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  • ノラ話↓


     外の冷たい空気で冷えた体を毛布で包み、休憩をとる。
    夜が本当に寒いこの季節は、仕事をするには明らかに無理がある。
    寒さで体力を奪われる上に、雪が降れば視界や足場を奪われ外にいる時間が長くなることもある。
    (疲れたなぁ・・・)
     手は少しずつ失った感覚を取り戻していくものの、ひりひりとした痒さと熱が今度は支配していく。
    光にあててよく見てみると赤く腫れていた
    (しもやけ・・・)
     その手に自分の息をかけるが、すぐに収まるものではないとわかっているので、2、3度でやめた
     「み゛ーっ!」
     人間以外の声が聞こえ、毛布が床に敷いているようなどころに目を向ける。
    毛玉に耳が生えたような生物が、毛布の上で上下に跳ねる。
    片手を差し出すと、その手に飛び乗った。
    やわらかな温もりが手に伝わりひりひりとしたかゆみを追い出していく
     「・・・暖かいね」
    思わずその温もりに口が緩む。
     手が温まってきたところで指を少し動かすと、ほかの指は毛に埋まるのになぜか一本だけ毛に触れない指がある
    いやな予感がする
    「・・・ちょっと後ろむいて」
    そういうと、その生物はくるりと後ろを向いた。
     全身に毛が密集しているはずなのに一箇所だけ違和感のある影がある。
    まわりの毛を指で掻き分けると、予感があたった
    毛が不規則に短くなっていた。
     「・・・モフリンド、窓に近づいていたでしょ」
    「み゛っ!!!」
    体とともに声を跳ね上げる。当たっているようだ。
     この時期は部屋の暖かい空気の中の、水蒸気が窓に張り付き外部の冷たい空気がそれを冷やす。
    それに触れると髪の毛などが張り付き、大体はがそうとすると切れたり抜けたりすることが多々ある。
    自分自身が何度もやっていたので、きつく言いつけてはいたが自分の帰りを確認するために窓に近づいたのだろう。
     「はぁ・・・」
    自分に懐いているからそういうことをやったのだろうが、今はそのうれしさより毛が一部短くなっている絶望感のほうが大きい。
     その様子をモフリンドが申し訳なさそうに見ている。
    とはいってもそれで毛が早く伸びるわけでも時間が戻るわけでもない。
     「次からは気をつけな。」
    そう言って撫でてやるぐらいしかできなかった。




     「毛が薄く・・・。」
    昼間、それを思い出しぼんやりと口に出すと
    隣にいた人物が
    「確かにアンタアホ毛がある分全体のボリューム少ないもんねぇー・・・。」
    と返してきた。
     これは深い夜の話。
     「メリルさん」
    ピンクの色をした髪の毛に覆われた背中に話しかける。
    「なんだい」
     振り向きはしないものの、耳だけは傾ける
    その姿にさらに胸を締め付けられるような感覚が強くなっていく。
    「ぼくさ」
    一呼吸置いて締め付けられる胸から声を出し
    「魔術覚えたい」
     聴いた瞬間、体が動いたのだろう、髪の毛が揺れた。
    そして椅子から立ち上がり
    自分の目と鼻の先まで顔を近づける。
     「なんで?」
    言葉は問いかけるような口調で出されたものの、目はまるで槍のように鋭く、氷のように冷たい。
    「だって・・・ぼくは盗賊ギルドに」
    「だから魔術が必要なのかい?
     魔術があれば強くなれるとでも?」
    「・・・っ」

    言葉を言葉で塞がれ口からなにも出なくなる。
     塞がれるどころか何か詰め込まれたように喉に違和感すら現れる。
    的を射ているとかそういうわけではなく、ただこの人の言葉とともに出てくるものが怖い。
     言葉に詰まっていると、額をつつかれ
    「魔術よりも強いものを教えてあげよう、ノラ。」
    口もとに笑みを浮かべた。
     この表情は自分にとっていいことの兆候ではない。
    明らかにこの人なにか企んでる





    「ほらノラ!!さっさと立て!
     たかが出血でダレるな!!!」
    「この・・・っ」
    痛みと怒りを握っている武器に込めて体で風を切った。
    頭を突っ伏していた体勢から、ぐっと伸びをし、姿勢を整える。
    (しまったこんな時間か・・・)
    窓から差す西日と体感していた温度の差が、時間の経過を表していた。
     まだ眠気の覚めない目をこすり瞬きをくりかえす。
    気が済んだところで机に広げたままの資料を確かめる。
     見出しで、薬の情報が書いてあるのは分かるのだが、詳細を読んで中身を把握するのは、寝起きの頭でちょっときつい。
     ファイルを閉じ、たててある写真立てに目を向ける。
    写る幼い頃の姪っ子が目に入った。
     このころは出先から帰ってくると、すぐに寄ってきて抱き上げたものだが
    そんなあの子は、別のギルドで受付として働き、気持ちを共有し愛し合える人とであった。
     いつか彼女は、自分の見えるところから離れてきっとその人に添い遂げたいと、言い出すだろう。
     悔しいが、人はそうやって成長していくのだ、仕方がない。
     写真たてを元の位置に戻し、資料を元々入っていた位置に戻すと同時に別の資料を手に取った。
     そしてゆっくりとめくっていく。
     クエスト先で看てきた患者、けがや病気をしたギルド員の記録が残っている。
    患者の記録には目を背けたくなるような結果も記されており、正直あまり好んで見たいものではない。
     資料のなかで一つ、印がつけてあるものがあった。
    突起になっているその印をつかみ、ページをめくっていくと
     彼の名が記されていた。
    そしてふと最初に出会った頃を思い出した。
    最初に出会ったのは喫茶店で彼が一人チェスをしていたときだ。
    その後何度も対戦をしているが、悔しいことに圧勝というわけではない。何度も負けた。
     薬師ギルドの副リーダーとして出会ったのは別の場面のことだ。
     彼はサプリメントと睡眠薬を頼んできた。
    見たところ十代なので、ちゃんと寝て食べておけばそんなもの必要ないはずなのだが、
    話を聞くと彼は寝てもいなければ食べてもいないらしい。
    呆れた。
    「薬だけで何とかなるものか、生活習慣を正せ」
    と叱ると
    「そこを何とかするのが、貴様の役目だろう」
    と返された。
    あながち間違ってはいないので折れた。うちの負けだ。
     ただそのときなんとなく彼から感じられることは、急いでいることだ。
    それがなんのことだか分からないが習慣や口調がそうかんじさせていた。
     そして彼の診察を彼自身に任されたときに
    「貴様の全知能や知識を使って私を生きながらえさせろ」
    その言葉が今でも頭に残っている。
    彼なりの頼みかたなのだろうか。

     「副リーダーきてください!」
    「はーい」
    後ろから呼ばれファイルをしまった。
     屋敷のドアが開き、裾を蹴って一歩踏み入れれば制服を着た使用人たちが頭を下げる。
    靴を鳴らして歩行する様は、全くといっていいほどブレておらず上品さを醸し出していた。
     「ただいま戻りましたわ、イヴェンヌ。」
    首に金のチョーカーをつけた女中に報告をする。女中もほかの使用人と同じように礼をした。
     帰宅をした女性の顔は、白い仮面と黒い布に全て包まれて見えない。
    「おかえりなさいませ、主様。お仕事がございますよ。」
    女中は階段へと主人を促した。
    ************

     こんにちは皆様。
    恐れ多くも私がこの場を語らせていただきます。私のことはメイドAとでも思っていただければよろしいかと。
     私のお仕えしているカノヴァス家当主様について、です。
    おそらく、外出時の主のことしか皆様ご存じでないかと思われます。
    我が主は、カノヴァス家当主としてお屋敷にいる時は様々なお仕事をなさいます。
    使用人の雇用状況や敷地管理等は私と共にしておりますがそのほかは主様のみがこなしています。
     その一つに届いてくる郵便物の閲覧と招待等があればそれのお返事があります
     毎日届いてくる郵便物はパーティーへのご招待が半分以上をしめていて
    「つくづく暇な方々と思わない?」とため息をつきつつもお返事を書きます。
     毎日送られてくる招待状ですが、その返事は決まって「欠席」です。
     書くことは大体決まっているので、封筒に書かれた住所を見ては封筒にそれを書き写し便せんに内容を書くの作業を主様は退屈そうに繰り返します。
    「主様、それは招待状ではありませんよ?」
    「あら・・・。ついうっかり・・・。」
    貴族たるもの、国内はもちろん国外の情勢も周知しておかなければなりません。
    そのため、家事使用人とは別に雇っている使用人からの報告でまわりの情勢を調べておきます。
     普通の貴族であれば社交界で貴人や貴婦人から情報を得るのですが
    なにせ謎多きカノヴァス家、探りをいれようものなら逆に探りを入れられかねないので先ほどのように社交界への出席は控えられているのです。
    「別国の方で黒い噂のあった貴族が殺されたんですって。」
    「そうですか。」
    「まぁ、自業自得ってところね。」
    「そうですね。」
    「私も貴族の間では噂が絶えないから気をつけないと殺されてしまうかもね」
    「なんのために私がいると思ってるんですか」
    「・・・。」
    その自慢気な笑顔はやめましょうね。
     ・・・話が反れました。
    カノヴァス家は社交界にでない代わりにこうして情報を得るのです。

    *****
     ポケットから出した時計が指す時間は―――
    午後3時30分
    「主様、そろそろお時間ですよ。
    ・・・・・・主様?」
    「・・・。」
    先ほどからずっと顔が下を向いている。
    ペンも全く動いていない。
    もしかして・・・
    失礼ながら、主様の肩を軽く触れる。肩がはねた後にゆっくり頭が起きあがる
    「寝ていましたね?」
    「そんなことは」
    「寝ていましたね?」
    間髪入れずにもう一回同じ言葉で質問すると
    「はい・・・。」
    小さな声で肯定した。
    「時間も丁度いいですし、お茶にしましょう。」
    と言うと主様の顔が寝起きのはれぼったい顔から一気に明るくなった。
     貴族のお茶と言うと中庭でお茶を優雅に飲むのがイメージにありますでしょうが
    主様の場合は顔を隠されているので、もしも外部の人間に見られた場合その人間から、情報を漏らされる場合があるのです。
     なので屋敷に花や植物を植えた部屋を一室作っており、そこでお飲みになるのです。
    「イベちゃん、今日のお茶はなに?」
     ・・・イベちゃんというのは、主様が私と二人っきりの時にのみの私の通称です。
    仕事や外出時以外では主様は普通の女性と変わらない『素』で接することが多いのです。
    「今日はレモングラスのハーブティーにしてみました」
    カップに注がれた紅茶を一口飲むと
    「レモンの香りが癒されるわ・・・。」
    「居眠りから覚めた主様には丁度いいかと思いまして」
    と言うと主様から小さく声が漏れた。居眠りをしたのは事実でしたし、時には主様の痛いところを着くのも従者の役目だとおもいますね。

    *****
     先ほどからの説明だとまるで主様があまり外部の方々とのつながりがないように思われますが、そのようなことはありません。
    子供好き故に、孤児院のお子さまをお呼びになったり、主は詩や音楽を好みますので、
    楽士ギルドや詩人ギルドの方々をお呼びになります。
     ギルドの方々と言えば、最近ギルドの方に剣を教えていただくことになったとか。
    そんなことしなくても、主様は私がお守りしますしそもそも主様おひとりで外出されることについて、私だけではなくほかの使用人もとても心配しております。
    せめて従者をつけていただければ納得できるのですがそれもあまり快く思ってないようですし・・・。
    自分の身をもう少し重んじてもいいと思うのですがね。あまり文句は言いませんが。
     それでは皆様、お時間を私のような者に時間を使っていただきありがとうございました。
    村 澄 Link Message Mute
    2011/12/30 3:09:41

    エチャでの産物第二段

    ユアン→フィルレ衣装 メリル→志桜衣装 ローニエ→ノラ衣装 ノラ→エルシア衣装
    ロニとノラが太いペンで描いてあるのは太さかえるのめんどくさかったから

    小ネタ倉庫になりました。 ##読み物

    more...
    作者が共有を許可していません Love ステキと思ったらハートを送ろう!ログイン不要です。ログインするとハートをカスタマイズできます。
    2011/12/30 3:11:20
    いっそ布団のなかにPC入れようかな・・・おやす(二回目)
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    • 20配色メイキング
      配色に凄く悩んでる人向け。当然のことしか書いてないんで、それ以外の人は見なくてもいいと思います。

      メイキングと銘打ってますが、自分用にまとめてるだけなんで見易さに関してはなにも言わないほうがいいです。感覚で覚えろ!な感じで進行していきます。
      村 澄
    • 12メモ程度にニヴルヘイムのふたりについて村 澄
    • 12ノワールログ


      アップロード出来次第増えていく
      村 澄
    • 47裏事情
      語り場というか、メモ的なところも兼ねて
      恥ずかしくなくなったのでFO解除
      村 澄
    • 5久々に課題以外で絵描いた・・・。村 澄
    • rkgk見せブラとかっていいよね。村 澄
    • かったるいのでここまで!村 澄
    • 4スマンカッタ。村 澄
    • 17リュギゼ(?)漫画
      アナザーキャラがかなり出ています注意
      村 澄
    • 4夏バテ中な幸恵さん。村 澄
    • 29振るだけじゃなくなった。日常に刺激が欲しいお年頃
      元動画→http://www.nicovideo.jp/watch/sm19179664
      村 澄
    • 2凄くうろ覚えすぎて・・・。村 澄
    • 17花。
      とことん画像がでかいです。
      コメ欄は作業過程的な
      村 澄
    • 18らくがき村 澄
    • 4村 澄
    • 9しゅろすさんにみられたので再うp村 澄
    • 5じーんせいはーえーすかえむぅー※タイトルとは関係ありません※村 澄
    • 8適当に続きます。村 澄
    • 11適当なことをだらだらと村 澄
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    • 11らくがき妹はたまにぼんやりしてるときがあるんだよねby理子

      ネタ場兼語り場
      村 澄
    • 3スマホが使いこなせない系うさぎ村日々スマホにキレてます。村 澄
    • 31顔面修羅場目の下の隈と赤い絵の具のハーモニー。村 澄
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