Fact or Fiction 開かれた窓から緩やかな風が吹き、夕暮れ前の穏やかな日差しが差し込んでいる。紙を捲る音が時々聞こえるだけの静かで落ち着いた空間で、クリスが熱心に雑誌を読んでいた。時折カップに口を付けながら姿勢正しく雑誌を読むその姿に翼は思わず見蕩れてしまう。
クリスと知り合ってから早いもので一年以上が過ぎた。クリスと一緒に居れば居るほどに、クリスのことを知れば知るほどに好きだという想いが日々大きくなっていく。
「先輩は……凄いな」
溜息のように漏れた声音に翼はただ頷くだけだった。そんな翼の様子に一瞬だけ怪訝そうな表情を浮かべたあと、呆れたように微笑むクリスの表情は柔らかくて甘い。
「雪音」
「ん?」
「好きだ」
形の整った唇、ほんのりと染まった頬、自分へと向けられた真っすぐな視線、綺麗な瞳。それを見た瞬間、思わず心の声が零れてしまったのだ。不意ではあるが自分の気持ちを伝えたくなってしまったのだ。
「は?」
「私は雪音のことがずっと好きだった。もしかしたら知り合ってからずっと」
今度は隠そうともしないクリスの怪訝そうな表情へと衝動的に突き動かされるままに想いを伝えた。唐突な翼の告白にクリスは暫く黙ったまま翼の表情を見詰めたあと、溜息を吐いて顔を逸らした。
「……そうか。あたしは先輩のこと、尊敬してるよ」
たまにはご飯でも食べに行きたいな。
何事もなかったかのように席を立つクリスの声音がほとんど聞こえなかった。翼は唇をぎゅっと閉ざしたまま曖昧な相槌を打つことしかできなかった。
雪音クリスが目を覚ますと室内は夕日色に染まりつつあった。眩しかった正午の日差しは赤色素を増していて、青空を焦がすように橙色に染めていく夕日を寝起きの意識で呆然と眺めた。視界の隅に映る伸びた影が哀愁を胸に過らせている。
夢か。それにしても久しぶりに見たな……
それは最近の夢であったがどこか遠い懐かしい夢のようでもあった。先輩からの急な告白に驚いて素っ気ない態度で返してしまった。しかしあれからも自分と先輩の関係は良好そのものであり、誰よりも先輩に近い位置だと思っている。だからか忘れたころに思い出させてくるあの時の夢がどうにも気になってしまうのだ。
雪音クリスは風鳴翼のことをどう思っているのだろうか。尊敬する先輩である。しかし何かが胸のしこりとなって残っている。もしくは棘のようにわずかな痛みを訴えているようでもある。
「……はぁ、とりあえず飯だ飯」
クリスはもやもやとした気持ちを解消できないままにソファを立った。どうせ飯を食べ終わるころには気にならなくなっているはず。いつものことだ。言い聞かせるように何度も念じながらカーテンを閉める。夕日だった空は夜の帳が降りはじめていて、薄闇が夕日を覆い隠すように一日の終わりを告げようとしていた。
風鳴翼が目を覚ますと室内は夕日色に染まりつつあった。眩しかった正午の日差しは赤色素を増していて、青空を焦がすように橙色に染めていく夕日を寝起きの意識で呆然と眺めた。視界の隅に映る伸びた影が哀愁を胸に過らせている。
自分が雪音に告白して、そしてスルーされた夢。
告白自体はスルーされてしまったが、雪音との関係は良好そのものでその関係に翼自体は満足していた。満足してしまっていた。だからか忘れたころに思い出させてくるあの時の夢が茨のように絡みついて痛みを訴えてくる。
風鳴翼は雪音クリスが今でも好きなのだ。
あの日から今に至るまで雪音の態度は全く変わっていない。もしかしたら告白されたことも忘れてしまっているのかもしれない。
今の関係に満足してしまっている自分には一生叶わない恋なのだろう。でも好きだからこそ今の関係を壊したくないのだ。
言い聞かせるようにして何度も念じながら寝室へと足を向けた。日は既に暮れてしまったが夕食を食べる気分ではない。気分が落ち着くまでのわずかな時間を睡眠に充てることにした。柔らかくてほんのり暖かい布団の中で、枕に乗っている頭が下らないことを考えている。
もしも夢の中で雪音と付き合えるのなら、二度と覚めなくてもいいのではないだろうかと。
らしくない思考だと自分で笑ってしまった。しかしそんな誰にも言えないような愚かな思考をどうしても拭いきれなかった。
「眠れない」
思い出せば先程まで眠っていたのだ。いくら気分が鬱積していても眠れないのであればしょうがない。しばらく布団の中でじっとしていたがどうにも大人しくしていることができずに布団から抜け出した。そのまま外着に着替えて簡単に身嗜みを整える。そのまま早足で玄関を出ると小さく溜息を吐いた。あの日、翼の告白をさり気なく躱したのはクリスなりの優しさだとわかっている。邪な想いを寄せていた翼を邪険にもせずに友人とした変わらずに接して傍に居てくれているのだから。
「わかっている。のだけど……っ!?」
きゃっ!? と他人事のように自分の悲鳴を聞いたときには視界が反転していた。何かが激突した衝撃に耐えきれない身体が宙に浮いて鋭い痛みと共に転がり落ちる。拙いと思っていても続いている痛みが思考を遮って何もできない。
「……雪音」
辺りに悲鳴と怒号が飛び交っているのを薄っすらと聞きながら、翼はその名前をぽつりとつぶやいた。
「ん……ふぁ」
直ぐ傍で眠っていた翼の小さな欠伸を聞いたクリスは読んでいた雑誌を乱暴に置くと勢いよく身体を起こした。
「大丈夫か……!?」
「ん……? どうしたんだ」
頭をゆっくりとふらつかせながら瞳を瞬かせている翼を見てクリスは安堵の吐息を漏らした。
「お前……マンションの階段で転げ落ちて一日意識がなかったんだぞ」
クリスは大きな溜息を漏らした。大袈裟ではなくてエルフナインから連絡が来たときにはあまりの驚きに椅子から転げ落ちてしまったくらいに。幸い身体の怪我はそれほどでもなかったのだが如何せん頭を打ちつけて眠っている翼が心配で堪らなかったのだ。しばらくすれば目を覚ますはずです。と言ったエルフナインの言葉を疑ってはいなかったが心配であったことは変わりない。
「そうだったの……でも、私は大丈夫。そんなに心配しなくてもいい」
「そういう問題じゃねぇだろ」
翼の言葉を聞いてクリスの頭に言いようのない違和感が浮かんだが。どうにも曖昧過ぎてはっきりしない。答えは全く浮かばないが何故か気になってしまう。不思議そうに考えている素振りを見せるクリスを見ながら翼はゆっくりと横になり笑って、見られていたクリスは椅子に膝を立てて大きな溜息を再び吐いた。
しかしこうしてクリスを会話を交わすのはいつぶりだっただろうか。思い出そうとしても全く記憶がなかった。翼はどうしても思い出せない。
「……あれ?」
「……どうした?」
「思い出せない」
「おいおいマジかよ。何がだ?」
横になったまま真面目に考えている翼を見てクリスの胸中は穏やかではない。エルフナインや忍者は大丈夫だと言っていたが本当なのか? 胸に過った不安に駆られたクリスは席を立とうとしたが、その瞬間に翼に袖を抓まれた。
「大丈夫だから。傍に居て」
ぎゅっと抓まれた袖。細く不安そうな声音。自分へと向けられた濡れたように煌いている瞳にクリスは息を呑んだ。珍しいなんてモノじゃない。まるで他人のような表情と態度。全く見たことのない翼の仕草にクリスは見惚れてしまった。
「大したことじゃないの」
「大したことじゃないって。何がだよ」
「クリスと最後に会ったの、いつだっけ?」
……は?
心配よりも大きな疑問が脳裏に浮かんだ。
「…………あたしと会ったことを忘れるのが大したことじゃないっていうのか? あんたは」
「む、確かにそうかもしれないけど。怪我した恋人に言う言葉なの?」
考えて考えて。実際はわずかな時間だが考え抜いて言葉をクリスが紡ぐと、翼は頬を膨らませて抓んでいた指を使って布団で鼻の頭までを隠してしまった。瞬間、クリスは理解した。翼が起きてから今までずっと自分に向けていたのは先輩でも防人でもなくただの女の子。雪音クリスに恋をしている女の子、風鳴翼の表情だということに。
「ん、あぁ。悪かった」
喉が渇く。身体が熱い。それでも一言だけを絞り出すとクリスは翼から視線を逸らした。
翼は三日間検査入院をした後、しばらくは自室とクリスの部屋で生活することになった。検査の結果では特に異状はなかったが、緒川とエルフナイン、そしてクリスが話し合った結果、記憶が混濁している翼を一人にはしないほうがいいと判断したからだった。だがクリスは話し合いの結果がどうであれ翼を一人にするつもりはなかった。万が一周りにばれてしまっては恥ずかしいと思うのもあったが、それ以上に心配だったからだった。
(記憶が戻るまでは傍にいてやらないと……)
先輩と後輩、友人でもあった翼の記憶は戻っていない。クリスのことを恋人だと思い込んだままだった。そしてクリスは真実を教えてはいない。
『雪音、好きだ』
あのときの夢は今までで一番鮮明に脳裏に思い浮かんでいた。緩やかで心地よい風。穏やかで暖かい夕日。翼の告白を聞いてクリスは胸を突く衝動に戸惑った。その戸惑いのままに返した言葉で翼に哀しそうな表情をさせてしまった。記憶が戻ってしまえば再び傷ついてしまうかもしれない。それが嫌だった。
そしてそのことは未だに謝れていない。どれだけ残酷なことをしてしまったか理解もしている。だけど謝れていなかった。翼の真摯な想いを受け止められずに曖昧に誤魔化してしまった。それでも翼はクリスの傍に居てくれている。あのときから今まで、翼のことをどう思っているかは未だに自分自身でもわかっていない。
ただ大切な人であることは確かだ。翼のためならどんなことだってできるし、やってきた。
「クリス?」
思考が引き戻されると、正面でクリスが翼を心配そうに見つめていた。
「ん、なんでもない。美味しいよ」
小さく息を吐いて、味噌汁に口を付けた。自分のために勉強したという料理はお世辞抜きで美味しかった。
「よかった」
ほっとした笑顔に胸が痛い。
あれから翼がクリスに魅せる表情はどれも見たことのない表情だった。その表情を見るたびに胸が締め付けられるような思いになってしまう。翼が魅せる表情はきっと自分ではない雪音クリスに向けられている。そしてそれをわかっていて指摘しない自分。
一体自分は何がしたいのだろうか。段々とわからなくなっていた。
「明日も作ってあげるね」
「まだ怪我人だろ。無理すんな……でも、ありがと」
何を言ってるんだあたしは。
考え事をしたまま無意識のうちに零れた言葉にクリスは頬を紅く染めて視線を逸らした。翼はその仕草を見て思わず頬を緩ませる。
「嬉しいな」
胸の奥からじんわりと幸せな気持ちが広がっていく。翼はその気持ちを噛み締めるようにご飯を頬張った。
眠っていたクリスは喉の渇きを感じて起き上がった。時計を見るとまだ夜明けにも程遠い真夜中の時間、ぼんやりとしたまま部屋を出ると、向かいの部屋から漏れ出る光に気が付いて目を覚ました。リビングへと向いていた足が止まる。
クリスはその明かりをみて小さく溜息をついた。
随分と遅い時間だというのに翼はまだ起きているようだ。その仕事柄で時折は昼夜が逆転することもあるだろう。しかし緒川の協力もあってしばらくは仕事もない。規則正しい生活を遅らせるように司令とエルフナインからも言われている。それを翼だって理解しているはずだというのにこれでは意味がない。
「起きてるのか?」
返事を待たずにドアを開けると、翼は物憂げにベッドの上に座っていた。クリスの姿を見てびくりと身体を震わせる。
「あ……すまねぇ。勝手に入って」
「う、ううん。それは大丈夫……何だか眠れなくて」
「だからって起きててもこんな時間じゃやることもないし、規則正しい生活を送れって言われてるだろ?」
「そう、ね」
頷いたものの動く気配がない。不思議に思ってクリスが近づくと腕を掴まれてそのままするりと引き寄せられた。甘えるように身体をすり寄せてくる翼の仕草にクリスの胸が高鳴る。無防備に預けられた細い身体は冷たくて、鼻孔を擽るトリートメントの香りは自分と同じ物を使っているはずなのにやけに甘い香りがした。呼吸が止まる。今までではありえなかった距離の近さに、クリスはどうしたらいいかもわからずに身体を動かすことができなかった。
「クリス」
翼はクリスに抱き着くと問いかけるように囁いた。上目遣いで見上げてくる翼の瞳は蠱惑的に揺れていて、唇はキスの準備をしているかのように濡れている。響にも見せないであろうその表情はクリスの中の風鳴翼とのあまりの剥離にクリスの胸の高鳴りが大きくなっていく。しかしクリスはそれを必死に抑えつけると、翼の頬に自分の唇をそっと接けた。
「ちゃんと記憶が戻ったらな」
風鳴翼は雪音クリスが好きだと。翼自身がそれを体現している。だが違う。翼は事故のせいで記憶が混濁しているだけだ。もしこのまま衝動のままに達してしまったら記憶が戻ったときに傷つき後悔するのは翼なのだから。
「ぁ、クリス」
翼の鳴らす艶めかしい声音に誘われるままに唇を奪ってしまいたくなる。冷たく細いしなやかな身体はそれほどに魅惑的だった。恋人としての翼は本当に自分の恋人だったのではないかと錯覚するほどに。
「ほら、寝ろ。あたしももう眠い」
乾ききっていた喉が痛みを訴え、それに弾かれるようにクリスは立ち上がった。翼の返事を待たずに背中を向けると早足で部屋を出ていく。その後姿へ翼は手を伸ばそうとして、しかししなかった。クリスの唇が触れた頬を指でなぞる。
(私は何かを忘れている……?)
誰もが言う。私は事故で記憶が混乱していると。しかし自分ではわからなかった。いや確かに忘れていることはあるのだ。それは身体の動かし方だったり、何かの知識だったり。だけどそれよりもはるか深い自分の奥底で何かが訴えている。何だろう。それはとても重要なことのようで。それを思い出してしまうことがとても怖い気がして翼は強く瞳を閉じた。
窓から降り注ぐ眩しい陽射しに誘われて、翼はようやく目を覚ました。
「ん……っ!」
身体を起こして大きく伸びをしていると、ベッドの隣に見慣れた姿を見つけた。
「やっとお目覚めか。ったく、夜更かししすぎなんだよ」
ベッドの隣で呆れたようにクリスが笑った。カーテンを開いたのはクリスのようで、そんなことをぼーっと考えていながら時計を確認すると、短い針がちょうど真上を指そうとしていた。
「も、もうこんな時間!」
翼は慌ててベッドから抜け出した。
完全な寝坊だった。今朝はクリスのために朝ご飯を用意しようと思っていたのに、寝るのが遅くなったせいだ。
「ご飯なら、もうあたしが用意したよ」
「……え?」
「朝飯兼昼食になっちまったけどな」
ぱちくりと瞳を瞬かせる翼の様子を見ながらクリスは笑った。
リビングへ向かうと、テーブルの上には美味しそうな料理が湯気を立てて並んでいた。卵焼きに野菜炒め、お味噌汁におひたしに白いご飯。
「美味しそう……」
ぼそりと呟いて椅子に座った。行儀よく手を合わせて箸を取る。随分と久しぶりに見るクリスの手料理はどれも美味しそうに見えてしまっていた。
(……そういえば)
最後にクリスとこうして過ごしたのはいつだっただろうか。二人で過ごした翌朝は交代で朝食を用意していた。はずだった。しかし思い出せない。以前に過ごした日も思い出せなければ、いつもどんな料理を食べていたのかも思い出せない。
頭が少し痛む。何かが抜け落ちている感覚。そのぽっかりとした隙間に漠然とした不安がじわじわと湧き上がってきていた。
「食べないのか?」
はっと意識を戻すと、クリスが怪訝そうな表情を浮かべながら翼を見つめていた。
「ん? あ、あぁ。食べる」
無意識のうちに口へ運んだ卵焼きはとても美味しかった。思わず顔を綻ばせてしまえば、クリスは小さくだが満足そうに笑っていた。その小さな笑顔は思わず見とれてしまうほどに綺麗だったが、何か影のようなモノが脳裏にこびりついていた。
自分の知っているクリスは、こんなにも優しい微笑を浮かべる人だっただろうか? 私を心配してくれているのはわかる。しかし過保護ではないだろうか。優しくされて不安になるなんて不思議な話だとは思っている。しかしどうしても拭い切れない不安が胸に澱んでいるのだ。
「クリス」
「どうした?」
「あ、いや。なんでもない」
考えすぎだ。心の中で自分に言い聞かせて不安を押し込んだ。
翼は曖昧に頷いたあと、小さく息を吐いた。そこまで優しいのは何か私に隠し事でもしているの? なんて聞けるわけがない。そしてクリスの優しさに甘えているわけにはいかない。
「本当か?」
はずだった。ふとクリスの表情を見た瞬間。翼の頭は殴られたかのように痛みを訴えた。どこかでこんなクリスの表情を見た気がする。遠い過去。でも忘れるはずもない記憶。
「……翼!」
クリスの声が遠くに聴こえる。
頭痛は治まらない。だけど痛みの奥で不思議と透き通ったような開放感がゆっくりと広がっていく。
「どこか痛むのか!?」
「いや。大丈夫だ」
血相を変えたクリスが隣に駆け寄って青ざめた翼の顔を覗き込む。しかし直ぐに顔色は元に戻り、しっかりと翼は頷いた。
「おいおい、本当かよ」
「……忘れていたことを思い出したような、そんな気分だったから」
翼は呆れたように自分を見つめるクリスの手を掴むと笑った。
クリスの表情を見て思い出した。形の整った唇、ほんのりと染まった頬、自分へと向けられた真っすぐな視線、綺麗な瞳。それらが作り出している怪訝な表情。あのときから変わらない好きな表情だった。
「なんだそれ。何を思い出したんだよ」
「いや……なんだろうな。思い出したんだけど、上手に形にならない、と言うか」
全てを思い出せばクリスの声音に浮かぶ違和感もはっきりとわかる。しかし気がつかないフリをした。
見え透いた嘘だ。しかしクリスは気がつかないだろう。
記憶が戻ったとは言わない。クリスの恋人であった僅かな期間はとても楽しかったし、幸せだった。偽りで悪いことだとも当然理解している。しかしもう少しだけ。
「体調が悪くなったら直ぐ言えよ。そのために居るんだからな」
「うん。ありがとう」
もう少しだけ、偽りの関係を続けたいと。
ごめん。クリス。
翼は安心した表情を浮かべたクリスへ翼は心の中で謝罪した。