一方その頃天狗島では盛大に宴が執り行われていた。
帰還した偽物の正体は「天邪鬼」さぐめ。
妖術で巫女様そっくりに化けて皆を騙し、国ごと滅ぼす気でいる。
薬玉の精霊・百索は五月の間だけ天狗島に呼ばれる邪気祓いの専門家であった。
ところが島へ向かう道中さぐめにその力を歪められ、真逆の邪悪な存在へと変わり果ててしまう。
地上を彷徨い各地の魑魅魍魎を集め百鬼夜行を形成中。ただし、本意ではない。
さてこのさぐめ、元をたどれば天狗島で生まれ、下界に落とされた「鬼子」
なのだ。鬼ヶ島で暮らすとその地にたまった瘴気や芽生える悪心その他諸々のおかげで
頭に角が生えてしまう故に異形の見てくれだが、両親は天狗。
生みの親を探してここまで遥々やってきたが、角を見せた瞬間二人に拒絶されてしまう。
「自分は捨てられた存在だ」という絶望的な現実を再び心に深く刻みこまれたさぐめは、
報復として天狗島を墜落させることを決意する。