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    小鳥のかかと(番外編)「あっ」

    ぴくんと白い背筋が跳ねた。
    身を捩って逃れようとする痩身を、上等な白手袋をした手が背中を撫でてそっと宥め、反対の手でさらに深い部分へ突き立てる。ぐちゅんと水音がひときわ大きくなり、以蔵はつい前屈みになって目前のちいさな足の指を夢中で舐めしゃぶった。

    「あ、あひっ、あ、ふ、ふたりともっ、あっ、やめて」

    マスターである少女がのぼせた喘ぎ声を上げるそばで、龍馬に侍る美女は酒瓶をかかえてグーグー眠っている。

    「うん?」

    蜜口に指を咥えさせていた龍馬がにこりと微笑んだ。いつものと少し違う、含みがある時のもの。「……だぁめ」

    「この間の雨の道、以蔵さんとふたりきりでキスしていたでしょう」

    人に見られたらどうするの、と男はもっともらしく続けるが、以蔵は男の嫉妬など見るに耐えないと半眼になる。桜貝みたいな爪を甘噛みし、足の指を丹念にべろべろ舐め回す。「汚いからやめて」と羞恥と快感でぐずぐずべそをかく立香の顔が早く見たかった。
    細い足首に手をかけ、小鳥みたいなかかとを掲げる。舌をこれみよがしに伸ばし、たどるように舐めていく。

    「あっ、あひっ! な、舐めないで。あっ、んく、あっ……う、後ろの孔は、やっ……ひっ」

    以蔵を潤んだ瞳で見つめていた立香が、苛立った長い指が本来受け入れる機能など持たぬ器官へ潜り込んだことで、びくんと大きく跳ねる。驚きのあまり目尻から涙が散った。

    「逃げちゃだめだよ」

    穏やかに言い聞かせるような声が部屋に落ちた。
    龍馬が色づいたちいさな耳をぱくりと口の中に収め、やわらかな輪郭をなぞっていく。

    「あ、あっ」
    「……気持ちいいんだね?」

    くすくすと甘くからかう声に、感じやすい立香が濡らしているのを以蔵は呆れて見つめる。

    (まぁた手段を選ばん龍馬の術中にはまっちゅう)

    塩/あずまニカ Link Message Mute
    Jul 11, 2018 3:45:30 PM

    小鳥のかかと(番外編)

    人気作品アーカイブ入り (Jul 12, 2018)

    以蔵さん+龍馬×ぐだ子
    男の嫉妬は見苦しいと心底呆れる
    ##男女

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    • 無題現パロ以ぐだ♀ちょっとスケベ
      近所に住むチンピラ風情以蔵さん×高1ぐだ子
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 彼女を部屋から出さないためのエトセトラ現パロ以ぐだ♀ 書きたいところだけ書いた(二十線)
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 縫いとめる蝶ツイッターで見かけたなんかえろい体位の以ぐだ♀
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 以ぐだ♀
      妙な蟲がいるらしい
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • はらわたの内側にあいを詰めるアナルセックスする以ぐだ♀(続きもの)そのいち ##男女塩/あずまニカ
    • オメガバース以ぐだ♀英霊だった頃の記憶を持つアルファ以蔵さん(ハイパー愛が重い)とベータの両親から生まれたオメガぐだ子
      この以ぐだ♀はド溺愛ものだけどこの時点で肉体関係は一切ないです
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 甘やかしの首輪をしてあげるあんちゃんや思うてもええよ♡(首輪がっちゃん)の以ぐだ♀
      攻めのセリフにハートマークがついてるので注意
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 降り落とすそのすべて夢のような時間でした
      以ぐだ♀
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 雨の日に招き入れる以ぐだ♀
      紅いろの接吻のおはなし
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 嫌よあなたとどこぞの特異点で話してる以ぐだ♀
      コハ以×ぐだ♀でもある
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • おとぎの恋◆診断メーカー
      以ぐだを書く東ニカさんには「永遠なんてない」で始まり、「雨は止んでいた」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば10ツイート(1400字程度)でお願いします。
      #書き出しと終わり
      (コピペ終わり)
      期限付きの恋をした
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • おびとの鈴おびと=首
      診断メーカーの結果より 以ぐだ♀
      冒頭は絆レベル0〜1の以蔵さん
      中盤以降は絆レベル7くらいの以蔵さん

      〈以下コピペ〉
      1時間以内にRTされなくても東ニカの以ぐだが優しげに首筋に執着のキスをするところを描き(書き)ます
      shindanmaker.com/257927
      〈ここまで〉
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 絶夏以ぐだ♀
      試し読み
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • カルデア漂流記(1時間)絆1〜2くらいの以蔵さんとぐだ子
      初対面あたりで「わしは馴れ合いなんぞ求めちょらん。名前で呼びなや」と言ったので岡田さん呼びされてる以蔵さんと癖のある鯖に慣れてるぐだ子と以ぐだ♀
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 予期せぬ導火線(ケイぐだ) ##男女

      付き合ってない



      「マスター、明日の周回ですが……」
      「あっマスター!こんなところに!探しましたよ」
      「主殿、最近食欲がないとうかがったので、よければこちらを」
      「トナカイさん、今日はこの本を読んでほしいです!」
      「立香。ちょっと顔色がよくないんじゃ……い、一緒に食堂!行ってあげてもいいけど」
      「………………」




      「マスター」
      土に染み入る慈雨のような。深い声が耳に滑り込んでくる。
      「どうかした?」
      手元のタブレットから顔を上げると、本日マイルーム担当のケイローンが微笑んでいる。
      「参考までにうかがいたいのですが」
      「はい」
      あれ。よく見ると、先生。口角は上がっているが、目はちっとも笑ってない。何かあったのだろうかと立香はぼんやり考える。
      「あなたに愛する人がいたとして。その人が自分以外の、他者も分け隔てなく慈しむ人だったとしましょう」
      それは両思い?片思い?尋ねると、片思いだと云う。想像してみると、胸が痛かった。
      「それは……苦しいだろうね」
      胸に秘めた思いだ。身勝手な苦しみを相手に伝えられないぶん、余計に。
      ケイローンが眦を細めて「そうでしょう」と今度こそ真実の微笑みを浮かべている。いつもの花マルのそれとは違う、切なさが翳となってたち浮かぶ笑みに、目が吸い寄せられた。
      長い指が、立香の手を取り、絡められる。手を繋ぐ寸前、爪先でそろりと指の股を引っかかれ、なぜだかびくりと肩が跳ねた。「あなたにとって、私はどんな存在なのかと考えてしまう」
      引っかき傷程度では我慢ならない、と男が耳元で囁く。
      立香の顔が真っ赤になった。

      「つまりは、そういうことなのです」
      ##男女

      付き合ってない



      「マスター、明日の周回ですが……」
      「あっマスター!こんなところに!探しましたよ」
      「主殿、最近食欲がないとうかがったので、よければこちらを」
      「トナカイさん、今日はこの本を読んでほしいです!」
      「立香。ちょっと顔色がよくないんじゃ……い、一緒に食堂!行ってあげてもいいけど」
      「………………」




      「マスター」
      土に染み入る慈雨のような。深い声が耳に滑り込んでくる。
      「どうかした?」
      手元のタブレットから顔を上げると、本日マイルーム担当のケイローンが微笑んでいる。
      「参考までにうかがいたいのですが」
      「はい」
      あれ。よく見ると、先生。口角は上がっているが、目はちっとも笑ってない。何かあったのだろうかと立香はぼんやり考える。
      「あなたに愛する人がいたとして。その人が自分以外の、他者も分け隔てなく慈しむ人だったとしましょう」
      それは両思い?片思い?尋ねると、片思いだと云う。想像してみると、胸が痛かった。
      「それは……苦しいだろうね」
      胸に秘めた思いだ。身勝手な苦しみを相手に伝えられないぶん、余計に。
      ケイローンが眦を細めて「そうでしょう」と今度こそ真実の微笑みを浮かべている。いつもの花マルのそれとは違う、切なさが翳となってたち浮かぶ笑みに、目が吸い寄せられた。
      長い指が、立香の手を取り、絡められる。手を繋ぐ寸前、爪先でそろりと指の股を引っかかれ、なぜだかびくりと肩が跳ねた。「あなたにとって、私はどんな存在なのかと考えてしまう」
      引っかき傷程度では我慢ならない、と男が耳元で囁く。
      立香の顔が真っ赤になった。

      「つまりは、そういうことなのです」
      塩/あずまニカ
    • 宝物は掌の中渚の藤丸(水鉄砲装備)に寄せて
      以ぐだ♀
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 夏の浜辺の女の子リクエストいただいた水着でわちゃわちゃ(してるのは地平線あたりに行かされてる人たち)以ぐだ♀
      しれっと第一部ねたばれ注意
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • あのね(アイミア) ##男女


      数日間の逃亡期間、アイゼンはぽつぽつと己の話をしたが、少女は触れ難い静けさをもってほとんど自分について語りはしなかった。
      彼女の持つ、痛みに由来する静けさは、アイゼンが持っているものとよく似ていたから、時折落ちる沈黙は苦痛ではない。


      目は相変わらず塞がれたままで、恐らく治る見込みはない。
      アイゼンはつと少女の膝の上で覚醒した。
      水のにおいが立ち込める。どうやら泉のすぐ近くのようだ。熱で気を失う寸前「ちょっと休憩する」と彼女が口にしていたと思う。
      夏の突き刺すような日差しを、生い茂った青い葉が遮る。敵国で、自分たちが追われている状況でなければ。──いちばん大切な人の行方がようと知れぬ現実さえなければ。穏やかな昼下がりといえたかもしれない。
      けれどその人は。アイゼンの生きる理由であり、根幹をなす。何を置いても失い難い大切な人であったから、アイゼンは現実を片時も忘れることなく、帝国に塞がれた目の下で、瞋恚の焔を燃やし続けている。
      「おい」
      アイゼンが気を失っていたのはそう長い時間ではなさそうだが、どうやらアイゼンを膝に乗せた帝国の娘はすっかり寝入っているようだった。普段より高い体温、規則的な呼吸。呼び鈴がわりの長い髪を引っ張っても、返事はない。
      「……なあ」
      いつも丁々発止のごとく言い返してくる相手が黙っていると調子が狂う。
      アイゼンはふかふかとは言い難い枕の上で、しばしの間思案した。
      『あのね』
      虫の音が響く寝苦しい夜。
      『眠れないなら、頭の中で羊を数えればいいのよ』
      帝国の連中は毎晩羊の数でもかぞえてんのか。アイゼンはそんな風な軽口を口にしたように思う。
      『羊が好きなのか?』
      意味のないからかいに『……うん』心を込めて頷いた娘の声が、耳にこびりついている。


      「あのね、アイゼン。愛してる人はいて?」
      夕暮れに彼女の影は濃く伸びていて、手にした剣も黒々とした影の中。
      夢の中で会う少女は、いつしか憎い女と同じ顔になって、紫苑の瞳で微笑んでいる。


      アイゼン×ミレディアという地獄のごときCPが最推し
      ##男女


      数日間の逃亡期間、アイゼンはぽつぽつと己の話をしたが、少女は触れ難い静けさをもってほとんど自分について語りはしなかった。
      彼女の持つ、痛みに由来する静けさは、アイゼンが持っているものとよく似ていたから、時折落ちる沈黙は苦痛ではない。


      目は相変わらず塞がれたままで、恐らく治る見込みはない。
      アイゼンはつと少女の膝の上で覚醒した。
      水のにおいが立ち込める。どうやら泉のすぐ近くのようだ。熱で気を失う寸前「ちょっと休憩する」と彼女が口にしていたと思う。
      夏の突き刺すような日差しを、生い茂った青い葉が遮る。敵国で、自分たちが追われている状況でなければ。──いちばん大切な人の行方がようと知れぬ現実さえなければ。穏やかな昼下がりといえたかもしれない。
      けれどその人は。アイゼンの生きる理由であり、根幹をなす。何を置いても失い難い大切な人であったから、アイゼンは現実を片時も忘れることなく、帝国に塞がれた目の下で、瞋恚の焔を燃やし続けている。
      「おい」
      アイゼンが気を失っていたのはそう長い時間ではなさそうだが、どうやらアイゼンを膝に乗せた帝国の娘はすっかり寝入っているようだった。普段より高い体温、規則的な呼吸。呼び鈴がわりの長い髪を引っ張っても、返事はない。
      「……なあ」
      いつも丁々発止のごとく言い返してくる相手が黙っていると調子が狂う。
      アイゼンはふかふかとは言い難い枕の上で、しばしの間思案した。
      『あのね』
      虫の音が響く寝苦しい夜。
      『眠れないなら、頭の中で羊を数えればいいのよ』
      帝国の連中は毎晩羊の数でもかぞえてんのか。アイゼンはそんな風な軽口を口にしたように思う。
      『羊が好きなのか?』
      意味のないからかいに『……うん』心を込めて頷いた娘の声が、耳にこびりついている。


      「あのね、アイゼン。愛してる人はいて?」
      夕暮れに彼女の影は濃く伸びていて、手にした剣も黒々とした影の中。
      夢の中で会う少女は、いつしか憎い女と同じ顔になって、紫苑の瞳で微笑んでいる。


      アイゼン×ミレディアという地獄のごときCPが最推し
      塩/あずまニカ
    • おとぎの恋◆診断メーカー
      以ぐだを書く東ニカさんには「永遠なんてない」で始まり、「雨は止んでいた」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば10ツイート(1400字程度)でお願いします。
      #書き出しと終わり
      (コピペ終わり)
      コハ以蔵×ぐだ子版
      あなたの玉の緒を小指に巻きつけることも叶わず、泡に消ゆ
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 百発百中ルルハワ以ぐだ♀
      と言いつつほぼぐだ子は出てきません 土佐トリオ中心
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • そうやってあいしてね新婚さん要素をあんまり感じないけど新婚さん以ぐだ♀
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 光降る夜の花のこといとしい女の草舟に糸をくくりつけてやりました
      裏垢に投稿していた以ぐだ♀
      ヤミヤミ度 ★★★☆☆
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 塩の刃絆4の以蔵さんと退けない旅路を行くぐだ子のお話。
      筆者はバリバリの以ぐだ♀のつもりで書いている。
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • この手は赤い忌まわしくも/呪わしくも/慕わしくとも
      絆5以上ある以ぐだ♀
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 小麦いろの肌のきみが離さなかったので新魔術礼装アロハぐだ子ありがとう
      以ぐだ♀in海の家
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • さながらの海枕になってほしい
      あなたにしか言わないから
      以ぐだ♀
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • デイドリーム 上ランぐだ♀(剣スロ×ぐだ子)
      ゆるい世界線 上下編
      ※エロシーンは後半からです。すみません

      ##男女
      塩/あずまニカ
    • あなたを脅かす/誘惑する/とろかす影になりたい二臨姿の以蔵さんとぐだ子の以ぐだ♀
      ##男女
      塩/あずまニカ
    • 叶うならば以ぐだ♀
      絆8くらいありそう 護衛中の以蔵さんと護衛されてる途中でくちびるで手や指の股に触れられて、なんだかぞくぞくしているマスターと

      死が、貴女に追いつくことのないよう

      ##男女
      塩/あずまニカ
    • あのね(ケイぐだ) ##男女


      とんと肩にもたれかかってきた重みに、ケイローンは瞠目する。
      此度のマスターは、交流を深めるために頻繁にボディタッチをしたがる。したがるが、それは相手が嫌がるギリギリのラインを見極めてのものだと、よく観察していれば判るものだった。
      かつて彼女が、こんなにも親密な距離を取ったことはない。
      「マスター?」
      呼びかけても、いらえはない。
      ドライヤーを手に、すうすうと穏やかな寝息が耳をつく。
      「……眠ってしまいましたか」
      苦笑する。
      昨日も、今日も、年頃の少女には過酷な日々だろう。一度世界を救っていたとしても。
      なんとなしに惹かれて、さらりとした髪に指を巻きつける。シャンプーのためか、甘く清潔な匂いが鼻先を過ぎる。つむじにくちびるを寄せた。
      力ない肢体を難なく抱き上げ、寝台へ運ぶ。白いシーツに彼女をおろして踵を返そうとすると、──
      「ケイローン先生」
      裾をくんと引っ張られる。
      振り向くと、彼女が苦労してまぶたを押し上げようとしていた。それでも重ったるくて仕方ないのか、まぶたが震えている。
      「先生、あのね」
      「はい」
      眠気がまさっているのだろう。舌足らずな喋り方に微笑んで、寝台のそばに片膝をつく。「ここにいますよ」
      「うん……」
      細い指がケイローンの眦に触れ、子どもにするように、小麦色の頭をよしよしと撫でた。
      「っ!」
      「おやすみなさい」
      目を細めた立香は、そのままこてんと寝入った。

      部屋には「……参った」と片手で顔を覆う男が取り残されている。
      ##男女


      とんと肩にもたれかかってきた重みに、ケイローンは瞠目する。
      此度のマスターは、交流を深めるために頻繁にボディタッチをしたがる。したがるが、それは相手が嫌がるギリギリのラインを見極めてのものだと、よく観察していれば判るものだった。
      かつて彼女が、こんなにも親密な距離を取ったことはない。
      「マスター?」
      呼びかけても、いらえはない。
      ドライヤーを手に、すうすうと穏やかな寝息が耳をつく。
      「……眠ってしまいましたか」
      苦笑する。
      昨日も、今日も、年頃の少女には過酷な日々だろう。一度世界を救っていたとしても。
      なんとなしに惹かれて、さらりとした髪に指を巻きつける。シャンプーのためか、甘く清潔な匂いが鼻先を過ぎる。つむじにくちびるを寄せた。
      力ない肢体を難なく抱き上げ、寝台へ運ぶ。白いシーツに彼女をおろして踵を返そうとすると、──
      「ケイローン先生」
      裾をくんと引っ張られる。
      振り向くと、彼女が苦労してまぶたを押し上げようとしていた。それでも重ったるくて仕方ないのか、まぶたが震えている。
      「先生、あのね」
      「はい」
      眠気がまさっているのだろう。舌足らずな喋り方に微笑んで、寝台のそばに片膝をつく。「ここにいますよ」
      「うん……」
      細い指がケイローンの眦に触れ、子どもにするように、小麦色の頭をよしよしと撫でた。
      「っ!」
      「おやすみなさい」
      目を細めた立香は、そのままこてんと寝入った。

      部屋には「……参った」と片手で顔を覆う男が取り残されている。
      塩/あずまニカ
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