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    【エア新刊】Second Season 何度か読み返した台本に記載されているキャスティングに吐き気のようなものが込み上げてくる。同じドラマで共演するその人物に対して嫌悪があるわけではない。むしろ逆で、行き過ぎた好意が転じてアバッキオの心を蝕んでいる。
     アバッキオは五年ほど前にエミー賞を総嘗めしたサスペンスドラマで主人公格の登場人物を演じた。その人物は厳格な家庭環境で生まれ育ったクローゼットなゲイの男で、ひと目会っただけの男に惚れたために家族から絶縁され地方の警察組織から孤立した後、国家警察に引き抜かれ難事件に巻き込まれ過酷な道を歩むというなかなかに重い設定の役柄だった。
     恋人役を務めたのはブチャラティという役者というよりモデルとして有名な男だった。イギリスで舞台経験があるため演技力は折り紙付きで名優との共演経験もある。
     アバッキオとブチャラティが演じたカップルは、評論家からも今世紀最高のカップルと評されるほどで、一部カルト的な人気を博した。
     ドラマが重苦しい内容だったため、アバッキオとブチャラティがカップルとして仲を深めていく過程はファンとってのオアシスだった。この二人には幸せになって欲しい。ファンなら誰もが口を揃えて言う。だが、物語のクライマックスで二人は命を落とす。その出来事は衝撃的で制作陣に脅迫状が届くほどだった。
     それほどまでに人気だったので、二人は私生活でもカップルなのではという疑惑、もといファンたちの願望が強く、アバッキオはあのドラマの放送終了時何かにつけてそういった質問を受けた。
     答えはノーだ。
     アバッキオはドラマのクランクアップ後、ほとんどブチャラティと連絡を取り合ってはいなかったのだ。
     
    「お前は男と寝たことがないんだよな」
     彼から誘いを受けて、はじめて男と身体を重ねた。
     元々美しい男だと思っていたし、彼なら抱けると確信していたが、あそこまでハマるなんて予想していなかった。
     撮影中の、連休の度に二人きりで過ごした。飽きることなく部屋で互いの身体をまさぐり合っていた。堅物そうな外見に反してマイペースで可愛らしいところがあり、優しく誠実でこちらに敬意を持って接してくれるブチャラティをアバッキオは本気で好きになっていた。
     時にはストレスフルな環境に置かれる撮影の過程でブチャラティがどれだけ出来た人間なのかということを知り役者としても人間としてもますます惚れ込んだ。
     アバッキオの独り善がりではなくブチャラティもアバッキオのことを憎からず想っていたことは明らかだった。
     だが、このドラマのおかげで撮影中から様々な仕事が舞い込み、クランクアップ後はそれぞれスケジュールに追われることとなり、連絡をすべきタイミングを逃してからは何となく気まずくなり疎遠になってしまった。
     
     
     
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     エージェントを通じてブチャラティが出る舞台のチケットは抑えてあった。仕事の都合だったり勇気が無かったりで今まで一度も観に行ったことはない。ほとんどは後者の理由だ。意気地がないと自分でも思う。
     だがもういい加減、会いに行くべきだ。
     今度出演するドラマはブチャラティとのダブル主演だった。気まずいものを抱えたまま仕事場で顔を合わせたくはない。一度プライベートな空間で彼と向き合って話をする必要がある。
     
     
     
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    「早かったな」
     リビングルームのソファーに我が物顔で腰掛ける男を前にアバッキオは頭が真っ白になった。
    「観に来ていたなら連絡くらいしてくれてもいいだろう」
    「ブチャラティ」
    「なぜ、連絡をくれなかった。今回のことに限ってではなく、あの後から……」
     そこでブチャラティは我に返ったように苦々しい表情をした。連絡をしなかったのは自分も同じだという自覚があるのだろう。
    「こうしてお前がわざわざ多忙な時期に俺の舞台を観に来てくれたということは、少なくとも嫌われているわけではないということだな」
    「嫌うわけがないっ」
     思いの外大きな声が出てしまってアバッキオは赤面した。
    「アバッキオ」
     彼はソファーから立ち上がると、互いの衣服が触れ合う位置まで歩み寄り肩口に頬を寄せた。
     それが今彼ができる最大の勇気なのだとアバッキオは理解して目の奥が痛んだ。どの程度の距離が許されるのか。ブチャラティはそれを判断しかねているのだ。
     アバッキオはブチャラティの柔らかな髪を指で梳き頬に口づけを落とした。
     その瞬間ブチャラティの纏う雰囲気が急変した。彼はアバッキオの肩に抱きつくと頭を掴むように抱えて深々と口付けた。
    「無理。もう我慢できねぇ」
    「ブチャラティ、待……」
     ぬるりと舌が口腔に入り込む。
     そうだこの感触だ。意図も簡単に快楽の渦に引きずり込むブチャラティの口付け。
    「ずっとお前に抱かれたかった」
     直接的な物言いにアバッキオの熱が上がる。
     ブチャラティはアバッキオのボトムの膨らみを撫でると微笑んだ。器用にチャックを下げて手を侵入させると下着の上から性器をやんわりと掴んだ。
    「っ、ブチャラティ……、待ってくれ」
    「気持ちいいかアバッキオ。早くこれを俺にブチ込みたいだろ?」
     品位の欠片もない。しかしアバッキオは引くどころか、彼の心臓はドッと一気に血を吹き出して全身を熱く脈打たせた。喉が乾き生唾を呑み込む。
     ここで自分を待っていたということは、準備はしてきているのだろう。何を迷うことがある。
     アバッキオはブチャラティを抱きしめると横抱きにして寝室へと向かった。
     
     
     
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     真っ赤な顔を両手で覆い、指の間からある人物たちの様子を伺うナランチャをフーゴは呆れ顔で見ていた。
    「何ですか。君もカプ厨なんですか」
    「え、何それ……?」
     椅子に座り膝に肘をついて前屈みになっていたナランチャは顔を上げて今回ドラマで共演するフーゴを見上げた。
    「アバッキオとブチャラティが付き合っていると妄想しているはた迷惑なファンのことです」
    「べ、べべつ、別にっ、妄想なんてしてねぇしっ!!」
     ナランチャが見ていたのは、セットを組む作業車が通る道を挟んだ正面で、監督たちと和やかに立ち話をするアバッキオとブチャラティだった。
    「もしかして、ナランチャあのドラマ見たのか?」
     コーヒーを片手に休憩場所にやって来たミスタは長椅子に腰掛け読書をしていたジョルノの隣に座る。
    「そうだよっ! ミスタが共演するなら見とけって言うから見たんだよっ! だから無駄に意識することになって……、ミスタのせいじゃねえかっ!!」
    「責任転嫁すんなよ!」
    「あなたのせいですかミスタ」
    「おいジョルノ、お前まで何だよっ! ナランチャのやつブチャラティのファンのくせにあのドラマ見てねぇんだぞ? 信じられねえだろ?」
     この場にいる四人は今回ドラマで共演することになった同僚だ。所属先が同じでフーゴとナランチャはデビュー前からの友人同士。ミスタとジョルノは最近仕事場が重なることが増えて仲良くなった。元々四人ともよく話す仲なので今回の仕事をとても喜んだ。
     主演がアバッキオとブチャラティと知るまでは。
     四人とも二人のことは尊敬しているし、特にブチャラティは人格者としても有名で共演した役者たちの口からは褒め言葉しか聞こえてこないほどの男で、影で聖人と呼ばれているとかいないとか。
     彼らとの共演を四人は光栄に思った。
     だが、それでも複雑な事情というのは存在する。
    「それは、そうですが……。放送当時、僕もナランチャも駆け出しで自分の仕事に関係ある作品しか鑑賞する余裕がなかったですしね。ものすごく話題でしたが時間的余裕が出てきた時には既に出遅れた感があって、今更見るのは悔しいみたいな気持ちでいたんですよね」
     事情というのは、アバッキオとブチャラティが過去に出演した作品にある。二人はその作品でゲイカップルとして登場し、なかなかにホットなシーンをいくつも演じた。もちろん作品は成人指定にレーティングされていた。
    「そうなんだよな。しかも、セ、セックスシーンが結構生々しいって言うから、ブチャラティのイメージが崩れないかすげぇ怖くて」
    「わかります。でも僕は放送終了翌年にBDボックスを買いました」
    「嘘だろジョルノ」
     BD版は尺の都合でカットされた未公開シーンを盛り込んでいる。もちろん所々カットされたセックスシーンもストーリーの流れを途切れさせないよう可能な限り収めてあるのだ。ナランチャもその情報を知っていた。彼が見たのはネット配信サービス版で有料衛生チャンネルで放送していたものと変わらないものだったのでBD版よりもだいぶソフトだ。流石にBD版を見る勇気はない。
    「本当ですよナランチャ。役者として名作どころは抑えておくべきでしょう」
    「いや、そうだけど……。恥ずかしくなかったのかよ?」
    「恥ずかしかったですけど、でもすごく美しかったじゃないですか。それに身体を張ってあそこまでの演技をするなんて凄いです。僕にはとてもできない」
     確かにアバッキオとブチャラティのセックスシーンは美しかった。
     自分が最も憧れる役者が男に組み敷かれて愛らしく啼いているところを見るのはショックだったが、二人が愛を確かめ合っているシーンは目が潰れそうなほどに美しくその後二人を襲う悲劇を更につらいものにしていた。
    「ふーん、じゃあここにいる全員あのドラマ見てるってことか」
     ミスタの言葉にお互い顔を見合わせる。
    「で、どう思う? あの二人マジで付き合っていると思うか?」
    「いい加減にしてくださいよミスタ」
    「フーゥゴぉ……優等生ぶるなって。本当にヤッてたんじゃないかって疑惑が出るくらいエッロいセックスシーン見ておいて想像しないわけねぇだろう」
    「……それは」
    「図星じゃん」
     フーゴはやや顔を赤くして頭をかくと、結局何が言いたいのかとミスタを睨んだ。
    「賭けをしねえ?」
    「掛けですか?」
     ジョルノが長椅子に本を置く。
    「あの二人が本当に付き合っているのかいないのか、それをはじめに突き止めたやつが勝ち。負けた三人は勝ったやつの言うことを何でも一つ聞く!」

    苔もも Link Message Mute
    Jan 4, 2019 6:04:11 AM

    【エア新刊】Second Season

    人気作品アーカイブ入り (Jan 7, 2019)

    #アバブチャ #パラレル #再掲 #サンプル

    ぶちゃオンリー前夜にぷらいべったにUPしたエア新刊サンプルの役者パロです。

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    • Cannolu #アバブチャ  #パラレル  #おにショタ

      現代設定 / 転生 / 年上×年下
      ブチャ視点回。
      苔もも
    • 優しい世界の子どもたち #アバブチャ #パラレル #ショタショタ

      めっちゃ都合の良い世界で幸せに暮らす話。
      苔もも
    • 鮮明なシナリオ #アバブチャ #パラレル

      現代設定の役者パロ。恋人役として共演することになった二人。
      アバッキオに対して性的に積極的なブチャラティがいるので注意です。
      二人共20代後半をイメージしています。

      続き書かないとか言った舌の根も乾かぬうちに……
      (https://galleria.emotionflow.com/72319/472280.html)
      ※リンクユーザー(フォロワー)限定公開+R指定
      苔もも
    • 凪の中で君と踊る #アバブチャ

      チーム+アバブチャでほのぼの。
      原作軸シリーズと繋がってます。

      イタリアの学校制度は、基本的に数え年で同い年の子どもは同学年とのことです。早生まれの子(80年3月末生まれのアバ)は希望すれば、本人の能力に応じて79年生まれの子どもたちと同じ年に入学することも可能。特に希望が無ければアバッキオとブチャラティは同学年みたいです(外務省のHPより)
      苔もも
    • Zuccotto #アバブチャ  #パラレル  #おにショタ

      現代設定。転生のようなもの。年上×年下。
      そのうちR指定入ると思います。

      シリーズの扉統一させることにしました。
      イタリア人の食生活に欠かせないコーヒーを。
      苔もも
    • 安息の香り #アバブチャ

      アバッキオ加入あたり捏造
      アバ(→)ブチャ

      11/10:アニメオリジナルシーン出ちゃいましたね~。これは原作軸ということで残しておきます。
      苔もも
    • Mad About You #アバブチャ #パラレル #幼馴染

      拙者、途中で精神的攻防が逆転する展開が大好き侍


      大阪のザワ17で無配しようと思っていたものです。(サンプルもどきは削除致しました)
      思ったより話を膨らませられなかったのと、本にするほどではないと思ったのでこちらにUPします。いろいろ荒いですが楽しんでいただければ幸いです。
      イベントは仕事があやしいのもあって欠席します。
      ちなみにスペはネ6bでした。
      苔もも
    • その隙は残酷 #アバブチャ

      アバッキオにだけ隙を見せるブチャラティとアバッキオの葛藤

      ブチャラティってギャングになってから一般の人が当然のようにしているであろう仕事抜きで同年代の人と時間を共有するって機会なかったかな、そもそも同年代の人が近くにいない? そこからアバッキオには特別気を許す瞬間があるのでは(映画も好きそうだしね)っていうフォロワーさんとのお話から生まれた話です。
      苔もも
    • 2 #アバブチャ #パラレル

      ついったに上げたものです。こちらへのUPに伴い該当ツイートは削除しました。
      ※2つとも現パロです。
      苔もも
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