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作品 - 小説 OR 海堂尊

 : 1225件
  • 昔書いていた小説の表紙を着色しました。 #オリジナル #創作 #オリキャラ #アイビスペイント #イラスト #ibispaint #絵描きさんと繋がりたい #絵師さんと繋がりたい #春の創作クラスタフォロー祭り #創作クラスタさんと繋がりたい #アンドロイド #バイク #青年TFV3JdakYBfbrGx
  • 小説の登場人物です。不老不死の少女の戦士達です。右端が主人公、右から2番目がヒロインです。 #オリジナル #創作 #オリキャラ #女の子 #アイビスペイント #イラスト #ibispaint #絵師さんと繋がりたい #絵描きさんと繋がりたい #創作クラスタさんと繋がりたい #春の創作クラスタフォロー祭り #カクヨム #境界のヴァルキリー #ファンタジー #不老不死TFV3JdakYBfbrGx
  • 6下記の自作小説の登場人物です。
    https://www.alphapolis.co.jp/novel/328771696/126392537

    #ヒーロー #ヒーローもの #オリキャラ
    便所のドア
  • 小説第2章『邂逅』のシーンです。妖魔が人間の女の子に取り憑いて、悪さをしている所です。 #オリジナル #創作 #オリキャラ #女の子 #アイビスペイント #イラスト #ibispaint #絵描きさんと繋がりたい #絵師さんと繋がりたい #境界のヴァルキリー #カクヨム #創作クラスタさんと繋がりたい #創作クラスタフォロー祭りTFV3JdakYBfbrGx
  • 4コーンホーン①※続きをFANBOXで公開中。
    『②』
    https://galleria.emotionflow.com/79773/568132.html
    …………………………………………………………………
    【Twitter】(通知+作品のあらすじとあとがき)
    https://twitter.com/26UGI

    #オリジナル #創作 #オリキャラ #女の子 #百合 #創作百合 #小説 #ライトノベル #イラスト
    星羅福つむぎ
  • 2護国軍鬼4号鬼「羅刹女(ニルリティ)」&護国軍鬼5号鬼「ソルジャー・ブルー」下記の自作小説の主人公機です。
    一応、「中の人」は両方とも女の子と云う設定。
    https://www.alphapolis.co.jp/novel/328771696/126392537
    https://www.alphapolis.co.jp/novel/328771696/104392542

    #パワードスーツ #オリジナル #ヒーローもの #オリキャラ
    便所のドア
  • 3賽に退廃①/姉ヶ崎サーヤ※続きをFANBOXで公開中。
    『賽は当てられた①/姉ヶ崎サーヤ』
    https://seratsumu.fanbox.cc/posts/1923327
    (前編は全体公開、後編は月額会員のみ)
    ◆4コマ⇨https://galleria.emotionflow.com/79773/568128.html
    …………………………………………………………………
    【Twitter】(通知+作品のあらすじとあとがき)
    https://twitter.com/26UGI

    #オリジナル #創作 #オリキャラ #女の子 #百合 #創作百合 #小説 #ライトノベル #イラスト
    星羅福つむぎ
  • 2#一次創作の民集まれ 2 お品書き新刊が増えたのでお品書きデザイン新調しました。 #断片シリーズ
    2月21日のいちたみ2は今回お手伝いもしてるのではちゃめちゃに楽しむぞ~

    ピクスクのイベントページ https://pictsquare.net/rm5cq5ygm3906opteqjmth72xre4mim3
    店舗へのリンク https://panda510.booth.pm/
    ※オンライン同人即売会のため、お品書きの金額に加え別途送料が必要です。

    【新刊】
    [漫画]キミを◆す幸福な夢 https://galleria.emotionflow.com/48975/565541.html
    【既刊】
    [漫画&小説]断片短編集https://galleria.emotionflow.com/48975/552875.html
    [小説]世界の断片 https://www.pixiv.net/artworks/59080982
    [フルカラーイラスト集]Eikona Skias https://www.pixiv.net/artworks/68800364


    ##オリジナル ##小説 ##漫画
    月景
  • 9ハロサムまとめ #小説 #Twitter企画 ##企画_ハロサム
    落書きまとめ。
    新矢 晋
  • ユラ書いてる小説の主人公 #オリジナル #創作 #オリキャラ #女の子 #オリジナルキャラクター十五屋かめ
  • うちのこエルフちゃん #オリジナル #創作 #オリキャラ #女の子
    オリジナルの小説↓
    https://ncode.syosetu.com/n0917fu/
    のヒロインエルフちゃんです。
    手ノ皮ぺろり
  • フランス製ファンタジー小説シリーズ「エウィランの冒険」からのSiamです。アニメ化お楽しみにしています。 #女の子 #女性  #剣  #落書きA-Key
  • オリジナル小説BadTripカバー下表紙絵オリジナル小説「BadTrip」のカバー下の表紙絵頑張ったので見て_(´ཀ`」 ∠)_
    周りのお花は体の中で銃弾が炸裂したときに体の中で咲く銃弾のお花です。
    右端の男性にやたら銃弾のお花が咲いてますね…。 #オリジナル #オリキャラ #創作  #表紙絵
    ぐるぐるめー
  • 4【明けましておめでとうございます!】『THEALFEE高見澤俊彦さんの三作目の小説は一体どんなジャン #ALFEE #桜井賢 #アルフィー #イラスト #坂崎幸之助 #マンガ #高見沢俊彦 #漫画 #ギャグぷりんせすはなげ
  • 2【ダンジョンツクル・クロニクル】ダンジョン造って、世界に闇を取り戻せ!!!
    pixivにて小説を連載中です。みんな見てね!!!
    #オリジナル #創作 #オリキャラ
    sukunabikona40
  • 2魔装戦記エルガイザー■優パパ様の小説魔装戦記エルガイザーより主人公フランと仲間たち。
    https://novel18.syosetu.com/n4001gj/
    ■ビキニアーマー少女の少年漫画的エッチという一部世代に直球で刺さる作品♪

    #ビキニアーマー #変身ヒロイン #女の子 #小説挿絵
    タマネギーニョ
  • らくがきよくある小説の挿絵みたいになった
    #マルホリ
    絵倉庫
  • 11でんきマスター1話漫画 #pkmn夢 #夢漫画
    自分の小説の第一話を自分で漫画にしました
    ゆずもち
  • オリジナル小説「深海の天秤」一章 ファーストインパクトの挿絵⑪「言ったでしょッ。私、用があるのッ!変な言い掛かりに付き合ってられないわッ!」

    振り向き様に金切り声をあげる七奈美。だが阿妻は、無表情のまま…。


         「このままでいいんですか?」


    …と告げた。
     ずっとガン見してきた阿妻だったが、今は更に七奈美の心の奥を透かして見ているような目をしている。
     七奈美の動きと息が……止まった。

    「山口さんは複数により、顔の形が変形するまで殴られてました。そして最後は、鎌のような形状の鋭利な刃物により刺殺されたことが分かってます」

     それを聞いた七奈美の頭の中では、『あの時』の自分に向けて「逃げろッ!」と言った山口さんの顔が思い出され、ギュッと下唇を噛んだ。

    「手口からして、私たちも貴女が犯人だとは思ってません。でも、貴女が真実を告げないことで犯人が見つからなかったら、山口さんの『お母さん』はこれからずっと悲しむことになるでしょうね」

    「…ッッ!」

     大きく見開く七奈美の目。

    「先ほど落谷刑事も言っていましたが、今回の引ったくりも貴女自体を狙ったものかもしれない。身の安全は保証します。どうか協力してください」

     阿妻は椅子から立ち上がると、七奈美に向かって深々と頭を下げた。
     まさかの七光りお坊っちゃまの行動に、思わずギョッとする落谷。
     七奈美はというと…。

    「…………本当にッ? …話したら、私だけじゃなく、私の『家族』も守ってくれるッ?!」

    …と言いながら、あんなにキツい顔つきが、一気に泣き出す寸前の子供のようにグシャリと崩れた。
     阿妻は丁寧に「はい」と頷く。
     ダムが決壊するようにワッと泣き出す七奈美。落谷は立ち上がると、七奈美を支えるようにして元の椅子に座らせた。

    「約束するよ。そのための警察だからね」

     そう、優しく微笑みながら言う落谷。
     たぶん今まで溜めに溜め込んでいたのだろう、七奈美の目から涙が止まらたくなった。

     ーー…十数分後。
     
     ひとしきり泣いて心が落ち着いた七奈美。その顔は、初めの第一印象よりもかなり幼く見える。
     そしてハンカチですする鼻を押さえながら、ポツリポツリと話始めた…。


     七奈美は落谷が言ったとおり、キャバクラに働いていた。それもあまり品の良いとはいえない店だった。
     「制服は仕事か?」という落谷の質問があったが、始めは確かに仕事だった。
     より多くの客の指名を受けるため、店外のアフターや休みの日でも客とデートという形で接客をした。
     その時には、大体今着ているような男受けする服を着ていくのだが、なかには服装などの細かい指定をしてくる客もいる。
     そう。20代にもなって高校の制服を着たのは、始めはそんな経緯からだ。
     ここまで聞いて、「どうしてそこまでするの?」と落谷が問う。

    「お金が欲しいからに決まってるじゃないッ」

     七奈美は吐き捨てるように言った。
     制服は、自分が本当に高校のときに使っていたモノを着た。一緒に持っていたバッグも、当時の使っていたままの学校指定のモノだ。
     落谷は民家の防犯カメラに映っていたバッグのチャームホルダーを思い出し、七奈美に気づかれないところで「やっぱりっ♪」という顔をする…。
     七奈美も、いくら客の要望とはいえ「20代にもなって、こんな格好するなんて…」と憂鬱で仕方なかった。
     だがそのデートの帰り、電車に一人で乗っているとき気づいた。
     …周りが誰も自分を見ていないことに。
     元々童顔で、それが今の仕事にはマイナスだと思っていた七奈美。だから、メークや服装で何とか色気を出そうと頑張った。
     でも…。
     電車の窓。外の夜の暗さが窓を鏡のようにして、制服の七奈美を映し出す。
     そこには、ほとんど化粧をしないことで高校生の時とあまり変わらない自分がいた。
     心が踊った。
     映っている自分の口元が、どんどん上がっていった。
     当時、リアル高校生だった七奈美には、青春と呼べる思い出は無かった。
     小学生のとき、クズみたいな父親が借金だけ残して死んだ。母親は本業とバイトのWワークで、その借金をなんとか返済していた。
     七奈美も、年頃になってから大好きな母親を助けるため、常にバイトに明け暮れた。それと同時に、より良い給料を貰える会社に就職するため、学業も頑張った。
     部活なんてやる余裕なんて無かった。それどころか、友人とまともに遊んだ記憶も無い。
     でもその努力が報われ、高卒でも最良な就職先に内定することができた。父親が残した借金も、あと少しで完済の目処がついた頃……母親に異変が起きる…。
     仕事も家事も手つかず、ボーとする時間が増えていった。色々なことを忘れることが多くなった。
     病院で診察を受けたところ………若年性アルツハイマーだと診断される。
     多分、七奈美が就職を決まったことで、母の長年に渡った緊張の糸がプツッと切れたのだろう。
     どんどん酷くなっていく一方の母親を残して、決まっていた就職先で働くのが難しくなった。けれど、まだ借金も返していかなければならない。
     悩みに悩んだあげく七奈美が出した決断は、夜の仕事だった。
     幸い七奈美は幼い顔立ちだが、容姿は悪くない。キャバクラに勤め始めて、すぐにそこそこ客がついた。
     店と母親の世話で、自分を見失うぐらい目まぐるしい日々が三年続く。
     そんなときに現れた、電車の窓に映る高校生と見まごうばかりの自分…。
     この時には、借金のほうはなんとか返し終えていた。母親のことがあるが、金銭面だけでいえば少しは余裕ができていた。
     そこから七奈美は、客とのデート以外でも制服姿で出歩くようになる。
     友達とワイワイとはいかないが、この格好で街をブラブラ歩くだけで、あの時の青春を取り戻せるようで楽しかった。
     なにより、本当の自分でいられた。
     キャバクラという仕事上、服装も化粧も色気のある大人の女を演じてきたが、本当の七奈美は可愛い服やファンシーな小物が大好きなのだ。
     それらを、制服姿でウインドショッピングするだけで幸せだった。
     …が。
     そんな小さな幸福も、あるときを境にまた苦痛へと一変する。



    #オリジナル #創作 #オリキャラ #刑事 #小説 #挿絵 #相棒 #バディ #ミステリー #推理 #事件
    神嘗 歪
  • オリジナル小説「深海の天秤」一章 ファーストインパクトの挿絵⑩「…何の話よッ」

     逃道を絶たれて威嚇する猫のように、落谷を睨みつける七奈美。落谷は反対に反応を楽しんでいるように笑う。
     そして持っているスマホを操作すると、画面を七奈美のほうに向けた。

    「コレって君でしょっ?七奈美ちゃん」

     画面には、小野塚が駅から入手した例の防犯カメラ映像が表示されている。

    「知らないわよッ!っていうか、顔が出てないじゃないッ。どうして私だって言えるのッ?」

     捜査会議でも言っていたが、小さな白い紙袋を持った被害者の山口さんはカメラに向かって正面を向いているが、受け取ろうとしている制服の女性は後ろ向きだ。

    「始めから思ってたんだよねーぇ。七奈美ちゃんの後ろ姿、この制服の子にスゴく似てるなーぁって」

    これが落谷が部屋に入った直後に上げた、「思うところ」のもう一つだ。

    「まさかそれだけでッ?!」

    キッと睨みを深くする七奈美。

    「まさかーぁっ。でも、「そうだ」って教えてくれたのは君だよ」

    「意味、分かんないッ!」

    「正確に言えば、君が今身に付けている腕時計が、だけどねっ♪」

    「ッ?!」

     グッと詰まった顔で七奈美は、先ほど落谷に持ち上げられた手にしていた腕時計を、反対の手で隠すように覆う。

    「服やバッグなど高額なモノばかりなのに、それだけがハンドメイドのレザークラフトだ。いくら手作りとはいえ、金額にすれば名の知れたブランドに劣る。それに髪型から足先まで完璧なコーディネートされているのに、腕時計だけが不釣り合いだ」

     確かにその腕時計は作りは精巧たが、見た目がかなりアナクロでファンシーだ。
     鈍い金色とクリーム色で構成されたゴシック調の丸い文字盤。ベルトには花や蝶を立体的に型どって装飾されている。
     原宿とかにいるゴスロリの子とかがしてそうな感じの時計だ。

    「それでも何故するか?」と言って、落谷はピッと人差し指を立てた。

    「やっぱり『好きな人』から貰ったモノは、肌身離さず身に付けてたいよねーーーぇっ。ねっ、七奈美ちゃんっ♪」

    「………」

     落谷は女子高生みたいにウインクして、可愛くキメ顔をする。七奈美は、無反応で押し黙ったままだ。
     落谷は構わず続ける。

    「そして、その腕時計は『ココ』に入っていたっ」

     そう言って落谷がトントンと指差したのは、防犯カメラに写った山口さんの手元。あの白く小さな手提げ袋だ。
     そこいらの既製品でありそうな袋だが、よく見ればその手提げ、持ち手の根元四ヶ所に白色のハートが付いている。

    「この袋が、駅近にある商業施設内の「フラワーガーデン」っていうお店のモノだって判るのには苦労したよ。見覚えがあったっていっても、SNSで前にちょこっと見たことある程度の、うろ覚えだったからねっ」

     そう。落谷が今日の捜査会議そっちのけでスマホで検索していたのは、このことだった。
     落谷はよく、自分の管轄内地域に関係してそうなSNS情報を貪り見る。それもジャンル関係無くだ。
     昔の刑事は、自分の靴を磨り減らして聞き込みをしたり、情報屋とかを子飼いして事件に必要な情報を入手していたが、今はそんなのより一般ピープルが何気に載せるSNSのほうが使い方次第では有益だったりするからだ。
     たしかこの袋が載っていたSNSには、写真と一緒に「レザークラフトっていうと男の人が持ち物のイメージだけど、ここは花とか動物とかを型どった可愛い商品がメインで、女子受け必死☆ラッピングもこのお店独自のハートの付いたモノなので、プレゼントにも最適です!!」といったコメントが付いていたと記憶している。

    「で、この病院に来る前に寄り道して、そのお店に行ってみた。店員さんが覚えてたよ、この男の人のこと」

    そう言うと落谷は、今度は被害者の山口さんのことをトントンと指差す。

    「事件が起こる、その日の夕方。服装からして仕事帰り。一人で買いに来て、ラッピングまで頼んだそうだよ。それも気恥ずかしそうに、嬉しそうに頼んだものだから、店員のお姉さんが良く覚えていた。「ああ、好きな女性に渡すんだなーぁ」…って」

     うつむき聞いていた七奈美の口元が、なにかに堪えるように微かに震え出す。

    「それとそこの店は、商品みんな一点モノだから、一つ一つ写真に撮っといてあるんだって。その男の人が買ったのがコレ」

    落谷はスマホの画面を指でスライドさせる。次に出てきた画像は、今、七奈美が着けている腕時計とまったく同じモノだった。
     落谷は顔を上げると、七奈美に向かってもう一度聞く。

    「映像の制服の女性。君だよね」

     いきなり、七奈美は返事もせずにバッと立ち上がった。そしてバッグを持つと、早足で部屋の出口に向かって歩き出す。
     落谷は溜め息を一つついただけで、慌てて止める様子も無い。代わりに…。

    「待ってくださいッ」

    今まで落谷の話を無言で聞いては阿妻が、七奈美に向かって低く強く静止の言葉を投げた。




    #オリジナル #創作 #オリキャラ  #深海の天秤  #小説  #挿絵  #刑事  #ミステリー  #推理  #相棒  #バディ
    神嘗 歪
  • 2それぞれのやり方で自作小説の一場面のイメージでした。 ##オレカバトル三咲
  • 一次小説の表紙絵 #オリジナル #創作 #ムーンライトノベルズ  #呪いの王子企画siro/chika
  • 深海の天秤〈第一章 ファースト・インパクト⑨〉その女性は、入ってきた二人に背を向けている状態で座っていた。
     女性の前にはテーブルを挟んで、白衣姿の医者と年配の看護婦が一人づついる。
     女性は落谷たちが入って来たことに気づいているようだが、振り向く様子は無い。代わりに医者が阿妻の顔を見るなり軽く頷く。
    たぶんその意図は、健康上問題無いという意味だろう。
     阿妻は隣の落谷に、子声で「引ったくりに襲われたさいに頭を打ったようなので、念のため細かく検査を受けてもらいました」と説明する。そしてすぐに、医者と看護婦に向かって「すみません。彼女と話がしたいので、少し席を外していただきますか?」と言った。
     医者たちはそれに素直に従い、阿妻たちが入ってきたドアから廊下へと出ていく。
     これは医者たちに事前にそういう状態を作ってもらうことを伝えてあったのだろう、女性と阿妻たちが残った部屋は診察室出はなく、病院内でも医療に関係しない少し狭い応接間といった感じの部屋だった。

    (…なかなかの手際の良さで)

     新人刑事とは思えない阿妻の配慮に少しばかりの気持ち悪さを感じながら、落谷は医者たちが出ていったドアから視線を本題の女性に戻す。
     そこには、アップにしている茶髪の髪からスッと伸びるうなじ。座っていても判る小柄な背丈。OLにしては少し派手目の装飾が施されたスモーキーピンクのワンピと、その上に羽織っているべージュのレザージャケット…といった後ろ姿があった。
     女性の前のテーブルには、病院から出されたと思われる紙コップのお茶と、お財布と少数精鋭の化粧道具しか入らさそううな小さめのバッグが無造作に置いてある。
     顔が見てないのではっきりしたことは言えないが、容姿からして若そうな女性だ。

    「ッ……」

     落谷はム~と口をへの字に曲げ、首筋のハートのアザを人差し指でポリポリ掻いた。
     この時点で落谷の頭の中に『二つ』。なにやら思うところがあった。
     その一つ目は…。
     先ほどあげたとおり女性が身に付けているものは、どれも高額なモノばかりだ。
     髪型もヒールの先の先まで相当気を使っている。というか、過剰過ぎるぐらいだ。
     かなり金回りの良い生活をしているのだろう。
     …が。
     だからといって引ったくりが狙う物件としては些か疑問がある。
     世の中は今、キャッシュレスに移行している。
     特にこの手の若くお金持ちの女性となれば、何を支払いするにもカードかスマホからの決済が主流で、手持ちの現金などほとんど無いに等しい。
     まだ、商店街を買い物しているお年寄りのほうが現金を持っているだろう。
     カードから現金を引き出す技術がある、犯罪システムがしっかり構築された「なりすまし」ならまたしも、引ったくりのほとんどが足がつけづらい現金主義の場当たり的なモノが多い。
     それも犯行は平日の、通勤で人の動きがまだまだ頻繁な時間…。

    (…とは言っても、何事にも例外はあるけどね)

     落谷は一旦浮かんだ疑問を保留にし、阿妻とともに医者が座っていた女性の相向かいの席に回り込む。そこでやっと女性の全貌を拝むことができた。
     すると落谷は、ここでまた表情を変化させる。
     その顔は驚きとも納得ともつかない、なんとも言い難い顔だ。原因は、女性の顔と手首にあるようだった。
     そしてそのまま、視線を流すようにチラリと阿妻を横目で見る。
     見られている当の本人は、視線に気づいているのか?いないのか?ピッと伸びた姿勢で席に座り、女性を直視していた。
     だが、先に現状の進行の口火を切ったのは女性のほうだった。

    「あのッ、もう帰っていいですかッ?!」

     派手めな紅を塗った口から、尖った口調が発せられた。が、すぐに阿妻が、冷静に「ダメです」と一刀両断する。

    「何でですかいッ?お医者さんには「何にも異常は無い」と言われましたッ。このあと用があるんで、早く向かいたいんですけどッ!」

     まくしたてるような早口。口紅のみならず化粧全体が濃いので、更にキツい印象に感じる。
     阿妻は掛けている眼鏡の中央を人差し指と中指でクイッと上げると、女性をジッと見直した。

    「今の状況を解ってますか?貴女は引ったくりに遭ったんですよ?」

     その眼力に女性は一瞬たじろぐ。が、すぐに応戦に出る。

    「そんなの解ってますよッ。でも、何も取られなかったしッ。本人がいいって言ってるんだから、いいじゃないですかッ」

    「それでも貴女は犯罪に合い、怪我をしました」

     阿妻の視線が、女性の顔から右手に移動する。そこには、阿妻の頬に付いているガーゼと同じ大きさのモノが付いていた。
     引ったくりに突き飛ばされた頭を打ったといっていたから、その時に手を擦りむいたのかもしれない。

    「私が通りかからなければ、もっと酷いことになっていたかもしれないんですよ。どうか犯人検挙に、ご協力ください」

    「酷いこと」っと阿妻が口にしたとたん、女性の体がビクッと反応した。
     強気だった顔は曇り、正面を向いていた視線がテーブルに置いてあったバッグに流れる。

    「…助けてくれたことは感謝してます。だけど、私にだって都合があるんです」

     声も小さく弱々しくなる。引ったくりに会った恐怖は、十二分に感じているようだ。
     まあ、普通の反応だろう。反対に今までがおかしかったのだ。

    (…となれば、その恐怖よりも上回る『何か』が、その『用』にはあるってことだな)

     今まで口を挟まず二人の様子を伺っていた落谷だったが、ここでやっと口を開いた。



    #オリジナル #創作 #オリキャラ #刑事 #小説 #挿絵 相棒 #バディ #ミステリー #推理 #事件
    神嘗 歪
  • 小説挿絵『桃紅柳緑』『桃紅柳緑──アイツが俺を嫌いな理由と、俺がアイツのことが気になる理由──』著・当麻咲来さん
    https://estar.jp/novels/24931169

    P257~ 『番外編2・月は東に日は西に』
    挿絵描かせて頂きました。
    https://estar.jp/novels/24931169/viewer?page=257




    *****

    もっと、欲しい。
    全部手に入れたい………。

    でも、一番欲しいのは、アキの心だから。

    一瞬俺の瞳を捉えるアキの瞳は、
    夜露に濡れたように、やわらかな光を放つ。

    彼の瞳の中には、どこか不安そうな自分が映っている。
    だけど、こんなに幸せそうな顔をした男を、
    俺は見たこと無い……。

    すべてを包み込むような温かい夜の帳に満たされて、
    とくん、とくんと、甘い鼓動が熱を上げていく。
    ふとアキがふわりと唇をほころばせ、
    温かい笑みをこぼす。




    ****
    小説お借りしています。


    #オリジナル #創作 #オリキャラ #BL #創作 #高校生 #小説挿絵 #小説
    朔羽ゆき
  • 2小説表紙『放課後は大人時間』小説『放課後は大人時間』
    著・晴れ時々猫さん
    https://estar.jp/novels/25727974
    小説表紙描かせて頂きました。



    *****



    「ほとんど氷ねぇんだけど……。てか、そういやコーヒー飲めるか?」

     柄沢さんに尋ねられ、ちょっとムっとした。

    「飲めますよ」

     言い方が、好き嫌いの話じゃなく、子ども扱いするような言い方に聞こえたから。

    **
     
    コーヒーを持ったまま僕は自転車のスタンドを蹴り上げ、サドルに跨った。

     もう映画を見に行く! 僕は気分を害した!

     そんな僕に、二人は顔いっぱいの笑顔で、「気を付けて帰れよ!」って手を振ってくれる。

     ……そうなんだよ……、腹立つんだけど、やっぱりいい人達なんだよ。

     それでもぷいっと顔を背かせてペダルを踏みこむと、背後から「柄沢が怒らせた~!」って二人で大笑いする声が聞こえて、「今度は最初からカフェオレ奢ってやるから!」と極めつけの一言を頂いた。

    「絶対いらない! バーーーーカ!!!!」

     叫んで、全力で自転車をこいだ。


     嫌いだ! 柄沢さんなんか、大っ嫌いだ!



    ****
    小説お借りしています。



    #オリジナル #創作 #オリキャラ #BL #表紙 #小説表紙  #高校生
    朔羽ゆき
  • オリジナル小説「深海の天秤」一章 ファーストインパクトの挿絵⑧誘導するように前を歩いていた阿妻に、落谷は横に並ぶ。
     病院内は人が多いはずなのに、遠くで打ち寄せる細波程度の音量しか周囲の雑音は入ってこない。代わりに、薬剤や除菌アルコールなどの混じった独特の匂いが鼻につく。
     落谷たちは長く白い廊下を歩きながら、受付の前から始まった会話を続ける。

    「まあ、資料見て知ってると思うけど一応自己紹介ねっ♪俺、落谷 皐(おちや さつき)、ピチピチの35歳。丁度、ヒナちゃんとは10歳差だねっ」

    「ご丁寧にありがとうございます。でも、35はピチピチとは言わないんじゃないですか?」

     阿妻は眼鏡越しに、横目で落谷を見ながら歩く。どうやら阿妻は、話す相手をガン見する癖があるらしい。

    「気持ちが若々しければ言うでしょ」

     おどけたように首をすくめる落谷。

    「「若々しい」と言っている時点でアウトでは?」

    「ヒナちゃんてば、初対面でもハッキリ言うね~~ぇ」

    「その点に関しては、あまり周りから注意されたことがありませんでしたから」

    (……いや、たぶん遠回しにイヤミ混じりに言われてるとおもんだけど。)
    「ん~~っ、『官房長の息子』だから言われない?」

    「でしょうね。」

    (やっぱり。気づいてないのか、流しているのか…)

     淡々と喋る阿妻。
     先ほどもそうだが、自分が『七光り』だということに、まったく優越感も劣等感も感じていないようだ。
     ただただ『七光り』という利点を、ハサミやペンのように「そこにあるから使う」「必要だから使う」といった感じだ。
     だが、感じてないということに関しては落谷も負けてない。
     落谷の視線が、阿妻の頭の天辺にいった。

    「俺、身長188cmだけど、ヒナちゃん低いよねーぇ。175ってところ?」

     普通なら、背の低い男性はこのての話は嫌がるのでタブーとされているが、落谷はあえてする。
     阿妻の反応は…?

    「いいえ、171cmです。」

    …と、何の感情の含みもなく、更に低い実身長をサラと答えた。

    「へーぇ、そうなだー。そうすると、その着ているカーディガンもオーバーサイズに見えるけどM?ってか、何でシャツの上にカーディガン?」

    「朝、考えごとしていたら、部屋着で羽織っていたカーディガンのままで家を出てしまいました。あとこれは、元々オーバーサイズで売られていたものです」

    「アハッ…天然かッ!」

     吹き出して笑う落谷が、裏手で阿妻の肩にでツッコむ。阿妻は、また淡々と「それも、よく言われます」と返した。

    「でもそうだよね。ヒナちゃんて、ヒョロく見えるけど、さっき触った感じ結構筋肉質でガッチリしてるよね。何か運動でもやってんの?」

    「運動というほどではありませんが、刑事ですからそれなりに体は鍛えてます」

    「何か武術系もやってるんじゃない?」

    「はい。少々」

    「少々?それにしては引ったくりたちから受けた怪我も、しっかりガードしたうえでの急所を外したモノだよね?それなりに経験が無いとできないよ」

     覗き込むように聞く落谷。だが「そうですか」と返した阿妻の目は、まったく揺れない。

    「落谷さんの話し方は、まるで取り調べみたいですね」

    「そう?」

    「いや、合コンかな。そんなにグイグイ行くのが、お持ち帰りのコツなんですか?」

     そう言った阿妻の視線が、ここでやっと少し斜め下にずれた。

    「んっ?」

     小首を傾げる落谷。どうやらその視線は、落谷の首筋に止まっているようだ。

    「ああっ、コレっ?言っておくけど、キスマークじゃないから。昔からあるアザだから」

     落谷はそう言って、自分の首筋を触る。
     その首筋には、蚊に刺されて腫れた程度の大きさの赤紫のモノが見える。場所は落谷がクセでよく掻く場所だ。
     確かに見ようによってはキスマークに見える。というか、落谷のチャランポランな性格がそう見せているともいえる。
     それもそのアザ、見ればハートのような形をしていた。

    「つーぅか、なに合コンに行きまくっている定になってんの、俺?資料で既婚者じゃないって知っているだろうけど、それでもただ彼女とラブラブ~~ゥ♪ってだけかもしれないじゃんっ。良くないな~~、そういう片寄った見方」

    「そうですか?さっきの受付の女性の対応もそうですが、落谷さん、あえて特定の人間関係を作るのを避けている振る舞いをしているように見えたので」

    「……へえーっ、ヒナちゃんてはよく見てる~。それこそ、俺が取り調べでもされているようだっ♪」

     ニコッと笑う落谷。

    「…………。」

     足を止め、ジッと見返す阿妻。その手が真横のドアを指す。

    「着きました。ここに引ったくりにあった女性がいます」

    「んでもって、今回の殺人事件に関連してる…ってぇ子?」

    「はい」

     返事をすると、阿妻は引戸をゆっくりと開けた。



    #オリジナル #オリキャラ #創作 #刑事 #小説  #挿絵  #深海の天秤  #バディ  #ミステリー  #推理  #相棒
    神嘗 歪
  • ヤミと帽子と本の旅人 二次小説表紙これも結構昔 某ヤミ帽ファンサイトの二次創作小説に描いた表紙イラスト
    線画が自分で色はサイト主の人に塗ってもらった一枚
    何故全員眼鏡かというと小説が
    そういう内容の話だったから (◎ω◎)今回Twitter同時投稿も試してみる
    #ヤミと帽子と本の旅人 #葉月 #リリス #二次創作 #ファンアート #巨乳 #レズ #百合 #女の子 #眼鏡 #過去絵を晒す
    大窪劍蒔(試験稼働中)
  • 二人だけの逃亡生活追手から逃げる生活の中、仲間が裏切り二人だけの逃亡生活。
    二人は束の間愛を確かめ合う

    オリジナル小説「BadTrip」のワンシーンです。 #オリジナル #オリキャラ #創作
    ぐるぐるめー
  • 2男性恐怖症克服プログラム極度の男性恐怖症の女性の恐怖症を治すために、徐々に距離を近づけていく男。
    とっくに男性恐怖症なんて治っているのに、男はガラス細工のように女性を扱う。

    オリジナル小説「BadTrip」のワンシーンです。 #オリジナル #オリキャラ #創作
    ぐるぐるめー
  • 2「ヤミと帽子と本の旅人」小説挿絵3これも結構昔に「ヤミと帽子と本の旅人」某ファンサイトでのSSに描いた挿絵
    葉月とリリスちゃんと別世界線の眼鏡リリスちゃん(ややこしい)
    おまけでボツにしたラフ  これも しばらくしたら消す…かも(^^;
    #ヤミと帽子と本の旅人 #葉月 #リリス #二次創作 #ファンアート #巨乳 #レズ #百合 #女の子 #眼鏡 #過去絵を晒す
    大窪劍蒔(試験稼働中)
  • 3「ヤミと帽子と本の旅人」小説挿絵☓2結構昔に「ヤミと帽子と本の旅人」某ファンサイトでのSSに描いた挿絵
    アニメ版の葉月とリリスのHシーン前の2枚
    …これくらいならR18でなくても大丈夫?どうだろう?
    これも しばらくしたら消す…かも(^^;
    #ヤミと帽子と本の旅人 #葉月 #リリス #二次創作 #ファンアート #巨乳 #レズ #百合 #女の子 #過去絵を晒す
    大窪劍蒔(試験稼働中)
  • 7小説本作る際の挿絵没絵です。1枚目だけ資料として描いた孫尚香。どの場面の絵かはご自由にお考え下さい。梨音(あっすぅ)
  • リモート★ハロウィン創作中の小説「深海の天秤」の登場人物で、ハロウィンのイラストを描いてみました☆


    #深海の天秤  #ハロウィン  #リモート  #モンスター  #オリキャラ  #オリジナル  #小説  #オオカミ男  #吸血鬼  #魔女  #ミイラ男  #カボチャ  #刑事  #ミステリー  #薔薇  #イラスト
    神嘗 歪
  • 某所でのみ公開してるBL小説の表紙タイトルの通り某所でのみ公開してるオリジナルBL小説の表紙用に描いたものです。
    小説用のはタイトルとか入ってたのでオフにしたバージョンです。
    舞台が砂漠系の話は好きなんですが衣装とか描きなれてないのでイメージがモヤっとしてる部分もあって描いてみたのですが難しい…

    #オリジナル  #オリジ  #BL  #ボーイズラブ  #CLIPSTUDIOPAINT  #小説表紙  #創作 #オリキャラ
    春月黒猫 @syungetu_comic
  • 小説「深海の天秤」一章 ファーストインパクトの挿絵⑦「っ♪」

     そして今、落谷は澤木課長の命令どおり、新人刑事・阿妻と引ったくりの被害者が手当てを受けている病院に来ている。
     乗ってきた車を駐車場に停めると、鼻歌まじりで人差し指にかかった車のキーをグルグル回しながら入口から受付に向かう。
     建物内は、ここら辺では一番大きな総合病院の午前中とあって、来ている患者が多い。そして平日だけあって、待合所に座っている人々は年寄り率が高い。

    「どうも-っ♪ここに、引ったくりで怪我した二人が来ているって聞いたんだけど、どこに行けば会えるかなっ?」

     内容に反して、落谷の軽いノリに不信がる受付の女性。落谷はそんな反応に慣れているのか、すぐにジャケットの内ポケットから警察手帳を出して、自分の顔と手帳内の写真の顔を照らし合わせて見せた。
     ニコッと笑う落谷。手帳を見せても、それでも受付の女性の信用度は78%と微妙な上昇で停滞してしまう。
     すると急に訝しがっていた受付の女性の表情が、「あっ」という口の開きとともに一変する。
     「んっ?」と思った落谷は、女性の視線を辿るように振り向いた。


    「落谷刑事ですよね?初めまして、阿妻 陽向(あづま ひなた)です」


     受付の女性に聞こえるように、やけに「刑事」のところを強調した言い方。そして、目の前で深々と下げた頭がゆっくり上がる。
     そこには眼鏡と猫のようなつり目が視野に飛び込んできた。

    (……澤木課長に聞いた話だと、確か25才だよな?)

     落谷は直立な姿勢の阿妻に歩み寄りながら、あからさまに品定めをするように頭の先から足の先にかけて視線を動かす。
     だが阿妻はそれに動じることなく、落谷の返事をジッと待っているようだった。
     その顔は落谷が疑問符を浮かべるほど童顔。十代だって言っても信じてしまいそうなほどだ。
     髪は色素の薄いブラウン。動きでフワフワ揺れるほどのカールがかっている。仕事上、染めることもパーマをかけることも基本御法度なので、たぶん地毛なんだろう。
     服装は、シャツとパンツが黒。形よく絞められたネクタイは麦藁色。ここまではキッチリしているのだが、何故か羽織っているのはオーバーサイズのクリーム色のカーディガン。これが更に幼さに拍車をかける。
     人のこと言えない落谷だが、服装だけいえば阿妻も刑事には見えない。
     けれど落谷と全く違うのは、その雰囲気。
     強く結ばれた口元に、ピッと伸びた姿勢。顔も減点が見つからないほど、洗練され整っている。
     一言でいえば、誰もが阿妻に持つ第一印象は「生真面目そう」だ。片や落谷は、何もかもが浮草のようにユルユル過ぎる。
     そんなユルユル落谷は「ん"~~…」と唸りながら、
    上下に動かしていた視線を阿妻の顔の正面で止めた。その整った顔の右頬には5cm × 5cmほどのガーゼが貼られている。
     カーディガンの袖から見える左手にも、白い包帯が微かに見える。
     服も汚れが目立ち、たぶん引ったくりともみ合ったときに全部負ったものなのだろう。
     ここでやっと落谷の口が開く。
     その第一声が…。


       「……陽向というより日陰じゃね?」


     これが小野塚だったら絶対にドデカい怒りマークが点灯し、澤木課長が「要らんことを…」と苦笑いする事例だ。
     が、阿妻はピクリとも表情を変えず…。

    「はい。よく言われます」

    …と言った。
     声色にも不快や初対面の緊張とかは感じられず、若人特有の感情の揺らぎが無い。
     落谷の戯言を肯定するのもなんだが、「陽向」の名前からくる暖かみを感じられない。どちらかというと、波の無い冷たい湖面…といったイメージだ。

    (これが『七光り』で『元悪ガキ』…ねぇ?)

     落谷は、阿妻の顔を覗き込む姿勢から状態を伸ばし、一歩引いた。

    「いきなり、ゴメンっ♪ゴメンっ♪君が『阿妻官房長の息子さん』?」

    「はい」

    (……反応無しかぁ)
    「いいなーぁ。お父さんが偉い人だと、色々と得することも多いでしょ?」

    「得かどうかは分かりませんが、父の親しい方々には良くしてもらってます」

    (…スゴいな~ぁ。自分で『七光り』のコネを、有効活用しちゃってますって言っちゃってるよ、この子っ)

     それでいて落谷の頭半分低いところから見上げる阿妻の目には、上位に立つ優越感といったものも一切無い。

    「俺も、ヒナちゃんのお父様の恩恵にあやかりたいものだよっ」

     両手を胸の前で開いて、軽口を続ける落谷。ここで初めて、阿妻の表情が微かにピクッと反応した。

    「………『ヒナちゃん』?」

     「おっ?」と思いながらも落谷は続ける。

    「うん。陽向だからヒナちゃんっ。それに刑事になりたてだって聞いたから、ヒヨコでヒナちゃんっ」

     今までジッと落谷を見ていた阿妻の目が、斜め下に流れる。

    「……………恩恵のほうは、落谷さんには不必要ではないですか?」

    「えっ?何でっ?」

     小首を傾げる落谷。

    「昇進とか興味無いでしょ?貴方を動かす原動力は、ただの『正義感』ですよね」

    「プ…っ!」

     新人らしからぬ阿妻の言葉に、思わず噴いてしまった落谷。刑事ではあるが、『正義感』なんて自分には程遠い言葉だろう。

    「ククク…ッ。ヒナちゃんてば表情筋死んでるのに、言うことは面白いねっ」

    そう言うと落谷は阿妻の横に回りこんで、馴れ馴れしく肩に腕を回して体を揺さぶる。

    「それもよく言われます。あと、負傷しているところが痛いです」

    「あっ、ゴメン」

     ハッと離れる落谷。阿妻は左腕をカーディガンの上から擦った。

    「少なくとも昇進目的で仕事をしているのなら、上の命令を無視して、警視庁が追っている犯罪組織【ブラッディ・ヴィーナス】のドラッグ製造工場を単身で潰したりしないでしょ?」

     ここでまた横に立つ落谷の顔をジッと見上げる阿妻。
     落谷は「ヴッ」と唸る。
     阿妻が言っているのは、約半年前。落谷たちの署管轄内で、大量殺人が起きたことから始まる。
     ここではそこまでの経緯の説明を省くが、最終的にその殺人には犯罪組織【ブラッディ・ヴィーナス】のドラッグ製造工場が関係していることが判った。
     落谷はそれを阿妻が言ったとおり、警視庁からの制止を振り切って一人で潰してしまったのだ。
     いくら落谷でも、この後の責任問題に発展するのは覚悟した。でも不思議なことに、澤木課長含めた多数の上司にコッテリお説教食らったぐらいで、後は大したお咎めは無かった。
     「まあ、日頃の行いが良かったんだろうっ♪」と、一課の部屋で呟いた落谷に、周りの人間は全員「それは絶対に無いッ!」と心のなかで叫んだものだ。

    「……ヒナちゃんてば、よく知ってるねー。」

     なんとも言えない顔で阿妻を見返す落谷。

    「はい。これから組むバディの人となりを知るのも仕事の一環と思い、事前に澤木課長から落谷さんの資料をいただきました」

     それを聞いた落谷は、勢いよく阿妻がいる側とは反対方向を向く。

    (やっぱ澤木さんッ。初めからヒナちゃんと組ませる気だったじゃないかよッ。それも要らんことまで教えてッ)

     ここにはいない澤木課長に向かって、口を尖らす落谷。でもすぐに顔を戻し「まっ、いいや」と投げた。

    「で、澤木課長に聞いたんだけど「引ったくりにあった被害者が、今回の殺人事件に関係している」って、進言したんだって?」

    「はい」

    「その心は?」

    「引ったくりの被害者に会っていただいてからお話します」

     そう言うと阿妻は受付の女性に「お世話になりました」とばかりに軽く一礼をし、方向を変えると落谷に「こちらに」と促して歩き始める。
     頭を下げられた受付の女性は阿妻の紳士的な対応に頬をうっすら桃色に染めた。が、次に落谷が「じゃねー♪」とチャラく片手を振ると、一気に冷めたようにゲンナリとした。
     どうやらこの受付の女性の好みは、誠実な男性のようだ。


    #オリジナル #創作 #オリキャラ #小説  #挿絵  #刑事  #相棒  #バディ  #深海の天秤  #ミステリー  #推理
    神嘗 歪
  • 小説「深海の天秤」一章 ファーストインパクトの挿絵⑥弾かれたように顔を上げた小野塚。その大きく開いた口に、一口チョコがポンッと放り込まれた。放り込んだのは、もちろん落谷だ。

    「モグッ…!」

     上質なミルクチョコレートの甘さが口いっぱいに広がる。そして落谷は気づいているか分からないが、放り込まれたさいに、小野塚の唇に落谷の長い指がかすった…。

    「使った脳に糖分充電っ。駅に行くんだろ?いってらっしゃい」

     手を胸の前でヒラヒラさせる落谷。

       ガタッ!
    「…~~~~ッ!…はい」

     小野塚は顔を真っ赤にして、勢いよくイスから立ち上がる。すると、どっからともなく長岡が凄い形相で二人の元に駆け寄って来た。

    「小野塚さんッ!捜査に行くんですよねッ?俺も同行しますッ!!」

     目の前にいるのにもかかわらず、大声で発言する長岡。ポー…としていた小野塚は、ひとピシャ遅れでハッと我に返り、「そ、そうね。お願い」と言ってワタワタと用意を始める。
     小野塚が用意している横で、長岡が落谷をキッと睨んだ。その目は『ライバル視』している目だ。
     でも落谷のほうは軽く笑い返すのみ。その余裕な態度が、更に長岡をイラつかせる。

    「早く行きましょうッ!」

     そう言うと、長岡は小野塚を先導するように大股で部屋を出ていった。
     残った落谷はデスクに顔をうっ伏して、肩を震わせながら笑いを堪えている。
     部屋の上座では、デスクの前でその一部始終を見ていた澤木課長が、ヤレヤレといった表情を浮かべていた。


    #オリジナル #創作 #オリキャラ #刑事 #小説  #挿絵  #深海の天秤  #ミステリー  #推理  #バディ  #相棒
    神嘗 歪
  • 2小説表紙『猫人紳士な魔法使い〜BLゲームの世界にトリップしたようです〜』小説『猫人紳士な魔法使い〜BLゲームの世界にトリップしたようです〜』著・アヤさん
    https://www.alphapolis.co.jp/novel/127149028/981382227
    小説表紙描かせて頂きました。
    (小説コピーできなかったので・・説明文から文章頂いています(^-^;

    ****

    異色のBLゲームが発売された。主人公は魔法学園の生徒に召喚される使い魔。ステータス、魔法、特殊スキルが重要視されて、バトルに勝利することで恋愛イベントがおこる。あまりの難易度の高さにプレイする人が減り、発売して数ヶ月で生産終了となった。ゲームを手にした猫人族の青年がいて……。


    #獣人 #オリジナル #創作 #オリキャラ #BL #小説 #小説表紙 #表紙 #ファンタジー
    朔羽ゆき
  • 自作小説主人公 #オリキャラ #パワードスーツ
    下記の自作小説の主人公です。
    https://www.alphapolis.co.jp/novel/328771696/126392537
    https://kakuyomu.jp/works/1177354054891257728
    https://ncode.syosetu.com/s9723e/
    https://novel.daysneo.com/works/7e6e4ca1cd07f9878b7ca38cbb5f2276.html
    便所のドア
  • 13獣の奏者エリンは神アニメエリンたんはローゼンメイデンよりも残酷だけれども儚く美しく泣けるアニメなので今度は小説版も買ってみたい
    創作を妄想していく度に愛着がこもってく。エネミーヒロインズとは東方とプリキュアのハーフでありアイカツとプリティー(リズ、パラ、チャン含めて)のハーフでもあるからだ。

    12月くらいにマリルイ3生誕イラストを描かんとな
    来年の1月からプラネットかー あっという間なんやろーな
    #獣の奏者エリン #女の子
    🍓( ''''-'''' 🍓 )イチゴチャン
  • 小説「深海の天秤」一章 ファーストインパクトの挿絵⑤「落谷さんッ。今の今まで何していたんですかッ?!」

    「何って…今回の事件の捜査に決まってるじゃん」

     腹立つほどキョトンとした顔で返してくる落谷。今度は小野塚の左拳も震えだす。

    「捜査といいますが、一通り現場と被害者を見た後、すぐにいなくなったじゃないですかッ」

     そう、落谷が現場にいたのは十五分程度だ。
     それも小野塚含め六人ほどの一課の刑事が初動捜査にいたが、仲間たちの事件の見立てには加わらず、被害者の身体中にある無数の外傷を一点一点確認していた。
     本当に、被害者は酷い有り様だった…。
     ほとんどが酷い打撲痕。顔は赤紫に腫れあがり、打撲から裂傷したところから血が滲んでいる。たぶん泥だらけの服の下も骨が折れていたりと、酷いことになっているだろう。
     だが最終的な死因はその後の検視によると、まるで鎌のような鋭利な刃物で、右脇を引っかけるように太い動脈を切り裂いたことによる大量出血だった。
     「変わった刺傷だな。まあでも財布が無くなっているし、複数で揉み合った形跡もある。たぶん集団で物取りをして、被害者をリンチしたあげく刺し殺した…ってとこだろう」と、落谷の後ろに立っていたベテラン刑事の一人が言った。小野塚もそれに同意見だ。
     でも落谷は返事をしなかった。そして、そこからフラ~ァといなくなったと思ったら、その後一度だけ、現場付近の立ち入り規制を掛けている初老の地域警察官とくっちゃべっているところを見かけただけで、今の今まで落谷の姿を見ることはなかった…。

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