「ゲフンゲフン!」
「ここぞというビッグなウェーブには必ず乗る。流石だな」
「そこ、ふざけてないでDカラよこせェ…」
「ちょっと待て。このマジックハンドは掴みにくい」
「そこに置けよ。取りに行くゥ…」
「何を言うか、そんな病人に床を這いずらせるわけにはいかん」
「好意は有難ぇがそこに置けェ…」
「まあ待て案ずるな。今ふたを開けて、ペットボトルを、こう… あっ!
「想定内ィ…」
「出たか」
「急かすんじゃねェ…」
「今どこだ」
「ドアを閉めたトコだ…」
「よしあと10分で消毒に行く」
「スマホ必要かァ…?」
「エアロゾル感染を舐めるな」
「今どこだ」
「廊下だァ…」
「あと一息だ、踏ん張れ」
「部屋に入ったぞォ…」
「よし、よく頑張った。手伝えなくてすまない」
「どうでもいいがトイレのたびにこれやんのかァ…?」
「ん?嫌ならよすが。部屋におまるを…」
「やめろォ…」
「おいおいマジかよこの検査キット。9度6分叩き出してんのにまだ陰性ってかァ…?」
「発熱してからだいぶたつが」
「だよなァ…」
「唾液の出し方が足りんのかもしれん。絞り出せ」
「無茶言ってんじゃねェ…」
「梅干し画像送るか?いいのを持ってる」
「鼻に突っ込む方が良かったかもなァ…」
「もしかしてただの風邪では」
「職場の両隣りが感染だ。無理だなァ…」
「おい大変だ」
「どうした」
「俺が妖精だ」
「ハ…?」
「俺が陽性だ。聞こえたか」
「一体全体どういうつもりだァ…」
「鼻に突っ込む方を試してみたが」
「持ってたのかよ…」
「久しぶりだな」
「そうだなァ」
「熱も下がって良かったな」
「そうだなァ」
「これで心置きなく会話ができる」
「変わりねェだろ」
「何だと?今まで感染に神経をすり減らして倒れそうだったというのに」
「ピンピンしてんじゃねぇかァ。ほんとに陽性か?」
「このまま無症状で乗り切りたいと思う」
「どうかねェ」
「覇気の欠けた突っ込みが寂しい」
「いやまだ病人…」
「もう歩けるか。基礎体力が違うな」
「40度超えてからが勝負、そう思ってた時もあったなァ」
ピンポーン
「来たぞ」
「せァさーッすゲフン、そこ置いといて下さいィ」
ドスン!
「行ったな」
「これかァ」
「これは」
「一人分だがすげェ量だ」
「有難く頂こう」
「中身はァ」
「Sトウのごはん、Sトウのごはん、Sトウのごはん、Sトウのごはん、
「次はァ」
「Pカリ、
「食料だけでいい」
「鯖水煮缶、鯖水煮缶、鯖水煮缶、鯖水煮缶、
「次はァ」
「Dんべえ、Dんべえ、Dんべえ、Dんべえ、
「次はァ」
「もういいだろ」
「メニューが限られるなァ」
「クミンとゴマ油があれば世の中どうとでもなる」
「それはそゥ」
「ゲフンゲフン!」
「喉にきたなァ」
「 …ぇが ……ぃ」
「俺よりひでぇな」
「 …っは ……ぃが」
「Dカラ飲むかァ?」
「 ……ラ …ぃ」
「そういや俺が飲んだんだった。悪ィ」
「 …リ」
「そういや届いてたなァ。持ってきてやる」
「 …ぅん」
「りんごすりおろすかァ?」
「 ……ンゴ …ぃ」
「そういや俺が食ったんだった。悪ィ」
「 ……ぉって ……ょかった」
「ありがとよ。お前もゆっくり休めェ。ところで」
「 …?」
「こんな時に病人に伝えるのもあれだがよォ」
「 ………?」
「トイレがつまった♡」
「 ………ぅ わぁ♡」
朦朧としてうっかり食料支援にポチしてしまった人たち。
適当なことも言ってますがお気になさらず。
覇気はない。ないです。
2.14 追記
んあ、いつものあれを忘れているではないか。
フィクションです…(こんなノンフィクションがあるか)。
トイレのくだりだけフェイク入れの聞いた話。
567患者の家には何が起こっても業者は立ち入れぬという…。