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    【FGO】ぐだビリ短編集善人と悪童だからだめだよ可愛がりたいほど、半密室を有効に葛藤の5文字平常の5文字持ち出せない秘密ミッドナイトウォーク善人と悪童「変な顔」

    ネクタイをくるくると回しながらビリーが笑った。俺がそんな顔しているだろうかと頬を触ったものだから、更に声を上げて笑う。

    「ああ、ごめんごめん。で、どうしたんだいさっきの顔は」

    部屋にやってきたビリーは、ロビンから貰った(どちらかといえば奪ったというのが正しいだろう)という酒瓶を俺に見せつけた。勿論俺は酒が飲めないから、それは全てビリーの喉へと消えていった。そして「なんか暑いや」と言ってネクタイを抜いて襟元を緩めた……のがさっきのことだ。

    「いや……うーん……なんだろうな。ネクタイを外したのが」
    「ネクタイを? ああ、ふーん。そういうことか」

    にやり、とビリーがさっきとは違った風に笑う。抜いたネクタイをまた首にかけ、ベストの前を寛げた。

    「わっ……。び、ビリー」

    どうしてだろう。何かとても……とても見てはいけないものを見ているような気がする。けれど、目は離せない。ビリーの顔も、離すなと言っているように見える。

    「いいよ。マスター、君ならね。普段隠されてるものを見るって、興奮する。分かるよ」

    ああ、そうか。ビリーはいつも着込んでいるから。それにあの革手袋と、隙間から少し見えた肌と。そう納得しているうちに、ぷちりとシャツのボタンがまた一つ外されていく。これ以上は、いけない。

    「ビリー!」

    腕を引く。ビリーの身体は軽いからそんなに力を込めなくても俺の方へと傾いていく。けれど加減などできなくて、そのまま肩にふわりと金髪が当たった。金髪の隙間から沿った首筋が見える。白くて、細い。

    「……マスター、それじゃあ止めるんじゃなくて、早く欲しいって感じだぜ」

    何がかは、流石に……流石に分かっていたけれど、俺はなにも言い返せずにただ首筋を眺めていた。





    ――どれだけ時間が経ったは分からないけれど、恐らく短くない時間そうしていた。クスクス笑うビリーの声も、手の甲を撫でる指も動かなくなってから、

    「マスターってさあ……属性が善すぎないかな。いや、それがいいのかもしれないけど……」

    と小さく呻くようにビリーが言った。
    でも、分かっているのに何もしないというか出来なかった俺は、善というより……ああ、自分で情けなくなってきた。でも、ここで大きく動くのはそれはそれで不誠実な気がする。

    「えーと……ご」
    「謝るの?」
    「……謝らない」
    「そう。ならいいぜ」

    やっとビリーと目が合う。その顔は普段どおりのように見えなくもない。……いや、違う。少し目を閉じて、考える。ビリーが『いつものように』笑っている。それを、どうすべきか。

    「ビリー」
    「なんだい。そろそろ放してくれる気になった?」
    「え? あ、ああ……ごめん。気がつかなかった」

    掴んでいた手首を放す。でも、ビリーの頭は未だ俺の方の上だ。空になった手を動かして、頭と肩をゆっくりと放す。

    「……」

    ビリーは何も言わない。

    「ビリー、俺は……俺には」

    向かい合った顔は少し伏せられて、視線は外れてしまったけれど。

    「やっぱりごめん! でも、これだけは!」

    肩を掴んで、また強引に引き寄せるようにして、顔と顔が近づいて。……でも、俺は中心を外して、左頬に着地することしか出来なくて。ああ、やっぱり俺は。

    「ビリー」

    ゆっくりと身体の位置を戻して、名前を呼ぶ。まだビリーは動かない。

    「……マスターのばか」

    その後俺を見上げた顔は、アメリカの大地で見たときよりもずっと赤くて、多分満点ではないけれど、及第点は貰える、だろうか。

    「いいよ。今はこれで。……うん、これでいいよ。ほんと、どうしようもないマスターなんだから!」
    「謝らないよ」
    「さっき謝ったくせに。ははっ、もう、仕方ないな」
    「……」

    ビリーが笑っている。それは『いつもどおり』ではない笑い方だ。

    「そうやって笑うほうがいいよ」
    「……。本当にさあ! 僕のマスターは!」

    ばか、と言うように肩を叩かれたけど、その拳はちっとも痛くなかった。
    だからだめだよ「だめだよ」
    そっと、手袋をしたままの人差し指で俺の唇を押さえてそう言う。一瞬む、としたのが伝わったのか、ビリーは笑って自分からキスをする。
    ……ビリーは何故か、俺からキスをさせてくれない。いつもああやって止めて、自分からする。それが嫌なわけじゃないけれど、毎度となると疑問が湧くわけで。ふんわり柔らかい唇が離れた後、俺は言った。

    「もしかして俺、下手?」
    「んん?!」

    いやだって、こんだけ止められるのならそう思うだろ。なのにビリーはどうしてそうなった?!みたいな顔をしている。

    「そりゃビリーみたいにはいかないかもしれないけどさ……」
    「いやいやいや、違うよ? これは僕側の理由というか……」

    でも、些細なことだから気にしなくていいよ、なんてビリーは言うけれど、ここまで来たら引くなんて選択肢があるわけない。

    「ビリー」
    「……言いたくない」
    「俺も引きたくない」
    「……。……あー! 分かったよ!」

    ぐしゃぐしゃと髪を掻く様子は、さっきまでのちょっと年上っぽい雰囲気とは違う、名前の通り子供らしい仕草だ。

    「だって恥ずかしいじゃないか」
    「キスが?」
    「キスっていうか……その……マスターの……」

    ビリーの顔がじんわりと赤くなっていく。可愛いけど、言ったら怒られるかな。

    「……顔が……ちょっと……かっこいいなって……」
    「!」
    「あー! だから言いたくなかった! 今の顔はかっこよくないからな!」

    何言われたって構うもんか。次からは止められてもしてやるからな!
    可愛がりたいほど、「僕が勝てたらキスしてあげようか、マスター」

    カードを扇のように使いながらビリーがなんでもないことのように呟いた。俺はえ、と声を上げて固まる。

    「なんでもいいですけど、人との勝負をダシに使うの止めてもらえません?」

    不満そうな声を上げたのはロビンだ。そう、これは俺とビリーの勝負じゃなくビリーとロビンの勝負だ。俺は間でぼーっと見ているだけ。勝負の状況はいつもどおりビリーが勝ち越すかな、という状態だ。

    「だってもう君から貰えるものなさそうだし。だったら観戦料でもと思って」
    「オタクが勝って当たり前みたいな言い草だな? よーし吠え面かかせてやる、3枚チェンジな!」

    ロビンが乱暴に手札を取り替える。口元をそれで隠したので、どっちに転がったのかは分からない。ビリーはいつもどおり涼しい顔で一枚だけ取り替えて、そして2人の札が開けられた。

    「やっぱり僕の勝ちだね」

    悔しそうに天を仰いだロビンと、にっこり笑ったビリー。本当に勝負に強いんだって感心する。

    「……おいで、マスター」

    手招きされるまま、ちょっとドキドキしながら顔を上げた。

    「――はい」

    降ってきたのは――鼻先。触れるだけのそれ。

    「不満そうだ。でも、これ以上が欲しいなら、自分で勝ち取ってくれよ。いつでも受け付けるからさ」

    じゃあおやすみ。そう手を振ってビリーは食堂を去っていく。取り残されるのは俺とロビン。

    「……知ってます? 鼻先のキスは愛玩、ペットとかにするそれと同じって」

    天を仰いだままのロビンがそう呟く。

    「ええ……。俺ってそういう風にしか見られてないのかな」
    「悔しかったら頑張れってことでしょ、どっちも」

    勝ち筋が全然見えないけど、いつかは、もしかしたら。
    半密室を有効に「……狭いんだけど」
    「狭いのがいいんだろ?」

    俺の上に跨ったビリーがニヤニヤと笑った。つま先、太腿、腹、胸、色んな所が引っ付いてしまうほどの狭い空間に俺たちはいる。
    ――たまにどうしようもなく一人になりたい時がある。カルデアは広いけれども意外とそうなれる場所は少なくて、行き着いたのがここ、トイレの個室だった。俺の部屋は誰でも気さくにやってきたりするけれども、流石にここに侵入してくるやつはいない、はずだった。

    「見つけたぜ、マスター」

    どん、と扉を蹴る音が下と同時に降ってきた声に顔を上げるとビリーがひらひらと手を振って、次の瞬間には俺の太腿に着地していた。一人だと十分だと感じる個室も、二人だとどうしても狭い。それを訴えるようにビリーはぎゅうぎゅうと身体を押し付けてくる。

    「ビリー」
    「どうしたんだい。ああ、もしかして変な気起こした? いいぜ、ここほとんど人の来ないエリアだし、ちょっとくらい君が声出しても平気だろ」
    「出さな……! じゃなくて」

    確かに変な気分にはならなくもない。だってこんな風に密着することなんてそりゃ……そういう時しかないわけで。でも、その最中はこんな風にビリーの身体の感触をぎゅうぎゅうに味わってる余裕もない。

    「なんで、何しに来たんだ」

    俺は一人になりたいからここにいたのに。

    「そりゃ、ねえ……」

    背中に回されたビリーの手が、そっと優しく撫でてくる。

    「一人になりたいくらい気負うなら、僕に吐き出せよって言いに来たのさ」

    静かな声が変に身体にしみて、俺はそっとビリーの肩に頭を乗せた。

    「普通に言えよ、それくらい」

    どうにか強がった声を出したけれど、きっとそんなことはビリーにバレているんだろう。
    葛藤の5文字今の状態を五文字で表わせと言われたらもうこれしかない。――魔が差した。

    「んっ……」

    ばたん、とビリーの胸の上から手を落ちて身体が跳ねる。大丈夫そっ、起きてない……はず。顔とか他のとことかに血が集まるような気配を感じながら、深呼吸をした。 きっかけはそう、ビリーに明日の予定を伝えようと思って部屋を訪れたこと。別に直接言わなくたっていいんだろうけど、時問もあったし顔も見たかった、から。ロックのかかってない不用心な部屋に入る と、ビリーは酒瓶を抱えて眠っていた。またロビンと 朝まで遊んでたのかな、なんて思ったそこでメモを残して引き返せば良かったんだけど。何故か俺はそのままベッドに腰掛けて、ビリーの身体をその……撫でたりしてしまって、いる。

    「すべすべ……」

    ベッドの上のビリーは、シャツー枚しか着てなかった。そりゃ、あのベストもズボンも寝にくいに決まってるから脱ぐだろうといっのは分かる。分かるけど そんなつもりがないとこでいきなり見ちゃったら……うん……。白いシャツに負けないくらい白い太腿から ふくらはぎがびっくりするほどすべすべなのを指でなぞったり、ここぞとばかりにほっぺたをつついてみたり……。

    「バレたらなんて言われるかなあ」
    「そりゃもう『おはよう変態マスター』だろ」
    「わっ、あっ、びりー?!」

    思わず立ち上がる。ちょっとむすっとした顔のビリーが俺を見ている。

    「寝込みを襲うなんてマスターも成長したもんだぜ」
    「ご、ごめ……」
    「んー、僕はまだ眠いから寝るけど……今度こそ起こさないように好きにしてくれていいよ?」

    じゃあおやすみ。そう笑って、ビリーは本当にまた 目を閉じてしまった。俺はまだまだ心臓がどきどきしっばなしで、言葉通りにできるにはまだ時問がかかりそうだった。
    平常の5文字マスターならこの状況をどう表現するだろうか? 僕はそうだな――いつもどおり、だ。

    「……ふ」

    薄暗い部屋に眠るマスター。そんな場所にそおっと入り込んですることなんて、ね。軽く挨拶にキスをして、Tシャツの上から胸を撫でた。結構マスターは着痩せする質だから、触れる度にどきりとする僕がいたりする。ああ、ちゃんと大人の男になっていっている身体なんだって、少しどこかが痛むけれど、それ以上に身体の芯に火が点くようなそんなくらくら目眩がする気分になっていく。多分、僕はそれが心地良いからこんなことをしてしまうんだろう。
    骨や筋肉の形をなぞって、辿り着いた先に舌なめずり。マスターは起きそうで起きない。この綱渡りが堪らないんだ。

    「マスター」

    そっと小声で君を呼ぶ。起こさないように、でも起きるかもしれない程度の大きさで。見下ろした寝顔は子供みたいなのに、少し浮かした太腿の下に感じるのはやっぱり大人みたいだ。随分なアンバランスだけど、これが君らしいのかもね。そういうところが、す――いや、止めておこう。情緒だとかそういうのは、いいんだ。そんなことより楽しまないとね。

    「……うぅ」
    「マスター、起きた?」
    「……」
    「こんな風にしてるのにな。どんな夢見てるんだか」
    「――……びりー……?」
    「ああ、おはよう。思ったより遅かったね?」

    ゆるゆると目を開けたマスターに笑いかける。子供みたいな間抜け面だぜ。

    「……――あー、お前、なあ。ほんと……」
    「わっ」

    ぐ、と腕を引かれる。ぶつかる、と思った時には僕の頭は枕に埋まっていた。

    「責任取れよ。元からそのつもりだろうけど」

    勿論さ、マスター。いつもどおり、夢なんかより僕をどうぞ。
    持ち出せない秘密支給されたタブレットがある。どうも特注で、このカルデアでしか使えないらしいし、一度入れたデータは外部のネットワークにはコピーできないと聞いた時、正直がっかりした。だってそれじゃあ、俺はこれをどこにも持っていけないんだから。

    「なに見てるんだい、マスター」
    「わっ……ビリー」

    その広いけど狭い世界でしか使えないタブレットを眺めていると、不意に声をかけられた。とっさに画面をオフにしたけれど、見られてなかっただろうか。

    「何か楽しいものでも見てたのかい?」
    「う、うーん。そうかも」

    思わず目を逸らす。知られたくない。

    「まあ、深くは聞かないけどさ。でも、そんなに楽しいものなら自分の部屋で見なよ。ここはパブリックスペースだ」
    「次からはそうするよ」

    確かに、こんな――レクリエーションルームで、こっそり見るもんじゃない。みんなゲームとかに夢中だけど、こうやってビリーみたいに俺に声をかけてきたりもするわけだし。でも、そういうところでこそ見たくなるっていうか。これじゃ俺がなんか変態みたいだな……。
    でも、ビリーにだけは絶対に駄目だ。

    「マスター」
    「ん、まだ何か――あっ!」

    ひょい、とビリーが俺の手からタブレットを取り上げる。ひょいひょいと操作して、眉をしかめた。

    「あのさあ……」
    「はい……」
    「悪趣味。ばか」

    ビリーの手の中のタブレット、その画面に大写しになっているのは。

    ――俺の隣で眠っていた、ある日のビリーの姿だった。
    ミッドナイトウォーク少し重たく感じる身体で静かな廊下を歩く。ベストの前も留めず、ジャケットの袖も通さず。それらが僕の歩みに合わせてパタパタと小さな音を立てているだけだ。静かな夜はいい。張り詰めていた気を少しだけ緩められるから。

    「――これからお出かけで?」
    「そっちこそこれからどこへ?」

    曲がり角からゆったり歩いて来たのはロビンだった。聞いてみたけれど、どこへ行くかもどうしているかも知っている。いいサーヴァントだよね、君は。

    「オレはいつものアレですよ。オタクは」
    「食堂。飲み物欲しくてね。君は本当に……まあ、好きでやってるんだろうけど」
    「そうしないと落ち着かない性分なんでね」
    「まあ程々にね。じゃあまた朝にでも」
    「へいへい」

    ひらひらと手を振ってロビンと別れる。お互いに反対方向へ歩いているけれど、まだ視線がこちらに向けられているように思えるのは、多分気のせいじゃないだろう。

    「……ま、分かるよね」

    ボタンも開けて、素足で。歩いてきた方向と、向かう先。それと、薄明かりの下でもきっと見えたもの。気にしないふりはできても、本当にそうするのは難しい。少しだけ、悪いことをしたような気がした。でも、こういう僕だと分かっているだろう。
    僕は歩く。素足でゆっくり、食堂の奥の冷蔵庫に向かって。二人分の飲み物と、少し何か食べれるものでもあればいいと。
    またゆっくり戻ったら、君は起きているだろうか、まだ眠っているだろうか。僕はどちらかと言うと後者の君を揺り起こして「無理させたのに、ごめんね」と申し訳なさそうにグラスを受け取るのを見たいと思っている。だから、ゆっくりゆっくり、歩いていく。
    流氷 Link Message Mute
    Jun 23, 2018 10:19:07 AM

    【FGO】ぐだビリ短編集

    人気作品アーカイブ入り (Jun 23, 2018)

    FGOでぐだ×ビリーな短編×8です。段組み小説ジェネレータ様(http://howto.fanweb.jp/etc/dan/)を使用してTwitterで公開していたものです。どうしてもちょいえっちみたいな方向になってしまうぐだビリの罪深さ。

    表紙画像……https://www.pixiv.net/member.php?id=3989101 No.148a

    ##二次創作 #FGO #ぐだビリ

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