おきちづふぁてごぱられるこれは誰かの願いを叶える物語。これは誰かの願いを叶える物語。



昔、父から不思議な話を聞いた。
日本のとある地方都市突如として現れる、持ち主のあらゆる願いを叶える「聖杯」の話だ。7人のマスターは7騎の使い魔、通称サーヴァントと契約し、聖杯を巡る「聖杯戦争」を行い、聖杯を手にする最後の一組となるまで互いに殺し合うのだと。どこの夢物語かと思ってしまう、そんな非現実的なものがまさか自分に振り返ってくるなんて、この時の千鶴は思っても見なかった。

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蒼く、妖しく煌る魔法陣の内に立つその人。
後ろに緩く結われた薄茶色の髪に、額に当てられた鉢金。海老茶色の着物に動き易さを重視してか、白い脚絆で巻かれた濃緑袴、そしてその上から浅葱色の羽織を纏う男。ゆっくりと開かれた目は何もかもを見通すように透き通る翡翠のようで。とても、綺麗だと思った。

「新選組一番組組長。沖田総司、推参。……君が僕のマスター？」

音もなく、突き付けられた切っ先に千鶴は反応する事が出来なかった。月あかりを浴びて光る刀がそれが真剣である事を物語っている。しかし、こんな非常事態にも関わらず千鶴はただその光景に魅入っていた。が、沖田はそんな千鶴を気に留める事なく、その右手に刻まれた赤い紋様を一瞥し、刀を納めた。

「それで？」
「え？」
「はぁ…今の戦況はどうなってるのって聞いてるの。こんなちんちくりんでも一応君は僕のマスターらしいからね……とんでもないハズレくじみたいだけど」
「なっ」

みたいな聖杯戦争してるおきちづが欲しい人生だった。続かない。