※正面=リア(メツトヒ族の巫女従者)
手前紫=アメリア(メツトヒ族の巫女・ヒロイン)
赤=ラグリド(リミド族のキレやすい青年・主人公)
西の大陸と東の大陸では、それぞれ信仰する宗教に相違点が見られる。
〇信仰する神
西の大陸が祀る神は、「アゲート」という女神で、大昔に荒れていた西の大陸を豊かにしたと言われている。以下、神話⇓
「荒れた大地に女神が舞い降りて、一粒の種を大陸全体を見渡せる場所に植え、始まりの歌を歌い続けた。すると、その種は、みるみる内に大きな一本の樹となり、その大樹を中心に荒れた大地が緑の大地となった。
その後、4人の人が女神の元に現れた。
1人は、大地を強く踏みしめる者。
1人は、天上を強く目指す者。
1人は、女神と強く同調する者。
1人は、理を強く求め続ける者。
この4人は、それぞれ女神に感謝し、緑の大地を守り続けることを誓った。
更に女神は、緑の大地が永久に続くようにと、大地の守護者として、風と火、水、土の4つの精霊を彼らに与えた。
そして、女神は大樹の中で永い眠りについた。」
この神話は、4種族の全てに共通して知られている神話であり、女神が西の大陸の創造主的な性格を持っていることがわかる。
また、女神の前に現れた4人の人は、それぞれ、西の大陸の4種族の事を示している。大地を踏みしめる者は、大地を耕したり、広く交流を行うために大陸を歩き続けるリミド族であるし、理を求め続けるのは、魔法に強いリアトコ族。さらに、天上を目指す者は、標高が高い土地に住むラソ族、女神に同調する者はメツトヒ族の事を示している。このことから、女神が、4種族の主的性格もあることが伺える。
さらに、この神話では、大地に存在すると考えられている精霊を「与えた」と述べており、女神が精霊を創ったと言えるだろう。これらの精霊は、強い魔力を持っていると考えられているが、これらの精霊を創造した女神もまた、冒頭に歌を歌ったと述べられている。この歌とは、メツトヒ族の中でも最も女神に近い存在とされている巫女が用いる魔法を起こす歌と同じものと考えられるが、その力は、緑の大地を創るほどのものでありとても強いということが考えられる。
これらの女神の性格を整理すると
(1)西の大地の創造主、または管理者
(2)4種族の主
(3)精霊の創造主
(4)強い魔力を持っている存在
の4つの性格があると考えられる。
〇女神とメツトヒ族の関係
メツトヒ族は、神話にもあるように、女神と同調する種族であるとされ、非常に宗教色の強い種族である。特に、種族の集まる村の中で最も力(魔力)を持つ者を「巫女」(あるいは「巫子」)とし、巫女によって女神から神託を受けることが出来ると言われている。この巫女は、基本的に1代に1人であり、2人の巫女が同時に存在することはない。また、巫女の役割は一生制であり、巫女が亡くなった後、3歳未満の子どもの中から、次の巫女が選ばれる。その時に、幼い巫女を補佐するための従者が選ばれる。巫女は、「巫子」と呼ばれることもあるように、多くは女性が選ばれるが、男性が選ばれることもある。実際に、巫子がいた頃の記録が、古いルヴィリィ国との戦いの中で見られる。
〇リアトコ族特有の民族信仰
リアトコ族は、他の種族と違い、己の魔力を最大限に高めるために、成人の儀で入れ墨を入れる。そのことによって、元の生命力が強化されており、寿命が長くなっている。この入れ墨は、ただ入れるだけでは効果をもたないらしく、この儀の詳細については、リアトコ族の秘儀とされているため知ることが出来ない。ただ、この儀を行い、魔力を最大限に高める目的というのは、理を求め続けるためであるということと、もう一つ、「見守る存在」として生きるためと言われている。
このことについての、深い意味は明確になっていないが、リアトコ族が、様相や幼少期など、リミド族と大差のない種族でありながらも、他の種族に比べて排他的な性格を持っていることにもつながっていると考えられている。