たとえば「例えばここで、君に一杯のコーヒーをご馳走したとしよう。君はどういうトッピングをするかな」
「そうね。ガムシロップを一つにミルクは多め。あ、あとチョコレートソースが少し欲しいわね。コーヒーは甘めのほうが好きなの」
「それは初耳だ。例えば僕がそれを用意してこう言ったとしよう。『甘いの好きなの?僕こう見えてスイーツを作るのが趣味なんだ』ってね」
「へぇ、素敵な趣味ね。私もスイーツは好きね。食べる専門だけどね」
「なら今度一緒にスイーツとか作ってみない?物を作るっていうのは良いよ。素直に自分を見つめ直せる時間だと僕は思うんだ」
「なかなか素敵な考え方ね、なら私も例え話で、『なら今度おいしいブラウニーの作り方でも教えてちょうだいよ』」
「お安い御用で」
「例え話よ」
「わかってるよ。そして僕がブラウニーの作り方を教えて、おいしいブラウニーをご馳走するとしよう。君はどういう反応をしてくれるかな」
「そうね、素直に見直すと思うわ。何なら少しだけあなたのことを好きになるかもしれないわね」
「本当に」
「例え話よ」
「なら……例えばその時に僕が君に告白をしたとしたら、成功率は何パーセントくらいだと思う」
「そうね、貴方のその時の表情次第で半分ってところね。かけてみるにはいい数字かもしれないわね」
「50パーセントかぁ……。その時フラれたとして、君はいつもみたいに僕に笑いかけてくれるかな」
「さてね、その時の気分次第ってところかしら。今日は随分と饒舌ね。例え話じゃない話でもしたいわけ」
「ご名答。そしてここからが本題なんだ」
「へぇ、何よ」
「君にコーヒーをご馳走したいんだ。味付けは何がいい」
「あら、ありがとう。私はブラックがいいわ」