イラストを魅せる。護る。究極のイラストSNS。

GALLERIA[ギャレリア]は創作活動を支援する豊富な機能を揃えた創作SNSです。

  • 1 / 1
    しおり
    1 / 1
    しおり
    R 【さいしょの光】近衛士郎〜__プロダクション〜
    「プロデューサーさん、アイドルの原石、見つけられてます?」
    「う〜ん、なかなか…ピンと来る子が居なくて」
    「まあ、まだプロデューサーになってから少ししか経ってませんし
    これからたくさん見つかると良いですね」
    「はい…」
    「ああ、そうだ。今日は原宿でファッションイベントがあるらしいですよ。
    見に行ってみたらどうですか?」
    「原宿…良いですね! 行ってみます!」

    〜原宿〜
    「とは言ったものの…」
    原宿は人が多い。
    しかもそれが狭い中で動いているから、一人一人を見つけていくのが大変だ。
    他のスカウトマンも苦戦しているみたいだな…。
    「秋だってのに、なんか暑くなってきたぞ…
    ちょっと水分摂るか」

    「自販機自販機…あった、ここだ。
    とりあえずスポーツドリンクを-…」

    「いつもありがとうね!」
    「あはは、俺はここの服が好きだから いつも買いにきてるだけですよ」
    「そうだけど、君がきてくれると助かるんだよ」
    「助かる? 何か役に立つような事してました?」
    「お客さんが入りやすいみたいでさ。ほんと、君は招き猫みたいだよ」
    「ま、招き猫って…どちらかといえば犬派なんですけど。なんつって…あはは!
    いやあ、でも、嬉しいっすね! ありがとうございます〜」
    不思議だ。
    こっちはただ見ているだけなのに、楽しんで服を選んでいたのが伝わってくる。
    そして着られている服も喜んでいるような、更には周りも嬉しくなるような…
    色鮮やかなオーラを感じる。

    「あ、あの〜店員さん…えっと、いい、ですか…?」
    「はいはい。なんでしょう」
    「こういう服、まだ初心者でどれを選んだら良いのかわからなくて」
    ああ、わかる。知らないジャンルの服ってどうしたらいいかわからないんだよな…
    「…あの、店員じゃないんですけど、良いですか?」
    「えっ! は、はい」
    「最初は自分の好きな色とかアイテムを、好きに選ぶと良いですよ。
    組み合わせとかは後で全然いいと思います。
    原宿ファッションって、素直さで出来ていると思うので…」
    「………」
    「あっ、ご、ごめんなさい! ただの客なのに、うるさかったですよね…」
    「いえ! すごく助かります、ありがとうございます!」
    –………これは。

    「ありがとうございました〜、またのお越しを!」
    「はい! ありがとうございました!」
    客も店員も、すごく幸せそうだな。見ているこっちまで笑顔になる。

    「いや〜シローくん、助かったよ!」
    「いえいえ…それじゃあ、俺もそろそろ失礼しますね」
    「うん! またよろしくね〜!」

    すれ違った瞬間だけでも、顔がきちんと手入れされてるのがわかる。
    髪もしっかりとした努力が見える…。
    アイドルみたいだ………
    …ん?アイドル?
    そうだ、スカウトしないと!
    「すみません、そこの方〜!!」
    「ん、え、えっ? ……おお、お、俺?」
    「大声で呼び止めてしまい、申し訳ありません!
    私、こういう者です!」
    「えっ、ええっと…アイドル事務所…プロデューサー…?」
    「はい!アイドルに興味はありませんか?」
    「アイ…ドル…アイドル!? アイドルって、あのアイドル!?」
    「そうです!」
    「う、歌って踊る…あの…?」
    「そうです!!」
    「………」
    「どうかされましたか?」
    「…人間違いとかではないですか? 俺に話しかけてます?」
    「えっ、はい…そうですが…」
    「ええっと……」
    「…え〜と…」
    「いかがでしょうか………?」
    「えっと…? 何で俺なんだ…?」
    「声をかけた理由ですか?」
    「えっ!?」
    「声に出ていたので…『なんで俺なんだ』って」
    「わっ、嘘だろ…あ、あ〜とえ〜と……なんかすみません…」
    「いえいえ。でも、そんなに素敵なコーディネートなのに、
    あまり自信をお持ちでないんですね」
    「あ〜…そう、ですね。正直ドキドキしながらいつも原宿歩いてるんで…ははは。
    好きなものをいっぱい集めて、自分を宝石みたいになるように磨いて、
    コーディネートして…って頑張ってますけど。
    原宿の自由さが大好きなんですけど、自由すぎてもダサくなってしまうんで。
    ん〜と、なんていうか、ある程度のルール…型を見つけなくちゃいけないんです。
    でも、たくさん好きな物があるから、型の選び方がわからないっていうか。
    なんていうか…」
    「…」
    「あああっ! ご、ごめんなさい!
    俺、言葉が長いんですよね…メールとかだともっと短くまとめられるんですけど!
    本当に、本ッ当にすみません!!」
    「そ、そんなに謝らないでください。
    真剣さが伝わって、すごく良いなと思いました」
    「ええっ、そ、そうなんですか…?」
    「はい。そしてその真剣さから産まれる魅力は、周りも巻き込める素晴らしい物です。
    じゅうぶん、誇って良いレベルの物ですよ」
    「…!」
    「少なくとも、私はあなたのファッションには強い輝きを感じています」
    「…お世辞でも嬉しいです。すごく、その…励みになります。ありがとうございます。
    …さっきのアイドルのお話、一旦家に持ち帰ってから検討してみても良いですか?
    今、すごく嬉しいんですけど、勢いでこういうの決めるのは怖いから…あはは…」
    「はい!もちろん大丈夫です!」
    「よかった。ありがとうございます。それじゃあ、失礼しますね」
    「はい、お返事お待ちしております〜」
    よかった。ひとりスカウト出来たぞ…!
    この調子で頑張るぞ!
    だけど…何か忘れているような…。

    「今日のファッションショー、好きなモデルが結構出るんだ〜!」
    「え〜、良いなあ! 私の好きなモデルが出てたの前回だったんだよね〜」
    ファッションショー…モデル…
    「……ああっ!?」
    そうだ、今日はファッションショーを見にきたんだった!
    「ええっと会場は…ここから先のこの店を右に曲がって…?
    だ、ダメだ、見えない…! でもとにかく進むしかないな…」
    人の波がすごい、頑張らないと流されそうだ…
    原宿っていつもこんなだったか? もう少し落ち着いていたような…
    「今日は人の量がすごいね〜」
    「なんか今日、ショーもやってるらしいよ」
    「え〜!? じゃあウチらが行くイベントの客と、ショーの客がドバッと来てんの?」
    「たぶんそれ〜。どっちも人気だもんね」
    「マジか〜。でもここまで増えなくて良くね? もはやウケる〜」
    そうだったのか…流石、原宿! と言った感じだな……。

    今見えるのはこの店だから…ここを右に曲がって…
    「着いた…のに入口がない? ど、どういう事だこれ、ええっと…」
    「あ、あの!」
    「ん?
    …ああ、あなたはさっきの!」
    「すみません。名前を名乗ってないな〜と思って…そしたら見かけたので声を〜…って、
    息切れすごくないですか!? 大丈夫ですか!?」
    「ちょっと…原宿を舐めてました…」
    「あはは! 原宿はカワイイ分、気が強い街ですからね〜
    芯がめちゃつよなんですよ〜」
    「め、めちゃつよ…?」
    「あっ! いや、なんでも…」
    「そうだ、あの、すみません! ちょっと道を聞きたいのですが…」
    「道?
    …あ〜ここか。ってことは裏側に来ちゃってますね。
    俺もここの近くにある店に寄ろうと思ってたので、一緒に行きましょうか〜」

    「ここですね〜」
    「あ、ありがとうございます…(あっという間に着いてしまった…!?)」
    「それじゃあこれで…って、また名前言うの忘れるところだった! あぶねあぶね…
    俺の名前は、近衛 士郎って言います。よろしくお願いします〜
    ちなみにこのビルの一階にあるタピオカがめっちゃ美味いのでおすすめですよ〜。
    んじゃ、失礼します!」
    「はい! ありがとうございました!」
    …な、なんていうか…
    「原宿博士…みたいだったな……」

    〜翌日〜
    「お、メールだ」
    『件名:スカウトの件について/近衛士郎』
    「返事か!?」
    『先日は原宿にてスカウトして頂き、誠にありがとうございました。
    お誘い頂いたアイドル活動についてですが-…』

    「ということで、新しく入った近衛士郎さんです!」
    「ハイ!! よろしくお願いします!」
    緊張してるな…
    「何か一言とかあれば、聞かせてくれるかな?」
    「えっ、ええっと…」
    「無理に取り繕わなくてもいい。素直に話してくれればいい」
    「…っじゃ…じゃあ。
    ……まさか俺がアイドルにスカウトされる日が来るなんて、夢にも思っていなかったので、
    本当にびっくりしてるんですけど…
    スカウトされて、もっと自信を持っても良いのかな、とか…自信持って行きたいな〜とか…
    あとあと、俺の力で原宿ファッションを広めて行きたいな〜とか!
    やりたいことが今、たくさんあって…夢見るのがすごく楽しいです!
    あっ、また話しすぎちゃった、すみません…!」
    「ははは、構わないよ。そういうのはたくさん聞いておきたい」
    「そうですか? まあ、でも、そう言ってもらえると救われる…かも、です。
    ……えっと。
    今めちゃくちゃ嬉しいんで!!これから精一杯頑張りますんで!
    よ、よろしくお願いします!」
    「ははは、まだまだ緊張が解れてないな」
    私にはそう見えなかったけれど…さすが社長だな。見習わないと。
    それから-…
    「こ、近衛くん!」
    「えっ。あ、えっと」
    「な…なんて呼べば良いかな?」
    「ええっ、え、えっと…
    みんなからはシローって呼ばれてます…けど…」
    「じゃあ、シローくん! これからよろしくね!
    自分もまだまだ新人だけど、精一杯サポートするよ!
    一緒に成長していこうね!」
    「………!」
    「シローくんも、普通に喋ってもらっていいからね」
    「ふ、普通に…?」
    「うん、めちゃ普通に!」
    「…ふっ、あはは! そんなラフでいいんですか?
    じゃあ〜ん〜と…
    改めて、これからよろしくちゃんだ〜! つって、なはは〜!」
    「おう! よろしくちゃんだあ〜!!」
    私がどんどん、この子のいいところを引き出してあげられるように、
    頑張っていかなくちゃな!


    R 【さいしょの光】近衛士郎  END
    ぴた Link Message Mute
    2022/07/10 22:25:55

    R 【さいしょの光】近衛士郎

    創作アイドルがスカウトされる時の話を 某アイドルゲーム風に書いた物です。
    プロダクション名決めてないのでアンダーバーになってます。
    #創作 #オリキャラ #オリジナル ##創作 ##近衛士郎

    more...
    Love ステキと思ったらハートを送ろう!ログイン不要です。ログインするとハートをカスタマイズできます。
    200 reply
    転載
    NG
    クレジット非表示
    NG
    商用利用
    NG
    改変
    NG
    ライセンス改変
    NG
    保存閲覧
    NG
    URLの共有
    OK
    模写・トレース
    NG
  • CONNECT この作品とコネクトしている作品