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    嘘つきたちの夢(テスト投稿)「──例えば、俺がこの本丸の初期刀だったなら、事態はここまで面倒なことにはならなかっただろうね」
     山姥切長義は審神者が作成した書類の点検をしながら、ふとそんな言葉を零した。彼がこの本丸に配属されて数日後、近侍の役目を体験するべく審神者の日常業務を手伝っている最中の事だった。普段の丁寧な物腰そのままのなんの棘も感じられない声だった。話した内容は突拍子もなく不穏なのだが、彼は気にせず、もし明日晴れるならとでもいうような口調でそう告げたのだった。
    「長義さんは初期刀になりたかったの?」
    「それはもちろん。初期刀とは本丸における始まりの刀。審神者の片腕とも呼べる誉れ高い存在だ。憧れないはずがない」
    「そういうものなんだ」
    「そういうものなんだよ」
     ましてやその立場が偽物に奪われているとあれば尚のことなのだが、その一言だけはぐっと飲み込むことにした。攻撃するべきは審神者ではない、あくまであの偽物の方だ。相手を間違えてはいけない。
     確認した書類に問題がなかったことを伝えると、山姥切長義は手近に用意しておいた封筒にそれを詰めた。今時、情報の伝達が紙なのはどうなんだと思わないでもないが、直感的に作業できるのはやはり原始的な手法の強みである。彼らにとって生きることは戦うことだ、決してこういった雑務のために存在しているわけではない。書類に割く労力など少ないに越したことがない。
    「でも、やっぱりそんな仮定は無意味だと思う。この本丸の初期刀は山姥切国広くんなんだ。いくら長義さんが嫌だって言っても過去は変えられないよ」
    「そうだな。時間遡行でもして改変しない限り無理な話だね」
    「怖いこと言うなぁ」
     審神者の仕事がひと段落した為、山姥切長義は茶箪笥から急須を取り出し休憩の用意をし始めた。戸棚に先日購入した砂糖菓子がある。多少なりとも頭を使う仕事を終えた後ということで、いくつか小皿に取り分けた。しかし、山姥切長義は甘いものをそこまで好んで食べることはしないため、ほとんどが審神者の胃に収まることになる。夕餉の時間を考慮し、小皿に出した砂糖菓子を少し箱に戻した。
    「わたしは刀じゃないから山姥切国広くんと山姥切長義さんの心の内を想像することしかできないし、きっとそれすらほんの一部にも届かない」
    「まあ、人間に例えるのも難しい話だからね。きみはそういった思考が特別得意というわけでもないようだし」
     審神者は自分が悪く言われたことを微塵も気にせず、じっと山姥切長義の方を見つめた。だが、よくよく観察すると視線の先は山姥切長義の手にする砂糖菓子だった。まだ茶の用意もできていないというのに、山姥切長義は呆れたような顔をしながらもそっと小皿を審神者に差し出した。
     彩り豊かな小ぶりの金平糖だ。審神者はどの色にしようかな、と手をうろうろと彷徨わせながらやがてひとつの粒を摘んだ。多くの色が揃う中で審神者が選びとったのは、なんの飾り気もない白い金平糖だった。何が楽しいのか砂糖の塊を光にかざしてうっとりとした顔をしている。
    「なら、よくある『とある本丸』の話でもしようか」
     金平糖に夢中な審神者の気を引くかのように、山姥切長義はそんな言葉を投げかけていた。審神者の指に挟まれた白い金平糖をそっと奪うと、彼はいたずらな笑みを浮かべながらそれを口に放り奥歯で噛み潰した。
    「茶の用意ができるまで、砂糖菓子だけではつまらないからね」
     ああ、やはり甘ったるいな。そんなことを考えながら山姥切長義の口が紡ぐのは、とある本丸の始まりの物語だった。
    「昔々あるところに、審神者が山姥切長義を初期刀に選んだ本丸がありました」
     これは、彼にとって砂糖菓子より甘く脆い、優しい優しい嘘の世界の話。
    7saka Link Message Mute
    Nov 10, 2018 4:05:05 PM

    嘘つきたちの夢(テスト投稿)

    ギャレリアくんさんを使ってみたかったのでテスト投稿です。
    山姥切長義→審神者への人称を捏造してます。
    こういうお話を書きたいなあ、というプロローグ。
    #刀さに  #長義さに  #女審神者

    11/15 追記
    突発ペラペラ本になることになりました。ご興味ありましたらよろしくお願いします。

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    • おにいちゃんと傑作くんのたのしい姥さに会!!11/24閃華(紅一点)の無配だったものです。

      姥さに=山姥切長義×女審神者だと思い込んでいる山姥切長義くん(H.N.おにいちゃん)と
      山姥切国広くん(H.N.傑作)が姥さにオフで出会ってしまうSNSみたいなノリのゆるいお話です。

      スペースにお立ち寄りいただいた皆様、ありがとうございました!

      #刀さに #長義さに #姥さに
      7saka
    • 薄明リミット11月閃華紅一点にて頒布予定の短編集より、サンプルとして収録中の一話を全編公開します。読み切りです。
      スペース:東6ギ21a 幸花庭

      あらすじ
      山姥切国広が修行から帰還すると本丸が敵襲を受けていた。瀕死の重傷を負った審神者は救助により一命を取り留めるも、刀と刀剣男士が認識できなくなり審神者としての復帰は絶望的と告げらる。そして審神者の霊力が尽きた時、山姥切は消えてしまうと言われ……

      #刀さに #姥さに #女審神者
      7saka
    • やまんばぎりくにひろくん(テスト投稿)11月新刊の表紙用に描いたもの。
      使用画材:透明水彩、F4ストラスモア紙

      #山姥切国広
      7saka
    • [サンプル]古書喫茶とふたりの山姥切さん2/24 春コミにて発行予定の新刊サンプルです。
      姥さに+長義さに=山姥切サンドの全年齢向け小説となります。文庫サイズ128ページ、全9話、価格未定です。
      原作にない独自設定(人外審神者等)や、二人の相手との同時進行いちゃいちゃを含みます。
      長義の二人称は「きみ」としています。審神者・女の子の名前は出てきません。よろしくお願いします。

      スペース:東6ぜ58a 幸花庭
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      ◆あらすじ
       とある本丸の審神者はぬいぐるみだった。枕くらいの大きさのひつじのぬいぐるみは『義体』と呼ばれるもので、2015年から呼び寄せた娘の魂が宿っている。慣れない体で審神者として日々の務めを果たしてきた彼女は、5年の任期満了を迎えたその日、あるべき場所へ帰っていったのだった。
       そんな審神者との別れを惜しんだ山姥切国広・山姥切長義は彼女が元いた時代へと渡り、記憶を持ち越せない彼女の支えとなるべく共に暮らし、その夢を手伝うことにする。
       彼女の夢、それは彼女の祖父が営んでいたという古書喫茶の再開だった――

      #刀さに #姥さに #長義さに #女審神者
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