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    「2だとォ」
    「まさかこんな事態になろうとはな」
    「遅まきすぎねぇかァ?」
    「暦通りに働いている者ばかりではないということだ」
    「おかしいなァ前は暦通りだった筈だが」
    「大方転職でもしたんだろう」
    「で全裸なのかァ」
    「全裸だが」
    「進歩ねえなァ」
    「お前が言うか。しかし今回は一味違うぞ」
    「何だよ」
    「狭苦しい家を飛び出して温泉旅館でのびのびと全裸だ」
    「事案待ったなしィ」
    「旅館の仲居さんはどんな戦慄すべき事態を目の当たりにしても動じない教育を受けているものと相場が決まっている」
    「いやしまえや」
    「冗談はさておき久々の温泉だな」
    「567発生からこっち、遠出もままならなかったからなァ」
    「何かうっすらと記憶があるな。2年ほど前、(あの雲海の見える宿にまた連れてってやりてえなァ)、だったか?」
    「………それは違う奴ゥ」
    「そうなのか?」
    「当然だァ。山越えで穴ボコにはまってるのも違う奴だ」
    「猫に足をかじられてるのと車で米津聞いてるのも別人ということだな」



    「まあ、呼ばなきゃこねぇし問題ねぇな」
    「これで誰憚ることなく全裸だ」
    「どうせ布団も敷きっぱだしなァ」
    「旅館の布団というのはいつもふかふかで良いな」
    「昨今かまびすしいベッドバグもいねぇだろ」
    「山と風呂しかない。最高だ」
    「露天なんかキツツキの音しか聞こえねェ」
    「たまに鳥の落とした虫が湯に落ちてくる」
    「卓球はあってもよかったかなァ」
    「子供時代キャッキャウフフと温泉卓球を楽しんでいた俺と姉に赤ら顔の中年が声をかけてきたことがあってな」
    「ヘェ?」
    「お姉さんたち楽しそうだねえいいねえと」
    「ナンパかよ。姉さんキレイ系だもんなァ」
    「次にそいつはペンホルダー捌きも鮮やかなアラ古希程のご婦人たちにこう言っていた。奥さんたちお若いねえいいねえ」
    「いやァそれは」
    「卓球をプレイする女が癖だったのかも知れんな」
    「…単なる卓球好きの人のいいおっさんじゃねえか?」




    ロックアイスにラフロイグとソーダを雑に突っ込み、ちびちびやりながらホールで戯れに”As Time Goes By”を一本指で弾く不死川。

    「不死川」
    「ン?」
    「俺は昔からピアノを弾く男に弱いんだ」
    「そっかァ」
    「でも、アドヴォカートにミルク入れたのを寝しなに飲む男にはもっと弱い」



    「…おいおい何だよこれはァ」
    「ザファーストゴールデンな俺らのアレのオリジナルだそうだ」
    「解釈違いィ」
    「そんなちゃんとしたものじゃない」
    「基本ふざけてるだけだからなァ」
    「それはそれ、これはこれ」
    「そゥ」
    「こういうのが20本くらいあるらしいぞ」
    「なんかなァ」
    「ピアノといえばクッパの弾き語りはhotだったな」
    「かつてのデイヴィジョーンズの演奏もcoolだったぜェ」
    「誰かを思って弾くピアノはいつも心に響くものだ」
    「いや、今その感想適切かァ?」
    「適切じゃないか。一番気になったのは最後のサックスだったがな」
    「結局何だったんだァあれは。しかしキノピオには何故か親近感が湧いたなァ」
    「聞くところによるとそれの中の人はホラー映画が苦手らしい。どうしてもの時は両手で顔を覆って指の隙間から見るそうだ」
    「…え大丈夫かァ?血生臭ぇ役もあるんじゃねぇの?」
    「プロは凄いな。俺達には逆立ちしてもできない芸当だ」
    「逆立ちじゃねぇが足でピアノ弾く奴はいたなァ」
    「また古いネタだな」
    「ところで俺らにもやれるピアノはねぇのか」
    「弾かない曲があるから全裸連弾で弾かないはどうだ」
    「ただの全裸二人じゃねぇかァ。どうせならtnkで鍵盤を
    「それはもう某国大統領がやっている」




    「見ろよ、蛇だぜェ」
    「白い蛇は神の使いだというな」
    「見たことねぇけどなァ」
    「露天の岩で日向ぼっことは優雅なことだ」
    「一応フロントに言っとくか?蛇嫌いな奴もいんだろ」
    「湯にさえ入ってこなければ可愛いものだが」
    「シマヘビだしなァ」
    「確かに伝えたたほうがいいな。湯に潜んだところをナニかと間違えて握ってはまずい」
    「そんな長くねェだろ」
    「そもそも蛇は湯に入るものなのか」
    「知らんけどォ」
    「ところでこれは実話なんだが」
    「誰のだよ」
    「誰でもいい。そいつは夜に山中の露天風呂の脱衣所にいた。暑いので戸は開いている。ほかに人はいない」
    「もう怖いわ」
    「仄暗い電球の明かりがクリーム色の壁を照らしている。ふとそいつは壁が動いたような錯覚に捕らわれた」
    「気のせいだなァ」
    「気のせいかと思って脱衣を続けたが、ふと上を見ると小さな斑点が壁にたくさんあるのに気が付いた」
    「怖い怖い怖い」
    「男は目を凝らした」
    「やめろォ」
    「それは天井と部屋上部の壁を埋め尽くして張り付いたヤママユの模様だった…」
    「ヤママユってなんだよ?」
    「あー…」



    「この味噌の塩梅がいいな」
    「木の芽がくるなァ。叩いて乗っける瞬間も好きだ」
    「家で山椒を育ててみるか?」
    「御免だぜェ。あのダンダラが湧くだろォ。怒ると角まで出す」
    「シルバースプーンではないが植物を持つと蝶が親の仇のように見えてくるからな」
    「モンシロチョウもアゲハも不倶戴天の敵だァ」
    「敵が多いぞ」
    「ダンダラと王蟲的なのとぬめッとしたのはよくねぇなァ」
    「お前が海でぬめっとしたアメフラシを捕まえたことがあったな」
    「あァはっきり覚えてるぜェ。テメェは開口一番『それは食えるのか』と聞いた」
    「誰しも抱く当然の疑問だ」
    「違うなァ」
    「で食えるのか」
    「何度でも言うぜェ。知らん」
    「あの後検索したがチーバくん地方では食すらしいぞ」
    「んな事言ってたらまた小腹がすいてきたなァ」
    「ウフマヨにミモレットで軽くコノスルでもやるか。ソーテルヌなんぞないが俺がいる」
    「いや20本に寄せねぇでいいから」




    「今回あんま全裸である必要なかった気がするぞォ」
    「全裸に意味などあるものか」
    「えェ…」
    「いいじゃないか、身も心も寛いだ」
    「まァそうだな。睡眠を除く滞在時間の半分以上は風呂にいたしなァ」
    「湯あたりするかもしれんが気にせず生きよう」
    「元取る勢いで入ったよなァ」
    「インバウンドも輩もいないのんびりした宿だった」
    「輩は俺らじゃねぇのか?」
    「輩でもいい。いつまでものんべんだらりと過ごしていきたい」
    「アツゥイサムゥイで整ってる連中には呆れられそうだぜェ」
    「江戸っ子ならあちあちの風呂に飛び込むべきかもしれんが」
    「50度以上の湯に数十分は無理だなァ。もはや人外の域だ」
    「しかし今回一度もやってないんじゃないか」
    「考えてみるとそうだな」
    「どうも風呂に入ると何もかもがどうでもよくなるようだ」
    「全部水に流したわァ」
    「まとめてきたな」



    実話以外はフィクションです。
    アレはサムというかそのネタを使ったゴロウスギウラ(わかりにくい)。



    るげ Link Message Mute
    2023/05/28 0:49:05

    身近ないきものあります。ご注意ください。

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