竜少女私は恐れられてきた。
当然だろう、だって竜なのだから。お父さんは「竜に生まれたなら、全てを支配しろ」と仰った
お母さんは「私、人間だから竜のしきたりとか誇りだとかは分からないの。でもね誰よりも貴方とお父さんを愛してる」
お父さんもお母さんも、人間に殺されてしまった
だから今は心の整理が追い付かないの
竜であるお父さんは人間を嫌っていた。お母さんは人間にとって畏怖の対象である竜への恐怖を減らすべく、お父さんを説得してあちらこちら街を巡り、慈善活動を生き甲斐にしていた。そんな両親と、呆気なく別れの日が来る
「ね、ほら貴方の強大な力でこの村は救われたでしょう?人間は嫌いでも、私という人間を愛したのなら、もう少し付き合って。この子にたく)
お母さんが言い終わる前に、抱き抱えられている私の顔に赤い液体が大量に掛かる
私が「何か温かい、どうしたのお」
言葉を伝える前にお父さんが聞いた事のない声でこう言った
「ふざけるなよ人間、妻が人間だから眼を詰むっていたが、これがお前らの答えか」
口に炎を溜めて大きな目でお父さんは私をじっと見つめ、己れの身体に炎を吐き散らした
「今だ、逃げなさい」
炎に包まれたお父さんは、聞いた事のない優しい声で私にそう言った。