イラストを魅せる。護る。究極のイラストSNS。

GALLERIA[ギャレリア]は創作活動を支援する豊富な機能を揃えた創作SNSです。

  • 1 / 1
    しおり
    1 / 1
    しおり
    変異生物 二十年以上、月や衛星軌道で暮し、そして、地球環境への再適応の為のリハビリに半年かかった。
     1年の長期休暇の半分が「実家に帰る為の下準備」に使われた事になる。
     それでも……帰って来て良かった。
     多くは変ったが、変っていないモノも有った。
     親は、とっくに亡くなり、兄夫婦が実家を継いでいた。

     明け方ごろ、実家を出て、近くの神社に歩いて行く。
     地球こちらでは、温暖化が進んでいると聞いていたが……夏とは言え、田舎の方で、しかも、この時刻だと、まだ涼しかった。
     木々に囲まれた神社も昔のままだ……。
    「叔父ちゃん、何やってるの?」
     背後から甥っ子の声がした。
    「ああ、子供の頃、ここに良くカブトムシやクワガタを取りに来てね……」
    「あれ? そうだったの?」
    「うん、今でも、カブトムシやクワガタが居るか見に来たんだ」
     そう言って、毎年のようにカブトムシやクワガタが集っていた木に灯りを向け……。
     ああ……昔のままだ……。
     木の樹液に群がる昆虫……。
     ……。
     …………。
     ……………………。

     何だ、これは?
     それは、記憶に有るカブトムシやクワガタより遥かに大きかった。
     形も違った。
     バッタのような形。
     尻にはスズメバチのような大きな針が有り……。
     それが……こっちに顔を向けた……。
     昆虫の顔じゃない。
     良く見ると足の数は8本。
     胴体は5つの節から構成されているようだ。
     そいつの顔を見た時に思い出したのは……私が地球に居た頃に放送されていた特撮番組に出て来た……髑髏をモチーフにした怪人。
     人間っぽいのに、人間でない顔だった。
     そいつは……髑髏の口元を思わせる口を、ゆっくりと開き……。

    「叔父ちゃん、どうしたの?」
     腰を抜かして、悲鳴を上げる私。だが、甥っ子は異様に冷静だ。
    「な……なんだ……あれは?」
    「あれ? 宇宙じゃ、変異生物の事はニュースになってないの?」
    「変異生物?」
    「うん、もう今じゃ……元から居た動物を完全に駆逐してるみたいだよ」
    「ば……馬鹿な……そ……そんな話……」
    「ああ、それと……あいつは……」
     その「変異生物」とやらの羽根が細かく震える……8枚の羽根だ。
    「悲鳴を上げてる人を襲うクセが有ってね」
    「た……助けて……」
    「何で?」
    「『何で』って……?」
    「叔父ちゃん……気付いてないの? そんなに頭が悪くて、よく学者なんて、やってられるね?」
    「何を言って……」
    「言ったでしょ。『変異生物』はって。昆虫も……脊椎動物も……もちろん……」
     甥っ子……もしくは甥っ子だと思っていた「何か」が言おうとした最後の一言を聞く前に……その奇怪な生物の針が私の喉元に突き刺さり……。
    便所のドア Link Message Mute
    2022/12/11 13:40:55

    変異生物

    久し振りに故郷に帰ってきた宇宙ステーション駐在員。
    故郷は何も変っていないように思えたが……?
    「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「Novel Days」「ノベリズム」「GALLERIA」「ノベルアップ+」に同じモノを投稿しています。
    #ディストピア #ホラー

    more...
    Love ステキと思ったらハートを送ろう!ログイン不要です。ログインするとハートをカスタマイズできます。
    200 reply
    転載
    OK
    クレジット非表示
    NG
    商用利用
    NG
    改変
    NG
    ライセンス改変
    NG
    保存閲覧
    OK
    URLの共有
    OK
    模写・トレース
    NG
  • CONNECT この作品とコネクトしている作品