なにもかもすべて この手をずっと握っていられたらいい。
そう思う俺も始のことが好きなんだね。
始から教えてもらって初めて知ることはいつも楽しくて嬉しい。
「あのね、始。俺もきみのことが好きだよ」
「そうか」
ぎゅ、ぎゅ、と始の手を握ったり緩めたりしながら俺はひとつだけ気になっていることを聞いてみた。
今までの始の行動を考えると俺の推測は間違っていないはずなんだけど……。
「始は、俺と番いになりたいの?」
さっきまでやわらかな光を宿していた始の目が丸くなった。ああ、これはすごい。丸くなるってほんとうに丸くなるんだね。
しばらく動かなかった始が小さくちいさく息を吐き出した。
始の手を握ったり緩めたりしていた俺の手を掴み返される。
指先で手のひらをくすぐられて俺の背中が震える。
「正確に言えば、番いにもなりたい、だな」
「にも?」
「おまえと契約したい。おまえと友人になりたい。おまえと番い……つまり、恋人になりたい。それ以外も、おまえと築ける関係はすべて手に入れたいんだ」
「ずいぶん欲張りだ」
「おまえはそうじゃないのか?」
どうだろう。
考える。
答えは簡単だった。
「そうだね。始が俺に傍にいて欲しいと願ってくれたことが俺は嬉しいし、それを叶えたいって思うよ。叶えたいし、俺もそうでありたいって思う。だから、俺も始と同じなんじゃないかな」
「じゃないか、なんてつけるな。同じって言え」
強引なようでいて俺がどう感じるかを大切にしてくれる始だから、俺は思わず笑ってしまう。
「始と同じだ。なんだって始と一緒がいい」
笑って見せたら始が強く抱きしめてきた。
いつもより心臓の音が速く聞こえてくる。始でも緊張はするんだね。
おかしくて、嬉しかった。