線路が無くても空色警笛と共に
どこにでも現れる寝台列車
「ブルーバード」
具体的な乗車条件は文字通り
「道に迷った」人の前に現れる
付け加えるなら「人生の」
一度乗車すれば反転世界による
時空間またぎの「if」の旅が楽しめる
列車のドアをくぐればすぐに個室になっている
真正面には扉が、右手にはベッド
左手にはソファーと一体になった机
その机の上には番号の振られた
定期券サイズのタブレット
「そちらが貴方様の乗車券で~す」
「お食事や入浴いたる場面で必要なため」
「肌身離さず携帯お願い致しま~す」
とアナウンス
目の前の扉を開けようとしても開きません
手元のタブレットが唸ります
表示されたのは
〈いきさき〉
「通路」
「食堂車」
「入浴車両」
後は入力できそうな空欄
「 」
通路を選べば通路へ〈略〉
空欄をタッチすると
「???」
ぷしゅーっと扉が開きます
目の前には乗車する前の場所が
「寝台列車ブルーバード」
「発車までのお時間∞時間となっておりま~す」
「発車までしばらくお待ち下さい」
とアナウンス
「反転世界のifの世界」
「貴方様の世界と同じ世界が広がっておりま~す」
「もちろんこちらでもお腹はすきますし、普通に死にま~す」
「こちらで永眠しても構いません、そのような方滅多にいないのですが」
「お戻りの際はタブレットでお呼び出しください」
「列車はすぐにお迎えにいきますのでご安心をば」
「なお、タブレットの紛失に関しましては責任を負いかねま~す」
とアナウンス
不安にかられてすぐに列車にもどると
やはりあの客室
真正面の扉を開けて外に出ると…
「ご乗車ありがとうございました」
「またのご利用をお願いしたしま~す」
発車の空色汽笛が頭にぼんやりと残るだけで
あなたはブルーバードの旅のことを忘れていました
なんせブルーバードの乗車賃は
ブルーバードに乗った後の記憶だからです
残ったのは果たして
ちゃんちゃん
おや?
帰らずに反転世界の扉をまた開いたのですか?
はい、一度お戻りになれば乗車なされた場所から再度
反転世界でやり直しできます。
え?
過去の出来事を塗り替えやり直したいですか?
そうですか、「乗り換え」をご希望ですね
それでは当鉄道のターミナルまで時空間の旅をご堪能あれ
ということで、食堂、入浴、自室車両で途方も無い旅路をば
【食堂車・入浴車両】
「当車両では最低限のマナーをお守り下さい」
「暴力行為は厳禁出入り禁止とさせていだきま~す」
あの日を塗り替えるためにターミナルを目指す
目をくぼませてる青年
どうしても世界征服ができない独裁者
どんな手を使ってもドラゴンが倒せない勇者
【通路】を使って他の世界へいく破天荒ねぇちゃん
いつから乗っているのかわからない神出鬼没の爺ちゃん
とか、キャラを作りたくなるよね