SS 一輪車チャレンジSP「……あ、あの、お願い、がある……んだけど」
キュラド「今度は何だ」
SP「あ、これ、あの、い、一輪車に乗って欲しくて……」
キュラド「一輪車……?」
SP「乗って……?」
キュラド「これは一体何だ。そもそもどこからこんなものを持ってきたんだ」
SP「えと、の、乗り物……?あの、い、家帰ったときにあったから……その、乗って欲しくて……」
キュラド「どう乗るんだこれは」
SP「…………」
キュラド「乗り方を教えろ」
SP「……よく考えたらこれ、こ、子ども用だから……小さくて、の、乗れないかも」
キュラド「ん?」
SP「キュラド、大きいし……」
キュラド「ふむ」
SP「…………」
キュラド「どうするんだ」
SP「……じ」
キュラド「じ?」
SP「じ、自転車から、はじめてみよっか」
*
SP「も、持ってきた……自転車……」
キュラド「エス……俺に何かさせるのに必死だな……」
SP「え、あ……だって……み、見たいし……」
キュラド「そうか」
SP「えっと……乗ったこと、ある?」
キュラド「ないな」
SP「ないんだ……」
キュラド「ここに座ればいいのか?」
SP「う、うん……で、足は、ここ」
キュラド「こうか」
SP (もう面白い)
キュラド「何を笑っている」
SP「ご、ごめん……つい……」
キュラド「それで?こうか?」
SP「あ……う、うん……そうだよ……」
キュラド「なるほど。大体理解した」
SP「あ、じゃあ、スタンド……なしで……進んでみる?」
キュラド「やってやろう」
SP「がんばって……」
キュラド「…………ん?」
SP「どうしたの」
キュラド「エス、これでは倒れてしまうが」
SP「え、あ、えっと……ううん……ど、どうしよっか……」
キュラド「困った……」
SP「困った、ね……」
キュラド「エス、手本を見せろ」
SP「ええ……」
キュラド「どう乗るのか観察した方が早そうだ」
SP「わ、わかった……待って……サドル、下げるから……」
キュラド「早くしろ」
SP「ええ……」
*
キュラド「漕ぎ始めのところをよく見せろ」
SP「こ、こう?」
キュラド「そうだ、もっとだ」
SP「こ、こうして、こう……」
キュラド「ふむ」
SP (めっちゃ見てる……)
キュラド「なるほど。大体理解した」
SP「ほ、ほんとに……?」
キュラド「貸してみろ」
SP「ま、待って……サドル、上げるから……」
*
キュラド「つまり、こういうことだろう」
SP「え、すごい……乗れてる……」
キュラド「理解すればこんなこと容易い」
SP「……ほ、本当にすごい、ね……一輪車も、乗れるかな?」
キュラド「要するに自転車の応用だろう」
SP「そうなんだけど、で、でも、ちょっと違う……」
*
後日
SP「うーん……」
キュラド「どうした」
SP「え、あ……」
キュラド「何だ、また一輪車か?」
SP「あ、うん……一輪車、高いなって……」
キュラド「わざわざ買おうと思っていたのか……本当に必死だな……」
SP「だって……」
キュラド「探し物はこれか?」
SP「ん、な、えっ……え??」
キュラド「これだろう」
SP「…………何であるの一輪車!」
キュラド「あまり吸血鬼を舐めるなよ」
SP (吸血鬼関係あるの……?)
キュラド「目の前で乗って見せればエスが喜ぶと思ってな」
SP (嬉しい、けど、なんだこれ!)
キュラド「一応自分で乗り方も調べてみた」
SP (やる気に満ち溢れてる……)
キュラド「確かこう……こうして、こう」
SP「え、す、すご、い……な、何も掴まらないで、乗った……」
キュラド「あのなあエス、よく考えてみろ」
SP (漕ぎながら腕組んでる……)
キュラド「俺は吸血鬼だ。人間にできて俺にできないことはないぞ」
SP「……え、でも……針に糸、通せなかった、よね?」
キュラド「練習すればできる」
SP (根に持ってる……)
*
また後日
キュラド「何を見ている」
SP「ど、動画サイト、で、一輪車の世界一?の人の……パフォーマンス……」
キュラド「世界一だと?」
SP「た、対抗心……燃やしてる……」
その後地味に一輪車にハマって会うたび違う技を見せてくるようになった。 完