ヒロイモノ少し前の事、夜中に取材してきた実話怪談のまとめをしていると、
右の人差し指に痛みが走る、何か刺された痛みだ。
指の使い過ぎかと思い指を見るが外傷は無い、変だなと思い指を見ていると気づいた。
人差し指の第一関節と第二関節の間が痛い、其の部分だけをペンチか何かで挟まれた痛さだ。
結局痛みに作業は中止せざるを得なくなり、寝ようと思ったら頭に「塩」って言葉が出てきた。
良く解らないけど、取り敢えず塩の袋に指を突っ込んで塩洗いして就寝。
翌日取材が早くに上がり、帰りに寄る予定だった菩提寺に行ったら山門の所で身軽に成りました。
どうやら乗ってたみたいです。
住職に挨拶をして、御隠居の処へ伺ったら開口一番「また厄介なの憑けてるね」と、
満面の笑みの裏側の鬼の面が視えて、肝が冷えた次第です。
「お前さん指痛いんだろ?それもここ数日だね」
何で判ったのですか?と聞くと
「長い爪で赤いマニキュアの指だね」
ギョっと驚いた、だってそれって怖いものの代名詞じゃないですか。
「お前さんの人差し指の第一関節と第二関節の間に巻き付いてるよ」
げぇぇぇぇ、確かに何か締め付けれる感はあったけども、本当の事だったのか。
がっくりしてたら御隠居が言われました。
「趣味でも仕事でも、興味持って行くのは構わんが、お土産は持ち帰らないように」
いつも通りのお小言を頂きました。
「それ処置しておいたから、次来る時はマシなもの持って来なさい」
と、何時までも頭が上がりませぬ。
思い返し記録を読み返し、収録したテープを聞きなおしても、指とマニキュアに関するものは無かった。
やはり何処かで拾って来たのかなと思いつつ。
こんな怖いけど変な拾いモノの話もありましたとさ。
初出は結構前
黄色いひつじ