イラストを魅せる。護る。究極のイラストSNS。

GALLERIA[ギャレリア]は創作活動を支援する豊富な機能を揃えた創作SNSです。

  • 1 / 1
    しおり
    1 / 1
    しおり
    【FGO/龍竜】睦言【再録】 真新しいシーツの敷かれた寝具の上で、龍馬が穏やかな寝息を立てて眠っている。
     横向きに眠る彼の姿を、お竜は宙に浮いたまま眼下に臨んでいた。刀掛台にきちんと納められてしまったご自慢の愛刀。枕元に放り投げられたご自慢のリボルバー。いつも被っている帽子など床に転がってしまっている。お竜は横目にそれらを見遣るなり、腰に手を当てて、ぷくっと小さく頬をふくらませる。
    (目を離した隙にこれだ。せっかくお竜さんが茶を淹れてやろうと思ってたのに)
     ひゅんと弧を描いて舞い降りて、眠る龍馬を紅色の両脚でまたいで座る。と言っても、寝具に膝を立てているように見えてわずかに浮いているので、龍馬には体重をかけていない。
     先の戦であちらこちら汚れた海軍服に、視線が流れる。硝煙の香りでは消せない、血と汗の匂いと物の怪の臭気。人間にはわからないそれらが漂い鼻について、お竜はますます仏頂面になるばかりだった。最も自身だって似たような状態なのだが気にしない。
    「リョーマ、リョーマ。寝る前に着替えろ。そしてお竜さん特製の茶を飲め」
     ばしばしと遠慮なく龍馬の頬を叩くと、うぐっと呻き声が漏れた。
    「ああ……お竜さん戻ってきてたんだね……」
    「こら、寝るな。せめて茶を飲んでから寝ろ」
    「うん……飲むから……」
    「飲まないと、お竜さんがリョーマの服を引っ剥がして傷口を舐めるぞ」
     一瞬の間を置いて、龍馬が小さく苦笑した。薄く目を開けて、むすっとしているお竜を見上げる。
    「大丈夫だよ。倦怠感が強いだけで怪我自体はそんなに酷くない、眠れば治るさ。……むしろお竜さんのほうが酷いくらいだ。神代の化け物の刃から、僕を守ってくれた」
    「ああ、さすがのお竜さんもあれは堪えたな。いや、ねちねちとしつこい物の怪だった。あんなのと戦いつづけてるマスター人間には同情しかない。……だが龍馬、お竜さんを誰だと思ってるんだ。そら見ろ、もう治ってる」
     お竜は裾が裂けたセーラー服の上衣をひょいと持ち上げた。下乳の脇から脇腹にかけて白い肌が鈍色の鱗模様に変質し、中央に大きな切り傷――だったらしき跡があった。
     深くえぐれた痛々しい傷だったのだろうが、本人が言うようにほとんど塞がりかけている。一瞬目を見開いて、龍馬が安堵の息をついた。
    「さすがお竜さんだ。心配していたけどよかったよ……でもせっかくカルデアの腕のいい治療班に治してもらったんだから、完治するまでは手当てを外しちゃだめだよ」
    「余計なお世話なんだ」
     お竜の掌が龍馬の頬に伸びていき、頬とシーツの間にしゅるりと割りいる。え、と戸惑う龍馬の呆けた顔を上に向かせたお竜は、噛みつくようにその口を塞いだ。鋼のように硬くしかし絹糸のように柔らかな濡色の髪が垂れて流れ落ち、守るように龍馬を覆う。
     一瞬硬直した龍馬は、しかし抵抗はせずに受けいれていた。息づかいが、舌と舌の絡む音が、不規則に静寂の合間に刻まれていく。
     ややあって、お竜が舌を出したまま顔を上げた。息づかいを荒くして少しだけ頬を紅潮させている龍馬に対し、すました顔のまま口の端についた唾を拭った。
    「お竜さんなら自分で治せるし、龍馬の傷だって誰よりも簡単に治せるんだ。――そら、楽になっただろ。疲労感なら接吻これが一番手っ取り早く効くはずだ」
    「……お竜さんってさ」
    「ん、足りないのか? 足りないなら続けるぞ」
    「そうじゃなくて、お竜さんってわかりやすそうでわかりにくいというか……いや、自覚がないのかな――うーん……本当に寝たかっただけなんだけど……」
     ぶつぶつとひとりごちたあと、龍馬は深く息を吐いて仰向けになった。両腕を伸ばし、宙に浮きあがろうとしていたお竜の肩を掴み、目と鼻の先まで引き寄せる。
    「ええがか、お竜さん」
     ほがらかな口調で、しかし心くすぐる艶めいた声で龍馬が告げた。目の前で、お竜が瞬きを繰り返す。首を捻ったあと、きらりと赤い虹彩が細くなる。
    「なんだ、つがいたかったのか。それならそうとはっきり言え」
    「お、お竜さん……もう少し言葉を選んで……でも今の一言で気づけたなら、成長したってことかな……」
    「全くだ。ニンゲンたちのまどろっこしい言い回しなどお竜さんには理解しがたい習性だ。……だがちょうどいい。つがうなら龍馬は服を脱がせられるし、お竜さんが直に舐めて治せるしな。一石二お竜だな」
    「それを言うなら一石二鳥じゃあ――わっ待ってお竜さん、自分で脱ぐから!」
    「善は急げ、お竜さんは急げだ。龍馬の話が長いのが悪い」
     龍馬が軽く身体を起こしてお竜を止めようとするものの、お竜はあっという間に龍馬の瑠璃色のシャツの釦を外していき、羽織っていたジャケットごとはだけさせてしまった。身体を起こしたお竜が、巻いていた襟巻きを後ろへ放り投げ、よっと声を出しながらセーラー服の上衣を豪快に脱ぎ捨てる。人の目前で乳房をあらわにしても、お竜は顔色一つ変えない。むしろ身軽になってお竜は楽なくらいだ。
    「さあ、始めるぞ。始めるから龍馬は寝てろ」
    「わかった、わかったよ。――その前に、もう一度頼むよ」
     向き合ったまま、龍馬の指がお竜の薄紅色の唇に触れた。お竜がにかっと、八重歯を覗かせて笑う。
    「まあいいだろう、お竜さんはできた女だからな。リョーマの回りくどさに付き合ってやるのもやぶさかじゃあない。……ああ、わかってるだろうが喉元逆鱗には触れるなよ。触ったらリョーマが潰れるだけだからな」
    「はは、お手柔らかに頼むよ」
     とりとめのない睦言を交わしながら、二人は唇を合わせた。龍と呼ばれた人間の男と龍になれなかった大蛇の女の口づけは、人間のつがい・・・が行うそれと何も違いはなかった。


    二〇一九年四月三〇日
    ゆめつき Link Message Mute
    Jun 11, 2022 8:24:39 AM

    【FGO/龍竜】睦言【再録】

    龍竜なのか竜龍なのかわからない、タイトルの通りのSSです。
    全年齢セーフだと思いますが、肌色表現あるのでご了承の上でお読みください。書いてる本人はすごく楽しかったです。
    #Fate/GrandOrder #龍竜

    more...
    Love ステキと思ったらハートを送ろう!ログイン不要です。ログインするとハートをカスタマイズできます。
    200 reply
    転載
    NG
    クレジット非表示
    NG
    商用利用
    NG
    改変
    NG
    ライセンス改変
    NG
    保存閲覧
    OK
    URLの共有
    OK
    模写・トレース
    NG
  • CONNECT この作品とコネクトしている作品