見てきた。いきなりド────ン！！であったのには驚いた。アニメ刀鍛冶の里編第一話、恋柱甘露寺と炭治郎のエンカである。このシーン、原作ではゆっさゆっさゆっさ、ペタン、ウワーン！！ってイメージだったのであの秒の速さは新鮮で良かったと思う。流石柱である。捌倍娘に激しく体当たられながら前を閉めるべく奮闘する炭治郎も良かった。ちくしょう今回もいいじゃねえかアニメ…。いやそのシーンだけではないけれども…。

恋の呼吸とはまた思い切ったもので、登場したときはさぞかし他の呼吸の使い手に驚かれたことと思う。不死川とかイラっとしただろうな、でも強きゃいいのだ。型のネーミングも当然全て蜜璃ちゃんの考案になる訳だが当時のいいとこのお嬢さんにしてはちょっとはすっぱな言葉選びかな。だって恋猫しぐれ、揺らめく恋情・乱れ爪である。当時の少女界的な啓蒙系世界とはどこかしら違う匂いがしてくるようではないか。まあいいか。この蜜璃ちゃんや伊之助の創作呼吸を見るところ、アニオリでもあった通り呼吸というのは使用者それぞれにアレンジを加えかなり自由に生み出し変化させていくものなのであるらしい。例えば冨岡の拾壱ノ型、凪。例えば善逸の漆ノ型、火雷神。しかしそれが長く受け継がれていくのかということはまた別の問題であって、他より優れた力を持つからこそ新たな技を生み出せるのだろうけれど逆に言えばそうでない人間にそれを同じようにマスターすることは容易ではないだろうし、何より他人に綿密に伝授する時間は現役隊士には恐らく圧倒的に足りない。創られては消えていった呼吸や型も今まで数多あったことであろう。そういう意味で奥義「煉獄」が幼少から寝食を共にし歴史の積み重ねもある炎柱代々一子相伝（違うか？）の煉獄家で生まれ（多分）伝わったのはむべなるかなとは思うし、また竈門家がヒノカミ神楽を後世まで伝えることができたのも、偏に炭吉の熱意と記憶力の良さに加え、一般人であるゆえに鬼狩りとは違って戦いなどには脅かされず代々長きにわたって反復ができたというような事情もあったのかもしれないなあなどと思ったりもする。まああくまで対鬼に関してだけではあるが。

甘露寺蜜璃の愛刀は　極めて薄く　柔い。この文章も相まってこの一コマの蜜璃ちゃんはセンシュアルでコケティッシュに映る外見でありながらかっこ良く何ともチャーミングで大層に魅力的（大事なことだから2回）である。型を放つときしなやかな体幹を最大限に使う、そう、しなやかであるということが甘露寺蜜璃の第一にして最大の印象であって、本人もそれを自覚し戦いに必要な資質だと思っているからこそ彼女の柱稽古はレオタード着て地獄の柔軟ストレッチなんだろうな。普通の女の子の悩みと単純さを持ちながら、否むしろそれ故にその愛刀のように折れる事無く優しくも強い。ところがこの恋柱を凌ぐしなやかさを持つ男が蛇柱なのである。
ＦＢ２によれば彼の肩、肘、手首の関節だけなら（だけなら！）甘露寺よりも柔らかくしなる。そしてそれを指摘したのが煉獄であるというところが何ともぐっとくるのである。煉獄さんという人は人の技への観察眼が鋭く、というか柱の印象にほぼ闘いの力量しか書いてない。悲鳴嶼さんがほぼ人間観察に特化しているのとは大違いである。冨岡が努力家であるということにもちゃんと気付いている。どうしてだ。そしてそんな人の技量のあれこれにはとても敏い人であるのに彼は人の名前を覚えない。炭治郎は呼び間違えるし最後までかまぼこ三人プラス禰豆子をきちんとした名前で呼ぶことはなかったのである。この辺り、親友の恋心にも気が付かず当の甘露寺はアホっぽくて好きじゃないという位他人の心情には疎いところのある不死川が初見（これ見たのではなく耳にしたというニュアンスで書きたいのだが適当な言葉がなさげ。初耳は違うし、心情的には初聞と書きたいところ）の人間を即座にフルネームで呼び捨てるのとは真逆な感じ。感性の向いてる方向が皆違うんだろうな、ということを思わせてくれるのもまた鬼滅のキャラ創作の楽しみである。

恋柱亡き後、恋の呼吸はもう世に存在しなかっただろうか。姉の花の呼吸を見よう見まねで身に付けたカナヲのような誰かが恋柱の身近にいただろうか。続けていけるものとそうでないもの。現代にまで神楽として受け継がれたものとは違う、ただその人一代限りの唯一の輝きがそこにはあったのかもしれない。

うーん興奮のあまりあっちゃこっちゃとりとめのない文章になってしまったな。とっちらかりついでに言うと今回は常になく前方の席での視聴になったのだが、ちょうど視線の先が小西さんの足元であった（ライビュ2日目である）。何度も目に入ったのであの柄入りのドクマはどこのもんじゃいということが頭に引っかかってつい検索してしまったがこれか？若いのお。
https://uptodate.tokyo/a-cold-wall-x-dr-martens/