ベジット、異世界へ迷い込む人気のない森の中に突如、眩い一筋の光が放たれた。
その光は薄暗かった森をこうこうと照らし、あたり一面を覆った
「よっしゃー!」 その光の中から、男の声が聞こえた〜
●俺の出番か!と思って勢いよく登場したものの、どこだここは…?悟飯やピッコロたちの気を探ってみるがなんにも反応無し。辺りを見回すが特に生き物とかもいなーーカサッ
…いやなんかいるな。もしかしたら人間かm「グォォォォオ」
でかい雄叫びに驚いて後ろを向くと、何か牛みたいな顔で二足歩行の見たことない生き物(ちょっと牛魔王のおっちゃんに似てる)がこっちに向かって突進してきた。「うおっと!?」突進してくるやつを俺はひらりと避けて、すかさずやつの頭を掴む。
「そりゃ」
そのまま頭を掴んで地面に叩きつけた。
「ドゴォォォオン」
……軽くやったつもりだったんだが、馬鹿でかいクレーターを作ってしまった。力加減ミスっちまったか…?
しかしこいつは一体なんなんだ?こんなやつ見たことないぞ…?そもそもここが何処かすらわからない。恐らく悟飯やピッコロはおろか地球人の気さえ感じとれないから地球ではなさそうだな。
……とりあえずこの森を一旦抜けてから考えるとするか。ここにいても仕方ないしな。
俺は舞空術で飛んで森から脱出することにした。
●しばらくとんでいると、森の奥に民家が見えたから、俺はそこを目指すことにした。正直人の気配が一切感じられない以上、あそこに人がいるかはわからねぇけどな。まぁこのままバカ広い森の中を彷徨うよりはマシかーーーーー「⁉︎」
人の気配…?しかもかなりでかい気だぞ⁉︎いや、でもなんでこんなところに?まだ森を抜けてないぞ?てかなんで今まで感じ取れなかったのに急に人の気配を感知できたんだ?とりあえず俺は人の気配がする方へ向かった。
「ここらだったか…」人の気配がした近くを見て回っていると、すぐにそいつを見つけた。ただ、かなりでかい気を放っていたからどんな強い奴がいるのだろうと少しワクワクしていたんだが、そこにいたのは女だった。…しかもめちゃくちゃ疲れているような顔をしている。おそらく制服らしきものを着ているから学生なんだろうが、一体どうやってアイツはあんなにでかい気を放ってたんだ?しばらく様子見で空から見ていると、女の目の前に先程俺がぶっ倒した牛魔王のおっちゃんみたいなやつが現れた。これは丁度いい、あいつの実力が見れるぞと女の方を向くと「あぁうぅ…」とかなり牛魔王のおっちゃん(仮)に狼狽えていた…。
「グオァァァァァ‼︎」
容赦なく牛魔王のry(仮)は女に襲いかかるが女の方はずっと怯えてうずくまる始末。…おいおい何やってんだよ!一方的にやられてるじゃねぇか!!俺は間に割って入る。「あぶねぇ!」
●……どこだろうここ…。確か私は学校から帰っていた途中だったはず。でもそこから先が思い出せない…。なんでこんな森の中にいるのだろう。とりあえず私は、あてもなく森の中を歩くことにした。
しばらく森の中をさまよっているとなにか小さい生き物と遭遇した。「…なにあれ」緑色で半透明のスライムみたいな生き物がぴょんぴょん跳ねてこちらにやってくる。
…ちょっとかわいい。そう思ったのもつかの間、敵意剥き出しでこちらに向かって飛び込んできた。「わぁ⁉︎」私は思わずそれを手で弾いてしまった。「ボォッ」
…なんか私の手から火が出て、そのままスライムみたいな生き物が丸焦げになったんですけど……。
「どうなってるの…?」突然のことに困惑し、そのまま呆然と立ち尽くしてしまった。もちろん手の中にマッチなど隠し持っていないし、手品でもない。(ていうか手品なんてできない。)
不思議に思った私は、もう一度手に力を込める。「ボォォォ」…やっぱり私の手から炎が出た。ただ、炎の色が橙色ではなく吸い込まれるような黒だったのが気になった。これはいわゆる魔法、というものなんだろうか、としばらく自分の手のひらから出る真っ黒な炎に見とれていると、急に息切れを起こしてしまった。「ゼェ…ゼェ……」…どうやらずっと魔法を使い続けると体力がなくなって息切れを起こしてしまうらしい。気をつけよう…。
やばい…ここは森の中だ。魔法はもう使える状態じゃないし、体力切れで体が動かない…熊とかイノシシに襲われたらひとたまりもないぞ…。
「グォォォォ」
なんで私はこうも死亡フラグを立ててしまうのだろう…。目の前から牛みたいな顔の二足歩行の生き物が現れた。明らかにこちらに敵意を向けている…。
「あぁうぅ…」私は恐怖のあまり涙目になり、その場にへたり込んでしまう。
「グォァァァァァ!」しかし容赦なくその生き物は襲いかかってくる。迫る明確な死。私は抗えずにうずくまることしかできなかった。「あぶねぇ!」
しかし私が殺されることはなかった。なにか男性の声が聞こえたと思ったら、その牛みたいな顔の生き物ははるか遠くに吹っ飛ばされていた。何が起こったのか全く分からず唖然としていると、「お前大丈夫か?立てるか?」と橙色と紺色の胴着を着た男性が話しかけてきた。
「だ、大丈夫です…。助けてくださりありがとうございました…。」と私は頭を下げる。
「ただ…」
「どうかしたのか?」
「こ、腰を抜かしてしまって立てそうにないです……」
「おいおい…」