたしは担架へ乗せられどこかへ運ばれていく。人々の会話から、きっと安全で信頼できる所へ向かっているのだと確信したわたしは、体に重くのしかかる疲労に身を任せて再び眠りに就いた。

       英雄の復活

    「おっ、目が覚めたんだな! おはよう!」
     ベッドに横たわるわたしの顔を覗き込み、赤い装甲を纏う青年が気さくに声をかけてきた。狭く簡素ながら絵画や観葉植物のある洒落た部屋で目を覚ましたわたしの視界に、ベッド脇のスタンドに吊るされた輸液とそこから伸びる管が飛び込んだ。眠りが浅くなってきた頃左腕を襲いだした違和感の正体はこれだったのか。そんなことよりも、挨拶を返さねば。
    「……あ、……ぐ。」
     懸命に声を絞り出すも、喉はいまいち言うことを聞いてくれない。そこでわたしはようやく自覚した――喉が嗄れて、言葉どころか吐息もまともに出せない。最後に発声したのは、いつだったか。
    「喉、だいぶやられてんな。大丈夫かー?」
    「大丈夫なわけが無いだろう。ライオット、病人にちょっかいを掛けるな。」
    「体調を確認してただけだっつーの。」
     水差しとコップを載せた盆を持って金色の装甲の青年が部屋にやって来ると、〈ライオット〉と呼びかけられた赤い鎧の青年が振り返り反論した。金色の鎧の青年はそれを聞き流し、サイドテーブルに盆を置いてベッド脇のスツールに腰掛けると、コップに水を注ぎわたしに差し出した。
    「お初にお目にかかる。俺はイグナイト・マグナム、こっちはイグナイト・ライオットだ。俺たちは昨日、近場の草原で倒れていた君を発見し保護した。突然のことで混乱しているだろうが、君に危害を加えるつもりは無い。安心して療養に専念してくれ。」
     どうやら、あの時わたしを助けてくれたのは彼らだったようだ。わたしは首肯を返して水を飲んだ。喉に沁み入る水の冷たさが心地良い。
    「なあなあ、そういやさー。」
    「ライオット!」
    「ただの確認だっつの。あー、おまえさ、そのままの体勢で寝て疲れねえか?」
     心底不思議そうに首をかしげるわたしを見て、ライオットは大袈裟なジェスチャーをして尋ねる。
    「いや、背中にでかい羽と尻尾があると上向いて寝るの大変そうだと思ってさ。」
     ライオットに言及されて初めて、わたしは寒色の翼と尻尾の存在に気づいた。マットレスが程良く柔らかいためか、仰向けでも上体を起こしていても特段違和感はなかったのだ。何故こんな物が生えているのかは定かではないが、試しに少し念じてみるとイメージ通りに動いた。不思議と、そこまで重さは感じない。
     わたしが首を横に振ると、ライオットは腕組みをして満足そうに頷く。
    「ん、ならいいんだ。ケガにしろビョーキにしろ、治すにはぐっすり眠れるってのが重要だからな!」
    「では、俺たちはこれで。何かあったら引き出しの中の端末に用件を入力して送信してくれ。」
     二人がベッドから離れ部屋から立ち去ろうとした矢先、また新たに誰かが室内へやって来た。銅の装甲を纏った紳士は、二人を視界に捉えるなりライオットへ銃剣を向けて言った。
    「これライオット、隊長からの呼び出しを無視して何を遊んでおる。」
    「いっけねえ、忘れてた。って、遊びじゃなくて看病っスよドラグノフパイセン。」
    「いやアンタは無駄話してただけでろくに看病できてなかっただろ。」
    「ちょ、マグナム! あっ、じゃあおれは隊長んとこ行ってくるんで!」
     いたずらが露見した子供のようにそそくさと走り去るライオットを尻目に、紳士は仮面をしていてもわかるくらい大袈裟にため息を吐いて銃剣を下ろす。
    「ところでマグナム、例の件の調査に人手を取られていてな。幾つか雑用を頼まれてはくれんか。」
    「了解した。……どうしたドラグノフ。」
     ドラグノフは、わたしと目が合うとわなわなと震えだした。
    「き、キミ! 人間なのかドラゴンなのかハッキリせんか!」
    「無茶を言うな。彼は恐らく〈アモルファージ〉の被害者なのだと伝えただろう。」
    「む、そうだったな。済まない二人とも。近頃はどうにも半端なモノが気になってしまってな。」
    「いい加減にしてくれよまったく。ああ、騒がしくして悪かった。それじゃ。」
     そう言ってマグナムはドラグノフを連れて退室した。
     なるほど。〈アモルファージ〉とやらのせいで、わたしは自力で動けないほどに衰弱したうえ翼や尻尾が生えたのか。しかし、いつの間にそんなものに遭ったのだろう。怪我のせいか、どうにも記憶が曖昧だ。無理に思い出そうとするのも疲れるだけだし、もう一眠りするとしよう。

    「あの顔、どこかで見たような気がするが……。」
     食料庫の備蓄を確認しながらマグナムが記憶を辿っていると、とある人物に行き着いた。彼の顔も、体格も、あの男と瓜二つだ、と思い至り青年の顔から血の気が引いていく。青年は自らの脳内に浮かんだ恐ろしい考えを振り払うように頭を振った。
    「きっと、あれはただの他人の空似だ。」
    「つくづく遠回りで面倒なことするな、アンタは。」
     石造りの城内を窓ガラス越しに月明かりが照らす中、竜と同化した鷲が玉座に向かって吐き捨てる。玉座の主は眉間に皺を寄せて答えた。
    「黙れ、オレは明確な構想ヴィジョンに基づいて行動しているんだ。実験動物ごときにケチをつけられるいわれはない。」
    「なあ、あの金髪はアンタの敵なんだろ? 首飾りなんかつけてやる暇があったら、その場で息の根止めてやりゃあ良かったんじゃないの。せっかくアイツが気を失って無防備に転がって……。」
    「ヒュペル。」
    「あー、ハイハイ。わかりましたよ〈魔王様〉。ったく、高貴な方の考えってのはオイラにゃわかんねえや。」
     ぶつくさ言いながらも、魔王の威圧的な声に圧倒された鷲は疑問を飲み込み謁見の間から飛び去った。魔王は眉間に皺を寄せたまま月明かりの差す方を見上げる。今宵の月は、一際強く輝いている。
    「この世界を真竜皇の脅威から救うことができるのはお前だけだ。オレたちの、希望の光――Lusterラスター。」

    「落し物?」
    「ああ。君の鎧と似た装飾だし、他の誰かが落としたものとは考えにくい。」
    「そうか、ありがとう。」
     一夜明けて、わたしの様子を見に来たマグナムから装飾のついた白い仮面を受け取った。しまっておこうと思いサイドテーブルの引き出しに手をかけた瞬間、彼に制止される。
    「その仮面は、恐らく魔除けの類じゃないか? ほら、魔除けと称してアクセサリーを身につける文化は世界各地に存在しているし、それに君が倒れてたのもその仮面が外れていたせいで何か災厄に見舞われたってことかもしれないだろう。」
    「きみが呪いだとかを大真面目に信じるタイプとは、つくづく人は見かけによらないな。それとも、わたしの顔はそれほど醜いのかな?」
    「いや、そういう訳じゃ……ともかく、できるだけ他人に素顔を見せない方がいい。何というか、ある種の誤解を招きかねない風貌なんだよ君は。」
    「はあ。」
    「それにしても、たった一晩でここまで回復するとは驚いた。とは言え無理は禁物だ。もうしばらくは大人しく休むことだ。」
    「ああ。そうさせてもらうよ。」
     わたしが仮面をつけるのと同時に足音は遠ざかり、しばらくして扉が閉まる。それにしても、〈ある種の誤解を招きかねない風貌〉とは何だ。わたしの顔が醜いと悪口を言おうとしていたのならばもっとハッキリ言えばいいだろうに、なんてマグナムの言動に対して頭を悩ませていると、新たに橙色の装甲を纏う隊員が書類を挟んだボードと革袋を携えやって来た。
    「お初にお目にかかる、僕は副長のアヴェンジャーだ。よろしく。」
    「ああ、どうも。」
    「マグナムに聞いた通り、順調に回復しているみたいだな。そこで、幾つか君に確認したいことがあるのだが、よろしいかな?」
    「ええ、丁度退屈していたところです。」
     イグナイトの副長・アヴェンジャーはスツールに腰掛け、成人男性の親指大の金属板をサイドテーブルに置く。同じ文字列が刻まれた銀色の金属板二枚に細い鎖が通されている。金属板には「竜剣士ラスターPペンデュラム」という文字と、竜の頭を模した幾何学模様が刻まれている。
    「〈ラスターP〉、それがわたしの名前……ですか?」
    「君が身につけていた認識票ドッグタグによれば、ね。職種ジョブは〈竜剣士〉だそうだが、耳慣れない名称だな。竜騎士のことだろうか。」
    「さあ?」
    「しかし一切の記憶を失うとは、あの病原体はそれほど厄介なようだね。」
     ばたんっ。
     アヴェンジャーとの対談中唐突に病室の扉が勢い良く開け放たれ、ライオットが扉の陰からひょっこり顔を出しややふざけ気味に軽く敬礼して見せた。
    「よお、金髪! 元気か?」
    「ライオット、この時間は僕が彼に面談すると言っておいたはずだが。」
    「まーまー、いいじゃないすか副長。おれもこの人に興味ありますし。別に聞かれちゃいけない話でもないっすよね? ね?」
    「おい、相手は病み上がりなんだ。あまり負担をかけるんじゃ……」
    「へー、おまえラスターっていうのか! よろしくな、ラスター! お、その仮面カッケーな!」
     アヴェンジャーの注意を気にも留めず、ライオットはボードを覗き込み会話に割り込んできた。ライオットのそんな様子にアヴェンジャーは額を手で押さえ俯いた。ややあって何かを思い出したように顔を上げ、アヴェンジャーはわたしに訊ねた。
    「仮面か、そういえばここに搬送された時はつけていなかったよね。仮面をつけている理由を聞いてもいいかい?」
    「はい。大した理由ではないのですが、その……マグナムはどうもわたしの顔が気に入らないらしくて、極力仮面をつけて過ごせとのことで。」
     わたしの返答に、二人が顔を見合わせて苦笑いしている。
    「えー、ラスターの顔って結構イケメンな方だと思うけどなー。もしやマグナムのやつ、嫉妬してんのかな。」
    「ともかく、君も我々の指示に疑問があれば反論してくれても構わないぞ。理不尽な命令に大人しく従う義理はないさ。」
    「はは、お気遣い感謝します。」
     ふと目を上げると、奇妙な鳥が窓辺に止まりこちらを眺めているのが目に入った。どちらかと言えば「鳥を生やした緑色の二足歩行の竜」と言った方が近いだろうか、竜の右肩に当たる部位から白い毛に覆われた、胴体に灰色の翼を持つ中型の鳥が右足を伸ばしている。わたしと目が合ったことに気づいたのか、奇妙な鳥はすぐさまどこかへ飛び去っていく。窓の外に意識を奪われていたところ、ライオットが窓の方へ向き直って不思議そうに外を見始めた。
    「ん? どした? 何かいたか?」
    「いや、何でもない。」
    「そっか。ならいいんだ。」
    「さて、彼も疲れているようだし我々はそろそろお暇しようか。」
    「そっすね。またな、ラスター。」
    「へえ、アナタが例の生存者ってワケ。アタシはデリンジャー、副長の次に偉いのよ! 覚えときなさい!」
     わたしの体調がすっかり回復して早数日。過去の記憶も帰る場所もないわたしはしばらくの間イグナイトに仮入隊することとなった。問題は教育担当に名乗り出た隊員。彼女は実に灰汁の強い人物のようだ。桃色の装甲に身を包んだくノ一、イグナイト・デリンジャー。戦闘能力の高さはピカイチではあるもののプライドもその分高くややワガママと聞いていたが、どうやらライオットたちの情報は正しかったらしい。
    「ハイ、アナタサマカラ教エヲ乞ウコトガデキ誠ニ恐悦至極デゴザイマスデリンジャーサマ。」
    「あら、記憶喪失でも礼儀はわきまえてるみたいね。上出来よ! ふふ、アタシが美人だからってそんなに緊張しなくていいのよラスターくん・・・・・・?」
     イグナイトの隊員たちは皆仮面をつけているのだから美醜などわかるわけないだろうに何を言っているんだこの人は。しかし、マグナムの忠告を守っておいて正解だった。今、わたしの顔は確実にひきつっている。素顔のままで今日を迎えていたらデリンジャーの逆鱗に触れていたに違いないのだから。
     そんなわたしの本心を知らずに、デリンジャーはわたしを先導して廊下を進みながら上機嫌で説明を始めた。
    「まずここの設備についてだけど清掃業者を雇ってるから、ほらアナタも病室で時々会ったでしょ、隊員自ら掃除することはあまりないわね。でも倉庫とか資料室とか重要な物がしまってある場所は清掃業者を入れるわけにもいかないし自分たちで掃除するの。まずはそういうトコをきれいにしてもらおうかしら! アモルファージとかいうのが出てくるようになってからみんな忙しくなっちゃって全然掃除できてないのよねー。それから……。」
    「ラスター殿。」
     説明の最中、デリンジャーの二歩後ろ(わたしの左隣)に控えている彼女の従者――というよりは保護者か――である、黒地に水色のアクセントが入った鎧の忍者・ウージーが隙を見計らって耳打ちしてきた。
    此度こたびは姫のままに付き合わせてしまい面目ない。姫は我らイグナイトの中では後進ゆえ『先輩』という立場に著しい憧れを抱いているのでそうろう。」
    「いえ、こちらとしても熱心にご指導いただける分にはありがたいですし。」
    「とはいえ姫の自信過剰ゆえの発言、例えば『副長の次に偉い』だとかは聞き流してくれるとありがたいでござる。」
    「ふふ、了解です。」

    「じゃ、これをゴミ置き場に持って行ったらお昼にしましょ。」
     そう言ってデリンジャーが資料室の引き戸を開けた途端、館内に警報が鳴り響く。彼女は予期せぬ事態に一瞬固まり、その後軽く戸の枠を叩いて酷く落胆のこもった声で呟く。
    「ごめん、お昼は延期だわ。本っ当にあんの忌々しいキメラ生物め……。そうだ、アナタ一応剣士だったのよね。一緒に現場へ来てくれる?」
    「はい!」

     アモルファージの出現場所に到着した頃には、既に激しい戦闘が始まっていた。前線でライオットたちが各々爆撃や近接戦闘でアモルファージと思しき半竜のキメラ生物(巨大化したハエのついた黒い竜に、白地にこげ茶色の毛で覆われたハリネズミと同化した橙色の竜、そしてあの日見た奇妙な鳥)に対抗している後方で、隊長のスティンガー、副長のアヴェンジャー、前線指揮官のキャリバー、参謀のマスケットがウージーと話し合っている。
    「陣形・戦術ともに承知した。では隊長、副長、ここは拙者たちに任せ救護に専念してくだされ。お二人は替えが利きませぬ・・・・・・・・ゆえ。」
    「……?」
     ウージーの言った「替えが利かない」とはどういう意味か測りかねてわたしは立ち止まったが、すぐさま彼がわたしたちに駆け寄り作戦を伝えたため、わたしは考えるのをやめて戦闘に参加した。

     アモルファージを無事撃退してイグナイトたちが戦闘で切り倒された街路樹の処分や道路の仮舗装に奔走する中、デリンジャーはわたしの隣でぽつりぽつりと語り出した。
    「あいつらね、ペンデュラムだから何度殺しても生き返って襲いに来るの。増殖するGのがよっぽどマシだわ。」
    「ペンデュラム?」
    「この世界の生き物の中には、ここ何年かで〈死んでも条件を満たすと何度でも生き返る〉能力を手にした種族がいるの。そいつらは〈ペンデュラム〉と名付けられたんだけど、実はアタシたちイグナイトにもペンデュラムが割といるの。ま、あんなザコどもに殺されたことは無いんだけど、実はアタシも何回か戦場で命を落としててその度に復活させられたクチなのよね。」
     何とも不思議で実感の湧かない話だ。しかしそれが本当ならば、あの時ウージーが発した「替えが利かない」という言葉の真意は……と口元を手で覆い考え込むわたしの様子を見て、デリンジャーがわたしの正面に立って続けた。
    「記憶を無くしたアナタからすれば、おとぎ話にしか聞こえないかしらね。でも、事実なの。心臓に意識を集中させてみて。これが、ペンデュラムの証。」
     デリンジャーの胸元で赤と青のひし形に挟まれた算用数字の二が淡い光を発しながら宙に浮かび、時折くるくると翻った。彼女に言われた通りに念じて見るとわたしの目の前には同様に赤と青のひし形に挟まれた算用数字の五が浮かび、反転しつつ輝いた。それらは数回瞬いた後すっと消え失せた。彼女はわたしの隣に戻って言った。
    「実際、ペンデュラムじゃない――一度死んだら人生が終わる――人たちからは気味悪がられているわ。でも、死んでも終わらないからこそアタシたちは迷うことなく何度だって我が身を盾に民間人を守ってきたし、これからも守っていく。ってなワケで、内心気味悪がられていようと不死身体質を理由に差別されたりしないのよ。そうやって普通の、人生が一度きりの人たちの平和に貢献することが、〈不死身〉っていうチートじみた力を授かったアタシたちの生存戦略、そして責任なのよ。」
     彼女は単にプライドが高いわけではなく、彼女なりの矜持きょうじがあるようだ。初対面の印象とは対照的に凛々しく気高さを漂わせる彼女の心意気に感心していると、彼女は手を一拍叩いて声を張り上げた。
    「さてと、無事敵をやっつけたってことで反省会よ!」
     デリンジャーはそう言って腿に差していたナイフを手にとって、戦闘の後処理を終え談笑しているイグナイトたちへ向き直る。すると彼女は前線で最も広範囲を動き回っていた戦士・イーグルに向かってナイフを一本投擲して怒鳴る。
    「まずはイーグル! もう少し考えてから行動しろって言ってんでしょ! 何度言わせるつもり? 今回なんて危うく民間人が斬られた街路樹の下敷きになるところだったじゃない‼」
    「ギャアッ!」
     背にナイフが刺さったイーグルが短く悲鳴をあげて倒れると、デリンジャーはすぐさま標的を変え投擲と説教を続けた。彼女の隣で戸惑いながら「反省会」を眺めているわたしのもとに、戦闘の後処理から戻ってきたウージーとライオットがやって来た。
    「いやはや、お見苦しいところをお見せして申し訳ないでござる。」
    「ああ、いえ。」
    「ハハハ。ラスター、おまえも気を付けろよ? 下手なことすっと姫様の鉄槌が……。」
    「ライオット、アナタもよ! いい加減自分の武器の射程範囲くらい覚えなさい!」
    「ぐえっ。」
     すっかり油断しきっているライオットへも容赦なく彼女の「鉄槌」が下され、ナイフが甲高い金属音をあげて勢い良くライオットの仮面にぶつかった。仲がいいのか悪いのかよくわからない組織だ、とわたしは困惑した。
     宵闇に融ける漆黒の鎧を纏う、竜の翼と尾を持つ男――この石造りの城の主――は杖を携え腕組みしつつ、ステンドグラスに縁取られた窓ガラスの向こうを見つめる。満月が燦然と輝き夜の大地を照らす中、男は城に歩み寄る人影を視界に捉えた。男と同様、竜の翼と尾を生やしている人影を。程なくして城内に靴音が響き渡り、侵入者の気配が男の背後へ近づく。靴音が止まるのと同時に、男は振り向き口を開いた。
    「やあ、勇者サマ。いや、こう呼ぶべきかな。〈ジェムナイト・・・・・・クリスタ・・・・〉。」
     城主と対峙する剣士の仮面の目元が空色に光る。一呼吸置いて、剣士は低く威厳のある声で城主へたずねる。
    「ベクター、あれがキミのやり方か。」
    「やれやれ、相変わらずせっかちだなアンタは。結論だけじゃ会話は成り立たないぜ?」
    「私はキミと無駄話をしに来たわけではない。」
     月光を反射し白く輝く鎧に身を包んだ、城主と同じ体格に同じ翼と尾を持つ客人は自身の苛立ちを隠そうともせず城主へ噛みつく。そんな客人の様子を気にも留めず、城主は窓際から一歩、また一歩と部屋の中央、客人の正面へと歩を進める。
    「はっ、釣れないねえクリスタ先輩・・・・・・。数年振りの再会だってのに。」
    「……何故、ティエラの残滓ざんし――真竜皇の再臨を予期していながらこのような茶番を繰り広げている。」
     この城の主・竜魔王ベクターPは、敵意を剝き出しにし続けるクリスタ――若き勇者・竜剣士ラスターPに憑依した古き英雄の魂――の言動に、やれやれと大袈裟にため息を吐いた。竜魔王の様子に憤慨したクリスタは、一層大きな声でまくし立てる。
    「今すぐにでもあのようなふざけた真似はやめてキミはと協力すべきだろう! それなのにキミはを助けようともせず、あまつさえ敵対しようなどと……。」
    「あいつと敵対するのも、全ては真竜皇を倒すのに必要な工程プロセスだ。」
    「ベクター!」
    「『時には現実的な視点や常識を捨てなければならない場面もある』……そうオレに教えてくれたのはアンタだぜ、先輩?」
    「……キミには少々躾が必要なようだな!」
     剣士は地面を蹴りつけ、城主との距離を一気に詰める。城主は杖で剣を受け流しつつ剣士の背後を取ったが、剣士はすかさず身を翻し応戦する。剣と杖がぶつかり合い甲高い音を立てる中、城主は剣士に吐き捨てる。
    「『急がば回れ』、『急いては事を仕損じる』。アンタ、最短距離が必ずしも最適解ではないってのもわかんないほど耄碌もうろくしちまったのかよ?」
    「黙れ! 私は、かつて真竜皇と相対したことで、死すれどもよみがえる〈ペンデュラム〉などという〈呪い〉をキミたちに負わせてしまったのを悔いているんだ。真竜皇の力を抑え込む代償に、死者を冒瀆ぼうとくする歪んだ輪廻りんねを甦らせてしまったのを!」
     二人の武器が一際大きな音を立ててぶつかり合った。剣士の連撃を、城主は険しい顔で払いのける。剣士は再び言葉を紡ぐ。
    「あの日私は悟った。奴は次元を超えた際、最早私一人の手には負えないほどに強大な力を得たのだと。だから、私はキミたちを依代ではなく私の後を継ぐ勇者とすべく望みを託した。それなのにキミは道を踏み外し、かつての相棒に刃を向けたのだ。ゆえに私はキミを正しい道へと戻してやらねばならん。奴を葬り、この世界から〈呪い〉を消し去るために!」
    「オレをアンタの言う『正しい道』って奴に従わせる、それがアンタの望みってか?」
    「そうだ。かつて私がティエラを葬ったことで〈エデンの園〉は閉ざされ、一度は輪廻が正された。だというのに! いびつな楽園など、未来永劫地上から抹消されるべきだったというのに、私は自らパンドラの箱を開けてしまった!」
    「落ち着けよ、あの時アンタが真竜皇に立ち向かってなかったらあの村は血の海と化していただろう。」
     ベクターの発言を拒絶するかのごとくクリスタは強烈な一撃を繰り出し、ベクターの杖は宙へ放り出される。クリスタは間髪入れずに長剣を振るう。
    「それでも、あの日キミたちの世界に転生したティエラの残滓にとどめを刺せなかった責任は私にある。だからこそ、私は責任をもってキミの愚行を止める。キミたちに〈呪い〉を負わせてしまった、せめてもの償いだ。わかってくれ。」
     ベクターが体勢を低くして斬撃を避けつつクリスタの脛へ蹴りかかると、クリスタは素早く飛びのき離れた。その隙にベクターは杖を回収しクリスタへ向き直る。
    「〈呪い〉だの責任だのと……くだらない。オレはアンタのいう〈呪い〉など、恐れはしない。オレたちは〈ジェムナイト・クリスタ〉の全てを継承した。ティエラに操られ、歪んだ輪廻へ死者を投じた過去さえも――オレの魔力の根源は、影依の原核シャドールーツだ。」
     竜魔王は呪文を詠唱し杖を掲げる。天井の辺りから響くけたたましい鳴き声に剣士が振り返ると同時に、鷲と同化した竜が彼に襲い掛かる。即座に厚みのある盾を鷲へ叩きつけ応戦し、ついに剣士は竜魔王の首筋へ長剣を突き付ける。刹那、剣士の髪の毛先がはらりと落ちる。剣士が自らの首元へ目を遣ると、細長い刀身が月光を反射して光った。剣士は竜魔王へ視線を戻すと、落ち着きながらも幾らか愉悦をはらんだ声で呟く。
    「仕込み刀、か。」
    「ご名答。」
    「思っていたより強い・・な、キミは。」
     クリスタが剣を下ろすと、ベクターも仕込み刀を杖に収める。ベクターは肩で息をしながら言った。
    「そいつはどうも。で? 少しはオレの考え理解してくれましたかねえ、先輩?」
    「〈呪い〉を恐れぬ上自ら〈呪い〉を利用し、影依の原核までも飼いならすとは大したものだ。とはいえ、それはキミの愚行を見過ごす理由にはならない。キミが何のつもりで相棒に刃を向けるのか定かではないが、内輪揉めなどやめて、協力して仲間を集めればすぐにでも奴を葬り去ることは可能なはずだ。キミたちには私の後継者に相応しい力があるのだから。」
    「ダイヤの原石だろうと、磨かなければただの石ころだ。〈研磨〉も無しにいたずらに頭数だけ増やしたって奴には勝てない。だからオレはあいつと戦わなくちゃならないんだ、クリスタ。」
     竜魔王は真っ直ぐにクリスタを見据えて言い放つ。
    「いいか、アンタがティエラに勝てたのは単に仲間がいたからじゃない。当時のアンタには仲間の力を取り込み自身を強化する〈最適化能力〉と、それを活かせる身体能力、そして実戦経験・・・・があった。」
     謁見の間を飾り立てる紫色の灯火が、一層激しく燃える。剣士は竜魔王の発言に息を吞んだ。
    「そうか。そう、だな。考えてみれば当たり前だったな。頭に血がのぼると周りが見えなくなるのは私の悪い癖だ。……安心したよ、キミが今でも彼の味方でいてくれて。」
     ステンドグラスを通った月明かりが、床を彩る。城主は窓へ歩み寄り、外を眺めながら剣士へ問いかける。
    「幸い、真竜皇は現在休眠状態にある。今はあいつを新たな英雄として育てることに、協力してくれないか。」
    「無論だ。」
     剣士は一言答えると竜魔王に背を向け、去り際にぼそりと呟いた。
    「達者でな、〈もう一人の英雄〉。」
     気がつくと、わたしは見渡す限り白い空間にいた。周囲には家具の類はおろか、出入り口さえも見当たらなかった。目の前にはわたしと同じ背格好で、純白の翼を生やした、赤銅に縁取られた銀色の鎧を着た男が立っている。彼が付けている左半分が欠けた仮面の隙間から、水色に輝く霊体らしきものの顔が覗く。
    「何者だ。」
    「名乗る程の者ではない。だが、キミと敵対する意思はないので安心してほしい。」
     丸腰であることを示すためか、男はわざとらしく両手を肩より上に上げた。そして彼は寂しげな表情で、どうやら本当に何もかも忘れてしまったみたいだな、と零した。その発言が、わたしの彼に対する疑念を深めるとも知らずに――見知らぬ人物が何故かわたしの記憶喪失について知っている状況で、何をどう安心しろと言うんだ。わたしが一向に警戒を解かないのを察してか、男は両手を下ろし、真っ直ぐにわたしを見据えて言った。
    「キミの旧友から、キミのことを頼まれたんだ。」
    「旧友……? わたしには、友がいたのか? 会わせてくれないか。そしたら、いくらか記憶が戻るかもしれない!」
     男は静かに首を横に振る。
    「どうして!」
    「今はその時ではない。だが、彼は確かにキミを見守っている。」
    「そうか。それで? 頼まれたって、何を?」
    「キミを新たな英雄にすべく協力せよ、と。」
    「……は?」
    「突拍子もない話だろうが、キミは確かに未来の英雄として生を受けたのだ。どうか、この世界に迫る脅威から各地の民を救ってほしい。」
     何とも実感の湧かない話ではあったが、現にアモルファージの凶悪さを目の当たりにしている以上、アモルファージに苦しめられている人々を放ってはおけない。この男が信用するに足るかはともかくとして、わたしの頭には最早断るという選択肢は無かった。
    「わたしは、どうすればいい?」
     わたしが訊ねると、男は満足そうに口角を上げ、自らの鎧の胸元にめ込まれた水晶を外してわたしに差し出した。
    「微力ながら、キミに私の力を託そう。一人でも多く信頼できる仲間を見つけ、ともに戦い続けるんだ――キミの前に敵が立ちはだかる限り。そして忘れるな。いつだって、キミは独りではない。」
     差し出された水晶を掴むと、それは眩い光を放った。すると地面が大きく揺れ始め、空間が崩壊していく。いつの間にか男は消え失せ、わたしの意識は遠のいていった。

     しばらくして目を覚ましたわたしは周囲を確認したが、あの男に手渡されたはずの水晶はどこにも無かった。どうやら夢を見ていたらしい。時計を見ると、丁度朝食の時間になっていた。先ほどまで見ていた奇妙な夢がどこか引っ掛かりつつも、わたしは身支度をして食堂へ向かった。

    「デリンジャー、ちょっといいか?」
    「ん? なに、マグナム。」
     早朝、食堂へ向かう隊員たちの喧騒に包まれる廊下ですれ違いざまに声をかけられ、デリンジャーは振り返る。マグナムはあまり他人に聞かれたくない話だと言って、デリンジャーを資料室へ連れ込んだ。周囲の様子を確認して扉を閉めると、マグナムは普段より幾らか低い声でデリンジャーに訊ねた。
    「アンタ、ラスターの教育担当だったな。アイツに何か不審な挙動は無かったか? こちらの内情を探っているとか。」
    「いいえ、むしろ今時珍しいくらい素直でいい子よ。まさか、あの子のことスパイか何かだとでも言うつもり?」
     デリンジャーの返答にマグナムはしばらく考え込む素振りを見せ、躊躇ためらいがちに続けた。
    「あまり仲間を疑うようなことは言いたくないが、アイツがここに来てからアモルファージの襲撃頻度が増している。『今時珍しいくらい素直でいい子』な態度は、本当にアイツの本性なのか?」
    「考え過ぎでしょ。そんなこと言ったらアレよ? 『あの子は実は特殊体質でそれを理由に悪の組織に目をつけられてて、本人が記憶を無くしてからも同じ理由で追われ続けてる』なんて映画じみた事情があるかも、とかいくらだって妄想できるじゃない。勝手な想像で疑うなんてかわいそうよ。」
    「それは、そうかもしれないが。」
     デリンジャーはこれ以上与太話に付き合ってなどいられないとでも言いたげに、マグナムの横を無言で通り過ぎて扉を開けた。廊下へ一歩踏み出すと、彼女は振り返って一言付け加えた。
    「本当、糖分不足だと人間ロクなこと考えないものね。ほら、さっさとゴハン食べに行きましょ。」
     足早に去っていくデリンジャーの足音を聞きながら、マグナムは納得がいかない様子で資料室内を歩き回り物思いに耽る。彼がふと顔を上げると、本棚にある一冊の本が目に留まった。
    「……『フォークロア全集』?」
     この地域に伝わる民間伝承を集めた書籍だ。マグナムは自らの直感を信じて本を手に取りページをめくった。

    「おはよう、ラスター!」
    「おはよう、ライオット。」
     食堂には既に隊員たちが集まり賑わっていた。わたしがライオットの隣に腰掛け食事を開始しようとした丁度その時、正面に着席していたデリンジャーに声を掛けられた。
    「あら、ラスターくん。おは……って、ちょっと、何そのいけてない髪型! アナタ、まさか自力で髪を切ろうとしたんじゃないでしょうね? ほら、ここ変に短くなってるし、先っぽ斜めってる!」
    「え? ああ、これは単に昨日の戦闘中にうっかりどこかへ引っかけただけかと。そもそも、戦場に立つ身で髪型なんて……。」
    「アタシが気になるの! 髪型整えてあげるから、こっち来なさい!」
    「デ、デリンジャー、さん? そういうのは食事の後でも……。」
    「いいから!」
     抵抗虚しくデリンジャーに洗面所まで引っ張られ、戻ってきた時には十五分ほど経過していた。何がそこまで彼女の神経を逆撫でたのかいまいち理解できないまま、わたしはすっかりぬるくなったコンソメスープで若干ぱさついたパンを流し込んだ。

     時を同じくして、魔王城の厨房では緑色のキメラ竜があるじへ猛抗議していた。
    「なあ、夕べは空気読んで黙っててやったけどさ、やっぱおかしいだろ。魔王が英雄を育てるって何さ! ってかあの金髪の敵ってアンタじゃなくて真竜皇とかいうやつだって? しかもあの金髪何? 先輩って? いや、クリスタだかティエラだか知ったこっちゃねーけどさ、とにかく! アンタ、魔王ってジョブが何なのかわかってんのかよ!」
     喚くキメラ生物の傍ら、黒の綿シャツに紺の七分丈の脚衣と褐色のサンダルという極めてラフな服装で、竜魔王は抗議など気にも留めず実験動物にやる餌用の食材を刻んで仕分ける。
    「中型ともなるとさえずる声すらやかましいな。鷲じゃなくて雀にでもしておくべきだったかな?」
    「って真面目に聞けよ‼ てかさ、アイツが本当はアンタの味方だってんならやっぱりさっさとこんなボロ城引き払ってアイツと合流……。」
     ダンッ!
     刹那、一際大きな音を立てて包丁がまな板に接触し、キメラ鷲の発言を遮った。音に怯んだキメラ鷲を無視して竜魔王は餌用とは別の、自分用の食料から深緑色の果皮を纏う果実を手に取り不敵な笑みを浮かべた。
    「そういやこの植物、実を加熱しただけでも煙に乗った化学物質で鳥が中毒死するんだったな。……毒を浴びて死んだ鳥を、そのまま蘇生してやったらどうなるんだろうな?」
    「うおあ、物騒なこと言ってんじゃねー!」
     キメラ鷲は驚きのあまり飛び上がり天井に衝突しかけながらも、体勢を立て直してため息交じりに問いかける。
    「何だよ。そんなにタブーな話題なのかよ、これって。」
    「別に。どうせ実験動物ごときにどうこうできるモンじゃないが、変に曲解して勝手に動かれでもしたら困る。それだけだ。とにかく、余計な口出しをするな。お前にこれほどの高い知能を与えたのはあくまで従順かつ優秀な諜報員にするためだ。知恵の使いどころはよく考えるんだな。」
    「あー、ハイハイ。わかりましたよ〈魔王様〉。」
    「そうだ、近々サソリ由来のアモルファージが完成するんだが……くれぐれも言動には気を付けろ、ヒュペル。」
    「げえっ、わかった。わかりましたってば!」
     激化したアモルファージの襲撃はここ数日やまず、イグナイトたちは疲弊しきっていた。特に新種の、サソリ型のアモルファージが現れてからは日用品の買い出しを含めた外出さえ危険になるほどに広範囲をキメラ生物が闊歩している。というのも、どこかから成人男性の手と同じくらいの大きさがある円筒状の物質が飛んできた影響で野生動物までもがアモルファージ化し、アモルファージの頭数が爆発的に増えたのだ。円筒状の物質により他の生命体がアモルファージ化すること自体は以前にも数回あったが、問題なのは以前より感染力が上がっている上に飛んでくる頻度も増していることだった。
    「これほどまでの数的不利、もはや陣形云々でどうにかできる状況ではありませぬ。」
    「……そのようだね、マスケット。」
     イグナイト基地の一室で、参謀たちは前例のない事態に頭を抱えていた。
    「ならば今こそ吾輩たちの命を懸けようではないか。行くぞ、アヴェンジャー。」
    「ええ、行きましょう。」
    「お待ちください隊長、副長! 前線へは私たちが!」
    「止めてくれるな、キャリバー。安全圏に身を潜め民間人を危険に晒し続けるなど戦士の名折れ。替えが利かぬ・・・・・・と言ってこのような不名誉を耐え忍ぶのはもううんざりだ。」
    「それに、僕もじっとしているのにはいい加減飽きてきたからね。」
    「しかし……。」
    「そなたたちの御身おんみに万一のことがあれば……!」
    「その時は貴公らがイグナイトを率いるのだ。キャリバー、マスケット。」
    「後のことは任せたよ、二人とも。」
     スティンガーとアヴェンジャーが部屋を後にする。室内に取り残されたマスケットは机の天板へ苛立ちを込めて拳を叩きつける。
    「あの野郎ども、人の気も知らないで……!」
    「マスケット、こうなってしまった以上は仕方ない。お二人を援護しに行くぞ。」
    「ッチ、言われなくとも!」

    「クソッ、いくら倒してもキリがねえ!」
    「一旦退こうイーグル。休みなしに戦い続けていたら攻撃の精度が下がってしまう。」
    「けどよ新入り。」
    「イーグル。きみだけだぞ、そんな無鉄砲な戦い方をしているのは。仲間に迷惑をかけてもいいのか?」
    「チッ、しゃーねえな。」
     イーグルを説得して前線から離脱し、わたしは彼とともに基地へ戻った。彼を適当な椅子に座らせて飲料缶を持ってきた丁度その時、窓の外をサソリ型アモルファージが猛スピードで走っているのが見えた。その個体は勢い余って電柱にぶつかり、体に刺さっていた円筒を割ってしまった。するとそれは、みるみるうちに半竜のキメラ生物からただの黒いサソリへ姿を変えた。どうやら、あの物体が壊れれば本体を倒さずともアモルファージを無力化できるらしい。しかし、だとするならば。
     なぜ、わたしは感染から回復した今も竜と同化したままなのだろう。なぜ、わたしはまだ人間に戻っていない? 果たしてわたしは本当に〈アモルファージの被害者〉だったのか?
     不意に頭に浮かんだ嫌な疑問を振り払おうと、わたしは数回頭を横に振った。

    [……そうか。となれば本体よりもあのパーツを狙う方が効率的だな。]
     指揮官・キャリバーの声が無線機から砂嵐交じりに発せられる――イーグルを休ませている間にも隊員たちは膨大な数のアモルファージと戦っている。だから一刻も早くアモルファージとの戦闘において鍵となり得るこの情報を伝えなければならないと思い、わたしは先ほど目撃した光景を指揮官へ共有したのだ。無線機の向こう側でしばらく討論が繰り広げられ、ほどなくして参謀・マスケットが応答した。
    [そなたのおかげで希望が見えた。有益な情報、感謝する。]
    「どういたしまして。」
     わたしが返答した直後、無線機のスイッチが切り替わると再びキャリバーが応答した。
    [……全隊員に告ぐ。これより作戦を変更する。各員、囮役と掃討役に分かれ戦闘を行うこと。囮役はアモルファージを引き付け、掃討役は集まったアモルファージを叩く。なお、アモルファージは円筒状のパーツを砕くことで無力化できる。アモルファージへの攻撃は円筒状のパーツを狙うこと。以上。]
    「そろそろ、出撃すっか?」
     空になった飲料缶を置いて、イーグルは立ち上がった。
    「ああ。そういえば、きみは隊で一番足が速かったな。早速だが、きみに囮役を頼んでもいいか?」
    「おう! この〈鉄砲玉〉のイーグル様に任せとけ!」

    「っしゃ、今だ新入り!」
    「……、はっ!」
     イーグルの合図と同時に、わたしは最後のアモルファージの集団へ飛び込み剣を振るった。一撃でアモルファージの集団を仕留めることに成功し、隊員たちと喜びを分かち合っていると遠方の空から何かが飛んできているのが見えた。目を凝らすと、それはおびただしい数のアモルファージ化物質だった。
    「げえっ、またかよ!」
    「噓でしょ……?」
    「やはり此度の敵も、特攻無くして殲滅せんめつは不可能でござるか……。」
     隊員たちが口々に絶望を表明する中、わたしの鎧の胸元で竜を模したエンブレムが赤く輝き出し、瞬く間にわたしの体は宙に浮かび上がった。突然の出来事に戸惑うわたしの脳内に、聞き覚えのある声が響く。
    ≪今こそ、一つに。≫
     ふと隊員たちへ目を向けると、マグナムと目が合った。

    「あれは……。」
     英雄? 
     そう言いかけて口をつぐんだマグナムの脳裏には、とある伝承が浮かんでいた。「悪しきものどもの蔓延はびこる世に竜の翼と尾を持つ英雄が現れる。その英雄は仲間と心を通わせることで姿を変え、奇跡の力で悪しきものどもを祓う」という伝承だ。その英雄の正体はラスターなのかもしれないと思いつつも、マグナムは迷っていた。ラスターはあの男に、竜魔王ベクターPに姿形がよく似ている。それにラスターがやってきた途端にアモルファージによる襲撃の頻度が増した。ラスターが奴と繋がっている可能性は、否定できない。だとすれば彼に力を分け与えるのは自殺行為に等しい、と。
     多大な犠牲を払えば――味方を特攻させ敵陣を爆破すれば、彼の手を借りずとも感染源を絶つことは可能だろう。これまでもそうして敵を打ち倒してきた。しかし、不死身体質と言えども死そのものへの恐怖は普通の人間と何ら変わりは無い。自分が死ぬのも目の前で仲間が死ぬのも耐え難い苦痛であり、特攻を望む者は誰一人いないのだ。
     もしも彼が本当に伝承に示された英雄であるならば、犠牲を出さずとも感染源を浄化できるはずだ。この際伝承と彼の良心に賭けるのも一つの手か、そう思い直してマグナムはラスターへ手をかざす。
    「ラスター、落ち着いて聞いてほしい。君には特別な力が宿っているはずだ。君が宙に浮いているのも、おそらくはその影響だろう。」
    「マグナム……?」
    「俺たちの力を君に分ける。俺たちを、そしてこの世界を守ってくれ。」
     マグナムの体から燃え盛る炎のようなオーラが発せられ、彼の手を伝ってラスターの体を包み込む。マグナムの様子を見て、他のイグナイトたちも同様にオーラをラスターへ分け与える。オーラは不死鳥の形に燃え上がり、ラスターの体と鎧を赤く染め上げた。そして炎を切り裂き現れたのは、赤き鎧の竜剣士――爆竜剣士イグニスターPプロミネンス
     イグニスターは宙に浮かんだまま、銃と一体化した大剣を掲げる。すると物陰に隠れていた一匹のアモルファージが光の粒になって昇り、大剣のつばに嵌め込まれたシリンダーへ装填された。そして光はそのまま銃身を進んで銃口を煌めかせる。イグニスターが狙いを定めて大剣を振り下ろすと発火装置が作動し、赤い光が爆風とともに遠方のとある一点へ向け発射され、円筒状の物質を発生源ごと焼き払った。不思議と周囲の木々は一切燃えず、標的のみを的確に射止める形となった。
    「これが、あの〈水晶〉の力……?」
     あの男が「一人でも多く信頼できる仲間を見つけ、ともに戦い続けろ」と言ったのは、こういうことだったのか。つまり戦いの中で仲間の力を受け継ぎ、仲間の思いに応えるための力を、わたしは彼から継承したらしい。
     イグナイトたちの歓声に包まれながら、赤き鎧の竜剣士はふわりと地上に降り立つ。イグナイトたちが竜剣士に駆け寄ってきた矢先、全員の無線機のスイッチが唐突に切り替わり、とある男の声が辺りに響いた。
    [見事だ、竜剣士ラスターPペンデュラム。期待以上の活躍だ。実に素晴らしい。]
     一同は驚いて一斉に無線機を取り出した。
    「! アンタは、竜魔王ベクターPペンデュラム!」
     マグナムは男の声にいち早く反応し、無線機に応答する。それに対し、男は嘲るような調子で返事をする。
    [文字通り命拾いしたなあ、落ちこぼれ騎士諸君? 勇者サマに感謝するんだな。]
    「貴様!」
     竜魔王と呼ばれる男の挑発的な態度にキャリバーが声を荒げた。それを気にも留めずに男は喋り続ける。
    [お前らはもう用済みだ。いい加減飽きたんだよ、お前らとのお遊び・・・は。既に別の標的とも接触しているわけだし、この土地からは撤退するとしようか。]
     竜魔王に仲間を侮辱され、竜剣士は怒りに打ち震えながら、握りしめた無線機へ怒鳴る。
    「ベクター、といったか。貴様、彼らを散々苦しめておいて何だその言い草は!」
    [おや、オレが憎いか勇者サマ? まあまあ、そう怒るなって。それよりさ、オレと〈鬼ごっこ〉でもしようぜ。ここまでおいで、霊妙なる風・・・・・の導くままに!]
    「ふざけるな貴様!」
     竜剣士が叫ぶも無線は一方的に切られ、雑音がざあざあと虚しく流れ続ける。竜剣士の傍らで、マグナムは不愉快そうに無線機を地面へ叩きつけた。
    「相変わらずふざけた野郎だ!」
    「『相変わらず』? マグナム、きみは奴に会ったことがあるのか?」
    「ああ。君がここへ来る少し前に一度な。あの日、奴は鳥型のアモルファージを連れて昼下がりに近隣の公園に現れた。」

    ≪ 穏やかな陽気に包まれつつマグナムがアモルファージの目撃情報を基に近隣の町を巡回していると、紫色の翼と尾を生やし黒い鎧を纏う銀髪の青年を見つけた。公園のど真ん中にぼーっと突っ立って一体どうしたのかとマグナムが青年を眺めていると、青年はゆっくりと上空へ左腕を伸ばした。すると鳥型のアモルファージは彼の左腕へ緩やかに着地した。眼前の光景に驚き、マグナムは青年へ駆け寄りながら叫んだ。
    「君、危ないぞ。今すぐその生き物から離れるんだ!」
     青年はマグナムに気付くと、アモルファージを左腕に乗せたままマグナムへ向き直り微笑んだ。
    「お気遣いどうも。でも心配には及ばない、オレはこいつの飼い主なんでね。」
    「飼い主……? アンタ、まさか!」
    「そう。オレはこの土地にアモルファージを放った張本人、竜魔王ベクターP。以後、お見知りおきを。」
     竜魔王と名乗る男は右手を自らの胸に置き、わざとらしく一礼した。目の前にいるのが正体不明の生物を使ってこの一帯を混乱に陥れた犯人だとわかり、マグナムは男の首元へ短剣を突き付ける。刃を向けられているにもかかわらず男は平然としており、彼の紅い瞳はマグナムへ冷めた目線を送る。男の態度に憤りを覚えたマグナムは低めの声で男を問い詰める。
    「何が狙いだ? 何故ここを襲撃している?」
    「狙い、か。強いて言えば、伝承を確かめることかな。」
    「伝承? ふざけたことを言うな!」
    「いずれこの地に英雄が現れるだろう。竜の力を宿した神の子が、剣を携えて。そいつを生かすも殺すもお前たち次第だ。……さて、そろそろおいとまさせてもらおう。さらばだ、勇敢なる騎士見習い・・・。」
    「貴様!」
     マグナムが竜魔王を取り押さえようと手を伸ばすも、わずかに届かず空を切った――鳥型アモルファージが竜魔王の左腕を掴んで瞬時に飛び立ったのだ。澄み渡る青空を、マグナムはただ見つめることしかできなかった。≫

    「そんなことが……。」
    「しかしこれでハッキリした。奴の狙いは、間違いなく君だ。そして君は奴の言った伝承に登場する英雄なのだろう。」
    「……すべて宿命だったということか。」
     わたしが半竜となったことも、夢枕に立った謎の男から〈水晶〉を継承したことも。それならば、わたしが行くべき道は一つ。
    「覚悟はできている。わたしが奴をこの手で捕まえる。」
    「だが、奴の手がかりは……。」
    「霊妙なる風、か。奴の次の標的はマジェスペクターと見て間違いなさそうだね。」
     マグナムの隣で話を聞いていたアヴェンジャーが顎を手で軽く押さえながら呟いた。わたしの隣でスティンガーが頷き付け足す。
    「うむ。各地の定期報告によれば、現時点でアモルファージによる被害が確認されているのはここの他には彼らの居住地くらいか。」
    「ということで我々が責任を持って君をマジェスペクターのもとへ送り届けよう。今日のところは一旦帰還して明朝出発だ、いいね?」
    「副長、わたしは奴を追わねばならないのです。今すぐにでも行かせてください。」
     アヴェンジャーは腕組みをしてゆっくりと首を横に振る。
    「疲れている部下をそのまま次の戦場へは向かわせられないよ。」
    「貴公が狙われているのであれば、貴公が出向くまでは奴も攻勢を強めはせんだろう。奴を追う前に少し休んでいくと良い。」
    「副長、隊長……。わかりました、ではまた明日。」

     翌朝、わたしは隊員たちに基地のテラスへ案内された。「マジェスペクターのもとへ送り届ける」と言った割には目的地へ先導する様子も乗り物を用意する気配もないが彼らは一体何をする気なのか、とテラスの中央で戸惑っているとデリンジャーとマグナムがわたしを挟み込む形で隣に立った。
    「おはよ、ラスターくん。よく眠れた?」
    「ええ、まあ。」
    「早速だが、これから君をペンデュラムの力でマジェスペクターのもとへ飛ばす・・・。」
    「飛ばす?」
    「文字通り空を飛んで目的地に行くってこと。ペンデュラムは生き死にの境さえ軽々飛び越える力。どんな場所へだってひとっ飛びよ!」
    「というわけだ。」
    「えっ。」
    「ほら、早くマジェスペクターのとこに行きたいんでしょ? 大人しくしてて。」
     デリンジャーはそう言うとマグナムに手で合図を送った。マグナムが頷くと、突如二人の足元をそれぞれ取り囲むように光の輪が現れる。そしてそれは地面から空へ向かって伸びていき、二人を取り込んだ状態で光の柱になった。二人は光の柱の中を滑らかに昇っていき、その中央で止まった。デリンジャーの下には数字の二、マグナムの下には数字の七が洒落た書体の算用数字で浮かび上がった。日が昇って間もない頃だというのに、上空は夜空と同じ色に染まり、巨大な振り子が尖った先端を白く輝かせながらスピログラフのように幾何学模様を描いている。耳を澄ますと微かに鈴の音に似た音が聞こえる。しばらく幾何学模様を眺めていると、わたしの体が宙に浮かび、そのまま上空の幾何学模様へ吸い込まれていった。

     次の瞬間、わたしの視界に飛び込んできたのは、ハニカム模様の描かれた地面だった。わたしは空中で体勢を整えて着地し、辺りを見渡す。どうやら転移は成功したらしい。ひとまず住人を探そうと一歩踏み出すと、物陰から一匹の狸が現れた。
    「おい。そこのお前、竜魔王だろ? 変装したぐらいじゃ騙されないんだからな。今日という今日はお前を次元の彼方へ吹き飛ばしてやる!」
    「待て、人違いだ……って、ええっ⁉」
     狸が、喋った⁉
    ≪続く≫
    月城 衛@月光城塞 Link Message Mute
    May 30, 2022 1:28:18 PM

    第一章:英雄の復活① イグナイト編

    #二次創作 #小説 #二次創作小説 #遊戯王OCG #竜剣士 #イグナイト #アモルファージ #10001~20000字 #英雄のキセキ ##ノベルス
    他のサイトに投稿済のものです。本文:約2万文字
    ++++++++++
    ――ダイヤの原石だろうと、磨かなければただの石ころだ。
    ++++++++++
    竜剣士ラスターPについての妄想を綴った小説です※第零章を飛ばして当作品から読むと一部理解不能な描写に出くわすおそれがあります。
    次回、竜剣士物語②マジェスペクター編。
    ++++++++++
    Language: Japanese version only (there is no English version).
    **Do NOT translate my novels. **
    **Do NOT execute machine translations on my novels. Machine translations such as Google, DeepL, etc. are NOT wise enough to translate my Japanese sentences into western languages. **

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