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    5 ・堕ちた神と同胞(はらから)たちの話夕闇に紛れるようにして、飛龍に乗ったジルカースたちは西の国に到着した。
    デオンにも動向が割れている以上、当然その母国である東の国にも行き先が知れていると判断した一行は、いったん今後の案を相談するため、明朝まで西の国にて一泊する事を決めた。

    宿屋の一室で、一行は久しぶりの安息の時を得ていた。
    「銃の弾を補給するのを忘れていたな、今から階に向かうのもな……アイラ、持っていないか」
    「あいよ、使い慣れたやつじゃなくて悪いけど」
    すまないな、と返す何気ないジルカースとアイラのやり取りに、ほんの少し心に陰りが差した気がして、気まずくなったテオはそっぽを向いた。
    そこに頃よく気を紛らわせるかのようにやって来たのはキスクだった。ライを構うように座り込むとこう言った。
    「このワンコロ見てると昔を思い出すなぁ、俺も若い頃飼ってた事があってね」
    「変な事言うのね、今も若いじゃない、キスクって一体ほんとは何歳なの…?」
    「秘密〜」
    その一方で、そんな二人のやりとりを遠目に見やっていたジルカースは、テオと視線が通う直前に視線を逸らし、不意に訪れた気まずさにその場を立ち去った。

    そのままテオたちを避けるようにして、煙草を吸いに外に出たジルカースだったが、不意に訪れた違和感に辺りを見回す。
    (おかしい、静か過ぎる)
    ふと見やった空の鳥が、羽を広げたまま静止している事に気付き、時間が止められているとジルカースは気付いた。
    視線を戻すと、そこにはどこか見覚えのある面影の人物が居た。
    いや、見覚えがあるというものではない、あまりにも鏡に見た己と瓜二つのその顔。
    「お前……何者だ!?」
    「きみ、おれが見えるのかい?そうか……きみがジルカースか」
    中性的な見目の男は己を”ゼロ”と名乗った。
    「ゼロ……?貴様、俺を知っているのか?」
    ジルカースは彼の事は全く身に覚えが無く、ますます怪しい気配を察する。
    相手が丸腰であることから、己の神力によって彼の記憶を操作しようとしたものの、不思議なことに力は発動しなかった。
    まるでこいつには攻撃してはいけない、と定められているかのように。
    虚しく伸ばされた手が空を切って、ゼロは僅かに不思議そうな顔をした。
    「おれは君をよく知っているよジルカース、きみが本当は大切なものたちを守ろうとしてこの世界に降りてきた事も」
    「俺が、大切なものを……?」
    「おれはおれのことを覚えていないけれど、きみのことはよく知っているよ、今も仲間を助ける為にきみは生きている」
    「お前は、一体……?」
    ”今度は守れるといいね、きみの大切なものを”その言葉と共にぱちんと音がして、また時間が動き出した時には、すでにゼロの姿はなかった。

    その後、夕食を取りながら四人は宿屋の一室で話し合っていた。
    アイラの仲間の子供たちの手により、闘技場に集うもの達から現在の動向を聞き取った結果によれば、
    ​───東の国での内乱がひと段落し、デオンの上司であるレビィ・ザイアッドという者が次の東の国の実権を握ろうとしていること、
    ​───東の国から南の国へとある技術者が逃げ出したこと、
    が明らかになった。
    「ここの闇ギルドの者にも何度も世話になっている……下手に協力を仰いであらぬ罪を着せたくはない、俺たちだけでどうにかする他あるまい」
    「つったって、東の国、ひいてはその協力国までもを敵に回してるんだぜ、いくら天下の暗殺者ジルカースといえど無理があるよ」
    「あたしらの伝もあたってみるけどさ、ずっと逃げてるだけってのも限界があるよ、どこかに長期隠遁するならともかく……テオはどこか宛があって亡命してきたのかい?」
    「……ええ、きっと今は南の共和国にいるはずの、元東の国の技術者ヘンゼンという人、その人に会えば、いまジルカースが疑問に思っている事についても、きっと分かると思うわ」
    テオの言葉に、なぜかゼロの姿が一瞬過ぎったジルカースは視線を落とす。
    ゼロの事は誰にも打ち明けていなかった、話したところで誰も信用などすまい。
    「俺の疑問に思っている事、か……南の共和国ならこの国から近い、そう隙を作らず向かえるだろう」
    話し合いの結果、最終的に南の共和国へ向かう事になった一行は、憂いのないよう各自翌日に備える事とした。

    その晩、ライを連れ立ってひとりどこかへ向かおうとするテオを見つけたジルカースは、念のため武器を携行すると、気配を消してこっそり彼女の後を追った。
    闘技場の奥の城門へと向かったテオに、自ら身を引き渡すつもりではと判断したジルカースは、即座にテオの手を掴み引き止めた。
    「あ……テオ、これは……その」
    次の目的地の重要性もそうだが、テオ個人が重要な存在となっていたジルカースは、
    ”立ち去るな、ここに居てくれ”
    と言いたかったのだが、妙なこそばゆさもあり、なんと気持ちを打ちあければよいものか分からず黙ってしまった。
    テオはどういう理由からか、少し申し訳なさそうな顔をして微笑んだ。
    「……ここの街の離れにある闘技場、夜間も開かれているのですって、様子を少し見に行かない?」
    思っても居ないテオの誘いに、ジルカースが柄にもなくぽかんとしていると、テオはようやく穏やかな笑みを見せた。

    夜間に行われているのは、剣舞の見世物だった。昼間の騒がしい剣劇試合とは打って変わって、晩酌片手に静かに眺めたいもの達が集っていた。
    ジルカースとテオは人目を避けるように、観客席の隅に座った。
    見ているだけだというのに、ジルカースは爛々とした子供の瞳の様にあまりに楽しそうな表情をしていて、テオは思わず笑ってしまった。
    きっと自分も出場してみたいのだろうなと思って、珍しく楽しそうね、と話しかける。
    ジルカースはテオとの記憶を思い出したことで、珍しく己がこの世界に降りてきてからの事をぽつりぽつりと話し始めた。
    何もわからず騙されそうになっていた所を、師と呼ぶ人に助けられたこと、彼は暗殺者でありジルカースに生き方や暗殺の技術を伝承したこと、その師匠はとても強いひとでリボルバー銃を受け継いだこと、などだった。
    暗殺者という身の上で他人を警戒するジルカースが、己に身の上を話してくれた事で、テオはジルカースの警戒の内側へ入り込めたような気がして、ほんの少し嬉しくなった。
    「その人は今どうしてるの?」
    「わからん、俺に銃をあずけてから姿を消してしまった、いまはどこでどうしているのやら」
    返す言葉に詰まってしまうテオだったが、ジルカースの言葉からはきっと彼の生存を信じているのだろう、と察せられた。
    「……闘技場、いつかまた一緒に来ましょう、今度は参加者として」
    そのままジルカースの手を握ったテオは、”みんなが心配するわ、帰りましょう”と穏やかに促した。


    夜中、喉が乾いて水でも飲もうかと不意に目覚めたキスクは、手を繋いで帰ってきたジルカースとテオを見かけて、布団から出かけていた体をひっこめた。
    隣の部屋にテオを送ったあと、すぐわきのベッドに入ったジルカースに、こそこそ声で話しかける。
    「二人でゆっくりできました?」
    いつもならここぞとばかりに弄るであろうシチュエーションを、珍しく弄ってこないキスクに対し、ジルカースは少しばかり意外だというように間を置いた。
    「ああ、少し話をしていた」
    布団に潜り込んだジルカースは、テオが少しでも安心して過ごせるよう、珍しく己の中の神に祈った。
    [email protected]/11直参【い21】 Link Message Mute
    Jul 7, 2022 4:32:50 PM

    5 ・堕ちた神と同胞(はらから)たちの話

    #一次創作 #オリジナル #おちから
    #神話創作 #ダークファンタジー #和風ファンタジー #ファンタジー #男女恋愛もの

    西の国を訪れた一行、新たな動向が様々明らかになる一方で、つかの間の穏やかな時間を過ごすジルカースとテオは……

    キャラ設定はこちら
    https://galleria.emotionflow.com/94124/621928.html

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