3月2日【3月2日】
駅で帰りの電車を探していた。
どうしても会いたくない友人がいるのだが、奇しくも彼女とは帰る方面が同じである。話しかけられたくないので、一人で電車に乗るつもりだった。
電車が通過するというアナウンスが流れている。何番のホームに行けばいいのかが思い出せない。電光掲示板を見ればわかるだろうが、その電光掲示板が見当たらないのだから困りものだ。
急がないと、電車を逃す上に友人に見つかってしまう。
3番、4番も違う。真逆に向かう電車だった。そうなると、お目当ての電車は1番か2番のホームだろう。
通路を渡って隣のホームに移動する。こちらには電光掲示板があった。
しかし、時刻表示は読めたものではなかった。文字化けした文章を、更にぐちゃぐちゃ掻き乱したようなものが表示されている。
異様に低い位置にあるその電光掲示板には、蜘蛛の巣が張り巡らされている。
薄気味悪い。引き返そうとしたのだが、通ってきたはずの道が無くなっていた。混乱して立ち尽くしていると、誰かに強く背中を押された。
電車の警笛が聞こえた。