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柚木ユウ
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「きのこたけのこ戦争」
大昔にかいたやつ
#創作
#SS
#オリジナル
=========
きのこの山が食べたい。
期末試験を明日に控えている俺は、きれいな教科書と真っ白なルーズリーフを前にしてペン回しに精を出していた。机に向かってから既にかなりの時間が経過している。
日付を超えそうな時間ではあったが、幸い自宅から最寄りのコンビニまではそう遠くない。これから酷使するであろう脳へのご褒美に、という名目の下、俺は椅子から立ち上がった。部屋着にパーカーを羽織り、適当なサンダルを履いて家族を起こさないようそっとドアを開けた。
昼間はらんらんと照り輝く太陽も、夜がくればまた明日。大学生になってから二度目の夏を迎えようとしていたが夜はまだ少し肌寒い。車の音もなく、聞こえるのは自分のへたくそな口笛の音だけだった。
はてさて、きのこの山を食べるのはいつぶりだろう。受験生の時はよく食べていたな、と深夜の信号を律儀に守りながらあの頃を振り返る。ゆっくりと、当時の記憶がひとつ、ふたつと溢れた。
『絶対にきのこの方がうまい』
『いいや、断然たけのこだろ』
ふと、友人と交わしたきのこたけのこ議論を思い出した。きのこの山派とたけのこの里派で対立した俺達は、小一時間ほど激論を交わしたのだが互いに一歩も譲らず、勉強も手につかないので受験が終わるまで一時中断となったのだ。中にはきのたけ戦争だなんて仰々しく呼ぶ者もいたが、結局受験が終わったら当事者を含めすっかり忘れてそのまま卒業してしまった。あの友人も、突然たけのこの里が食べたくなって当時のことを思い出したりするのだろうか。
信号が青に変わり、再び俺は歩き出した。公園を通り過ぎ角を曲がると見慣れた看板が目に入った。あなたとコンビに、が合い言葉の有名チェーン店だ。
日付は既に変わっていたが、俺以外にも客はちらほらといるようだった。目の前を飛び回る蛾を手で追い払いながら店内に足を踏み入れる。
適当に雑誌を立ち読みした後、中ほどにある菓子コーナーに向かった。スナック、飴、駄菓子などちゃんと分類わけされている。思わずスナックに伸びそうになった手をひっこめ、真っ直ぐチョコレート菓子のコーナーへ向かった。大学生は何かとお金がかかるので無駄な出費は少しでも抑えたい。きのこの山は、まあ、別腹というやつだ。
しかし、チョコレート菓子の前まで来たのだがお目当てのきのこの山が見当たらない。あるのはきのこの山とたけのこの里が仲良く半分ずつ入ったファミリーパックだけだった。きのこ派もたけのこ派も手を取り合って仲良く平和にしろってか、と心の中で舌打ちをする。
「何かお探しですか」
突然話しかけられたものだから、近くにいた店員に舌打ちが聞こえたかのかと思って焦って振り返った。だが、視界に入ったのは見慣れた制服をきた店員ではなくラフな格好をした若者だった。
「ようアンチたけのこ」
服装のせいか昔より大人びて見えるが、このにやついた顔と重力に逆らってはねるねこっ毛は以前と変わらない。
「久し振りだな、アンチきのこ」
2年ぶりの再会だった。
「いつ以来だ?」
「卒業以来だろ」
俺は割り勘で購入したきのこたけのこファミリーパックを開封した。きのことたけのこの小袋をより分けて、きのこはパーカーのポケットに突っ込む。たけのこの小袋がはいったコンビニの袋を渡した。
「けど、偶然ってあるもんだな」
そう言いながら彼はさっそくたけのこの小袋を開けた。
「偶然?」
「お互いにきのことたけのこを求めてコンビニで再会したことだよ。偶然っつーよりは運命か?」
「赤い糸で繋がってるって?」
「ハサミで切れねーかな」
空中に放ったたけのこが弧を描き、友人の口めがけてダイブした。彼のいつもの食べ方だ。
「食うか?たけのこ」
「いいよ、きのこあるし」
「まあ、騙されたと思って」
「分かってて騙されるバカがどこにいるんだ」
「相変わらず連れない奴だなお前は」
「誉めてもきのこの山しか出ないぞ」
「いらねえよ」
この他愛のない会話が懐かしくて、変わらないことに少し安堵する。そういえばさ、と言いながら彼はふたつめのたけのこを宙に放った。
「俺さ、今日ふと思い出したんだよ。きのたけ戦争」
「奇遇だな、俺もだ」
「大事な時期に阿呆なことに時間費やしてさ。そんな暇があるなら勉強しろよって一発殴りたいね」
「全くだな」
「でもさ、そうやってどうでもいいことに熱くなれんのって、なくなっていくんだろうな」
あの頃は、これからもずっと子供でいるような気がしていた。気が付いたら車を運転できるようになって、合法的に酒が飲めるようになって、彼女と甘い一夜を明かしたりして。
大人という自覚は今もないけれど、少しずつ、だけど確実に、俺達は大人の階段を上っていくのだろう。
「今度、決着つけようぜ」
小袋をひとつ空にした彼は、ふたつめにとりかかろうとしていた。
「きのたけ戦争に、終止符を打つんだ」
「今更やるのか?」
「今だから、だろ」
ニッと笑った彼は、いたずらをしようとしている幼い子供ような顔をしていた。街頭の明かりがぽっかりと俺達を照らしている。
「うん、そうだな。やるか」
ただの口約束ではあったが、なんとなく実現する気がした。
ズボンのポケットから携帯を取り出し、時刻を確認する。試験勉強に費やせる時間は大目に見積もって残り2時間といったところだろうか。
パーカーからきのこの小袋をとりだし、開けた。傘のチョコレート部分を食べてからビスケット部分を食べるのが俺のいつもの食べ方だった。
「懐かしいな、その食べ方」
「貧乏くさいからやめろって、お前よく言ってたよな」
きのたけ戦争に決着がついたら、きのこたけのこを肴に一杯、なんてどうだろう。
手を取り合って仲良く平和条約を結ぶのも悪くはないな、と思った。
大昔にかいたやつ
#創作
#SS
#オリジナル
=========
きのこの山が食べたい。
期末試験を明日に控えている俺は、きれいな教科書と真っ白なルーズリーフを前にしてペン回しに精を出していた。机に向かってから既にかなりの時間が経過している。
日付を超えそうな時間ではあったが、幸い自宅から最寄りのコンビニまではそう遠くない。これから酷使するであろう脳へのご褒美に、という名目の下、俺は椅子から立ち上がった。部屋着にパーカーを羽織り、適当なサンダルを履いて家族を起こさないようそっとドアを開けた。
昼間はらんらんと照り輝く太陽も、夜がくればまた明日。大学生になってから二度目の夏を迎えようとしていたが夜はまだ少し肌寒い。車の音もなく、聞こえるのは自分のへたくそな口笛の音だけだった。
はてさて、きのこの山を食べるのはいつぶりだろう。受験生の時はよく食べていたな、と深夜の信号を律儀に守りながらあの頃を振り返る。ゆっくりと、当時の記憶がひとつ、ふたつと溢れた。
『絶対にきのこの方がうまい』
『いいや、断然たけのこだろ』
ふと、友人と交わしたきのこたけのこ議論を思い出した。きのこの山派とたけのこの里派で対立した俺達は、小一時間ほど激論を交わしたのだが互いに一歩も譲らず、勉強も手につかないので受験が終わるまで一時中断となったのだ。中にはきのたけ戦争だなんて仰々しく呼ぶ者もいたが、結局受験が終わったら当事者を含めすっかり忘れてそのまま卒業してしまった。あの友人も、突然たけのこの里が食べたくなって当時のことを思い出したりするのだろうか。
信号が青に変わり、再び俺は歩き出した。公園を通り過ぎ角を曲がると見慣れた看板が目に入った。あなたとコンビに、が合い言葉の有名チェーン店だ。
日付は既に変わっていたが、俺以外にも客はちらほらといるようだった。目の前を飛び回る蛾を手で追い払いながら店内に足を踏み入れる。
適当に雑誌を立ち読みした後、中ほどにある菓子コーナーに向かった。スナック、飴、駄菓子などちゃんと分類わけされている。思わずスナックに伸びそうになった手をひっこめ、真っ直ぐチョコレート菓子のコーナーへ向かった。大学生は何かとお金がかかるので無駄な出費は少しでも抑えたい。きのこの山は、まあ、別腹というやつだ。
しかし、チョコレート菓子の前まで来たのだがお目当てのきのこの山が見当たらない。あるのはきのこの山とたけのこの里が仲良く半分ずつ入ったファミリーパックだけだった。きのこ派もたけのこ派も手を取り合って仲良く平和にしろってか、と心の中で舌打ちをする。
「何かお探しですか」
突然話しかけられたものだから、近くにいた店員に舌打ちが聞こえたかのかと思って焦って振り返った。だが、視界に入ったのは見慣れた制服をきた店員ではなくラフな格好をした若者だった。
「ようアンチたけのこ」
服装のせいか昔より大人びて見えるが、このにやついた顔と重力に逆らってはねるねこっ毛は以前と変わらない。
「久し振りだな、アンチきのこ」
2年ぶりの再会だった。
「いつ以来だ?」
「卒業以来だろ」
俺は割り勘で購入したきのこたけのこファミリーパックを開封した。きのことたけのこの小袋をより分けて、きのこはパーカーのポケットに突っ込む。たけのこの小袋がはいったコンビニの袋を渡した。
「けど、偶然ってあるもんだな」
そう言いながら彼はさっそくたけのこの小袋を開けた。
「偶然?」
「お互いにきのことたけのこを求めてコンビニで再会したことだよ。偶然っつーよりは運命か?」
「赤い糸で繋がってるって?」
「ハサミで切れねーかな」
空中に放ったたけのこが弧を描き、友人の口めがけてダイブした。彼のいつもの食べ方だ。
「食うか?たけのこ」
「いいよ、きのこあるし」
「まあ、騙されたと思って」
「分かってて騙されるバカがどこにいるんだ」
「相変わらず連れない奴だなお前は」
「誉めてもきのこの山しか出ないぞ」
「いらねえよ」
この他愛のない会話が懐かしくて、変わらないことに少し安堵する。そういえばさ、と言いながら彼はふたつめのたけのこを宙に放った。
「俺さ、今日ふと思い出したんだよ。きのたけ戦争」
「奇遇だな、俺もだ」
「大事な時期に阿呆なことに時間費やしてさ。そんな暇があるなら勉強しろよって一発殴りたいね」
「全くだな」
「でもさ、そうやってどうでもいいことに熱くなれんのって、なくなっていくんだろうな」
あの頃は、これからもずっと子供でいるような気がしていた。気が付いたら車を運転できるようになって、合法的に酒が飲めるようになって、彼女と甘い一夜を明かしたりして。
大人という自覚は今もないけれど、少しずつ、だけど確実に、俺達は大人の階段を上っていくのだろう。
「今度、決着つけようぜ」
小袋をひとつ空にした彼は、ふたつめにとりかかろうとしていた。
「きのたけ戦争に、終止符を打つんだ」
「今更やるのか?」
「今だから、だろ」
ニッと笑った彼は、いたずらをしようとしている幼い子供ような顔をしていた。街頭の明かりがぽっかりと俺達を照らしている。
「うん、そうだな。やるか」
ただの口約束ではあったが、なんとなく実現する気がした。
ズボンのポケットから携帯を取り出し、時刻を確認する。試験勉強に費やせる時間は大目に見積もって残り2時間といったところだろうか。
パーカーからきのこの小袋をとりだし、開けた。傘のチョコレート部分を食べてからビスケット部分を食べるのが俺のいつもの食べ方だった。
「懐かしいな、その食べ方」
「貧乏くさいからやめろって、お前よく言ってたよな」
きのたけ戦争に決着がついたら、きのこたけのこを肴に一杯、なんてどうだろう。
手を取り合って仲良く平和条約を結ぶのも悪くはないな、と思った。
柚木ユウ
「梅雨」
パソコンのメモ帳に残ってたシリーズ
#創作
#SS
#オリジナル
=========
雨の日は嫌いだ。満員電車の蒸し暑さも、汗で肌にまとわりつくシャツも、湿気で髪が跳ねるのも、全部嫌いだ。梅雨なんていらない、春夏秋冬だけでいいのに、と幼い頃から恨めしく思っていた。
「そう?俺は嫌いじゃないけど」
隣にいるそいつは、会社の斜め向かいにあるパン屋で先ほど買ったサンドイッチを頬張りながらそう言った。食べるか喋るかどっちかにしろ、と注意すると、ごめんごめんと言いながら給湯室で淹れた緑茶をずずっと飲んだ。反省する気はさらさらないらしい。
「例えば?」
「例えばって?」
「だから、雨の日の好きなところ」
「そうだなぁ」
口の端についたマヨネーズを指でふき取り舐める。行儀が悪い奴、と思いながらも、おいしそうに食べるその顔を見るのは嫌いじゃなかった。
「傘に当たる雨の音は好きだし、雨の匂いも好きだし、雨の日はマルサキベーカリーが特売になるから、ちょっとお高くておいしいサンドイッチが昼にたべられるし」
「最後のが本音だろ、かっこつけたこと言いやがって」
「あ、ばれた?」
お前に嘘はつけないなぁ、と笑いながら、今度は生クリームがたっぷりはさまったメロンパンに手を出した。よく昼にそんなもん食えるなぁと呆れていると、午前中がんばった脳へのご褒美とかなんとか言いながらあ大きい口でふた口、み口とあっという間だった。
「あ、じゃあさ、今日飲みにいかない?雨の日割してるおいしい飲み屋知ってるんだよ」
「今日は定時退社日でもプレミアムマンデーとやらでもないぞ」
「そんなの、国のえらい誰かが勝手に決めただけで何もありがたくないだろ。雨の日は、俺たちだけの特別な日ってことで」
「言い方が気色悪い」
「プレミアムレイニーデーとかどう?」
「話をきけ!あとお前ネーミングセンス最悪」
えーそうかなぁ、と口を尖らせながら、スマホでそれらしい名前を検索し始めた。
「…じゃあ19時に1階集合な」
「おっ!プレミアムレイニーデー決行?」
「却下、乾杯までに10案再提出」
ふと時計をみると、長針は11を指していた。 お互い、おもむろに立ち上がり食べ終わったゴミをまとめる。
「酒飲みながら雨の日ネームコンペな!」
するかばか、 といいつつも、浮かんだ案を頭にメモしながら俺たちは休憩室を後にした。
パソコンのメモ帳に残ってたシリーズ
#創作
#SS
#オリジナル
=========
雨の日は嫌いだ。満員電車の蒸し暑さも、汗で肌にまとわりつくシャツも、湿気で髪が跳ねるのも、全部嫌いだ。梅雨なんていらない、春夏秋冬だけでいいのに、と幼い頃から恨めしく思っていた。
「そう?俺は嫌いじゃないけど」
隣にいるそいつは、会社の斜め向かいにあるパン屋で先ほど買ったサンドイッチを頬張りながらそう言った。食べるか喋るかどっちかにしろ、と注意すると、ごめんごめんと言いながら給湯室で淹れた緑茶をずずっと飲んだ。反省する気はさらさらないらしい。
「例えば?」
「例えばって?」
「だから、雨の日の好きなところ」
「そうだなぁ」
口の端についたマヨネーズを指でふき取り舐める。行儀が悪い奴、と思いながらも、おいしそうに食べるその顔を見るのは嫌いじゃなかった。
「傘に当たる雨の音は好きだし、雨の匂いも好きだし、雨の日はマルサキベーカリーが特売になるから、ちょっとお高くておいしいサンドイッチが昼にたべられるし」
「最後のが本音だろ、かっこつけたこと言いやがって」
「あ、ばれた?」
お前に嘘はつけないなぁ、と笑いながら、今度は生クリームがたっぷりはさまったメロンパンに手を出した。よく昼にそんなもん食えるなぁと呆れていると、午前中がんばった脳へのご褒美とかなんとか言いながらあ大きい口でふた口、み口とあっという間だった。
「あ、じゃあさ、今日飲みにいかない?雨の日割してるおいしい飲み屋知ってるんだよ」
「今日は定時退社日でもプレミアムマンデーとやらでもないぞ」
「そんなの、国のえらい誰かが勝手に決めただけで何もありがたくないだろ。雨の日は、俺たちだけの特別な日ってことで」
「言い方が気色悪い」
「プレミアムレイニーデーとかどう?」
「話をきけ!あとお前ネーミングセンス最悪」
えーそうかなぁ、と口を尖らせながら、スマホでそれらしい名前を検索し始めた。
「…じゃあ19時に1階集合な」
「おっ!プレミアムレイニーデー決行?」
「却下、乾杯までに10案再提出」
ふと時計をみると、長針は11を指していた。 お互い、おもむろに立ち上がり食べ終わったゴミをまとめる。
「酒飲みながら雨の日ネームコンペな!」
するかばか、 といいつつも、浮かんだ案を頭にメモしながら俺たちは休憩室を後にした。
柚木ユウ
「明日の君と昨日の僕」
テストを兼ねた即興SS
#創作
#SS
#オリジナル
=========
明日は雨が降ったから今日も雨が降るかもしれないね、と隣にいるそいつは呟いた。
「なんで明日の天気がわかるんだよ」
きょとん、とした顔でそいつは首を傾げ、悲しげに微笑んだ。
「そうか、君の明日はこれからなのか」
「わけがわからないが」
「僕はね、明日からやってきたんだ。だから、明日のことは知ってるけど、今日のことはわからないんだ」
遠くの林からひぐらしの鳴き声が聞こえる。
夏の終わりに、俺たちは出会った。
テストを兼ねた即興SS
#創作
#SS
#オリジナル
=========
明日は雨が降ったから今日も雨が降るかもしれないね、と隣にいるそいつは呟いた。
「なんで明日の天気がわかるんだよ」
きょとん、とした顔でそいつは首を傾げ、悲しげに微笑んだ。
「そうか、君の明日はこれからなのか」
「わけがわからないが」
「僕はね、明日からやってきたんだ。だから、明日のことは知ってるけど、今日のことはわからないんだ」
遠くの林からひぐらしの鳴き声が聞こえる。
夏の終わりに、俺たちは出会った。
柚木ユウ
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