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    4話 星の獣
    「来るぞ!」
     星の獣は、駆動音を響かせて俺たちに襲い掛かる。
    「おっと」
     その蹄をアルステラ・イリスで斬りはらうと斬られた部分から大量のケーブルが露出した。
    「言うまでもないけど、羊、って感じじゃないな」
    構えを解かずにリオが呟く。
    「まったくだ。こんな奴、見たこともない」
     アルステラ・イリスは刀身に不思議な炎を纏い、熱を帯びている。そうでもなければ傷ひとつこの星の獣にはつかないだろう。
    「ヴェル、あいつの弱点はあの心臓部のコアで間違いないか?」
    「うん。あそこからとても強い界砂の気配を感じる」
     星の獣の動力源は【界砂】。つまりは世界の寿命が実体化したものだとヴェルは言っていた。文字通りこいつは、世界を喰らって、その力で動いている。
    「っ!避けろ!」
     機械音を響かせて星の獣が突進。壁に激突し、壁に大きな穴が開いた。角はドリルのように回転している。まともにくらえばひとたまりもない。
    <……縛れ……!>
     完全に壁から角が抜けきらないうちヴェルが不思議な氷の鎖を形成し、星の獣を絡めとる。しかし壁に突き刺さっているので心臓部のコアを壊せない。
    <跳ねろ!>
     ヴェルが手を動かすと鎖に絡めとられたままで星の獣が宙を舞った。
     今しかない。
    「……還れっ!」
     思い切り床を蹴って、星の獣の心臓部のコアをアルステラ・イリスで貫く。ひびが入ると同時に粉々に砕け、中にあった界砂が金色に光りながら世界へと還っていった同時に星の獣はただの鉄くずとなって動きを止める。
    「やった、か」
     ふわりと床に着地する。戦いと任務は終わった。リオの提案で星の獣を構成していた金属片をサンプルとして少しだけ持ち帰ることにして遺跡を出る。ギルド支部にサンプルを渡して報告も済ませた俺とヴェルはリオと別れ、足早に家に戻った。


    「アーリエス、大丈夫?」
     部屋のソファに腰を下ろした瞬間、どっと疲れが襲ってきた。そして考えないようにしていた自分の出生の謎や、正体のことも。
    「ああ、大丈夫。けど、急に突きつけられると……な」
     白羊宮の培養槽。樹に守られて眠っていた自分。そして何よりも気になっていたのは、アルステラ・イリスのある言葉。
    <資格者よ。白羊宮のしるしを持つ者よ、そして―金の瞳の系譜者よ>
    「なあ、ヴェル……試しにだけど……金の瞳の系譜者って知ってるか?」
    「え……?」
     何気なく聞いただけなのに、ヴェルはひどく驚いた様子で俺を見た。
    「……なんて、知らないよな。とりあえず夕飯の支度するから待ってて」

     キッチンにアーリエスが消えた後、ヴェルは消えそうな声でこう呟いた。
    「……やっぱり……アーリエスは……【彼】の……」
     ヴェルはその言葉をよく知っていた。そして同時にひどく恐れていた。
    「……守らなきゃ……今度こそ僕が……じゃないとまた……きっと喪ってしまう……きっとそのためにあの人は……」

    「おーい、夕飯できたぞ!今日はステーキだ!」
     ヴェルのその声と決意は、アーリエスに届くことはなかった。


     リオはひとり、月を見上げていた。
    「大丈夫かな、アーリエス」
     もしかしたら、言うべきではなかったのかもしれない。だが、隠していたところでおそらく彼にはわかっただろう。そしてリオ自身も、アーリエスとの違いをこの目で見てしまった。
    「……アルステラ・イリス」
     特殊な武器「煌星武具」のひとつ。星の獣に対抗しうる唯一の武器。彼はそれを迷いもなく手に入れ、あまりにも自然に操って見せた。そしてあの武器とアーリエスがいなければ、今自分は無事ではすまないだろう。
     そして、最大の気がかりは。
    (……どうしてアーリエスに直々に指令が来たかだ。ギルドの上層となると星樹神殿だろうが……アーリエスはまだ有名な冒険家でもない……)
    リオはなんとなく胸騒ぎを感じていた。アーリエスは、何かに、誰かに―狙われているのではないかと。


     ステラは塔の上の自室で、ため息をついた。被害の大きさもだが、何よりも―
    「……神託が具体的すぎました。アーリエスという人は一体何者なのでしょう?」
     資料を見たところで、書いてあるのはリュイン・ルーに住む駆け出しの冒険家ということだけ。
     だが、どう考えてもそれだけとは思えない。神託が具体的に、名前を出して告げるぐらいだ。さらには無事に煌星武具のひとつを白羊宮から持ち帰ったというではないか。
    「……巫女である私よりも特別な存在とするなら―」
     ステラは本棚から古びた本を取り出す。その本に書かれているのはこの世界に残る伝承や神話。
    「……金の瞳」

    金の瞳とはすなわち世界の贄である。
    世界と運命を共にするものであり 金の瞳が死ねば世界も滅びると言われている。
    ある星では崇められ、またある星では徹底的に蔑まれ、ある星では冤罪を着せて処刑された。
    特徴は美しい金色の瞳と、世界にとって絶対的な「異分子」であること。
    例えば、魔法が普通に使える世界でただひとり魔法が使えないなどである。
    世界を守りたいならば金の瞳を守り抜け。世界を滅ぼしたいならば金の瞳を贄に捧げよ―

    「……」
     ステラは本を棚に戻して考え込む。
     神託は、世界の意思は果たしてどちらを望み―そして巫女である自分は存続と滅びのどちらを願うのかと……
    「……いいえ、私は神託に従うまでですわ。世界がそれを望むなら、私は、」
    晶月翠羽@絵仕事募集 Link Message Mute
    Dec 30, 2018 7:49:52 AM

    4話 星の獣

    #異世界FT ##星廻りの樹 #小説 #オリジナル #創作
    あらすじ
    アーリエスたちは星の獣と対峙する。その影で、時代の歯車がゆっくりと回りだす。

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