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    前日譚「はじまりの、」はじまりの、

     かたん、ことん……かたん、ことん……
     規則的に繰り返される動き。世界の縮図―宇宙歯車<ステラ・ギア>。いつから存在するのかもわからない、世界の理が具現化された存在。
     さら……さらり……
     その歯車を動かしているのは淡く輝く星の砂。私たち管理者は、その砂を<界砂>と呼ぶ。見えない鎖で繋がれた世界―星々から零れ落ちるそれは、星の寿命の具現化であり、文字通りに星の砂、なのだった。
    「嗚呼、本当に変わらない世界だ」
    私は蝶の羽を羽ばたかせてその中のひとつの星へ向かう。今、まさに滅びようとしているその星、キーボートスへと。

     「これが、星の滅び、か」
     キーボートスに舞い降りた私は、まず上空から瓦礫が散乱する街並みを見下ろした。街並みに蠢くのは管理者が遣わした「星の獣」たちだけだ。
    「……酷いものだ、全て石化している。ここの担当の管理者は血を好まなかったようだな……」
     星の獣が次の街に向かったのを見送って聖堂跡へ降りた。聖堂ではたくさんの人間がそのままの姿で石化していた。おそらくは何が起こったかもわからないままに。
    「……」
     私は無言で聖堂を後にして、石化した街を歩いた。動いているものは何もない。時計は止まり、酒場では人々が食事をしているままで石になっていた。ステージで石化しているのは歌姫だろうか。灰色と化して元の色はわからないが、きっと美しい女性だったのだろう。
     「……これは、本当に正しいことなんだろうか……?」
     その後も街を歩いたが、そこにあるのはきっと普通の人間の日常のなのだろうと思った。中には喧嘩しているものや、男女の営みの最中のものもあったが、別にそれを醜いとは思わなかった。
     「……人間は本当にただの【糧】でその意味しか持たないものなのか……?」
     ただ長い時間を孤独に過ごし、時が来ればただ星を滅ぼして、その星の生物も滅ぼす。ただ、それだけを繰り返す「管理者」。そしてそれらを【糧】にし、また新たな世界を作り、鎖でつないで<界砂>を集めて、またその世界を滅ぼして新しい世界を――それを宇宙の終わりまで繰り返すことがそんなに偉いことなのか。
    「……私は……見極めてみたい」
     人間という、存在を。
     そして、街外れの庭園で私は運命に出会う。石と化した花の中で眠るひとりの子どもの像。理由はわからないが、私はその子どもに惹かれた。
    「……起きて」
     そっと像に触れると、途端に石化が解けてその子どもの頬には赤みが戻った。まだ目を覚ます様子はないけれども。これならば騒がれる心配もない。
    「私は、人間を見極めたい。だから、名も知らぬ君を攫って行くよ」
     私はそう呟くと、その子どもと共に【箱庭】に戻った。
      

    その直後、キーボートスは砂に還った。




    やがて閉ざされた【箱庭】の美しい花畑の中で、その子どもはその瞳を静かに開くだろう。眠った時と同じように。
    「やあ、おはよう。私の名前はプシュケ、君の名前は?」
     そしてその問いに、ひどく戸惑いながらもはっきりと答えるのだ――


    「ぼくの、なまえは――」
    晶月翠羽@絵仕事募集 Link Message Mute
    Nov 1, 2018 3:20:36 PM

    前日譚「はじまりの、」

    ーこれは、ある星の滅びの記憶―

    #オリジナル #創作 #一次創作 #異世界FT #小説 ##星廻りReB

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