【各領土について】(一部
【初恋=パラレルライン】より抜粋。)
◆北◆【地】
地竜王が作りし大地。
王者:青薔薇の
妖恋花”
主に昆虫系統や植物系統の魔物が集まるこの区域は、豊かな緑を抱えていることから、鳥系魔族も多く存在している。
種族ごとに作られた集落がぽつぽつと点在している大地の領域は、花の王者が君臨してはいるものの、
それといった統治のない自由な世界が ―― ある意味では弱肉強食のルールが ―― 約束されている。
◆南◆【火】
火竜王が作りし焔。
盟主:“焔の
不死鳥”
気温だけではなく風すらもが熱を孕んでいる乾燥地帯、炎の領域。
降り注ぐ青の陽光を照り返す“
白の砂漠”や、
暗い赤色の切り立った崖が立ち並ぶ“
紅榴石の峡谷”といった、生活環境の厳しい状況が続いている。
そのため住まう魔物たちの種類もそう多くはなく、爬虫類系統を主とする彼らは、
不死鳥を調停役に据えながら、お互いに協力しあって生きているようだ。
◆東◆【水】
水竜王が作りし湖。
領主:小波の
水棲馬
背の低い緑といくつかの湖沼が広がる水の領域は、南とは真逆の湿地帯であり、水棲系統の魔物が多く住む場所だ。
しかし、エリアを任された“東の
主”が湿原に姿を現すことはあまりなく。
彼は湿原を過ぎた先に広がる海の中に引き籠もり、永久に溶けない氷で造られた“
水晶宮”にて、
色鮮やか魚系魔族によるハーレムを満喫しているらしい。
ゆえに、見兼ねた
水竜王が
天上界から降りてきては『神託』を下しているらしいのだが、それはまた別の話。
◆西◆【風】
風竜王が作りし叡智。
皇帝(代理):凪の
風狼
西のエリアにあるのは
鏡像界唯一の都市国家、“
風の叡智”だ。
名前の通り、
風竜王が人間世界の文化を真似して作ったものであり、
鳥系魔族による郵便システムや、食料品だけでなく生活用品や嗜好品までもが揃えられている繁華街など、
人間が築いた多くの技術を魔力によって模倣し、“人間のような”生活をしている魔物たちの巣窟となっている。
他のエリアでは物々交換が盛んであるのに対して、この地域では貨幣による取引が当たり前。
ゆえに読み書きや算術ができないようでは生活が難しいと考えられ、無償の学び舎のような施設もあるという。
もちろん、そういった窮屈な環境が肌に合わず、外のエリアに出ていく魔物も多いのだが。
この区域では弱肉強食のルールも公には存在せず(もちろん、生きるための“消費”はされている)、
弱きも強きも皆平等の楽園として、他のエリアから非力な魔物たちが逃げ込むことも少なくはない。