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    系外第四惑星の記録注意:この文章は高性能の宇宙全言語自動翻訳機により読者の解読可能な言語へ翻訳されますが、稀に誤訳がございます。今後も品質の改善につとめて参りますので、ご了承ください。

    (一部抜粋)

     現状を生み出したのは自らのせいだという種もいる。彼らは星を支配しているつもりらしい。しかし、現状を生み出したのは星だ。彼らに何かを生み出す能力はない。
     私たちのような星の表面を這い回るだけの生物が星の生命を脅かすのは難しい。生命が脅かされているのは彼らで、星ではない。星はいままでもこれからも気ままに生きるだけだ。

     多くの生物にとって有害な物質が増えたため、成体まで生き残ることは難しくなった。一方で、大気が濃さを増す以前より長く生きるようになった種もいるときく。
     恒星から星へ吹く物質が地上へ届きにくくなったことが原因の一つらしい。真実を確かめる術は私にはないが、ある時期から極端な人口の減少がみられなくなったことは事実だ。ほとんどの生物にとって恒星の光は有害でしかなかったのだろう。

     この星はもう出ることも入ることもできないという噂話をきいた。おそらく本当だろう。こうなる前から似た揶揄はよく耳にした。デブリによる事故が多発していたからだ。
     だが今はデブリだけではない。上空約200〜37,000km圏内で船は動力を失うらしい。原因はわかっていない。偶然が重なった結果、そうした空間が存在することになったのだろう。この星の住人でなければ、怠慢や杜撰という言葉を使って説明するはずだ。
     立ち往生している船と通信ができたという話はきかない。

     地上のローカル通信はノイズに混じって言語がきこえてくることもある。大抵はききとれないため、情報は乏しい。
     人工衛星は時々塵を含んだ大気に映る光の線となり場所を選ばず地上へ帰ってくる。地図が更新されないので私が見たままをデバイスに上書きするしかなく、行く先について前もって知ることはできない。

     建造物の多くはもともと星を構成する素材にのまれて消えた。稀に残っているものもある。
     様子からして長い間使われていない。隅に立てかけたライフルと散弾銃は埃をかぶっているが、私のものよりずっと良い。小屋の主はここを去ったわけではないようだ。近いうちに私が見つけることになるかもしれない。
     二丁ともエネルギー残量が少しある。ライフルを咥え、苦労して引き金を引いたが私が無事なところをみると、これらには脳がある。狩りのお供としては頼もしい。

     テクノロジーの破片しか残っていない今、寒暖差のある気候での食料保存は難しい。チャージした散弾銃を持って表へ出ると、今朝羽を得た蝉たちがぼんやりとした恒星の真下で凍え死んでいる。ここ数日の私と蝉のルーチンだ。
     床下収納だと思って開けた地下室で主を見つけた。種がわかるほどではないが形があり、匂いはない。この頃はこうなるのによい条件が揃っていたのだろう。保存用の鳥肉を腐らせた私には少々羨ましい。

     冬の食べ物は少ない。夏がそれらしく振舞わず、秋の実りが乏しかった。どの木にも果実はなく、魚らも水質が生存に適さず死んだ。それらを糧としていた生物の姿もない。捕食者が減り、少食な小型生物は数を増やしたが、地の底まで凍りつくような寒さでは春に目覚める者は少ないだろう。
     私も例外ではない。私の手にはエネルギー残量100%の有能なライフルがあるが、獲物がいない。栗鼠と蟋蟀で作った保存食はとうに尽きている。栗鼠のガリガリとした食感や蟋蟀のしつこい甘みがなつかしい。
     森を歩き回り、わずかな木の皮や根を持ち帰る日々が続いている。私の体もこの効率の悪さに気づきはじめている。

     鹿を見つけた。意外にも肉づきが良く、額から天へ伸びる螺旋状の角が美しい。弔いを先延ばしにしてきた地下室の主を齧らずに済みそうだ。
     三つの心臓を撃ち抜き、距離をつめると鹿は自らが横たわる雪と同じ銀色の目でこちらを見つめている。私を呪っているのだ。レーザーに穿たれた三つの心臓から命が流れ尽きるまで、鹿にはそうする権利がある。
    ∮∌ Link Message Mute
    2023/09/03 23:40:22

    系外第四惑星の記録

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