3月18日【3月18日】
レンタルビデオ店に駆け込んだ。
ゲームやDVDを探しに来たわけではない。私が探していたのは、ここに逃げ込んだであろう人物だ。
近くではテレビ番組の収録が行われているようで、それを見に来た人だかりができている。
容易には見つけられそうにない。
探しているのは、ここに来る前に出会った青年だ。経緯は明確には覚えていないが、彼は人に追われる立場であったらしい。銀色の髪と赤い目が印象的だった。
彼のはだけた服からはみ出した肩には、銃痕が見えた。どこかに行こうとするので引き止めたが、どこか不安げな目をしたまま走り去ってしまった。
どうしても放っておけない性分だ。
今までも、そうして損はしてきた。それでも追わずにはいられなかった。
場所を変えるべきだろうか。店を出ようとしたその時、入口に設置されている鏡が目に止まった。
そこに自分の姿は写っていなかった。
「そんなことをして、お前になんの得がある?自ら死にに行くようなものだというのに」
鏡から声がした。
「やりたいからやってるだけだよ」
鏡面から出てきた手を握り返して、笑ってやった。
「後悔はするなよ」
次の瞬間、鏡の中に引きずり込まれた。目の前が真っ白になって、思わず目を瞑る。
気が付くと、目の前に青年がいた。
「もう放っておけばいいだろ!どうせ、殺されるんだ」
そう言って彼は何度も私を切りつけた。鋭い痛みに顔を歪めた。両腕からは血が垂れ流されていた。
叫ぶ彼の言葉は、悲痛だった。
だからこそ放っておけなかった
「私が匿ってやる。誰にも殺させてやるもんか。だから死ぬとか殺すとか、簡単に言うんじゃない!」
手を握ったときに、爪が刺さった。
痛い。
彼も、とっくに限界だったのだろう。
大人しく寄りかかってきたのを撫でてやると、しゃくりあげるような声を上げた。