カエル 僕は柴犬、風連。今日は香織ちゃんと公園に来たよ。初夏の陽射しを受けて、緑が美しい。綱を外してもらって、僕は思い切り走った。
「こらー! 待て待て、風連!」
香織ちゃんが僕を追いかける。へへーん、追い付けるものなら追い付いてみろー。僕は得意になって走った。草むらに突っ込むと、緑色の何かがピョーンと跳び跳ねた。バッタだ。僕はすかさずパクついた。ムシャムシャ。美味しいかどうかは分からないけど、タンパク質補給。
「風連ったら、そんなもの食べて。大丈夫なの?」
香織ちゃんが笑う。大丈夫だよ。僕の胃袋は頑丈だから。エヘン。僕はバッタを食べると再び草むらを探索した。地面の匂いを嗅いでいると、また緑色の何かが飛び出した。今度はちょっと大きい。カエルだ!
カエルは僕から逃げようと跳躍する。逃がさないぞ。僕は狐みたいに跳び跳ねて、カエルを前足で押さえ込んだ。パクっと口の中に入れる。口の中にひんやりと冷たい感触が広がった。
「ああー! 風連、そんなもの食べちゃダメだよ。出しなさい!」
香織ちゃんが慌てた声を出して、僕の口をこじ開けようとする。僕は固く口を閉じてイヤイヤをする。口の中で、カエルが必死に跳び跳ねるのを感じた。面白い。
僕は口を開けてカエルを吐き出した。カエルは僕の口から大きく飛び出した。遠くへ逃げようとする。僕はすかさず追いかけて、また口の中へ入れた。カエルがじたばたする。面白い。しばらくカエルの感触を楽しんでから、また吐き出した。逃げるカエル。追いかける僕。
そんなことを何度か繰り返した。
「何やってるの? 楽しい?」
うん。楽しいよ。僕はひとしきりカエルで遊んだ。今日は充実した一日だな。