故郷には今日も雨が降っている。
雨脚は強くなることさえないが、一日中途切れることがない。
この雨が止むとしたら……そんな話を持ち出した時、こんな話で返された。この雨は、古の戦争で命を落とした同族の涙であり、止むはずはないのだと。なにより応えたのは、生きている間に晴れ間を見ることは叶わないという、同族の嘆きだった。
だがアミダテリオンは、この雨が嫌いではなかった。書物で読んだ古の故郷には、虹が掛かっていたという。雨がなければ、虹は掛からないことを知っている。そして自分は、いや彼は、虹を掛けるための力を確かに持っているのだ。
……もう一度説得してみよう。そう心に決め、同族の集まる広場へ向かった。