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    薔薇と貴女と『J’aime deux choses, toi et la rose, la rose pour un jour et toi pour toujours.』

    テーブルに飾ってある一輪の薔薇が視界に入ったとき、ふとフランスの名もなき誰かの言葉が脳裏をよぎった。

    私は薔薇が好き。
    優雅で、気高くて、可憐で、清楚で、凛としていて。

    色、馨り、形、手触り、刺……どれをとっても好き。
    特に。私のために咲く子は、どの子も愛しいと思う。

    いつも自問自答していた。
    薔薇以上に私が好きになるものなんてあるのかしら。

    いつだって答えは変わらない。
    そう、もしかしなくても。
    好きになれるものなんて、愛しく思えるものなんて、一生現れないだろう。

    戦車に乗るだけでは、試合に勝つだけでは、埋められないこの何とも言えない虚しさ。
    薔薇を眺めるひとりの時間以外に、なにかがこれを満たしてくれることなんてあり得ない。

    こんな風にずっと思ってきた。
    貴女と出会うまでは……

    もし貴女と出会っていなかったら。
    考えるだけでも恐ろしいことね。


    【薔薇と貴女と】


    人の膝の上に頭を乗せてうたた寝をしている愛しい人。
    少々重たいけれど、それがかえって心地好い。

    早く起きないかしら。
    そう思う反面、もうしばらくこの無防備な寝顔を眺めていたい気もする。

    全くもって贅沢な悩みだこと。

    長い睫毛に縁取られた、今は閉じられた瞳。
    いつだって私だけを真っ直ぐに見つめてくれる。

    見つめられる度、貴女を独占しているという何とも言えない幸福感が私を満たしてくれる。
    それと同時に、他の人を映してほしくないと、醜い独占欲がどこからともなく現れる。

    自信はあるようで、きっとない。
    我ながら女々しいものだと自嘲してしまうほどに。

    だからこそ、私達以外誰もいないこの空間に、一生ふたりで閉じ込められても構わない。
    そんな風に考えてしまう私は、少々病んでいるのかもしれない。

    時々不安になる。
    ふたりで過ごすこの穏やかな時間は私の夢で、 目が覚めたら貴女は隣にいないのではないかと。

    そんなことを口にすれば、貴女は決まってバカねと笑って言いながら、優しく抱き締めてくれる。
    背中をさすってくれる掌の温かさ、好きよと耳元で囁かれる一言。
    それらがどれ程私を安心させるか……貴女はご存じかしら。

    そっと貴女の頬に手を添えてみる。
    これが夢じゃないことを確かめるために、柔らかな頬の感触を指先で確かめた。

    大丈夫。
    ちゃんと貴女はここに居てくれているわ。


    「ねぇ、ケイさん。こんな言葉を知ってる?
    『J’aime deux choses, toi et la rose, la rose pour un jour et toi pour toujours.』」

    「んー?フランス語ぉ??」

    「…そうよ。」


    まあ、驚いた。
    寝ているとばかり思っていたのに。

    でも、どうやら寝ぼけている様子。
    私の方を見ているけれど、ぼーっとしていて焦点が定まっていないじゃないの。

    本当に可愛い人。

    ふふっと無意識に笑みが溢れてしまう。


    「ねー、ダージリン。どーゆー意味ぃー?」

    「意味がわからないなら、それでいいわ。」

    「どーして?意地悪ぅ……教えてよぉー?」

    「いやよ。知りたければ自分で調べたらいいでしょう。」


    なにか言いたげに私を見上げる貴女。
    でも、それ以上はなにも言わせない。
    そんな意味を込めて、身を屈めてそっと口づけた。

    頬を染める貴女は、どこか嬉しそうな満足そうな表情をしている。

    この表情はきっと私しか知らない。
    妙な優越感を覚えるこの瞬間が好き。
    貴女のことを強く強く愛しいと感じるから。


    「好きだ、よ……」


    目をゆっくりと閉じながら呟くように、一言。
    最後まで言い終わるか終わらないかの内に、貴女は再び眠りについた。

    きっと無意識に私を口説いているんだわ。
    生意気ね、そんな風に思う私はきっと天の邪鬼。

    本当は愛しくて幸せで。


    「わたくしも好きよ。愛してるわ。」


    規則正しく寝息をたてる貴女は、私の言葉でくすぐったそうな表情をした気がした。
    まるで私の言葉を聞いているような錯覚に陥る。

    まあ、聞いていなくてもいいわ。
    これは私の自己満足だから。


    「ケイさん、先程の言葉はこういう意味よ。
    私は愛しているものが2つある、貴女と薔薇。薔薇は1日だけ、貴女はずっとよ。」
    Sunder Eleganism Link Message Mute
    2018/09/02 19:30:00

    薔薇と貴女と

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    #ガルパン #GuP #ガールズアンドパンツァー #ケイダジ #ダージリン #ケイ #百合 #両思い #garupan #二次創作

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