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    あなたと同じだったのよ
    「アンジェ!!」

    アンジェが炎に包まれていく。まるで赤黒い龍に締めつけられているようだ。ライアンは何がなんだかわけがわからず、観客席の椅子にしゃがみこんでいた。人間だったはずなのに、いつの間にか周りはどれも得体の知れない黒い生き物に変わっている。この世の者とは思えないほどおぞましく、直視することも怖くてできない。

    ただかまいたちのような何かに悪魔たちは斬られている。ライアンには仮面の天使が見えないが、悪魔が次々と斬られていることだけはわかった。

    人間には見えない何かが、俺たちを守っている。何かはわからないが、とても頼りになる存在だとライアンは感じた。耳と目を塞ぎたくなる惨劇だが、皆が戦っている横で現実から目を背けるわけにはいかない。勇気をふりしぼり、観客席から立ち上がる。ライアンはレナに向かって叫んだ。

    「よせ!俺を殺したいんだろ!?俺が憎いんじゃないのかよレナ!!」

    レナはくるりとライアンに向く、いつもに増して化粧が濃く、本当にレナなのかと思ってしまう。

    「あなたは悪くないのよ。あの女が悪いの。私があなたを守ってみせる。私が好きだったのに、私が好きだったのにね。あの女が邪魔したんだ!!そうでしょライアン!でももう大丈夫!邪魔者は始末したからね!」

    火はさらに燃え上がる。もうアンジェは助からないだろう。それどころか金髪の髪も青色の瞳でさへも叶わない。ライアンは胃から内容物がこみ上げてしまいそうになるのを必死で抑えた。これが悪い夢であることを願ったが、これが現実なんだと絶望する。これまでの幸せな1ページがものの見事に燃えていく。ライアンはアンジェが燃えているのをただ見るしかできなかった。

    アンジェを纏った炎は燃え続けている。しかし、断末魔の叫びや呻き、熱くて体が暴れるような素振りもない。仮面の天使はアンジェがまだ炎の中で、戦っているのだと感じ取った。

    "君なら切り抜けられる!いや、切り抜けなければならないんだ!!アンジェ!アンジェ・ミラー!天使のコドンの継承者なんだ君は!"

    仮面の天使の思った通り、アンジェはまだ炎の中で戦っていた。天使のコドンの力なのか、全身に膜張ってあるかのように肌が辛うじて守られている。しかし、このままだとその膜も破れてしまいそうだった。その証拠に腕の膜がメリメリと、ところどころ剥げていく。

    "熱い!!体がバラバラになりそうだわ!"

    ゴーゴーと火の音がうるさく、息もできない。どうにか切り抜けようと炎の中で右手をいっぱい広げた。

    "イメージするのよ……。金色のオーラを……"

    右手の膜が剥がれていく。早くしないと火傷どころの話ではなくなってしまう。アンジェは焦っていた。

    "違う!違うわ!こんなんじゃオーラが出せない!!この炎をどうにかするには何が必要!?何が必要なのよ!!"

    アンジェは、両親にすがりたい気持ちでいっぱいになった。

    7年前のお葬式。

    体に当たった冷たい雪。家族が帰ってこないかと泣いたあの悲しいクリスマス。



    ---君は、サンタクロースに何かお願いをしたのかい?


    赤黒い炎しか見えないはずなのに、なぜか白くふんわりとした雪が見えた。


    龍のように巻きついていた炎が小さくなっていく。炎に金色の粉が舞い上がった。

    仮面の天使はアンジェが灰になったと思い、唇を噛む。


    しかし、その金粉はとぐろを巻いた炎を消すようにまとわりつく。仮面の天使は驚いていた。


    "黄金の雪だ"


    吹雪のように冷たい金粉が舞い、レナに刺さる。辺りは一瞬冷気に包まれた。

    炎はシュュュと音を立てながら消え、煙が漂う。セーターはところどころ焼け、スカートも短く焼け焦げたアンジェが煙の中から堂々と立っていた。肌もところどころ火傷を負い、体が悲鳴をあげているが敵に弱いところをみせたくないため強気な態度で胸を張った。

    レナはふふと笑い
    「しぶといわね誉めてあげるわ」と喜んだ。

    アンジェは息があがる。長距離走をした後のように呼吸が乱れるのを必死で整えながら、重たい両腕を高々とゆっくり上へ持ち上げた。レナはその光景に呆れ、鼻で笑う。

    「は!あんたまだ懲りないの?ほんと図図しい奴ね」

    アンジェの顔からは汗が流れ、血管がドクドクと興奮しているのがわかる。息をゆっくり深く吸った。

    「私、わかっていなかった……。今まではあなたと同じだったわ。ええ、同じだったのよ」


    レナは首をかしげた。

    「あんたと同じ?何が同じだったというのよ!」

    アンジェはターンッとヒールで床を踏んだ。舞台にそのタップ音が響き渡る。


    「自分から目を背けていたことよ」


    カルメンを始めるが如く、2回両手を叩いた。叩いた瞬間、金粉も同時に弾ける。弾けた金粉は鋭い氷柱に変化した。アイスピックのような氷柱を何本も出す。その氷柱は空中で浮き、レナに向けて発射された。

    レナは氷柱を素早くよけた。レナでも串刺しになるほど鋭い氷柱だ。よけた氷柱は、壁に当たり硝子のように割れる。張り合いがでたことに興奮するのかレナは声をあげて狂ったように笑いだした。

    「そうこなくっちゃね!アンジェ・ミラー!」

    炎の龍がまたアンジェを襲う。アンジェはまた床をタップし、金色のオーラで氷の盾作る。まるで鼈甲飴のような氷の盾は炎を見事に防いだ。

    レナが氷の盾を溶かそうと必死になっている間にアンジェは素早く盾から離れ周り込み、レナに近づこうとする。レナはそれに気づきアンジェに向けて火の玉を撒く。

    アンジェは負けじとふーと息を吹きかけ、火の玉を凍らせた。氷った火の玉は床に落ちバラバラに砕ける。アンジェはオーラのコツを掴んだのか、さらにレナのもとへと近づいた。

    「調子に乗るなよ!この目狐がぁ!!」

    レナの右腕から血管のように炎が巻き付いていく。炎の血管は次第に形を作り、赤々と揺らめく一本の剣を生み出した。

    サーカスの天井でそれを見ていた仮面の天使は無念と言わんばかりの様子でレナの武器を眺めた。

    「武器化までできるとは……悪魔の力が入りすぎてしまっている」

    武器化を軽々と見せつけられ、アンジェはショックした。あんなに難しいと言われた武器化を
    意図も簡単にやってしまう。アンジェの絶望した顔を見て気持ちがいいのかレナは勝ち誇ったようににんまりと微笑む。アンジェは自然と体が固まってしまっていた。


    "私……どうしたらいいの!?"


    レナは炎の剣を片手に、笑いながらアンジェに襲いかかった。
    倉世 朔 Link Message Mute
    Oct 11, 2018 8:47:56 AM

    あなたと同じだったのよ

    #創作 #オリジナル #小説

    バトルシーンって難しいですね……。ロマンスから一気に白熱とした戦いに変わります(汗汗)
    続きです。よろしくお願いします。

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