読ロナドラ鼻息🟣チャン形態変身は得意なんだと言ったすぐに死んでしまう吸血鬼はその通り見事なコウモリに変身してみせた。
床を這うように翼を上下にぱたぱたと動かしこちらを見上げるコウモリの姿に腰を下ろして目線を寄せる。少しして羽ばたかせるのをやめた、おそらく飛び上がれなかったんだろう。
濃い紫色のコウモリ。広げられた薄い飛膜は本物と違い細い毛に覆われていて柔らかな光を纏っている。
床の硬さを思い出し手袋を外し両手をこすり合わせながらスンスンひくひくと鼻を動かす吸血鬼に優しく声をかける。
「少し触ってもいいか?」
「ピス?もちろんだとも!ふふふ!わたしのカンペキな変身じっくりとみて!触って!畏怖りたまえ!!」
「……触るぞ」
摩擦で気持ち温かく柔らかくなった手を床に這いつくばるコウモリの翼の下へ差し込む。掬うように持ち上げて硬く冷たい床から離す。
ピシュと苦し気な鳴き声に両手で翼を持ち上げていたのを左手側に転がすように乗せてから右手で優しく柔らかい身体を包みひっくり返した。手の中でしおしおと翼をまとめて身をよじり良い収まりを探す吸血鬼。数秒後ちょうど良い収まりを見つけた吸血鬼は翼を広げてカンペキだろうとまた鳴いた。
返事はせずにまずは長い耳からひっそり見えるしっぽをよく観察してそれから指を滑らせる。右手の人差し指から伝わる後頭部のぬるい熱。親指を伸ばして頬の部分を揉めばけらけらと笑う。ピンと伸びていた耳がふるりと揺れて下がり、いたずらをする指を弾くようにはねる。そんな耳に親指を這わすと震える声でそこは…といわれたのでゆっくりと撫でながら離す。
それから左手の人差し指と親指で豊かな白い胸の毛を揉むように掻き分ける、柔らかくさらさらふわふわとしていてほんのり温かい。
摘まむように揉みながら下に指を滑らせていく。
トクトクといつもより大きく感じる心臓の音、人型の時はよっぽど耳を、それこそ癒着してしまうのではないかというくらいに寄せるか、心臓が跳ねて飛び出していきそうなことをしている時くらいしか感じない鼓動。鼓動の速さは身体が小さく薄くなったせいなのか、変身した姿に引きずられて真似てるだけか。
腹を毛の流れに逆らって撫で上げると吸血鬼の両足が持ちあがる。また毛を整えて逆らう。きゅっと持ち上がった。
毛を整えて足を摘まむ、薄い肉に骨の気配。爪は鋭くかぎ爪のように弧を描いている。果たしてこいつはぶら下がることができるのだろうか、頭に血が!とか言って3秒で死にそうだ。
手の中でまた転がして横にする。小さなしっぽがピクンと持ち上がる。ハムスターのしっぽに近いかも知れない、毛量の多いふさふさの中に小さく飛び出たしこりを発見。この辺りは若干想像でカバーしているところを感じる。にぎにぎと摘めば少しかための弾力。
「…………畏怖というよりは愛玩対象」
「ウエェェェン」
……この大きさなら持ち帰られても仕方がない。後ろから感じる使い魔の圧はあまりにも強大だが吸血鬼退治人ロナルド様なので、どうにかしてみせるのだ。ハンマースペースにある数量限定のヘルシーなチーズケーキを取り出しつつ振り返った。