イラストを魅せる。護る。究極のイラストSNS。

GALLERIA[ギャレリア]は創作活動を支援する豊富な機能を揃えた創作SNSです。

  • 1 / 1
    しおり
    1 / 1
    しおり
    第一章:英雄の復活②-2 マジェスペクター編[後編]竜剣士ラスターPについての妄想を綴った小説です。
    次回、竜剣士物語③ダイナミスト編。
    ++++++++++
    ☆遊戯王OCGモンスターのカードストーリー及び世界観に関する二次創作です。
    ※遊戯王カードの対戦描写はありません
    ☆登場人物が試練に立ち向かい成長する物語であるため、劇中で登場人物が不幸な目に遭いますが、原作(遊戯王OCG)やそのキャラクターに対する誹謗中傷の意図は微塵もありません。「一言一句ハッピーな展開の物語」や逆に「憂さ晴らしもしくは作者・読者の欲望を満たすため思う存分登場人物へ暴力を振るう・思いつく限りの絶望を味わわせ救いのないバッドエンドを導く物語」、「現代日本から転移・転生したオタクが俺TUEEE無双して原作アニメ・マンガキャラにざまあする物語」をお求めの方は開く作品を間違えていますのでブラウザバックをお願いいたします。
    ☆原作(遊戯王OCG)の「竜魔王」及び「アモルファージ」カードにおいて、公式に遺伝子組み換え及び感染に関連する特殊能力が登場するため、原作に倣い遺伝子組み換え及び感染に関連する特殊能力の描写があります。
    ☆竜剣士、竜魔王、マジェスペクター、アモルファージ及び一部のジェムナイトモンスターに関する独自の解釈を含みます。
    ☆読者が上記テーマのカードを知っている前提で書いているため、登場人物の外見に関する描写は一部省略されています。
    ☆主人公と動物がふれあう描写がありますが、現実世界において野生動物へみだりに触れることを推奨するものではありません。
    ++++++++++
    ジェムナイト・ファントムルーツのカードイラストが竜剣士ラスターPと似ていることから竜剣士=ジェムナイト・クリスタの生まれ変わり説を前提として話が進みます。加えて、竜剣士と竜魔王のOCG上でのシナジーから両者は実は敵対していないものとして作劇しています。
    なお、竜剣士ラスターPのフレーバーテキストから、彼は記憶喪失後に自らの種族を人間と誤認している描写があります。
    以上を踏まえて当作品をお楽しみください。
    Language: Japanese version only (there is no English version).
    **Do NOT translate my novels. **
    **Do NOT execute machine translations on my novels. Machine translations such as Google, DeepL, etc. are NOT wise enough to translate my Japanese sentences into western languages. **
     しばしの歓談の後、友好的なマジェスペクターたちを送り出したラスターは本棚から本を手に取って開いてみた。そして彼はめくる度に粉塵を撒き散らすほどに酷く風化したページと、黄ばみや染みをものともせず紙面を埋め尽くす東洋文字の崩し字に辟易してそのまま本を閉じ元の場所へ戻した。本棚に収められている他の本もいくつか開いてみて、どれも先ほどの本と同様に東洋文字とページの劣化でまともに読めるものではないと悟り、ラスターは諦めて本棚から離れた。本棚から視線を逸らした際にふと視界に飛び込んできた、窓から差し込む日差しに誘われてラスターは窓辺に歩み寄り腰を下ろすとそのまま目を閉じた。

     下した瞼の裏側、赤みを帯びた闇の中で体内をじわりじわりと浸食していく気怠さに身を任せていると、いつしか〈あの男〉と出会った白い密室へとたどり着いた。前回とは異なり、白い机が部屋の中央に一つ置かれている。机の向こう側からは椅子に腰掛けた〈あの男〉がこちらへ視線を投げかけており、また机の手前には誰も座っていない白い椅子が一つ置かれている。男の手招きに応じてわたしが空いている椅子に渋々腰掛けると、男は顔をほころばせた。
    「やあ、また会ったな。」
    「……まだ、何か?」
     〈水晶〉を託したきり行方をくらましていた奴が今更何の用だ、と思いつつぶっきらぼうに問いかけたところ男は肩をすくめて答えた。
    「言っただろう、『キミの旧友から、キミのことを頼まれた』と。このところキミは何か悩みを抱えているようだし、良ければ相談に乗るぞ?」
    「あれから一向に姿を見せないと思ったら……わたしのことを、隠れて見張っていたのか? 悪趣味な。」
     野ざらしの死体に湧いたうじでも目撃したような反応を見せたわたしに、男は腕組みをして落ち着き払った声で言った。
    「そう警戒しないでくれ。私はキミの守護霊のようなものだ。それゆえキミの見聞きしたことは私にも伝わっているというだけだ。」
    「守護霊?」
    「ああ。私は遠い昔に自らの肉体を失い魂のみとなって現世を彷徨っていた――いずれ訪れる災厄に立ち向かう英雄に相応しい人物を探して。そんな折にキミとキミの友に出会ったというわけだ。」
     男は離れ離れになった旧友との思い出を反芻するように目を細めていたが、わたしが思い出話を遮って本題の続きを促すと、彼はふと我に返って咳払いを一つし真顔になった。
    「話が逸れたな。先日、二体のマジェスペクターがキミに辛辣な発言をしていたが、キミが塞ぎ込んでいるのはそれと関係があるのではないか?」
    「だとしたら、何だと言うんだ。」
    「あの日、キミはアモルファージとの戦い方に関して情報共有を試みたのだろう? 助言はいらない、と断られたとは言っても、マジェスペクターたちにとっても有益な情報ではあるはずだ。例えキミを信用していなくとも『アモルファージと戦う上で重要な話がある』と言えば――キミに背を預けるためではなく、単に情報の真偽を確かめキミを品定めするためだとしても――聞く耳を持つのではないか?」
    「だが、当の本人たちは十分に強いし〈余計なお世話〉でしかないかもしれない。」
    「それでも、諦める前に一度やってみないか。現に他のマジェスペクターたちはキミの話に耳を傾けてくれているのだろう? 全員は納得させられないとしても、伝えたいことがあるのならすぐにでも話すべきだ。上手くいけばあの二体から信用を勝ち取れるかもしれないしな。上手く行かなかった時のことはまた後で考えれば良いさ。」
    「……それもそうか。」
     やるべきことは決まった。わたしが男へ軽く礼を言って立ち上がるのとほぼ同時に、白い密室は天井の左奥の隅から崩れ落ちていく。男の満足そうな笑みを捉えたまま、空間の崩落に合わせてわたしの視界は段々と暗くなっていった。

     再び目を覚ますと床に伸びる影が先ほどより長くなっていたが、窓から差し込む光はまだ白い――キャットたちは、いつもこれくらいの時間にみんなで集会所に集まると言っていた。
    「……行こう、みんなの元に。」
    「あっ、ラスター! 来てくれたんだね!」
    「ラスター、その……もう大丈夫なの?」
     ラスターが集会所に足を踏み入れた途端彼の胸元へキャットが飛び込み、それに続くようにフォックスが彼の元へ駆け寄った。ラスターの腕の中で目を閉じゴロゴロと喉を鳴らすキャットを撫でながら、彼は話を切り出した。
    「すぐにでもみんなに知らせたいことがあってな。」
    「知らせたいこと?」
     そう言ってフォックスは首を傾げた。すると部屋の中央辺りで大判のクッションに寝転がっているラクーンが煩わし気に顔だけをラスターの方に向け、冷ややかな目で吐き捨てる。
    「何? おとなしく村から出てってイグナイトんとこに骨をうずめる覚悟でもできたの?」
    「チョット、ラクーン!」
     ラクーンの言動をクロウが咎めるとそのまま二人の小競り合いが始まった。その隣で不機嫌そうにラスターを睨むユニコーンの傍らで村長がわざとらしく咳払いすると集会所に静寂が訪れ、マジェスペクター全員の注意がラスターに向けられた。
    「して、すぐに知らせたいこととは何じゃ?」
     村長の問いに答えるため、ラスターはキャットを床に降ろして姿勢を正す。
    「アモルファージの弱点についてなのだが――」
     と、彼が言いかけたところで突然クロウの背後の窓ガラスが砕け散った。窓ガラスを破ったのは、例のアモルファージ化物質だ。勢い良く飛び込んできたそれは、クロウの背中へと一直線に落下し、着弾するや否や円筒下部の円盤から伸びるかぎ爪でクロウの翼の根本を力強く掴んだ。すると瞬く間に赤い筋と緑色の鱗がメキメキと音を立ててクロウの体表を浸食していく。
    「イ、イヤ! 助け……。」
    「クロウ!」
     悲鳴を上げたクロウにラスターが駆け寄ろうとした丁度その時、ユニコーンがラスターの目の前に立ちはだかった。
    「どいてくれユニコーン! クロウを助けないと……。」
    「こうなってしまっては最早手遅れだ。彼女は我々が責任を持って処分する。」
    「処分? 殺す気なのか、仲間を⁉」
    「アモルファージ化物質は宿主しゅくしゅが死ねば効力を失う。」
    「だからって、あんまりじゃないか!」
    「我々はペンデュラムだ。殺した後に蘇らせれば済む話だ。」
    「後で生き返れるとしても、痛いものは痛いし、怖いものは怖いに決まっているだろう! 死なせずに済むのならそれに越したことはない!」
    「下手に助けようなどとして後遺症を残すよりも、自我を失う前に殺してやる方が余程慈悲深いだろう!」
     鋭い目つきでユニコーンは言い放った。いくら反論しても一向に動こうとしないユニコーンに痺れを切らし、ラスターは襟元に忍ばせた細い鎖に手を掛ける。そしてそのまま鎖を持ち上げて首から外し、即座にクロウへ向かって投げつける。
    「! 何のつもりだ⁉」
     ユニコーンはラスターの突拍子もない行動に目を見開き、すぐさまクロウの方へ振り返る。次の瞬間、ラスターの投げた鎖に吊り下がる二枚の認識票ドッグタグがクロウに寄生した円筒状物質を打ち砕き、クロウの体は徐々に元に戻っていく。体が戻りきった後、クロウはラスターへ感謝の言葉を普段と変わらぬ調子で述べた。一連の現象にユニコーンは言葉を失ったが、しばらくしてラスターへ向き直り呟いた。
    「今のは?」
    「アモルファージは体に刺さっているあの筒が割れると、竜化が解けて善良な生命体に戻る。だから、アモルファージの肉体を叩きのめして戦闘不能にするのを狙うよりも筒を割ることを優先した方が効率的で安全だ。」
    「もしや、あなたはそれを我々に伝えようとして……。」
     ラスターがユニコーンの呟きに頷いてみせると、ユニコーンはなるほどな、と言って満足そうな笑みを浮かべた。
     ラスターの助言が虚栄心からくるでまかせなどではなく事実に基づく実践的なものであったと知り、ユニコーンはラスターへの態度を改めることにしたのだ。とは言え全面的にラスターを信用するわけではなかった――例え彼が本当は腹黒く我々を油断させるために友好的な芝居をしているのだとしても、戦闘における彼の判断力と行動力は本物だ。彼には利用価値がある。今後彼が裏切る素振りを見せることがあれば、その時は我ら全員が団結して彼を粛清すればいい。ならば彼が表向きだけでも協力的な態度を見せている内は忌まわしきキメラ生物を駆逐するための武器となってもらおうじゃないか、そう結論付けてユニコーンはラスターのことを部分的に認めたのだった。
     一方で、ラクーンは憤慨した様子でラスターの元に駆け寄り怒鳴った。
    「おい、お前何でそんな大事なことさっさと言わないんだよ! 助っ人なんて言っておきながら役立たずだな!」
    「でもさ、前にアモルファージが来た時、ラスターが何か言いかけてたのに全力で拒否ったのラクーンじゃん。」
     フォックスがラクーンへ白い目を向けながら冷静に指摘すると、ラクーンは目に見えて動揺し始めた。
    「だ、だからって普通そんな簡単に怯んで黙る? 知らせとくべきことがあるなら是が非でも言うでしょ、常識的にさ! と、とにかくボクはこんな奴信じたりはしないからね!」
     ラクーンがおどおどしつつも強く言い張ったところ、ラスターは跪いて軽く頭を下げた。
    「きみの言う通りだな、すまなかった。」
     あまりにも呆気なく相手が非を認めたことで、ラクーンはより一層気まずさにさいなまれた。
     げっ、なんでそこで素直に謝るかな。まるでボクが嫌な奴みたいじゃん、と心の中で理不尽な文句を垂れながらラクーンは眉間に皺を寄せた。
    「潮時だな、そろそろ本気出しちまってもよさげだぜ。」
     集会所裏手、窓から一メートルほど離れた柿の木の枝に止まり、生い茂る木の葉に身を隠して内部の様子を探っていたアモルファージ・ヒュペルは自身の胸部に寄生している円筒状物質へ小声で話しかけるも、円筒状物質が時折淡い光を明滅させるばかりで、しばらく沈黙が続いた。静寂の中、彼は内心酷く苛立っていた。というのも――竜魔王は唯一の側近として使役しているこのヒュペルから上がった前回の侵攻に関する報告を受け、竜剣士の様子を探るべく同個体に張り込みを命じたわけだが――側近が仔細に状況を円筒状物質を通じて伝え指示を仰ぐ度に竜魔王は思案のためかいちいち黙り込み、ようやく返答を寄越す気になったかと思えばそのまま監視を続けろ、としか返さなかった。いよいよ堪忍袋の緒が切れたヒュペルは主人に対して出撃の許可を請うと同時に監視の終了を申し出たのだった。が、依然として竜魔王は押し黙っている。主人の煮え切らない態度に憤り再度ヒュペルがくちばしを開きかけた正にその時、彼の胸部に寄生している円筒状物質から竜魔王の声が聞こえてきた。
    「……作戦実行を許可する。」
     その声はいささか迷いのようなものも感じられたが、じっと対象を監視しているだけの退屈な時間に嫌気が差していたヒュペルはそんなことを気にも留めずやや上機嫌に返答した。
    「了解!」
     刹那、彼はふと我に返り肩を落としてぼやいた。
    「っつっても、侵攻の方もそこまでやりがいがあるワケじゃねえんだよな。」
     主人がやたらと気にかけている謎の青年を〈一人前の勇者〉とやらにするためのお稽古であって、いかにこちらが有利な状況になろうともその青年の首だけは落とすことが許されない。せっかく魔王の部下として生を受けたというのにそれらしい任務を与えられないばかりか勇者のお守りをさせられている始末。それゆえにヒュペルはかの青年との戦いにあまり乗り気ではないのだが、かと言って戦いを放棄すれば主人に――この世界でただ一人〈魔王〉と称される者に失望されてしまう。そんな自身にとって最悪と言える事態を避けるため、彼はやむなく侵攻の準備に取り掛かった。

    「おぬしのおかげで犠牲を出さずに済んだ。礼を言うぞ、ラスター。」
     集会所内が落ち着きを取り戻した頃、マジェスペクター・フロッグはラスターの前に進み出て一礼し、頭を上げるや否や険しい表情で呟いた。
    「さて、これまで正面から攻め込んできていた竜魔王が一転して奇襲を仕掛けてきた以上、今後何が起こってもおかしくはない。ゆえに今まで以上に警戒を強めていかねばならん。」
     フロッグがユニコーンへ目配せすると、フロッグの口振りから事情を察したユニコーンは沈痛な面持ちで静かに口を開いた。
    例の術式を解放せざるを得ない状況になった、ということですかな?」
    「左様。これが役に立つ日など、来なければ良かったのじゃがなあ。」
     そう言って部屋の左端へ移動するなり、フロッグは掛け軸をめくって隠し扉を回し一本の巻物を取り出した。そして巻物をラスターの前に持っていって畳の上に広げ、マジェスペクターたちをその周辺に集めた。
    「これは我々の編み出した強化結界・マジェスティックPペガサス。結界を張ることで味方の戦闘力を強化する術じゃが、一つだけ注意せねばならんことがある。」
     そこで説明を一度打ち切り、仲間たちから一歩下がって終始機嫌悪そうに俯いているラクーンへ鋭い視線を投げかけ、フロッグは先ほどより僅かに大きな声で強調する。
    「この術式を発動するには術者全員で協力せねばならんのだ。いな?」
    「うっ……。わ、わかったよ、しょうがないな。で、その術って確か円陣を組むんだったよね?」
    「うむ。まずは開けた場所で地面にこの絵と同じ魔法陣を描いたのち、その魔法陣の中心にユニコーンが立って、他の者は魔法陣の外で円陣を組み中央へ風を送るのじゃ。その後ユニコーンの背に翼が生えれば術式の発動は成功じゃ。」
     術式の説明が一通り済んだ丁度その時、これまで静かに説明を聞いていたラスターが右手をおもむろに肩の高さに挙げてフロッグへ問いかけた。
    「待ってくれ。『全員で協力』と言ってもわたしは風を起こす魔法を使えないのだが、わたしはその間何をすればいいんだ?」
    「安心せい、儂らは日頃から魔力切れに備えこのような物を用意しておる。」
     装甲の隙間から小さく折りたたまれた紙を取り出し、フロッグはラスターへ手渡しつつ微笑んだ。紙を広げ成人男性の手ほどの大きさの紙面を埋め尽くす文字や模様を不思議そうに眺めるラスターを見上げてフロッグは付け足した。
    「その札を破けば赤子でも風の魔法を放てる。一枚あれば術者一人分の風は起こせるはずじゃ。」
    「ありがとう。……なるほど、作り置きしているのは食べ物だけではないんだな。」
    「備えあれば憂いなし、じゃからの。では早速術式の準備に取り掛かるぞい。」
    「皆の者、準備は良いな?」
    「おう!」
    「では行くぞ。三、二、一、発射!」
     曇り空の下、村の中心に位置する広場に風が吹き荒れる。一同が地面に描かれた魔法陣を取り囲んで等間隔に並び中央に立つユニコーンへ風を送るさなか、ラスターの目に青白い人影が映った。
    「……あれは。」
     ユニコーンの頭上に浮遊しこちらを見下ろしているあの霊体は――見間違うわけがない、彼はわたしの〈守護霊〉だ。わたしと目が合うと、彼は口角を上げて手招きする。彼の意図を図りかねて固まっていると、突如わたしの体が風に包まれ鎧の胸元が青緑色に輝いた。そのまま気流に乗せられて宙に浮かび上がり、わたしの体は完全に霊体と重なった。すると、イグニスターの力を手にしたあの時と同じ声が脳内に響く。
    ≪誇り高き勇者に、風の加護のあらんことを。≫

    「ラスター!」
     左隣にいたラスターの異変に気付き、フォックスが不安そうに叫んだ。フォックスの右隣にいるラクーンは動揺するフォックスにすかさず警告した。
    「構うな、まだ失敗したと決まったわけじゃない! とにかく一度最後までやり切るんだ!」
    「ラクーン……。」
     仲間に一喝され、フォックスは再び心を無にして風魔法に集中する。ラスターはきっと無事に帰ってくると信じて。
     その頃ユニコーンは魔法陣の中央で、宙に浮かびながら深緑色の光に包まれているラスターを見上げていた。
    「一体、何が起きているというんだ。」
     以前この術式を発動した際にはこのような挙動は見られなかった。そもそも魔法陣の外にいる術者が内部に引き込まれるなど、術式の機構からしてあり得ないことだ。だが、想定外の事象が発生したとはいえ、私の体内に湧き上がるこの感覚……間違いない。術式は問題なく作動している。だとするならば、彼の肉体が、我々の魔力に反応している……?
     ふと、ユニコーンはとある書物の記述に思い至る。
     神聖な生命の樹に宿る力を巡る争いに終止符を打った輝石きせきの騎士・クリスタに備わっていたという、仲間との結束を力に変える〈最適化能力〉――神話の中にのみ存在する空想上のものではなかったというのか。ラスターがその能力を持っているとしたら、これは〈最適化〉による覚醒の予兆なのだろう。そう考えれば納得がいく。
     吹き荒れる風の中、ユニコーンの背に一対の青白く輝く翼が生えると同時にラスターを包み込んでいた光が消えた。するとラスターの体は徐々に地上へ向かって落ちていった。
    「ラスター!」
     ユニコーンはすぐさま地面を蹴って宙へ舞い上がり、翼を広げてラスターの元へと飛び上がる。ラスターはユニコーンの呼びかけに振り向き、ユニコーンを視界に捉えると空中で体勢を立て直す。そのままユニコーンの背に乗ってラスターは地面に降り立った。次の瞬間、地上で待機していたマジェスペクターたちがユニコーンとラスターの元へ駆け寄ってきた。
    「ラスター! 大丈夫なの?」
    「急に光って空を飛んでビックリしたヨ!」
    「フォックス、クロウ。わたしはこの通り無事だ。心配かけたな。」
    「ふむ。何はともあれ、結界は無事に展開できたようじゃな。」
    「あっ、ラスター! よろいのヒラヒラ違うやつになってる!」
     キャットが右前足で指したのは、ユニコーンにまたがるラスターの腿を覆う布。以前は金縁に無地の白い布だったが、現在は金色の模様と水色の飾りがついた臙脂の布になっている。キャットの隣でフォックスは感嘆の声を上げる。
    「こ、これってウチらのマントと同じやつじゃない? それに鎧と武器の幾何学模様もウチらの装甲と同じだ! ってことは……。」
    「ラスターも今日からマジェスペクターだね!」
    「もしかして、ラスターも風の魔法使えるようになったんジャナイ?」
    「おいおい。そいつの服装が変わったぐらいでそんなにはしゃぐことないだろ、大袈裟だな。」
     一同がラスターを囲んで盛り上がっている丁度その時、遠方の茂みからおびただしい数のアモルファージの群れが現れた。ユニコーンは険しい表情で呟く。
    「どうやらお喋りをしている暇は無いようですな。」
    「……そのようだ。ユニコーン、力を貸してくれるか。」
    「仰せのままに。」
     一同はアモルファージの群れへと向き直り、横一列に並んで臨戦態勢をとる。緊迫した空気の中、竜剣士は前方に並ぶマジェスペクターたちへ声をかけた。
    「わたしはユニコーンとともに敵陣の上空から奇襲をかける。敵の統率が乱れた隙に一気に崩すぞ。」
    「うむ、頼んだぞラスター。」
    「では行こうかユニコーン。」
    「はっ。」
     ユニコーンが竜剣士を乗せて空高く舞い上がる。それを察知したハエ型アモルファージと鳥型アモルファージ数匹がすかさず飛び上がり前後二列に隊列を組み二人の前方に立ちはだかる。ユニコーンは瞬時に額の角へ風を集め、前列のアモルファージに強風を浴びせて円筒状物質を砕くと同時に後列の個体ごと近くの木へ叩きつける。同胞と激しく接触した衝撃で後列の個体も円筒状物質を砕かれたのか、襲いかかってきたアモルファージは全てただのハエと鳥に戻った。ユニコーンは造作もない、といった様子で彼らを見下ろす。
    「ふん。少しは物を考えられるようだが、我らの敵ではない。」
    「油断するなユニコーン。弱点がわかっている分こちらが有利だが、どうもアモルファージは私たちの人数と比べて十倍以上いるみたいだ。」
    「……そのようですな。」
     ユニコーンと竜剣士が上空からアモルファージの群れを眺める。キメラ生物たちは大半が固まって進軍しており、時に足の速い個体が集団から抜け出しては地上に残るマジェスペクターを襲撃している。その度にフロッグが迎撃し、残りのマジェスペクターは一ヶ所に風を集めている。天高く渦巻く暴風が周囲の雲を巻き込む。幾度も竜剣士の眼前に飛び出してくるアモルファージをぎ払いつつ、雲が巨大化したところでユニコーンは呟く。
    「頃合いですな。」
    「ああ。」
     風の加護を得た竜剣士・マジェスターPパラディンが剣を振り上げると、マジェスペクターたちの起こす風と同様の竜巻が剣に宿った。剣を振り降ろすと、生み出された衝撃波が群れの中央付近を闊歩かっぽするアモルファージ数匹に襲い掛かり、それらの個体に寄生するアモルファージ化物質を砕いた。

     突如として集団の中心を射抜いた強風にアモルファージたちはパニックを起こし、バラバラの方向へと逃げ出した。
    「逃がすかよ!」
     ラクーンが叫ぶと、回転しながら激しい嵐を伴う巨大な積乱雲――マジェスペクター・スーパーセルがアモルファージへ向けて放たれ、アモルファージを一掃した。

    「あれは?」
     アモルファージを攻撃した直後ユニコーンに連れられて瞬時に安全圏へと離脱したマジェスターが問いかける。
    「あれは我々の最終奥義、マジェスペクター・スーパーセル。あの嵐に巻き込まれた者はただでは済まない。」
    「恐ろしい技だな。わたしはてっきり最後は全員で攻め込むものと思っていたが。」
    「この方がトータルの体力消費も少なく確実であるゆえ。」
    「……きみたちだけは敵に回したくないものだな。」
    「お褒めにあずかり光栄だ。」
     嵐が止むのを待って、二人は地上へ戻った。

     晴れ渡る夕焼け空の下、まだらにできた水たまりを避けながらマジェスペクターたちがユニコーンとマジェスターに駆け寄る。一同が勝利を喜んでいると、突然キャットが茂みの方を右前脚で指した。
    「ねえ、あれって……。」
     一同が振り向いた先には、一匹の鳥型アモルファージが飛行していた。
     気を失い倒れている、先ほどまでアモルファージだった動物たちの上を飛び越え一匹の鳥型アモルファージがマジェスペクター一同の前に姿を現した。警戒する一同に向かって、緑色のキメラ鷲――アモルファージ・ヒュペルは空中で陽気に挨拶する。
    「やー、どーもどーも。ごきげんよう。強いねえ、流石ウチの魔王様が見込んだ連中だ。」
    「! まだ残党がいたか!」
     ユニコーンに騎乗したまま再び剣を抜こうとするマジェスターに、キメラ鷲はわざとらしくおどけて見せる。
    「まあまあそう警戒しなさんな。オイラは魔王様から勇者様宛の手紙を届けに来ただけなんだからさ。」
    「手紙?」
    「おうよ。」
     そう言ってヒュペルは二対ある翼のうち、右側の鳥の翼に嘴を突っ込んで羽毛の隙間から一枚の封筒を取り出しマジェスターに手渡す。竜剣士ラスターPへ宛てられた封筒の裏面には竜の頭を模した複雑な紋様の封蠟が施されており、隅の方に竜魔王ベクターPの署名がある。
    「つーワケで、オイラは別に今アンタと戦う気はねえから安心してくれ給えよ。そうそう、手紙はなる早で読んでくれよな!」
    「あ、ああ。」
     ヒュペルの態度に戸惑いつつ封筒を見つめるマジェスターに向かって、ラクーンは冷めた声で忠告する。
    「おい。敵の言うことそう簡単に信用するなよ、このお人よし。その手紙、開けた途端に爆発するかもしれないだろ。」
    「んなセコい罠仕込むかっつーの! こいつはただの招待状だ、楽しい楽しい舞踏会のな! まさかバックレたりしねえよなあ騎士ナイト様?」
    「……舞踏会、ねえ。相変わらずふざけた物言いを。そろそろ高みの見物を決め込む主催者様を玉座から引きずり降ろしてやらなければな。しかし驚いた、まさかアモルファージに言葉をしゃべる個体がいたとは。」
    「ふっ、オイラはただのアモルファージじゃあないからな! オイラは竜魔王の右腕として対イグナイト、対マジェスペクターの戦闘の指揮を任された『ヒュペル=ヒュブリス大佐』だ!」
    「ん? 戦闘の指揮……? もしやきみは、わたしがイグニスターになった時一匹だけ最後まで物陰に隠れていて、最終的にわたしの武器の弾丸になったアモルファージじゃないか?」
    「さ、さあ何のことやら。」
     竜剣士の指摘にヒュペルは目を泳がせる。そんな彼に追い打ちをかけるようにユニコーンとラクーンが疑問を投げかけた。
    「大佐? それほどの実力者には見えないが。」
    「それに指揮系統もイマイチじゃない? 連携のれの字もなかったよね。」
    「う、うるせえ! 知ったようなクチを聞くな!」
    「なあ、ユニコーン。大佐ってどれくらい偉いんだ?」
    「大雑把に言えば、数千人規模の軍隊に命令できる地位だ。」
    「……確かにそこまでの大物には見えないな。」
    「キィー! 金髪、アンタが邪魔しなけりゃオイラだってちゃんと活躍できてたんだよ!」
     三人からコケにされて二対の翼をバサバサとやかましく羽ばたかせ威嚇するキメラ鷲を、ラクーンは憐れむような目つきで見上げた。
    「発言が完全に小物。」
    「あー黙れ黙れ! あの変人が金髪に興味なんて持たなけりゃ、今頃オイラは数千の同胞を率いてイグナイトんとこもここも軽々制圧できてたさ! だのに、あの変人のせいで八百長の負け戦を強いられて――」
    「八百長?」
     怒りのままに愚痴を零していたヒュペルは竜剣士の問いかけで我に返り、自らの失言に気付いてすぐに黙り込んだ。だが時すでに遅し。ヒュペルの発言の真意を確かめるべく竜剣士は問い詰める。
    「どういう意味だ? まさか、きみらはわたしに倒されるために手を抜いて戦っていたとでも言うのか。」
    「あっ、いや、その。」
     竜剣士に続けてユニコーンも容赦なくヒュペルの失言に切り込む。
    「それはまた一体何を企んでのことかね?」
    「あーいっけねえ、長居してないでさっさと帰らねえと! 勇者様宛の手紙は確かに渡したからな! あばよ!」
     二人の問いかけを無視して慌ただしく飛び去っていったキメラ鷲の背を見つめて、ラクーンは呆れたように呟いた。
    「何だったんだ、あの変な鳥。」
    「とりあえず、当面の危機は去ったと見て良いだろう。」
    「そうだね、じゃあ帰ろうみんな。……あ、ラスター。手紙を開けるのは一人になってからにしろよ、念のため。」
    「言われなくともわかっているさ、ラクーン。」
     いつの間にか動物たちが姿を消しすっかり平和を取り戻した広場から、夕日に背を向け一同は集会所へ帰還した。
    ――親愛なる勇者・竜剣士ラスターPへ
    前略 取り急ぎご報告いたします。
     藍玉月より継続しておりますアモルファージを用いた侵攻につきまして、諸般の事情によりマジェスペクター領より撤退することといたしました。
     それに伴い、近日中にダイナミスト領へ伺いたく存じます。
     新天地にて勇者様にお会いできる日を楽しみにしております。
     末筆ながらますますのご活躍をお祈り申し上げます。
    草々  
      翠玉月吉日
    竜魔王ベクターP――

    「と、まあ見ての通り普通の手紙で罠とかは無かったぞ。」
    「ふーん。要するに竜魔王の奴、ラスターが変身したのにビビって尻尾巻いて逃げ出したってこと? だっさ。」
    「ともかく、この村に平和が戻ったってことよね! もうあの変な生き物にお茶会を邪魔されずに済むんだ、よかった。」
     夕飯を囲みながら、ラスターたちは先ほど受け取った手紙について話していた。数週間振りの平穏に歓喜するマジェスペクターたちの傍ら、ラスターはベクターから手紙が届けられたことに疑問を抱き考え込む。
     あのタイミングで手紙を届けさせたということは、先ほどの戦いが始まる前から竜魔王は既に撤退することを決めていた? それに〈竜魔王の右腕〉と名乗るアモルファージの〈八百長〉発言……あれが真実であるなら、竜魔王ははなからわたしに勝つつもりが無かったことになる。だとしたら、奴の狙いは侵攻ではない? それならば、奴は一体何を狙っている?
     食事に手を付けず俯くラスターを、キャットが不思議そうな表情で見上げる。
    「ラスター、ごはんいらないの? 具合わるい?」
    「いや、少し考え事をしていただけだ。」
    「そう? ならよかった。」
    「何? 次の標的のことでも心配してんの?」
     二人のやり取りを見聞きしていたラクーンが不機嫌そうにラスターへ問いかける。
    「別にお前がメシを我慢したところで竜魔王の気が変わるわけじゃないんだしさっさと食えばいいじゃん。」
    「チョット、ラクーン! そんな言い方しなくてもいいデショ!」
    「気にするなクロウ。わたしもラクーンの素直じゃない物言いにはもう慣れた。彼はただ『今後のことは後で考えればいい、心配事は後回しにして今は食事を楽しもう』と言ってくれただけさ。」
    「はあ⁉ 知ったような口聞いてんじゃないよ! 『さっさと平らげて寝床へ戻れ』って言ってんだよバカ!」
    「ふふ、わかったわかった。」
    「絶対わかってないだろお前ー!」

     時を同じくして城の飼育部屋で研究用のアモルファージに餌やりをしていた竜魔王は、側近が近づいてくる気配を察知して振り向く。側近はふらふらと竜魔王の目の前へ進み、くたびれた様子で竜魔王に声をかけた。
    「ただいま戻りました〈魔王様〉。」
    「よお。遅かったな、ヒュブリス大佐。しかし『ヒュブリス』なんて、傲慢で不相応な野心を抱くお前にピッタリな名前じゃないか。いいセンスしてるな。」
    「……え?」
     おどけてみせた主人の口から発せられた予想外の言葉にヒュペルは凍りつく。主人は面倒くさそうにため息を一つ吐くとヒュペルの胸に刺さっている円筒状物質を二回右手の人差し指でつつき、冷めた目付きで言った。
    「通信機能、切り忘れてたろ。」
    「あ。」
     自らの失態に青ざめるヒュペルを竜魔王はわざとらしくなじる。
    「変人で悪かったな。」
    「あっ、いや、あれは言葉のアヤって言うか。」
    「んで、どーしてあいつが勝つようパワーバランスを調整してたのバラしやがったのかな、た・い・さ?」
    「ヒッ……。」
     恐れおののく側近を見つめ、一転真剣な表情で竜魔王は呟く。
    「お前の軽はずみな発言のせいで計画の難易度が跳ね上がった。責任を取って指揮権を返上することだな。」
    「ま、〈魔王様〉。ここは一つ、アイツの記憶を消しちまうってのはいかがでしょう?」
    「あ?」
    「ア、イエ。ナンデモアリマセン。」
     思わず主人の逆鱗に触れてしまったヒュペルは、主人の鋭い眼光に怯んで即座に止まり木の頂上へと逃げた。

     翌朝、ラスターは人間に変身したラクーンとフォックスに連れられて、マジェスペクターの村から数キロメートル離れた隣町に来ていた。村の方へと歩きつつ、二つの大きな買い物袋を手にラスターはラクーンに尋ねた。
    「色々と世話になったな。ところで、買い物に行くのにどうして人間の姿になる必要があったんだ?」
    「隣町は野生動物と見るや追い回してくる。だから人間に化けないと買い出しもできないってだけ。」
    「そうか。」
     悲しげに目を伏せたラスターへ、ラクーンは吐き捨てる。
    「変な気を起こすなよ? 別にボクらは隣町の連中に対してどうこうするつもりは無いからな。こういう事態でもなきゃ村の中の自給自足で事足りるわけだし。単に世の中『ぶつかり合って分かり合う』んじゃなくて『そもそも接触しない』のが正しいケースもあるってだけのこと。お前は下らないこと気にしてないでダイナミストのことでも考えてなよ。」
    「ああ。しかし、まさか畑に小判の入った壺が埋まっていたとはな。」
    「ねー。ウチらからすればただの薄い金属板だけど、ヒトにとってはとんでもないお宝みたいだね。マイゾーキン、とかって大騒ぎしてさ。」
    「村長は非常時の資金とか言ってたけど、全部売ったら隣町のお金が尽きそうなレベルの代物だったな。あっ、ラスター。〈埋蔵金〉のことは誰にも言うなよ? 人間どもが〈埋蔵金〉のありかを知ろうものなら、村を荒らして占領した挙句にボクらを酷い目に遭わすのは目に見えてるんだから。」
     ラクーンの何気ない警告が、ラスターの脳裏にとある光景を呼び起こした――初めてラクーンと出会った時にふと脳裏を過った、人間と獣人の愚かしい一面を。あまり気持ちの良くないものを思い出してしまい、ラスターは買い物袋の持ち手を握りしめ苦々しく呟く。
    「……わかっている。」

     マジェスペクターの村に帰還すると、変身を解いたフォックスは不安そうな表情でラスターへ尋ねた。
    「ラスター、ホントに一人で行くつもり? イグナイトんとこと違ってウチらんとこには外敵が攻めてくることもないし、同じ土地に住んでる仲間に対して変なこと考えるような奴もいないし、『善良な民を守るため』とか言ってウチらが村に残らなきゃいけないワケじゃない。全員でってワケにはいかないかもだけど、ウチらもラスターについて行ってサポートするよ?」
    「ありがとう、フォックス。気持ちだけ受け取っておくよ。」
    「ラスター!」
    「ヒュペルとかいうアモルファージの言った通りこれまでの侵攻が本気でなかったとしても、今後どうなるかはわからない。竜魔王の意図が読めない以上、むやみに誰かを巻き込みたくはない。」
    「でも……!」
     同じく変身を解いたラクーンは、ラスターへ食い下がるフォックスをため息交じりに諭す。
    「いいだろフォックス。本人が必要ないって言ってんだ。」
    「ラクーンまで!」
    「こいつはアモルファージからボクらの村を守るためにやって来た助っ人。村からアモルファージがいなくなったんならもうこいつと手を組む理由も無いだろ。」
    「だからって……。」
    「こいつが情けなく逃げ帰って来て助けを求めたら手を貸してやる、それでいいだろ。」
    「……うん。」
    「それじゃ、そろそろこいつをダイナミストのとこへ送ってやろうか。」
     ラクーンの提案にフォックスが頷くと、あの時と同じように光の柱が現れ二人を包み込んだ。二人は光の柱の中を滑らかに昇っていき、その中央で止まった。フォックスの下には数字の二、ラクーンの下には数字の五が洒落た書体の算用数字で浮かび上がった。昼過ぎの青い空は夜空と同じ黒色に染まり、巨大な振り子が尖った先端を白く輝かせながらスピログラフのように幾何学模様を描く。微かな鈴の音の響く中わたしの体は宙に浮かび、そのまま上空の幾何学模様へ吸い込まれていった。
    ≪続く≫
    月城 衛@月光城塞 Link Message Mute
    Sep 21, 2022 1:51:47 PM

    第一章:英雄の復活②-2 マジェスペクター編[後編]

    #二次創作 #小説 #二次創作小説 #遊戯王OCG #竜剣士 #竜魔王 #マジェスペクター #アモルファージ #10001~20000字 #英雄のキセキ ##ノベルス
    本文:約1万4千文字
    ++++++++++
    ――潮時だな、そろそろ本気出しちまってもよさげだぜ。
    ++++++++++
    竜剣士ラスターPについての妄想を綴った小説です。※同シリーズの話を飛ばして当作品から読むと一部理解不能な描写に出くわすおそれがあります。
    次回、竜剣士物語③ダイナミスト編。
    ++++++++++
    Language: Japanese version only (there is no English version).
    **Do NOT translate my novels. **
    **Do NOT execute machine translations on my novels. Machine translations such as Google, DeepL, etc. are NOT wise enough to translate my Japanese sentences into western languages. **

    more...
    Love ステキと思ったらハートを送ろう!ログイン不要です。ログインするとハートをカスタマイズできます。
    200 reply
    転載
    NG
    クレジット非表示
    NG
    商用利用
    NG
    改変
    NG
    ライセンス改変
    NG
    保存閲覧
    NG
    URLの共有
    OK
    模写・トレース
    NG
  • CONNECT この作品とコネクトしている作品