DCジン夢/ひとくちぶん、ありったけのきもち
スプーンでビーフシチューを掬い、口の中へゆっくりと入れた。
目の前にいる彼、ジンも、皿とスプーンが当たる音を鳴らしながら無言で食べる。ジンが夜に来たら"なにか食べさせろ"のサイン。今日はちょうど食べようとした時に家に来た。
彼は物静かなひとだ。私に愛の言葉も言わない。なにか食べても、美味しいとも言わない。ただ、胃を満たして、満足したら帰ってゆくだけ。
ぱくぱくと平らげる姿に、私を信じきっているということがよくわかる。
『おいしい?今日のは、いいお肉使ったの』「……」ジンの喉が動く。「…俺の事見てわかんねえのか」
__不味かったら、こんなに通ってねェよ。
ぱちくりと目を開く。
そっか、そういやそうかもね。それに、
ジンのこと考えて作ってるんだもの。
彼は物静かなひとだ。
でも気持ちは、とてもわかりやすい。
多分、私だけだけれど。