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- まっちゃんの誕生日よその子お借りしてます。以下ss
「はいコレ」
少女が少年に叩きつけるように渡したものは、A4サイズの分厚い封筒。挑むような少女の表情に対して、少年の死にかけた表情筋は僅かに動揺を見せている。
「ええと……?」
訳がわからない、といった様子で少年が尋ねると、少女はぶっきらぼうに、
「今日、あんたの誕生日だって調べ…聞いたから」
「調べたって言いかけたよね」
「っさい」
少年が封筒を取り敢えず受け取るのを見届けると、少女は途端に自信を失くしたように伏し目になり、小さな声で呟く。
「気持ち悪いと思ったら、捨てていいから」
少年が封を開けると、大量の五線譜。それは、彼の為に作られた楽譜だった。
ありがとう、と言いかけた少年を遮るように、じゃあね、と逃げるように少女は去る。その顔が耳まで真っ赤になっていたのは、彼女を見送った少年しか知らない。
少年が手に取った五線譜が、誕生日おめでとう、この曲(僕)は君の為に生まれたんだ、と喋るのは、また別のお話。
#創作 #僕らの青春日記。時渡きと