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パーグラ「古戦場疲れ」
頭がかゆい。討伐に次ぐ討伐で、俺はすっかり不潔な団長になっていた。同じような状態のみんなと別れて、私室までの薄暗い廊下を歩く。瞬きするだけで眠ってしまいそう。ああ、でも、やっとまともなベッドで眠れるんだ。ルリアも、もう眠れたかな。ビィはりんご食べるって言ってたけど……。
足元に長い影が現れる。柱かな。きっと柱だな。目をこする。
「おい、通り過ぎる気か」
しかも喋る柱だ。朦朧としたまま顔を上げると、よく知る人が立っていた。燃えるような髪の下、ルビーみたいな目が光る。
「ぱーし……」
「なんだその呼び方は」
ごめん、もう「ゔぁる」って部分のカロリーが高すぎて言えない。次の瞬間、俺の視界は肌色に染まった。あ、これ、パーシヴァルの胸に倒れ込んだんだな。
「無理をするからだ。自分の限界を見極められないうちは、まだまだだな」
「まだできるし」
頭上で笑われた気配。元気だったらもっと反発するけれど、今はもう無理だ。パーシヴァルって、体温が高いのかもしれない。力強い腕に支えられて、温泉に入ったみたいに、ゆったりじんわりほどけてくる。立っているのに、頭からつま先まですべてを預けられる気がしてしまう。
熱い指が、頬を撫でる。最初は汚れを落とすように、次は産毛に触れるように。
「よくやったな」
やめてよくすぐったい。でも、頬を寄せて、うっかりもっととねだってしまう。すると、撫で続けてくれるんだ。なんでこんなに優しいかな。世界中に、この人が実はこんなに優しいんだって教えたいけど、もったいないから、知ってるの俺くらいでいいや。
「俺の部屋でいいな」
「ん、でもお風呂……」
「明日にしろ」
「俺、汚い……べっど、きれい……」
「汚れはどうでも良い。お前はたまに育ちが良いことを言うな」
パーシヴァルに言われたくない。
赤ん坊みたいに前抱きにされて、パーシヴァルの背中に腕を回す。筋肉がぽこっとした、いつもの背中。パーシヴァルからは、石鹸とシャンプーの香り。
「俺はくさい……」
「くさくないとは言えないな」
そう言うくせに、ずいぶん密着して運ぶんだから、かなわない。
ぽん、ぽん、とあやされ瞼が下がっていく。ねえねえパーシヴァル。古戦場で、たくさん武器拾ったんだ。明日、一緒に見てね。
ずっと放っておいてごめんね。明日からまた一緒に旅しようね。
頭がかゆい。討伐に次ぐ討伐で、俺はすっかり不潔な団長になっていた。同じような状態のみんなと別れて、私室までの薄暗い廊下を歩く。瞬きするだけで眠ってしまいそう。ああ、でも、やっとまともなベッドで眠れるんだ。ルリアも、もう眠れたかな。ビィはりんご食べるって言ってたけど……。
足元に長い影が現れる。柱かな。きっと柱だな。目をこする。
「おい、通り過ぎる気か」
しかも喋る柱だ。朦朧としたまま顔を上げると、よく知る人が立っていた。燃えるような髪の下、ルビーみたいな目が光る。
「ぱーし……」
「なんだその呼び方は」
ごめん、もう「ゔぁる」って部分のカロリーが高すぎて言えない。次の瞬間、俺の視界は肌色に染まった。あ、これ、パーシヴァルの胸に倒れ込んだんだな。
「無理をするからだ。自分の限界を見極められないうちは、まだまだだな」
「まだできるし」
頭上で笑われた気配。元気だったらもっと反発するけれど、今はもう無理だ。パーシヴァルって、体温が高いのかもしれない。力強い腕に支えられて、温泉に入ったみたいに、ゆったりじんわりほどけてくる。立っているのに、頭からつま先まですべてを預けられる気がしてしまう。
熱い指が、頬を撫でる。最初は汚れを落とすように、次は産毛に触れるように。
「よくやったな」
やめてよくすぐったい。でも、頬を寄せて、うっかりもっととねだってしまう。すると、撫で続けてくれるんだ。なんでこんなに優しいかな。世界中に、この人が実はこんなに優しいんだって教えたいけど、もったいないから、知ってるの俺くらいでいいや。
「俺の部屋でいいな」
「ん、でもお風呂……」
「明日にしろ」
「俺、汚い……べっど、きれい……」
「汚れはどうでも良い。お前はたまに育ちが良いことを言うな」
パーシヴァルに言われたくない。
赤ん坊みたいに前抱きにされて、パーシヴァルの背中に腕を回す。筋肉がぽこっとした、いつもの背中。パーシヴァルからは、石鹸とシャンプーの香り。
「俺はくさい……」
「くさくないとは言えないな」
そう言うくせに、ずいぶん密着して運ぶんだから、かなわない。
ぽん、ぽん、とあやされ瞼が下がっていく。ねえねえパーシヴァル。古戦場で、たくさん武器拾ったんだ。明日、一緒に見てね。
ずっと放っておいてごめんね。明日からまた一緒に旅しようね。
shachochi
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