11月7日【11月7日】
北海道から東京まで移動することになった。
しかし、その間の費用は誰にも貰えない。手元にある金額では交通機関に頼ることもできない。
「泳げばすぐに着くよ」
誰かがそう言った。疑問に思うことも無く、川に飛び込んだ。冷たさも何も感じなかった。ただひたすら、無心になって泳いだ。川の中にも、川の外にも、誰もいなかった。それでも泳いだ。何かに取り憑かれたように泳いだ。気づけば、東京らしき場所にいた。
川から上がる。服は濡れていなかった。
振り返ると、とても綺麗な川が見えた。
「あれは荒川だよ」
誰かがそう言った。疑問は持たなかった。