スクリの独白それは確かに愛だったはずなのに。
例えば君が好きな物を食べているとき、
俺の名前を呼んでくれているとき、
笑顔を向けてくれているとき。
そんなふとした瞬間に感じる日向のような気持ち。それは、確かに愛だった。愛だったのだ。
それはいつしか、
新品のシーツに皺が増えて薄汚れるように、お気に入りのシャツの襟が柔らかくなるように。
確実に形を変えていって、真っ白だったものはその清純さを失っていった。
たかが君が好きな物を話しているとき、
誰かの話をしているとき、
なにかに目線を奪われているとき。
全ての対象に黒い感情を抱いてしまって仕方がない。
自分でもくだらないと分かってはいる。いるけれど、この気持ちはどうも抑えられなくて。
この染み渡っていく黒さを上手く隠して今日も君と話をする。
どうか君がこの綻びに気付きませんように。