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    【FGO/アママリ】内緒話【再録】 雪深き人理の砦、そのどこかに設けられた音楽室の奥。グランドピアノの前におわすは、王妃と音楽家の二人きり。
     ピアノの旋律が、いたずら好きな少年のように駆けていく。

     ――Ah! Vous dirai-je, Maman,
     ――Ce qui cause mon tourment ?

     不意に重なった王妃の歌声に、音楽家は驚きをあらわにした。音楽家が奏でているのは〈きらきら星〉の名で知れ渡る曲だというのに、王妃が歌うのは〈恋する少女の愛の歌〉だったから。

     ――Depuis que j'ai vu Silvandre,
     ――Me regarder d'un air tendre ;

     音楽家が横目に視線を投げれば、王妃は楽しげに身体を揺らして、慈愛のほほえみを浮かべながら音楽家を見つめ歌っていた。瞳の奥からあふれでる恋する少女のきらめきが、戸惑う少年の瞳に注ぎこまれていく。きらきら、きらきらと。さんざめく星の輝きが惜しみなく音楽家へと降りそそぐ。
     音楽家は苦笑して、鍵盤へと向きなおった。王妃の歌に合わせるためだろう、奏でながらも即興で編曲していく。星を讃える曲が、恋にきらめく歌として開花し咲き誇る。

     ――Mon cœur dit à chaque instant :
     ――" Peut-on vivre sans amant ? "

     天才の名を欲しいままにした音楽家は今度こそ、かの王国の王妃、初恋だった少女ただ一人のためだけにピアノを弾いていた。王家の象徴として美しく咲きそして誇り高く散った王妃は、初恋だった少年の求婚に応えるかのように愛の告白を歌っていた。音楽家の苦笑はやがて柔らかくほつれて穏やかなほほえみへと変わり、見つめる王妃はただただ幸せそうに満面の笑みを浮かべていた。
     音楽室は春の訪れかのごとく木漏れ陽に満たされ、植物たちは瑞々しく芽吹き照る。百合と薔薇のかぐわしい匂いに包まれた二人は、鳥のさえずりや蝶の羽ばたきを見聞きした。ピアノのハーモニーは小川のせせらぎ、水辺を無邪気に可憐に踊り舞うは幼い少女と少年。再び会いまみえたことを喜ぶ王妃と音楽家。奏でながら、歌いながら、二人は幼い頃の思い出を、初恋のその瞬間を懐かしく語っていた。

    「帰ったら久しぶりに、貴方のピアノを聴かせてちょうだい!」

     かつては別れの言葉であり、切なる祈りだった。人理の砦にて再会を果たした王妃と音楽家はようやく、叶うはずのなかった約束を果たしたのだという。


    二〇一九年一月三〇日
    ゆめつき Link Message Mute
    Jun 11, 2022 8:22:45 AM

    【FGO/アママリ】内緒話【再録】

    再会の約束を果たしたアママリの、短い小話です。会話のない、小説のような詩のような短さですが、公式で約束を果たしてくれた(※FGOオケのジャケットのあれ)のが嬉しすぎてお祝いがてら書きました。おめでとうありがとうアママリ。
    #Fate/GrandOrder #アママリ

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