ご質問①
「エキニシィの得意料理は？」
→基本的に簡単なものは何でも作れるが、ホットケーキから派生した料理が全般的に得意。特に菓子よりも食事向きなベーコンストリップパンケーキ。
彼にとって特別な人間だった空巣が口に出して「旨い」と言ったのがこれだけだったので秘密裏に練習を重ねて上達していったが、空巣が味を褒めたのは後にも先にも最初の一回だけだった。
クレトも彼の作るパンケーキを好んでおり、自分も同じくらいに美味しい出来のものを振る舞うべく、時折台所に立って練習をしている。

ご質問②
「街にケーキ屋さんや八百屋さんはある？」
→街には大規模なショッピングモールが存在しており(三話にも軽く登場している)、基本的な買い物はその中で全て済ませられるようになっている。
住人が個人で所有出来る車両は存在しない為、移動に際しては街が提供する公共の移動手段を利用するか、クレトのように飛行能力を有するキズ持ちは現地まで飛んでいく場合もある。が、キズ持ちは積極的に自らのキズをひけらかす事は好まない為、職務上必要に迫らない限り、基本的には人間らしい振る舞いを選択する。

ご質問③
「狩人の給料ってどのくらい？」
→感覚的に、命がけの仕事にしては安く感じられる金額。倹しく生活する分には問題はないが、これは街からの配給を前提としたものであり、金目的でわざわざ危険な狩人を選択する住人はいないと思われる。
表沙汰にはされないが、狩人の多くは適性検査や面接をする中で給料よりも「罪にならない殺人を犯せる」事に価値を見出だしてこの職に就いている事が中央管理局に筒抜けとなっており、事実、現在まで安月給に対して不満を抱いて訴えを出した狩人は存在しない。これにはキズ持ち自体が自分の執着に関わらない物事に関心が薄い事も理由の一つにある。
狩人の匿名性の最たる部分は、こうした「殺人に肯定的な思考回路を持つキズ持ち」の危険性が不必要に露呈しないようにという配慮であるものの、狩人の実態を知る一部の組織からはやはり忌避の目で見られているようだ。

ご質問④
「狩人に殺害されたキズ持ちの遺体はカラスに食われて処理されるが、老衰や病気を始めとした死因で亡くなった場合の葬儀はどうなるか？」
→死因の如何に関わらず、キズ持ちの遺体は必ず鳥葬によって処理される。予備軍は通常の葬儀、ないしは鳥葬によって弔うかを親族が選択出来る(いない場合は鳥葬)。
キズを得て肉体が変容したキズ持ちの亡骸は燃えにくく腐敗もしなくなっている為、仮に火葬や土葬を行っても遺体は無惨な状態を維持したまま長期間残り続ける。
その不気味な有り様や、死後キズ持ちの屍肉に惹かれて群がるカラス達の姿は長年の間に様々な憶測や逸話を世間に生み続け、最終的にはカラス達に遺体を食わせる鳥葬がキズ持ちを処分する方法に最適であるとされた。
この世界は(街の外でも)キズ持ちの遺体は専用の捨て場に放棄し、それをカラス達に啄ませて処理をしている。

カラスに食われないまま、誰にも弔われないまま残され続けたキズ持ちの遺体がどうなるかについては、検証されていないので誰にも分からない。
※街の外ではキズ持ちやキズについて理解を深める行為そのものが、世間的にタブーとされてきた為。

ご質問⑤
「狩人達の日頃の楽しみは？」
→狩人の趣味や生活によって多少異なると思われるが、恐らくは"本番"に向けての戦闘訓練かと考えられる。
クレトは戦闘経験に未だ未熟ではあるものの非常に好戦的な気質を示しており、定期的に無人のビル群までエキニシィを伴って赴き、そこで実戦的な訓練(という名のじゃれあい)をしている。
街に流れ着いた当時まともに喋る事もままならない程の退行状態にあったクレトを、治験協力者としてラボに送るでもなく無期限の休養期間を与えてまで狩人に推したのは狩長のハイテレスである。
これは彼に過剰な執着心を見せるエキニシィへの配慮としているが、ハイテレスは初めてクレトを見た時から、彼の凶暴性を見抜いていたのかもしれない。