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    しおり
    甘やかしの首輪をしてあげる
    「以蔵さんって結構面倒見いいよね」

    夜のマイルーム。壁にもたれかかっていた男は顔を上げた。
    マスターである少女は操作していた端末を机に置いて、椅子ごとこちらを向いている。
    にこにこと毒気の抜ける笑顔を浮かべる彼女に、反射的に以蔵はたじろぐ。

    「そ、そげなこと」
    「昼間はわたしが歩いてる先に段差があることを教えてくれたし、毎回食堂でわたしの好物が出るたびおかずを分けてくれるでしょう。この間も、うたた寝してたら毛布を掛けてくれたよね。いつもありがとう」
    「ぐぅうっ……」

    てらいない笑顔は悪意が一切ないぶん、タチが悪い。以蔵のような素直じゃない人間からすると、彼女の真っ直ぐな好意はいつも心臓に悪かった。
    ──あまりにもかわいい。
    まず笑顔がかわいい。立香の笑顔は真夏の太陽のように、顔いっぱいに笑う。ちょっと小首を傾げているのも。足をぴたりと閉じ、手を膝に置いているのも、お転婆する割に女の子らしい。声も顔もかわいい。

    「お兄ちゃんがいたらこんな感じだったのかな」
    「……マスターに兄弟はおらんのか?」

    一人っ子だよ。そう答えた彼女に、以蔵は顎に手を当て考える。



    ……そんなやりとりを、確かに風呂に入る前やった。やったが。

    「う、あ」

    立香の鼻先が汗で湿った肩口に押し付けられている。男のにおいがこれまでになく濃い。
    彼女の頭を、大きな掌がよしよしと撫でた。

    「立香はええ子ちや♡よう頑張っちゅう。偉いのうっ……♡」
    「ひ、あ、ああっ……!」

    掠れ声が鼓膜を震わせ、我ながらいつもより締め付けがきつい自覚がある。それというのも、今日の彼は妙に立香を“褒める”のだ。
    なんだか凄まじく甘やかされていると気づいたのは割と初期だった。気恥ずかしいが、手慣れた甘やかしは容易く立香を篭絡した。

    「あっ、ひんっ。ひっ!」
    「ひとりで背負わいでええんじゃ」

    つむじに口づけが落ち、するりと髪を梳かれる。立香の痩身がびくびくと震えて、視界が白む。軽く達したらしかった。
    ──どこかで誰かに優しくされたかったのだろうか。甘やかされたいと。それにしたって、この破壊力は半端じゃない。
    達したばかりで敏感になっているのに、ずん、と下から突き上げられて立香の背筋にぴりぴりと甘い電流が走る。胡座を掻いた以蔵の膝の上で、華奢な身体がしなった。

    「ひゃあん!」

    快感の波を堪えるため、以蔵にぎゅうとしがみつく。その白い尻を男の掌が撫で上げた。
    ムクムクと胎内で膨らんだ男根に気を取られていると、痣ができそうなほど腰を強く掴まれる。ますます密着度が上がったことで、甘ったるい声が耳に直接注がれた。

    「はっ、ナカもこんなにトロトロにしちゅう♡ええ子や、ええ子やのう立香。ようけ出しちゃるきなっ……!」




    あんちゃんしてる以蔵さんとぐだ♀もうまい
    塩/あずまニカ Link Message Mute
    Jul 8, 2018 2:52:29 PM

    甘やかしの首輪をしてあげる

    人気作品アーカイブ入り (Jul 9, 2018)

    あんちゃんや思うてもええよ♡(首輪がっちゃん)の以ぐだ♀
    攻めのセリフにハートマークがついてるので注意
    ##男女

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    • 無題現パロ以ぐだ♀ちょっとスケベ
      近所に住むチンピラ風情以蔵さん×高1ぐだ子
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 彼女を部屋から出さないためのエトセトラ現パロ以ぐだ♀ 書きたいところだけ書いた(二十線)
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 縫いとめる蝶ツイッターで見かけたなんかえろい体位の以ぐだ♀
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 以ぐだ♀
      妙な蟲がいるらしい
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • はらわたの内側にあいを詰めるアナルセックスする以ぐだ♀(続きもの)そのいち ##男女塩/あずまニカ
    • オメガバース以ぐだ♀英霊だった頃の記憶を持つアルファ以蔵さん(ハイパー愛が重い)とベータの両親から生まれたオメガぐだ子
      この以ぐだ♀はド溺愛ものだけどこの時点で肉体関係は一切ないです
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 降り落とすそのすべて夢のような時間でした
      以ぐだ♀
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 雨の日に招き入れる以ぐだ♀
      紅いろの接吻のおはなし
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 嫌よあなたとどこぞの特異点で話してる以ぐだ♀
      コハ以×ぐだ♀でもある
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 小鳥のかかと(番外編)以蔵さん+龍馬×ぐだ子
      男の嫉妬は見苦しいと心底呆れる
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • おとぎの恋◆診断メーカー
      以ぐだを書く東ニカさんには「永遠なんてない」で始まり、「雨は止んでいた」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば10ツイート(1400字程度)でお願いします。
      #書き出しと終わり
      (コピペ終わり)
      期限付きの恋をした
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • おびとの鈴おびと=首
      診断メーカーの結果より 以ぐだ♀
      冒頭は絆レベル0〜1の以蔵さん
      中盤以降は絆レベル7くらいの以蔵さん

      〈以下コピペ〉
      1時間以内にRTされなくても東ニカの以ぐだが優しげに首筋に執着のキスをするところを描き(書き)ます
      shindanmaker.com/257927
      〈ここまで〉
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 絶夏以ぐだ♀
      試し読み
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • カルデア漂流記(1時間)絆1〜2くらいの以蔵さんとぐだ子
      初対面あたりで「わしは馴れ合いなんぞ求めちょらん。名前で呼びなや」と言ったので岡田さん呼びされてる以蔵さんと癖のある鯖に慣れてるぐだ子と以ぐだ♀
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 予期せぬ導火線(ケイぐだ) ##男女

      付き合ってない



      「マスター、明日の周回ですが……」
      「あっマスター!こんなところに!探しましたよ」
      「主殿、最近食欲がないとうかがったので、よければこちらを」
      「トナカイさん、今日はこの本を読んでほしいです!」
      「立香。ちょっと顔色がよくないんじゃ……い、一緒に食堂!行ってあげてもいいけど」
      「………………」




      「マスター」
      土に染み入る慈雨のような。深い声が耳に滑り込んでくる。
      「どうかした?」
      手元のタブレットから顔を上げると、本日マイルーム担当のケイローンが微笑んでいる。
      「参考までにうかがいたいのですが」
      「はい」
      あれ。よく見ると、先生。口角は上がっているが、目はちっとも笑ってない。何かあったのだろうかと立香はぼんやり考える。
      「あなたに愛する人がいたとして。その人が自分以外の、他者も分け隔てなく慈しむ人だったとしましょう」
      それは両思い?片思い?尋ねると、片思いだと云う。想像してみると、胸が痛かった。
      「それは……苦しいだろうね」
      胸に秘めた思いだ。身勝手な苦しみを相手に伝えられないぶん、余計に。
      ケイローンが眦を細めて「そうでしょう」と今度こそ真実の微笑みを浮かべている。いつもの花マルのそれとは違う、切なさが翳となってたち浮かぶ笑みに、目が吸い寄せられた。
      長い指が、立香の手を取り、絡められる。手を繋ぐ寸前、爪先でそろりと指の股を引っかかれ、なぜだかびくりと肩が跳ねた。「あなたにとって、私はどんな存在なのかと考えてしまう」
      引っかき傷程度では我慢ならない、と男が耳元で囁く。
      立香の顔が真っ赤になった。

      「つまりは、そういうことなのです」
      ##男女

      付き合ってない



      「マスター、明日の周回ですが……」
      「あっマスター!こんなところに!探しましたよ」
      「主殿、最近食欲がないとうかがったので、よければこちらを」
      「トナカイさん、今日はこの本を読んでほしいです!」
      「立香。ちょっと顔色がよくないんじゃ……い、一緒に食堂!行ってあげてもいいけど」
      「………………」




      「マスター」
      土に染み入る慈雨のような。深い声が耳に滑り込んでくる。
      「どうかした?」
      手元のタブレットから顔を上げると、本日マイルーム担当のケイローンが微笑んでいる。
      「参考までにうかがいたいのですが」
      「はい」
      あれ。よく見ると、先生。口角は上がっているが、目はちっとも笑ってない。何かあったのだろうかと立香はぼんやり考える。
      「あなたに愛する人がいたとして。その人が自分以外の、他者も分け隔てなく慈しむ人だったとしましょう」
      それは両思い?片思い?尋ねると、片思いだと云う。想像してみると、胸が痛かった。
      「それは……苦しいだろうね」
      胸に秘めた思いだ。身勝手な苦しみを相手に伝えられないぶん、余計に。
      ケイローンが眦を細めて「そうでしょう」と今度こそ真実の微笑みを浮かべている。いつもの花マルのそれとは違う、切なさが翳となってたち浮かぶ笑みに、目が吸い寄せられた。
      長い指が、立香の手を取り、絡められる。手を繋ぐ寸前、爪先でそろりと指の股を引っかかれ、なぜだかびくりと肩が跳ねた。「あなたにとって、私はどんな存在なのかと考えてしまう」
      引っかき傷程度では我慢ならない、と男が耳元で囁く。
      立香の顔が真っ赤になった。

      「つまりは、そういうことなのです」
      塩/あずまニカ
    • 宝物は掌の中渚の藤丸(水鉄砲装備)に寄せて
      以ぐだ♀
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 夏の浜辺の女の子リクエストいただいた水着でわちゃわちゃ(してるのは地平線あたりに行かされてる人たち)以ぐだ♀
      しれっと第一部ねたばれ注意
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • あのね(アイミア) ##男女


      数日間の逃亡期間、アイゼンはぽつぽつと己の話をしたが、少女は触れ難い静けさをもってほとんど自分について語りはしなかった。
      彼女の持つ、痛みに由来する静けさは、アイゼンが持っているものとよく似ていたから、時折落ちる沈黙は苦痛ではない。


      目は相変わらず塞がれたままで、恐らく治る見込みはない。
      アイゼンはつと少女の膝の上で覚醒した。
      水のにおいが立ち込める。どうやら泉のすぐ近くのようだ。熱で気を失う寸前「ちょっと休憩する」と彼女が口にしていたと思う。
      夏の突き刺すような日差しを、生い茂った青い葉が遮る。敵国で、自分たちが追われている状況でなければ。──いちばん大切な人の行方がようと知れぬ現実さえなければ。穏やかな昼下がりといえたかもしれない。
      けれどその人は。アイゼンの生きる理由であり、根幹をなす。何を置いても失い難い大切な人であったから、アイゼンは現実を片時も忘れることなく、帝国に塞がれた目の下で、瞋恚の焔を燃やし続けている。
      「おい」
      アイゼンが気を失っていたのはそう長い時間ではなさそうだが、どうやらアイゼンを膝に乗せた帝国の娘はすっかり寝入っているようだった。普段より高い体温、規則的な呼吸。呼び鈴がわりの長い髪を引っ張っても、返事はない。
      「……なあ」
      いつも丁々発止のごとく言い返してくる相手が黙っていると調子が狂う。
      アイゼンはふかふかとは言い難い枕の上で、しばしの間思案した。
      『あのね』
      虫の音が響く寝苦しい夜。
      『眠れないなら、頭の中で羊を数えればいいのよ』
      帝国の連中は毎晩羊の数でもかぞえてんのか。アイゼンはそんな風な軽口を口にしたように思う。
      『羊が好きなのか?』
      意味のないからかいに『……うん』心を込めて頷いた娘の声が、耳にこびりついている。


      「あのね、アイゼン。愛してる人はいて?」
      夕暮れに彼女の影は濃く伸びていて、手にした剣も黒々とした影の中。
      夢の中で会う少女は、いつしか憎い女と同じ顔になって、紫苑の瞳で微笑んでいる。


      アイゼン×ミレディアという地獄のごときCPが最推し
      ##男女


      数日間の逃亡期間、アイゼンはぽつぽつと己の話をしたが、少女は触れ難い静けさをもってほとんど自分について語りはしなかった。
      彼女の持つ、痛みに由来する静けさは、アイゼンが持っているものとよく似ていたから、時折落ちる沈黙は苦痛ではない。


      目は相変わらず塞がれたままで、恐らく治る見込みはない。
      アイゼンはつと少女の膝の上で覚醒した。
      水のにおいが立ち込める。どうやら泉のすぐ近くのようだ。熱で気を失う寸前「ちょっと休憩する」と彼女が口にしていたと思う。
      夏の突き刺すような日差しを、生い茂った青い葉が遮る。敵国で、自分たちが追われている状況でなければ。──いちばん大切な人の行方がようと知れぬ現実さえなければ。穏やかな昼下がりといえたかもしれない。
      けれどその人は。アイゼンの生きる理由であり、根幹をなす。何を置いても失い難い大切な人であったから、アイゼンは現実を片時も忘れることなく、帝国に塞がれた目の下で、瞋恚の焔を燃やし続けている。
      「おい」
      アイゼンが気を失っていたのはそう長い時間ではなさそうだが、どうやらアイゼンを膝に乗せた帝国の娘はすっかり寝入っているようだった。普段より高い体温、規則的な呼吸。呼び鈴がわりの長い髪を引っ張っても、返事はない。
      「……なあ」
      いつも丁々発止のごとく言い返してくる相手が黙っていると調子が狂う。
      アイゼンはふかふかとは言い難い枕の上で、しばしの間思案した。
      『あのね』
      虫の音が響く寝苦しい夜。
      『眠れないなら、頭の中で羊を数えればいいのよ』
      帝国の連中は毎晩羊の数でもかぞえてんのか。アイゼンはそんな風な軽口を口にしたように思う。
      『羊が好きなのか?』
      意味のないからかいに『……うん』心を込めて頷いた娘の声が、耳にこびりついている。


      「あのね、アイゼン。愛してる人はいて?」
      夕暮れに彼女の影は濃く伸びていて、手にした剣も黒々とした影の中。
      夢の中で会う少女は、いつしか憎い女と同じ顔になって、紫苑の瞳で微笑んでいる。


      アイゼン×ミレディアという地獄のごときCPが最推し
      塩/あずまニカ
    • おとぎの恋◆診断メーカー
      以ぐだを書く東ニカさんには「永遠なんてない」で始まり、「雨は止んでいた」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば10ツイート(1400字程度)でお願いします。
      #書き出しと終わり
      (コピペ終わり)
      コハ以蔵×ぐだ子版
      あなたの玉の緒を小指に巻きつけることも叶わず、泡に消ゆ
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 百発百中ルルハワ以ぐだ♀
      と言いつつほぼぐだ子は出てきません 土佐トリオ中心
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • そうやってあいしてね新婚さん要素をあんまり感じないけど新婚さん以ぐだ♀
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 光降る夜の花のこといとしい女の草舟に糸をくくりつけてやりました
      裏垢に投稿していた以ぐだ♀
      ヤミヤミ度 ★★★☆☆
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 塩の刃絆4の以蔵さんと退けない旅路を行くぐだ子のお話。
      筆者はバリバリの以ぐだ♀のつもりで書いている。
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • この手は赤い忌まわしくも/呪わしくも/慕わしくとも
      絆5以上ある以ぐだ♀
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 小麦いろの肌のきみが離さなかったので新魔術礼装アロハぐだ子ありがとう
      以ぐだ♀in海の家
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • さながらの海枕になってほしい
      あなたにしか言わないから
      以ぐだ♀
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • デイドリーム 上ランぐだ♀(剣スロ×ぐだ子)
      ゆるい世界線 上下編
      ※エロシーンは後半からです。すみません

      ##男女
      塩/あずまニカ
    • あなたを脅かす/誘惑する/とろかす影になりたい二臨姿の以蔵さんとぐだ子の以ぐだ♀
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 叶うならば以ぐだ♀
      絆8くらいありそう 護衛中の以蔵さんと護衛されてる途中でくちびるで手や指の股に触れられて、なんだかぞくぞくしているマスターと

      死が、貴女に追いつくことのないよう

      ##男女
      塩/あずまニカ
    • あのね(ケイぐだ) ##男女


      とんと肩にもたれかかってきた重みに、ケイローンは瞠目する。
      此度のマスターは、交流を深めるために頻繁にボディタッチをしたがる。したがるが、それは相手が嫌がるギリギリのラインを見極めてのものだと、よく観察していれば判るものだった。
      かつて彼女が、こんなにも親密な距離を取ったことはない。
      「マスター?」
      呼びかけても、いらえはない。
      ドライヤーを手に、すうすうと穏やかな寝息が耳をつく。
      「……眠ってしまいましたか」
      苦笑する。
      昨日も、今日も、年頃の少女には過酷な日々だろう。一度世界を救っていたとしても。
      なんとなしに惹かれて、さらりとした髪に指を巻きつける。シャンプーのためか、甘く清潔な匂いが鼻先を過ぎる。つむじにくちびるを寄せた。
      力ない肢体を難なく抱き上げ、寝台へ運ぶ。白いシーツに彼女をおろして踵を返そうとすると、──
      「ケイローン先生」
      裾をくんと引っ張られる。
      振り向くと、彼女が苦労してまぶたを押し上げようとしていた。それでも重ったるくて仕方ないのか、まぶたが震えている。
      「先生、あのね」
      「はい」
      眠気がまさっているのだろう。舌足らずな喋り方に微笑んで、寝台のそばに片膝をつく。「ここにいますよ」
      「うん……」
      細い指がケイローンの眦に触れ、子どもにするように、小麦色の頭をよしよしと撫でた。
      「っ!」
      「おやすみなさい」
      目を細めた立香は、そのままこてんと寝入った。

      部屋には「……参った」と片手で顔を覆う男が取り残されている。
      ##男女


      とんと肩にもたれかかってきた重みに、ケイローンは瞠目する。
      此度のマスターは、交流を深めるために頻繁にボディタッチをしたがる。したがるが、それは相手が嫌がるギリギリのラインを見極めてのものだと、よく観察していれば判るものだった。
      かつて彼女が、こんなにも親密な距離を取ったことはない。
      「マスター?」
      呼びかけても、いらえはない。
      ドライヤーを手に、すうすうと穏やかな寝息が耳をつく。
      「……眠ってしまいましたか」
      苦笑する。
      昨日も、今日も、年頃の少女には過酷な日々だろう。一度世界を救っていたとしても。
      なんとなしに惹かれて、さらりとした髪に指を巻きつける。シャンプーのためか、甘く清潔な匂いが鼻先を過ぎる。つむじにくちびるを寄せた。
      力ない肢体を難なく抱き上げ、寝台へ運ぶ。白いシーツに彼女をおろして踵を返そうとすると、──
      「ケイローン先生」
      裾をくんと引っ張られる。
      振り向くと、彼女が苦労してまぶたを押し上げようとしていた。それでも重ったるくて仕方ないのか、まぶたが震えている。
      「先生、あのね」
      「はい」
      眠気がまさっているのだろう。舌足らずな喋り方に微笑んで、寝台のそばに片膝をつく。「ここにいますよ」
      「うん……」
      細い指がケイローンの眦に触れ、子どもにするように、小麦色の頭をよしよしと撫でた。
      「っ!」
      「おやすみなさい」
      目を細めた立香は、そのままこてんと寝入った。

      部屋には「……参った」と片手で顔を覆う男が取り残されている。
      塩/あずまニカ
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